考察/いつまでも あると思ふな ふるさとは(前編) | BLOGkayaki1

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読書記録、環境問題について


 3月2日、NHK教育にて放送された「日曜フォーラム」、「ようこそ農村へ」と題された討論会を観ておりました。
 その内容は、中山間地域(容易く言えば農村)若しくは過疎地域と、都会の地域を結ぶために、はたまた都会人に観光や移住を呼びかけるためには如何にするか、また海外での事例はどうだという事を紹介したり意見を述べたりするものでした。
 要は、過疎化を如何に食い止めるか、農村に若者をどう呼び込むか、ということなのですが、これを言うだけでは中々背後にある沢山の問題が見えては来ないでしょう。「沢山の問題」はゆくゆく述べていきます。

 中山間地域については、幸いなことに学生時代では沢山観てきました。訪れました。勉強してきました。しかしながらその範囲はどうしても大学のある県内(鳥取の、それも東部ばかり)に偏っていましたので、全国的なことはよく知りません。
 数値だけを見て見ますれば、今現在、「限界集落」と認められているのは全国で7878、そのうち10年以内に「消滅」するであろうとされるのが、同423にも上るといいます(国土交通省の統計による)。423!自分が訪れた地域なんて、知れているを通り越して取るに足りず。これは恐るべき現状です。

 そんな過疎地域に於いて、若い人を呼び込む動きが、若い人によって手がけられている事例が番組で紹介されていました。
 新潟県上越市にある「月影」集落の、再生計画を行う大学生とNPOの活動が実に活発で、羨ましいです。廃校になった小学校をリフォームして、宿泊施設として活用、グリーンツーリズムの拠点作りをしているというものです。特にこの、「拠点」というのが凄く重要であるな、と思いました。それに頼って、「興味がある」に留まっていた学生などの若い人の、いってみれば「ベースキャンプ」にして外に飛び出していけるからです。
 けれども実際に、人は呼び込めても定住の例は未だなし。さらに、若者が頑張っていても、肝心の地域に住む方々(概して高齢者)には人を呼び込むという自信が見られず。

 自信が見られないのは効果の問題だけではなくて、「古い」とか「魅力の無い」といった固定観念というか、集落の人たちにとっての新しさの無いのものが若い人を満足せしめられるかに不安や疑念を抱いている、というところでしょうか。
 フォーラムで言われていたことは、「(トラック競技になぞらえて)一周遅れの新しさ」、ビリが先頭を走っているように見えるのと同じくして、若い人は古いものを「新しい」物に見える、新鮮に感じるという処に着目することであると述べておりました。そう、「懐かしく感じる」を通り越して、新しいものに見えるんです。異国を旅するかのごとく、異文化に触れているような感触なのです。それが、古いものの魅力というやつです。
 しかしながら同じくフォーラムでは、これももうあと10年で限界、と言われておりましたね。先頭に追い越されて周回遅れになるとまずい。農村の魅力を伝えるのは、今がチャンスと言わんばかり。

 地域の魅力発信ならびに啓蒙、環境教育を通して、農村に興味のある人々を惹きつけたところで、此処からが問題。
 いざ、農村に定住しようとするときの、体制がどうも日本では整いきれていないのでは、ということです。インフラもさることながら、制度や相談のネットワーク(容易く言えば人々の繋がり、その構築若しくは構築の仕方やきっかけ)が整いきれていない、と言う問題が大きく横たわっているように感じられます。そして実際にそれが悩ましいものとされているようです。


 長くなりすぎて疲れました、続きは、後編にて。