ワースト映画鑑賞 | 西陣に住んでます

ワースト映画鑑賞

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夏休みも終わった9月の3連休。レンタルビデオで映画鑑賞してゆっくり過ごそうかなと思っていらっしゃる方も多いかと思います。そんな方にお役立ちなのが、鑑賞した映画作品に対して個人の評価を投稿する、みんなのシネマレヴュー というサイトです。


このサイトでは、これまでに公開されたものすごい数の作品ビックリマークに対して、それぞれ多数のネタバレなしコメント(ネタバレもあり)が寄せられているので、映画を観るときのよい参考になります。またこのサイトでは、評価点によってベスト映画ランキングチョキも公開されていますが、ランキングされている作品はどれも素晴らしい作品ばかりで、優良な映画の見過ごし防止にものすごく役立つんです。


さて、このサイトでは、ワースト映画ランキングドクロも同時に公開されています。
ある日、このランキングをふと見ていると、これまでに観ていない映画ばかりなことに気づきました。ワースト10の映画の中でそれまでに私が観たことがある映画は、あの水野晴男先生の「シベリア超特急」ひとつだけでした。なるほどこの映画は、私がそれまでに観た映画の中でもある意味?一番印象深かった映画です。特に自ら主演している水野先生のラディッシュな演技は、見るものを釘付け(笑)にしました。


それはさておき、上には上?があるようで、この「シベリア超特急(7位)」よりも上位にランキングされている作品が6作品もあります!?映画の歴史が始まって以来、星の数のように製作された作品群の中から多くの人によって選ばれたワースト映画です。どれもかなりの強敵汗と考えられます。


そこで、後学のためにというか、悪魔のような好奇心ナゾの人に駆られて、キャンペーン中のレンタルビデオ屋に1位から10位までの作品を探しに行きました。情報によると、これらの作品のうちいくつかはなかなか入手困難なようなのですが、あっさりと全部見つけることができ、恐る恐る一挙に鑑賞しました汗


はっきり言ってどれも凄かったですドクロ

以下それぞれの作品に対してコメントをさせていただきま~すドキドキ

(作品をはじめて鑑賞する上で有害となるネタバレはありませんので、安心してお読みください)


10位 漂流教室 (1987年、日本映画)


大林宣彦監督による同名SF漫画の実写版です。
この映画もねらわれた学園転校生時をかける少女など学園で生じた特異なシチュエーションでの博愛をテーマにしていますが、この作品はちょっとだけハズしたようです。まず、私には、生徒達とゴキブリ怪物君達との接触バトルパンチ!がグロテスクすぎました。またその一方で、怪物封じの方法が理不尽すぎて大笑いしてしまいます。
ところで、この後紹介しますランキング8位・4位・2位の作品も、超人気漫画の実写版ですが、このシチュエーションがとてつもなく大きな危険をはらんでいるようです。つまり、漫画では普通に流して見れるようなものが、実写版にするとめちゃくちゃ気持ち悪かったり、しょぼすぎたり、凄すぎたり、理不尽すぎたりするので、結果として映画を面白すぎる状態にしてしまってます。また、一般に人気漫画には熱狂的なファンがつきものですが、その人たちの期待を裏切らぬように忠実に原作を表現してしまう一方で、映画にしかできない効果をお見せしようとして必要以上に斬新な実験を犯してしまいます。この作品でも、映像がゆれたりぼけたりして、何だか訳がわからないと同時に酔ってしまうようなシーンが多数ありました。


9位 オクトパス (2000年、アメリカ)


スパイアクション・モンスターパニック映画です。
ワーストランキングされている映画って、どれも最初からそれなりの雰囲気ひらめき電球がありますが、この映画に関してはすべり出しは快調です。ところが、少しずつストーリー展開が強引になっていいき、ラストシーンではその強引さが最高潮波に達します。ただ、それなりのB級映画でした。


8位 CAT'S EYE (1997年、日本)


内田有紀稲森めぐみ藤原紀香の御三方が泥棒三姉妹に扮する人気同名漫画の実写版です。
三姉妹のキャスティングはヴィジュアル的になかなかよく、特に藤原紀香さんはものすごく絵になります。ただ、台詞の読み方が少しだけスティックでした。
三姉妹は、ことあるごとにオリンピック新記録をはるかに凌ぐような超人的な走力、ジャンプ力を見せてくれます。こういったシーンを支えているのが特撮技術なのでしょうが、この作品は、この時代には珍しく、往年のヒッチコック監督作品に見られるようなややクラシックな特撮手法(自動車シーンなどの時に、バックに別撮りの映像を直接流しながらスタジオで撮影する方法)を用いているような気がします。懐かしい気分に浸ると同時に頭の中がホワイトになりました。

