さて,Nスペのポアンカレ予想の番組は広く一般に好評を得たようですが,その中で「サーストンの提唱した8つの宇宙の形」という話があります.


数学のほうからざっくり言うと,3次元幾何学には8種類あって,3次元多様体はそれらの合体したものになっている・・・というのがサーストンの幾何化予想なわけです.幾何化予想はペリルマンによって証明されました.ポアンカレ予想は幾何化予想の簡単な系として得られます.


こういう話をテーマとしてファッション(デザイン)に盛り込ませて,次回のコレクションをやってみたい,という壮大な計画です.


藤原さんは,僕のところに来る前に,サーストンに会いにアメリカまで行って,また小島定吉先生(東工大)のワークショップをやっていたとのことでした.いうまでもなくお二人とも双曲幾何,3次元幾何の世界的数学者です.サーストンからはみかんを剥いた皮の形や銀杏の葉っぱの形から(2次元の)幾何学(等質な曲面)が得られることを聞いてきたということでした.小島先生からは双曲タイリングで作る閉曲面を布のパッチで作るスタディ(=ためしに造形してみること)をやったそうです.


藤原さんから僕へのリクエストは「この話の基礎となっているものが何なのかを知りたい」ということで,僕がスタジオまでお邪魔して幾何学の基本的なことをレクチャーすることになりました.


それに先立って,サーストンが三宅スタジオへと送ったメールを見せていただいたのですが,それは次の日記で・・・・.