アコースティックギターを失って | 「カヨコの戯言」...シンガーソングライター・カヨコのBLOG
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世界に一本しかない愛するギターを
誰かに真っ二つに折られました。




この先、こんな辛い思いを
誰にもして欲しくないので日記に書きます

三年後あんなことあったな、って
笑って思い出してる自分を想像して書きます







もう3日前のことですが、

大好きなライヴハウスの
大好きな店長の退院祝いのイベントで

カヨコ名義ではなかったのですが
大好きな仲間と出演した際のことです


とても楽しく充実感で心が潤って
信頼する仲間と、またやろうぜ、と
固い握手を交わして杯を交わして

楽屋でギターをしっかりと拭いて
ちゃんとケースにしまって立て掛けて
通路の端の邪魔にならない場所に置いて…

DJが回してるホールで踊って
みんなと久々にワイワイ騒いで、




帰ってきたら、もう真っ二つでした


ボディはえぐれ、ネックは外れ、
全く見る影もない状態でした

見た瞬間に、今までの人生で
感じたことのない戦慄を覚えました

真っ直ぐ立てなくて
メンバーに支えられて事務所に戻りました


楽屋には関係者しか出入りしない、
おそらく、酔っ払いが転んで踏んだとか
そういった類いのものであるとは思います


でも相当な割れ方をしていたので

誰かが全体重をかけて乗ったか、
故意にボディを何処かにぶつけたか…

セミハードケースに入れていて
こんな折れ方するか?というような
酷い状態で発見されました


もし、もしも故意なのであらば
死ぬ気で探し出してやろうと
見た瞬間そうも思っていましたが

わたしの仲間に
そんなことする奴が居るとも思えなくて

ならばせめて、
この憤りの行き場だけ教えてほしい、
そればかりを考えて過ごしています







約3年前、PGMという楽器屋さんで
一点一点大切に作られたアコギを弾き
わたしが探していたのはこれだと確信して

半年間お店に通い詰めてレクチャーを受け
木材、デザイン、ピックアップ、指板…
全て納得のいく形を目指し相談を重ね、
人生初めてのギターオーダーをしました

それが今のわたしのアコギです
世界に一本です
世界で一番わたしの声に合うギターです

ヘッドにはトレードマークにしている
蝶が刻まれています







わたしは2年前にポリープを患って
声が出なかった時期があり
同時にかなりメンタルも病んでしまって

でも、その時期も
ギターがずっと支えてくれていました

指でそっと弾いただけで
身体中の毒を抜いてくれるような感覚があり
夜な夜なギターを弾いては泣いていました

初めは冷たい金属音に近かったギターも
いつの間にかしっかりと鳴るようになり
そうこうしている間に喉も治り
元気を取り戻すことができました

みんながとても愛してくれている
「カーテンコール」という楽曲は
あのギターが書かせてくれたものです



もっと言えば
2012年以降に作られた楽曲は
全てあのギターがあったからです

勿論、曲を書いたのはわたしだけど
そうさせてくれたのはあのギターです

ギターの音色が変化するにつれ
わたしの唄声も変わっていきました
それが「共鳴」だと思っています

誰にも触らせたくないから
ちょっと貸して、なんて言われた日には
目くじら立てて怒って拒否してきました

なのに。。。



あのイベントの日、

わたしがずっとギターを持って移動してたら
わたしがこのイベントに出なければ
わたしがあの時、わたしのせいで、、、

そればかりを思って
3日間泣きながら過ごしていたら

どうやら身体の方にも来てしまって
今、高熱と扁桃腺炎で喉がただれています

どうやら
身体とギターが繋がってるみたい



ちょっとオーバーに感じられるかもですが
あのギター、本当に身体の一部というか
わたしにとっての恋人であり御守りなんです



更にタイミング悪く、
どうしてもやり遂げたかった大切な仕事を
間に合わずひとつ、飛ばしてしまいました


こんなとこで負けてどーするねん!

って何回も奮い立たせながら
前に使ってたヤイリを引っ張り出したけど

鳴る音がやっぱり全然違って心臓痛くて
ギターを弾けば弾くだけ涙が出ました
思い出してまた泣いて、情けないことに


仕事には、間に合いませんでした








ギターは修理に出しました
どうなるかまだ分かりません

だけど例え戻ってきたときに
同じ形でなくても同じ音が鳴らなくても

あのギターと一緒に
ずっと唄っていきたいです



だって、

あれには思い出が宿っています
だからきっと心や魂も宿っています

非科学的だと笑われるかもしれませんが
きっとあのギターで唄うことが
わたしにとっての1番の正解なんです


今瀕死の重症で戦っている
あの子のことを思うと

喉が腫れてるぐらいで泣いて過ごしてたら
罰が当たるなと思いました

だから今日からは泣かずに
曲を書いて過ごそうと思っています








「ピンチはチャンス
選ぶのも捨てるのも自分自身だよ」

いつも偉そうに自分で言ってますけど
正直まだ、そんな風には思えません

お前は音楽家として適性じゃないと
神様に振るいにかけられている気分です

しかし、あー畜生、むかつくな、
そんなしょーもない神様に負けるなんて


とまあ、負けん気も強いわたしは
段々ムカついてきたわけです

暗い気持ちで過ごしてても
折れたもんは折れたし
体調悪いのは悪いんだし

今日は美味しいもの食べて
明日から向き合って音楽出来るように

しっかり日記に書き留めて
前に進もうかな、と思った次第です





楽器を愛する全ての皆さんが
同じ目に合わないように心から願います

自分の愛器の管理を怠らずに
大切に大切に弾いてあげてね







ギターが退院してきたら
真っ先に何を唄おうかな





やっぱり、カーテンコールかな。

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