今日は、JWDA宮城支部の発足1年ということで、JWDA宮城支部主催での公開セミナーに行ってきました。
概要は、こちらから。
● 買い手はこう見る!サイトチェック実況中継 講師 村山らむね氏 - 日本WEBデザイナーズ協会
今回は、自分の備忘録もかねて、セミナーのエッセンスだけレポートしたいと思います。
「村山らむね」さんのプロフィール
講師は、ECサイト界で最も話題の「らむね的通販生活 (http://www.lamune.com/ )」でおなじみの「村山らむね」さんでした。
村上らむねさんは、「らむね的通販生活 (http://www.lamune.com/ )」のほか、「ワーキングマザースタイル (http://www.wmstyle.jp/ )」を運営されたり、ケンコーコムなどのビジネスを支援している方です。
今回のテーマは、ECサイトを構築するに当たって、購買するユーザの視点から見たコンテンツ制作のポイントを紹介していただきました。
ECサイトで購入の商品の返品について
村上らむねさんは、現在「経済産業省特定商取引法改正小委員会委員」もされており、特定商取引法の改正ポイントも教えていただきました。
- 特定商取引法は、4年に一度改正されるということで、2007年に検討され、2008年に改正が施行されるとのこと。
- ポイントとしては、通販サイトにおいて返品不可ということがサイト上で明示されていない場合は、今後基本的に商品の返品が可能になるということでした。
- 現段階では決まっていないのですが、迷惑メールの対応として、ECサイトで購入する際にメールニュースを送信してよいかという項目のチェックボックスがデフォルトでONにするのか、OFFにするのか検討しているということでした。
この辺も含めて、ECサイトを運営される方は、経済産業省などのサイトもチェックしておき、法律や制度なども勉強して、サイトを運営されるとよいというアドバイスがありました。
また、制度を制定する前に一般の意見を聞くタイミングもあるので、積極的に意見を述べてほしいとのことでした。
コンテストを利用したプロモーションの意義
ECサイトのビジネスにおいて、成功するためのひとつとして、いろいろなコンテストなどに応募することをあげていました。
コンテストに応募することは、リスクがほとんどなく、プロモーション効果があるという話でした。
- 「応募する」->「入賞する」->「主催者の資金で入賞したことを告知」するというフローが生まれること。
- 受賞したことによる「実績」がサイト内で告知できること。
- 受賞することにより、マスコミに取り上げてもらえること。
コンテストに応募することにより、こうしたECサイト運営のプロモーションに対するメリットを活用すべきですね。
オンラインショップの現況
大手のオンラインショップでは、年間1,500億円の売り上げがひとつの壁になるということでした。
ここでのトピックスとしては、ECサイトの周辺環境による影響が大きくなっているということ。
具体的な例として、楽天球団が誕生したことにより、楽天のサイトは高齢者が参加するようになったということです。
また、日本のEC化率は現状では非常に低いとのこと。
アメリカでは5%程度なのに対して、日本は0.n%という状況で、EC化率が低いということをネガティブに捉えるのではなく、これから市場が大きくなるということなので、今後のECサイトの取り組みは重要であるということです。
それから、不況時にはオンラインショップが強いということで、アメリカではわざわざお店に買い物に行くのではなく、オンラインショップを使い、交通費、運送費のコストを減らす傾向にあるそうです。
そのほかにも、オンラインショップが今後延びていくひとつの動きとして、大手メーカーは卸や小売を通さずにユーザーにオンラインショップを通じて直販をはじめているといこと。
さて、これからコンテンツ制作のポイントに入っていきます。
強いページを作る
強いページとは、次の2つがポイントであると指摘していました。
- お客さんが集まる=PVのアップ
- 物が売れる=CVRのアップ
この2つを毎月2%を目標に少しずつあげていくことが、強いページ作りに欠かせないとのこと。
そうすれば、1年先、2年先に売り上げが向上するようなECサイトの運営ができるようになるということでした。
でも、大変だとも言ってました・・・(皆さんがんばりましょうね。)
強いページを作るための視点
強いページを作るためには3つの目、視点から分析して作り上げることをお話されていました。
- 鳥の目:全体を客観的につかむ視点
- 虫の目:対象を主観的に見る視点
- 魚の目:時代や季節を読む視点
鳥の目:全体を客観的につかむ視点
鳥の目はSEOやSEMの視点となり、自分のサイトの位置を見ることだそうです。
Googleによるキーワード分析やFC2のSEO分析などを紹介していました。
つまり、お客さんからどのように自分のサイトが見られているのか、客観的な事実を理解することが大事だということのようです。
ランキングなどをよく観察し、主たるキーワードに関連するキーワードをチェックしたりして、サイトを改善していくということでした。
虫の目:対象を主観的に見る視点