警備をしている警察の皆さんもおっちょこちょいすぎます。細い廊下の天井を天地逆で堂々と歩いているキャッツアイになぜ気がつかないんですか?
それと、以前に映画「スーパーマン」の記事 で指摘したことが、この映画でも行われています。三姉妹はコスチュームからほとんど顔が見えており、ときどき顔丸出しになっちゃいますが、毎日のように顔を合わせている知り合いの刑事さん(次女の恋人でもある)には、何度遭遇しても正体がけっしてばれません。この点では、遠山の金さんのケースよりも凄いです。
泥棒三姉妹の秘密のアジトは、斬新なデザインで最新のハイテクコンピュータ機器が並んでいて凄いです。このアジトの建設資材費や備品購入費は、百歩譲って盗みで得た金で賄えるとしても、アジトである性質上、足がつかないように自分達で建設したり備品を運び入れたりする必要があると思います。このことを考慮すると三姉妹は泥棒のプロであると同時に、大工や配達など各種現場作業のプロという隠された顔を持っているものと推察されます。
最後に、寺尾聡さんは、黒澤明監督の映画にも主演する名優中の名優ですが、この作品のようなB級娯楽映画のしかも最高にインチキ臭い人物の役でも大真面目に演じてくれるのですね。映画に対するそのフェアーな態度、尊敬します。


7位 シベリア超特急 (1996年、日本)


水野晴郎先生が脚本・監督・主演するエンターテインメント作品です。
私にとってこれが2回目の挑戦です。
水野先生の台詞は全編を通してなかなか重みのある渋い内容のものが多いです。しかし、あの無垢でやさしくちょっと訛っていて控えめで人のよさそうないつもの声で、熟考に熟考を重ねている演技を思い切りアピールするように必要以上に深刻そうな無理に作った怖い表情をしながら語られると、絶対に笑ってはいけないといくら細心の注意をしていても大笑いしてしまいます。しかもその発言のほとんどは、完璧に予想だにできないあさってのことか、わざわざ格好つけて言うほどのことでもないあたりまえのことばかりです。
この映画、水野先生の発言以外にも物語のブロット映像の表現手法など、いたるところにツッコミどころがあります。そしてこの映画の偉大なところは、そのほとんどすべてに対して自信を持って突っ込むことができるところです。裏を返せば、そのくらい度肝を抜かれるシーンが多いということです。
映画をこよなく愛する水野先生のことです。ついついよくばってしまうのですね。この映画、サスペンスミステリーかと思いきや、最後の最後には唐突に違うテーマの映画になってしまいます。この映画を通して水野先生が語ろうとしていたことは結局そーゆーことだったの?・・・それだったらそーゆーつもりで見てたのに・・・今になってそんなこと言われても困ってしまいますって感じです。
この作品、やっぱり偉大です


6位 REX恐竜物語 (1993年、日本)


安達裕実さん主演のSF友情映画です。
ジュラシックパークが流行っていたときに公開された作品ですが、むしろ内容はETに似ています。映画の中で印象に残ったシーンは、「悪の組織から追われて逃げている小学生(安達裕実さん)とサンタの服を着た子供恐竜が、人目がいっぱいの小奇麗なレストラン(帯広のグリュック王国のレストラン)で向き合ってディナーをとる」シーンです。このシチュエーションだけでもツッコミどころが多すぎて思わずビデオをポーズして頭の中を整理しました
貴方たちは本当に隠れようとしているのですか?

店の人達(特にウェイターさん)は恐竜君がテーブルについていることについて何の違和感もないのですか?

周りのお客さん達も、恐竜君が食事してるのですよ。もう少し関心を示したら?

恐竜君は最小限のテーブルマナーを守れましたか?

ディナー代は結構いい値段になると思いますが、家を飛び出した小学生の彼女はちゃんと支払いできたのですか?

特注でもないのに恐竜君はサンタの服が妙にフィットしすぎじゃないですか?

どうやって服を着させたのですか?

そんな目だった服を恐竜君に着せる余裕があったら早く逃げれば?
思考停止に陥るほど考えさせられるシーンでした。


5位 ピンチランナー (2000年、日本)


モーニング娘主演の青春映画です。
映画のクライマックスは、モーニング娘のメンバーが映画のために実際に開催したマラソンひたちなか全国少女駅伝大会を走ったところを映画に合体したものでした。駅伝大会のため一生懸命がんばって練習し、鬼気迫るような迫力で盛り上がって駅伝大会にのぞんだモーニング娘達ですが、マラソンシーンでは必死さが感じられず、沿道のファンに手を振ったり、大会前の彼女達とははっきり別人の本物のモーニング娘が走っていました。きっと監督はライブ感を出したかったのだと思いますが、急に現実の世界に逆戻りです。
さて、私にとってのこの映画の最大の見所は、いきなり登場した実際のマラソン選手のエスタ・ワンジロ選手(ケニア)が、駅伝を目標に励むモーニング娘達を元気付けるために日本語で熱く語るシーンでした。私には、日本語の意味をまったく解していないエスタさんがローマ字で書かれたカンニングペーパーを見ながらただ音を発しているだけのように聞こえました。少しだけブルーになりました。


4位 デビルマン (2004年、日本)


