自家製ミルト酒 作ってみる | 西新宿 Bar BenFiddich(ベンフィディック)

西新宿 Bar BenFiddich(ベンフィディック)

BenFiddichの店名は店主の鹿山博康から由来【Ben】→【山】【Fiddich】→【鹿】
畑を持つ農家バーテンダーであり『Farm to glass』を提唱
日本在来種の自生する草根木皮をもカクテルに変える新しい可能性を模索
アブサン、薬草酒、古酒がゴロゴロ転がるBar

鹿山です。







今回はイタリアの伝統酒 ミルト(Mirto)







ミルト酒とは何か






主に地中海はイタリア、
サルディーニャ島及びコルシカ島の伝統酒である
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和名ではギンバイカ(銀梅花)
英名ではマートル(Myrtle)
フトモモ科のギンバイカ属の常緑低木
亜種も含めれば世界中に分布



その果実を高純度のアルコールに浸漬し、糖分を加え完成させるリキュールである
平たく言えばレモンチェッロと同等の作り方でもある






イタリア、サルディーニャ島では
このギンバイカが、道端、そこかしこに自生し中世の時代から今日より摘んだギンバイカの果実でリキュールが作られる







なので、鹿山も作ってみたいので
作ってみた
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計画として鹿山畑に去る2014年から
Mirto酒を作る為に
ギンバイカ(マートル)の大苗をこの日の為に植えていた
全部で4機





果実が実る時期
それは11月〜1月
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こんな感じである
ギンバイカの果実
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2015年にもギンバイカ(マートル)の果実は実ったが、ギリギリまで熟させようと思い収穫を2016年1月に計画していたら鳥さんに全部食べられてしまった
その教訓もあり今季は11月に収穫
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ギンバイカ(マートル)の果実である
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先にも述べたようにフトモモ科である
芳香成分が強いものが多い。葉に花にも別々のわかりやすい香りがある
果実が液果が多く万能だ
ギンバイカ(マートル)も然り
世界中に亜種がある
アロマテラピーの世界観では葉に芳香成分の強いレモンマートル(南半球に分布)が重宝される
ヨーロッパでは初夏に咲く花には食用ともされ
果実も肉料理のスパイスとして扱われ
宗教的な儀式にも使われる
色々な意味で今も昔からも利用価値が高い








素敵な木だ







鹿山はバーテンダーなので、
酒にフォーカスを当てる



そして、
イタリア サルディーニャ島に歴史的に多く自生していた
ギンバイカ(マートル)の果実を用いて
ミルト(Mirto)酒を作ってみる




まず、伝統的なミルト(Mirto)酒は大別すると大きく二つに分かれる

①Mirto Rosso (赤)
こちらが一般的であり、鹿山が今回作るMirto(ミルト)酒と同タイプ
黒い果実からなるMirto(ミルト)である



②Mirto Bianco(白)
白い果実を実らせる。そして、若芽ともに高純度のアルコールで浸漬して作られる。
こちらは画像がないので拝借する

白い果実のギンバイカ
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では
なぜ、サルディーニャ島では
ミルト(Mirto)酒を作るようになったのか







理として考察するまでもなく簡単な事だ








たくさん自生していた
それだけのこと





これはヨーロッパの片田舎で行われる伝統的な家庭蒸留があるように、その家庭でとれる果樹等の余剰に対して作るフルーツブランデーを作るの似ている
余すことなく使おう精神だ






ミルト(Mirto)も同じこと







果実がなるその時期に食用として、香りづけとして、それでもあり余るから酒に浸漬してみたといこと





では今日のミルト(Mirto)酒の基盤ができたのはいつ頃だろうか





リキュールの歴史は薬であり、ヒポクラテスの時代(紀元前)まで遡れるが、遡りすぎた。


中世の錬金術師による創造追求により、リキュールの起源となる薬酒は進化し、修道士に引き継がれ
サルディーニャのお隣、イタリアでは
ロゾリオ(Rosolio)という蒸留酒に甘みと香気成分(バラやオレンジ等々)を含んだ今日のリキュールとして呼べる代物ができる


ただ、この時代(15世紀あたり)はまだ
リキュールは嗜好品になりつつあるも
高級品であり貴族の飲み物であり、
薬での立ち位置でもある



時代の針を少し進めると
世界最古のリキュールメーカーである
オランダ アムステルダムのボルス社が
16世紀の1575年に商業用リキュールとしてスタートし、販路を広める


たぶんこのあたりからサルディーニャ島の島民の間でも各々の家庭での
自家製ミルト(Mirto)酒を作るようになったのではないかと鹿山は考える



16世紀後半にかけてボルス社を皮切りに各地にリキュール製造会社が出現をする。
これは一般市民に広まっていくきっけになったと考えることができるだろう
よって、農村の家庭でもいっちょ作ってみるかという考え(貧しいから買えないのもある)に至ると考察できる


さらに言えば
この時代はリキュールの文化が大きく華開く時代だ

なぜならば大航海時代

それ以前にもシルクロードによる交易はあるが、そこからさらに南北アメリカ、東南アジアなどのより多くの素材が盛んに行き来しやすくなる

リキュールメーカーも大いに色々な素材を手に入れることができ、競合し、
消費者は選択の余地もできる



その歴史が一般家庭、農村などにも降りてきて、イタリア、サルディーニャ島でも
その土地に多く自生していたギンバイカの果実の余剰をアルコールに浸漬し、通年お楽しみ頂ける文化が16世紀には一般家庭に広まったのだろうと考える




文化はこうして発達してゆく







よって、
鹿山も歴史のオマージュとして
ミルト(Mirto)酒を作ってみることにしてみた



収穫した鹿山家のギンバイカの果実
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BenFiddichに持ち帰り保存瓶へダイブ
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トゥルルん
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高純度のアルコールスピリタスを混入
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一ヶ月放置
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一ヶ月後...漉す
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その後、万力みたいので果実に含んだアルコールと果汁もろとも搾り取る



そして、砂糖水を作り
ギンバイカの果実が入った高純度のアルコールに混入し、アルコール度数おおよそ30度代に
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そして、数週間馴染ませて
はい、完成!
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今回は約150gしかギンバイカの果実はとれず。
なので、200㎜の96度のアルコールに抽出
一ヶ月放置のち、取り出し果実の持つ水分と撮り損ねたアルコールで180㎜のアルコール80度台になる
そこに
砂糖水を一対一の割合で作り200㎜の砂糖水を180㎜のギンバイカの果実のアルコールに投入。
おおよそ30度台のミルト酒の完成である





是非、お試しください




今宵、新宿 西口 
西新宿 Bar BenFiddich お待ちしております