これは、お客さんにサイトを認知してもらい、訪問してもらうと同時に安心感を与えることを考える視点だそうです。
告知方法としては、次のとおり。
- マスコミ
- ブロガー
- イベント
- プレゼント提供
プロモーション(マスコミ・イベント・プレゼント提供)へのアプローチ
これらのいずれかでサイトの記事が採用されたら、すべてのページにその内容を掲載することが良いそうです。
しかも、お客さんが目に付く位置(ページの最下部ではだめだそうです)にレイアウトすることが良いそうです。
特にNHKなどのマスコミに採用されたときは、そこからブロガーやお客さんに認知してもらえるので、より販促効果が高くなるということでした。
また、常に受身ではなく、積極的な働きかけを行うことが大事南だそうです。
- マスコミへのニュースリリースの配信
- 商品プレゼントもお客さんだけでなく、編集部の方にもプレゼントすると、より記事になりやすくなるということ。
ただし、プロモーションしたからすぐに効果が出るというわけではなく、回収には時間がかかるということを忘れないこと。
あくまでもECサイトを運営し繁盛するための投資であるという気持ちでいることが大事だそうです。
それから、ECサイトに関連のあるイベントを探して、積極的に参加したり、商品を提供するということもECサイトへの訪問者を増やすのに効果があるそうです。
イベントに参加することで、そのときの感想をブログにアップしてもらうという作用もあるので、大事なんですって。
ブロガーに対するアプローチ
サイトに関連する記事を書いてもらえそうなブロガーを探す方法として「Search&RSS (http://search-rss.ag9.org/ )」と「テクノラティ (http://www.technorati.jp/ )」の2つが紹介されました。
「Search&RSS (http://search-rss.ag9.org/ )」は、サイトの名前を入力して検索することにより、GoogleとYahoo!によるRSSを検索し、ブログのエントリー状況がチェックできるそうです。
「テクノラティ (http://www.technorati.jp/ )」も同様に検索結果から、ブログのエントリー状況がチェックできるそうです。
このRSSの内容をチェックして自分のサイトに関する記事を書いているブロガーを見つけ、アプローチしてみるということです。
こんな商品もあるよというアプローチをしたり、自分のブログで、こんなブログで商品が紹介されていましたという紹介とトラックバックを活用したりするんだそうです。
決して、商品販売を目的にするのではなく、あくまでもブロガーとの関係性を築くためにコミュニケーションをとるというスタンスでいることが大事だそうです。
魚の目:時代や季節を読む視点
時代のトレンドを読むということです。
ECサイトをうまく運営されている方は、とにかく雑誌を読んだりして情報収集が多いということです。
日経や日経MJなんかを読んでおくと、トレンドを理解しやすいそうで、特に日経MJはこれから来るトレンドを取り上げるそうなので、それに合わせたプロモーションや商品開発の計画を立てるとよいということでした。
ただし、トレンドの早読みは逆効果になることもあるそうなので、その辺の見極めがポイントになるとのことです。
ここでは「kizasi.jp (http://kizasi.jp/ )」が紹介され、ブログでどのようなキーワードが、どれくらい表出しているかを調べることができ、そのときの話題や兆しを見つけることができるそうです。
また、キーワードに対する、関連キーワードもチェックできるそうです。
さらに、有償ですが同サイトの「クチコミサーチ」を使うと関連キーワードもグラフ化されて表示し、クロスサーチも可能になるとのこと。
ひとつ例に出されていたのが、アメブロの「クチコミつながり」による話題提供も影響力があるとのこと。
こうした結果を踏まえて、そうした記事に対するトラックバックを活用し、ブロガーとの接点を作り、コミュニケーションを図っていくことが、継続的な訪問者を獲得できるひとつの手段となるそうです。
鳥の目によってCVRをあげる
客観的事実を見える化して、お客さんに安心感と安全さを与えること。
たとえば、次のような内容をしっかりサイト内で明示すること。
- 商品の組成
- 原産地、加工地
- 工場、工場選定基準
- 実績
- 受賞歴
- 店長の経歴
- マスコミ掲載歴
- 生産量(価値感や希少価値感にもつながる)
出せる情報はすべて出し、出せない情報はなぜ出せないのか検討することだそうです。
ユーザーの目でどのような情報が、安心かを持ってもらえるのかを検討し、プライオリティをつけて見やすい位置に、そうした情報を明示することが大事だそうです。
また、オンラインショップでも、高齢者の方の利用が増えていることがあり、電話対応ができるよう電話番号も記載すると良いとのことです。
虫の目でCVRをあげる
商品やサイトへの思い入れが大事だそうです。
- 店:説明やキャッチコピーをきちんと訴求すること。
- お客さん:レビューを掲載し、商品への思い入れを、訪問したお客さんに伝えること。