大ヒットした同名少年漫画の実写版です。
子供のころ漫画を読んで、この世の終わりを感じましたが、今回この映画を見て再びそのときのいやぁーな記憶がよみがえりました。ストーリー的には、あまりにも耽美的かつグロテスクな世界で容赦なくアンハッピーなシチュエーションにさらされます。CGが結構イケてるシーンもあります。ただ、やっぱり実写版ではリアルに表現できない箇所(例えば、病院坂の首くくりの家でみられるようなシーン)もあり、ほっとさせられました。というか大笑いしてしまいました。
DVDには公開初日の上映後に行われた舞台挨拶の映像も収録されていました。「素晴らしい作品を制作することができた」という前提に立ちながら互いを賞賛する挨拶をする原作者、出演者、監督、そして絶賛の拍手を送る観客の皆さん、本当に楽しまさせていただきました。なお、当日は東京に大型台風が直撃したらしいです台風


3位 北京原人 Who are you? (1997年、日本)


純粋な日本映画としては、この映画が栄冠をつかみました。
SFというジャンルはもともとギョウテンストーリーを前提にしていると思います。例えば、アメリカ映画のスーパーマンでもX-MENでもあのバックトゥーザフューチャーでさえも、ギョウテンストーリーであることに間違いはありません。ただし、その大前提のもとでディテールに細心の注意を払って製作しているため作品自体は引き締まっています。また、そういった特別なシチュエーションの中での登場人物の判断や思考に共感することで、作品の中に引き込まれていくことになると思います。
この作品は、感動的なSF博愛ドラマを目指したのでしょうが、ディテールをまったく気にしていません。普通SFというのは私のような素人が簡単に口をはさめないような高度でもっともらしい科学技術で理論武装していますが、この作品の場合にはリアルタイムに絶対インポッシブルと見切れる内容が多すぎます。また、丹波哲郎さんを中心とする登場人物の言動や行動が明らかに不自然・不規則で一貫性がなくブレているため、結果としてドタバタ冒険ドラマとなっています(俳優さんたち、お気の毒です)。
この作品は、シベリア超特急と同じように、作者がまったく笑いをとることなど考えていないと思われる数々のシーンで思いがけずに結構笑うことができますしかしながら、ツッコミを入れる場面があまりにも続きすぎ、作品自体が途中で空中分解してしまうのではないかと心配しました(ある意味、ハラハラドキドキの連続でもあり、実際に作品が空中分解したといってもよいかもしれません・・・)。

この作品凄いです汗


2位 北斗の拳 (1995年、アメリカ・日本)


これも大ヒットした同名少年漫画の実写版です。私は原作を少ししか知らずに見ましたが、この映画でケンシロウ西洋人です。しかも「」に強調アクセントがあるので、違和感を感じざるを得ません。そしてそんな変てこアクセントでケンシロウを呼んでいるのは、なんと鷲尾いさ子さんです。また、南斗の人達が北斗の街に来て必要以上に暴れていくモチベーションは何?と考えさせられます。圧巻なのが、北斗百烈拳といわれる技と「お前はもう死んでいる」という決め台詞です。きっと原作ではめちゃくちゃ格好がいいシーンなのでしょうが、実写版ではドリフのコントのようです。私はもう笑っていました
ボスキャラとの拳闘シーンはあっという間に終わります。「えー、もう終わったの?」って感じです。そして映画自体も「うそぉー、これで終わり?」って感じです。名優マルコム・マクダウェルが、しかもチョイ役で出演しているのが永遠の謎です。


1位 死霊の盆踊り (1965年、アメリカ)


栄えあるNo.1作品です!!
アメリカにも盆踊りがあるの?とツッコミたくなる日本語タイトルからしてすごいです。タイトルを一見すると、ホラーかサスペンス映画なのかなと思いますが、まったく違います。この映画には残酷シーンやグロテスクな描写などまったくありませんので、その手の映画が苦手な方もご安心ください。ただ、奇妙なシチュエーションの中でダンスシーンが続き、ただただ、淡々と時間が過ぎていきます。断っておきますが、この映画はミュージカル映画でも芸術映画でもありません。一つだけ言えることは、この映画がすべての映画を押しのけて栄えある栄冠をつかんだことに疑いの余地がないことです。この映画に対する多くの人たちの評価に対して心より共感します。ほんと~~~につまらないんです!!
それと、バレバレのぬいぐるみを着て不規則な動きをするおっちょこちょいなモンスターが2人?出てきます。彼らを見ていると、自己嫌悪に陥って本当にブルーになれます。
DVDには、30分を超える監督へのロングインタビューも収録されています。こちらオドロキものですよ。
結論ですけど、この映画だけは絶対に見ない方がいい!!です。いや見てはいけません。そんなこというと逆に見たくなってしまうのが人情でしょうが、絶対に止めておいた方がよいと思います。それでも見たいという怖い物見たさの方がいらっしゃいましたら、一つだけ言わさせていただきます。見ない方がいいですよ。



以上、

これまで、私は、映画作品を常にポジティブに受け入れてきましたが、今回新たに印象深い作品群と出逢い、さらに受け入れ範囲が広くなったようですどれも見ごたえのある映画ばかりでした!!


最後に、これらの作品に映画館で出逢うことがなかった幸運にただただ感謝する次第です汗