一瞬で読める源氏物語No.35 若菜下 | 西陣に住んでます

一瞬で読める源氏物語No.35 若菜下

源氏物語


No.35 若菜下(わかなげ) 光源氏41歳春-47歳冬の物語


かなわぬ恋をする柏木は、女三宮が以前飼っていた猫を手に入れて慰めとしていました。月日は流れて光源氏も46歳。冷泉帝太政大臣が引退して、今上帝(きんじょうてい)がミカドに、今上帝と明石の姫との子が皇太子に、髭黒は右大臣に、夕霧は大納言になりました。そんな中、朱雀院の50歳の祝賀パーティーで琴を披露する女三宮の特訓に追われ、光源氏は紫の上のもとに帰らなくなりました。祝賀パーティーでの光源氏ファミリーバンドの演奏は大好評でしたが、直後に紫の上が病気になり、夫婦で住み慣れた二条院に移って闘病します。一度は息を引き取った紫の上ですが、祈祷を強めると体からモノノケが去って息を吹き返しました。モノノケの正体はまたしても六条御息所でした。一方、光源氏不在の六条院では、柏木が女三宮と無理やり契を交わし、妊娠させてしまいます。このことはすぐに光源氏にバレますが、光源氏は怒りを見せずに陰険に柏木を口撃します。柏木は体調を崩し寝込んでしまいます。



補足:物語はついに今上帝の時代になりました。ご存知の方も多いと思いますが、この「今上」というのは名前ではなく「今の」という意味です。天皇の名前は死後に諡号(おくりな)としてつけられる伝統があり、在位中の天皇は今上天皇と呼ばれます。これは、太古の昔に名前を知られると敵から呪いをかけられたため、王朝貴族は本名を明かさなかったことによるものです。このことは源氏物語のキャラたちにも言えます。例えば、「光る源氏の君」「夕顔」「葵の上」「蛍宮」はストーリーから生まれたニックネーム、「弘徽殿」「藤壺」は住んでた建物の名前、「頭中将」「右大臣」は役職名で本名ではありません。「紫式部」自体、源氏物語のヒロインの「紫の上」からつけられたニックネームなんですよ。なお、芸名とは違いますので、ご注意を(笑)。それにしても、六条御息所の霊はなかなかしぶといですね。そして因果応報というか、光源氏は他人の息子の実の父になろうとしています。柏木君、ちょっとだけストーカータイプのようですね(笑)。


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