地球上で一番醜いモノは何だ? | 「カヨコの戯言」...シンガーソングライター・カヨコのBLOG
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友人と二人で海外へ旅行中のこと


その日、
うっかり終電がなくなって

楽しく飲んでいた老舗のバーの
オーナーのご好意で、彼の別宅の
リビングをお借りすることになった

リビングの鍵が錆びて壊れていたため
万が一の時のために一応、と

心配症の友人が
枕元に日本刀を準備して眠りについた



暫くすると急に外が騒がしくなった

大きな爆破音がしたと思ったら
銃や刀を持った悪い連中が
リビングの扉をぶち抜いて入ってきた

友人が日本刀を構えると
すっかり悪顔の敵が友人に斬りかかり

友人は右脚から血を流しながらも
そこにいる全員10人ぐらいを斬り倒し
わたしに向かって「逃げろ!」と叫んだ

友人と離れ離れになることを
躊躇しながらも必死で走って逃げた




裸足で走って逃げる途中、

ショートカットの小さな女の子と
とても広くて薄暗い公園で出会った


困った顔をして黙っていたので
一緒に逃げることにした

追っ手はもう来ていないようだった




歩きながら少女と世間話をした

すると
分かったことがいくつかあった


・物心ついた時から彼女に家族は居ない
大切な男の子が一人だけ居る
(しんじ君って名前らしい)

・わたしはどうやら
特殊な笛を持っていて狙われていた
(友人完全なる巻き添え、ごめん)

・その笛を吹けば一人だけ大切な人を
生き返らせることが出来る

・4日前に地球に大きな船が墜落し
船から出て来た大きな人型の化け物が
この街のほとんどの人を殺してしまった




その後、

その大きな化け物は駆逐されたが
相変わらず街は危険な状態みたいで

人々が飢餓感で苦しんだため
金品や食糧の盗みや、殺しなどの
人的被害が多発していたようだ

少女の大切な友達もその時に
化け物の仕業ではなく
人の手によって殺されたようだった



わたしは、笛を少女に渡した

「これで、しんじ君のこと
生き返らせてあげて」と伝えた


彼女は静かにうなずき
公園のブランコに腰掛けたまま

すぅーっと息を吸い込み
ゆっくりと、その笛を吹いた





笛を吹いてしばらく経った頃

遠くから地響きが聞こえてきた
徐々にそれは大きくなり近付いてくる

急いで少女の方を振り返ったが
そこにはもう彼女の姿はなかった




何が起こっているのか理解出来ず
身動きも出来ず公園で立ち尽くした


その時

空からうねるような叫び声が聞こえた
わたしは目を凝らした

すると

まだ早朝の薄暗い曇り空の隙間から
大きな人型の化け物が現れた






少女は、
化け物を生き返らせたのだ

どうして
彼女は大切な友達じゃなくて
こんな醜い化け物を蘇らせたんだ


何とか生き残った人間も
わたしも友人もバーのマスターも
きっと殺されてしまうんだ


絶望感でいっぱいになっていると

いつの間にか隣に、
少女が立っていた



「ねぇ、
どうしてこんなことしたの?」

少女は微笑むだけだった


「醜い化け物が生き返っちゃったよ
みんな殺されちゃうよ、どうして?」

わたしがそう尋ねると
彼女は少し困った顔をしてから呟いた




「しんじ君は

人間に殺されたのよ



この世で一番醜いのは

人間という生き物よ



だからわたしは

人間を、駆逐するの」




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……そこで目が覚めました

おはようございます、カヨコです












(ガンダムの小説とエヴァの新刊と
るろうに剣心読んでから寝た)