特にレビューに関しては、あまり加工せずに批判的な文章も掲載することが、より安心感を与えることにつながるそうです。
(米国のAmazonは、評価の良い意見と悪い意見を掲載する仕組みを取り入れているそうです)
レビューを掲載する仕組みとしては、「テクノラティ (http://www.technorati.jp/ )」を利用して、あらかじめキーワードを入れたリンクを張っておくことで対応できるそうです。
このほかにも、写真や動画を使って、商品を見せるということも効果があるということです。
例として「松坂牛.com (http://www.matsuzaka-gyu.com/ )」を紹介していました。
ここでは、牧場のライブ中継もあり、動画を使って品質の良さをアピールしている良い例だということでした。
また、Amazonの米国、中国、UK、カナダなどのサイトのサービスを見ると、参考になるそうです。
これらは、日本であまりと入れられていないサービスを行っており、日本の1年後くらいのサービスと考えて、大手の企業も参考にしているので、ぜひとも参考にしたほうが良いとのこと。
魚の目でCVRをあげる
時代や季節といったトレンドを見るということで、2つの潮目があるということです。
- 商品の潮:ギフトや季節、楽しみ方
- 世の中の潮:エコ、安心、安全
そのほかにも、高齢者の視点や接点といったものも見る必要があるようでした。
また、モバイルによるECサイトのオンラインショッピングが伸びてきているということで、ここ1年で取り組む必要があるのではと、話していました。
モバイルの画面構成としては、次のような構成にしておくことで、ユーザーの購買率がよいということでした。
- 価格の表示
- 商品写真の表示
- 購入ボタン
ページ作り以外に必要なもの
ページ作りはもちろん、次のようなことも一緒に構築することで、よりよいECサイトの構築ができるそうです。
- 商品づくり:売れる魅力的、個性的な商品作り
- ページづくり:商品の魅力、個性を訴求できるページ作り
- 組織づくり:商品を効率的に販売できる組織作り
- 利益づくり:商品を販売して儲かるための仕組みづくり
- やる気づくり:サイトを運営していくためのモチベーション作り
終わりに
最後に、ECサイトを続けていくには、商品対する情熱や想いが一番重要だということでした。
そして、すぐには儲かるような結果が出ないという覚悟が必要だということ。
ECサイトを起業してから1~2年で結果が出ないときは専門家、あるいは成功している人などに相談してくださいということでした。
また、デザイナーやサイト運営する担当の方は孤独になりやすいものなので、周囲の人が声をかけてあげてくださいといっていました。
(コミュニケーション、飲みニケーションをしながら、モチベーションを落とさないようにフォローしてほしいといっていました。)
それから、売れないときはデザイナーだけの責任ではないということ。
そもそも販売する商品がだめなときもあるかもしれない。
でも、半年やっても売れないというときは、3つの視点で見直してみることを進めていました。
- 鳥の目:全体を客観的につかむ視点
- 虫の目:対象を主観的に見る視点
- 魚の目:時代や季節を読む視点
感想
私もプライベートで知人のECサイトを監修したりしたことがあるのですが、プロモーションの仕方が大変参考になり、今度知人にアドバイスしてあげようと思う内容でした。
ユーザー視点からみて、サイトや商品に対する安心感や安全性を伝えることが、ECサイトの運営には大事だなぁと感じました。
ただ、ひとつ感じたのが、ユーザ体験というのでしょうか。
ターゲットユーザーにこの商品を買うと、こんな楽しい生活スタイルが手に入りますよ。
みたいな、商品による価値を疑似体験したり、イメージを伝えるコンテンツ作りも必要なのかなと思いました。
お客さんの今の生活スタイルはどうなのか。
商品を購入することによって、お客さんの生活がどのように楽しくなるのか。
あるいは、どのようにライフスタイルが良くなり、お客さんが満足するのかを提案する視点も紹介してもらうと良かったなぁと思う次第。
そうしたユーザー視点からの、ECサイトの構成、商品の取り扱い、レイアウト、デザインというものを提案してもらえると良かったかな。
まぁ、短い時間のセミナーなので、伝えきれないことがたくさんあったと思います。
そうした伝えきれない部分は、個々人で考えてビジネスを展開していくのがベストかもしれませんね。
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おもてなしの視点を忘れずに。
追記(2008/08/04)
当日紹介されましたホームページのURLですが「村山らむね」さんのブログのほうで紹介されていますので、そちらをご覧ください。
仙台です - うら@らむ 村山らむねの裏ブログ
http://lamune.cocolog-nifty.com/kaisha/2008/07/post_e2fd.html
● 村山らむね さんのセミナーに参加して来ました('~'ノ 日本WEBデザイナーズ協会
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