一瞬で読める源氏物語No.30 藤袴 | 西陣に住んでます

一瞬で読める源氏物語No.30 藤袴

源氏物語


No.30 藤袴(ふじばかま) 光源氏37歳秋の物語


就職の準備をする玉鬘ですが、秘書室長になると冷泉帝から愛されることも十分考えられます。その場合、帝の妻の秋好中宮弘徽殿から恨まれることになるのでイマイチ気が進みません。一方で、実の親子ではないことをカミングアウトした光源氏からのアタックも日々強くなってきています。そんな中、夕霧が光源氏の使いで玉鬘を訪れました。二人とも最近共通の祖母の大宮を亡くしたため喪服を着ています。事務的な用件を済ますと、夕霧はいきなり玉鬘に愛の告白をしますが、軽くあしらわれてしまいました。告白したことを後悔する夕霧は、光源氏に用件を報告をした後、最近悪い噂話が流れていることを知らせます。光源氏は、玉鬘を表向きは宮中で働かせておいて、裏では囲むつもりという噂話です。完璧にコンタンを見抜かれて内心ドッキリする光源氏ですが、そんなわけないと一笑にふすのでした。就職を前にした玉鬘にプロポーズが殺到します。



補足:玉鬘は冷泉帝から手をつけられた時のシミュレーションをします。冷泉帝の現在の妻は、秋好中宮と弘徽殿です。秋好中宮は、玉鬘の母の夕顔や光源氏の妻の葵の上を生霊となって呪い殺した六条御息所の娘です。一方、弘徽殿は、玉鬘の腹違いの姉ですが、光源氏の母の桐壺をいじめ殺した前の弘徽殿の姪です。つまり、この二人に恨まれたら命がいくつあっても足りないので、思い悩むのも当然です(笑)。さて、晴れて姉弟でないことが判明した夕霧は、いきなり玉鬘に告白して断られてしまいました。クヨクヨする性格なようです。なお、夕霧は玉鬘と姉弟ではありませんが、他人ではなく従姉弟です。念のため。それにしても光源氏は、夕霧の追及に思いっきりしらばっくれました(笑)。ただし、こんな噂が出てきた以上、玉鬘囲み作戦は失敗したといえます。


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