言葉や見た目、刺激の強弱などによる暗示が、一切利かない時に起こる現象こそが、真の治療の姿だと思っています。
私達の皮膚は非常に微細な接触の刺激まで感知することができるようになっているわけです。そしてその微細な刺激を受け取って、内分泌も含め様々な働きをする細胞の主役が、ケラチノサイト細胞ということのようです。
これはうちの犬です。パールと言います。前にもお話ししたことがありましたが、パールは小さい時から腸の状態が悪くてタンパク質を上手く吸収できなかったのです。
血中の濃度が維持できなくて、栄養失調のような状態になり胸水と腹水がたまって、お腹が丸くなった状態で心臓や肺を圧迫してしまい、いつ心臓が止まるかわからないような非常に危険な状態になってしまいました。
この時も先に出てきたマロンと同じように、色々な治療を試みてみました。そしてやはり、最終的に全身状態がよくなって回復していったのは、皮膚を擦るように刺激する方法、すなわち小児はりでした。
小児はりをされたパールは、自分から歩きだし、ご飯も食べるようになりました。獣医の先生の話では、この状態でご飯を食べれられたり、歩けるのは考えられないと言ってました。
パールはそのまま回復していって、現在でも元気いっぱいで暮らしています。2019年の8月に13歳で亡くなった大型犬のマロンの時と同じで、どちらも最も効果が出たものが、ただ皮膚の接触刺激をする。ということだったのです。
自閉症の子供達、脳性麻痺の子供達、0才児のあかちゃん、動物達など、言葉や見た目、刺激の強弱などによる暗示が、一切利かない時に起こる現象こそが、真の治療の姿だと思っています。
これはとても単純な話で、要するに本当に良くならなければ、歩きだしてりしないわけです。また本当に良くなると感じなければ、身体を触らせてくれないわけです。この子たちは、頭だけで理解しているわけではないのです。
治療にしても食べ物にしても、身体が言うことが正解なのです。知識はこの世界を楽しむための道具です。そして身体の感覚はこの世界を生きていくための道具なのです。
2019年講座『皮膚で聞くボイスヒーリングと小児はり』より