4月1日に新入職員を迎えました。

入職式の様子は、当院リハ科のブログで紹介していますのでご覧ください。

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2016年入職式(4月1日)歓迎あいさつより


 本日入職を迎えた16名の新入職員のみなさん、ようこそ岩手民医連、盛岡医療生活協同組合へ。盛岡医療生協役職員を代表して一言ご挨拶いたします。

 1966年に盛岡市花屋町に医療生協の前身である「盛岡民主診療所」ができて、今年50年の節目を迎えました。みなさんは当然まだ生まれていなかった頃の話です。当時5名に満たない職員でスタートし、医療・介護・福祉・保健の分野で事業と運動を広げてきました。職員数では500名にも達する勢いです。詳しい歴史は是非今日からの研修の中で学んでください。



 さて今日は入職にあたって「民医連のチーム医療」についてお話します。近年はすべての医療・介護の事業所においてチームの大切さが叫ばれていますが、私たちが特に大切にしている視点として、


1. 困難を抱えた患者を支援する民医連のチーム医療

困難を抱えている患者さんに寄り添う「共同の営み」としてのチーム医療。職員の働きがいや成長にもつながる「あきらめないチーム医療」。

2. 医療倫理を重視し,安全につながる患者と医療従事者を守るチーム医療

各職種の専門性を最大に引き出しながら、人間関係の権威勾配をできるだけ少なくすることで医療の安全にもつなげて行く。医療倫理を常にチーム医療の柱として位置付ける。

3. 実践を通して民医連綱領・理念を豊かにする無差別平等のチーム医療

健康権・生存権が基本的人権として守られ、「SDH(健康の社会的決定要因)」の視点で無差別平等の医療を実践してゆく視点が養われるチーム医療を目指す。


以上の3つが挙げられます。


 また日常チームとして仕事を進めるうえで心に留めておいてほしいことについて二つお話します。みなさんは「信念対立」という言葉を知っていますか。チーム医療には、「様々な専門性・視点、多様な価値観を持ったメンバーが連携することによって集合知が生み出され、期待以上の効果(化学変化)を生み出すこと」が期待されています。しかし、時に各々が専門職種であるがゆえに、チームメンバーの価値観に折り合いがつかず機能不全を起こしてしまうことがあります。すべての人には「自分にとっての常識、特定の価値観」があります。知らず知らずのうちにこれを拡大解釈し、他人にも押し通そうとしたときにメンバー内で様々な葛藤が生じます。これを「信念対立」といいます。

 *「信念対立」:自身の疑いの余地なき信念が矛盾する事態に直面すると引き起こされる確執


医療スタッフはこれが生じると、怒り・ストレス・後悔・疲労感などの感情に振り回されどんどん疲弊します。このことによって人々の協働が阻害され、チームの機能不全、実践の質の低下を招いてしまします。これは信念対立が、チームメンバーの多様性を尊重するよりも、無意識のうちに特定の価値観でチームを統一しようとしてしまうがゆえに生じるものです。


 医療・介護の現場では「絶対に正しい」立場はないのです。チームにおける多様性を活かすということは、自分にとって気に入らない観点や価値観でも、最初から否定せずとりあえず認めることが大切です。「どうしても妥協できない深刻な対立(信念対立)」の場から一歩下がって考える事で、自分が正しいと考えている根拠とともに相手が違う主張をする根拠が理解でき、感情的な信念対立を避ける事ができます



 二つ目です。チームのメンバーは目標を一致させなければなりません。みんながチーム自体の存在理由と役割を共有することが大事です。専門職種が漫然と集まり自らが行うべき業務を「取捨選択」していると、「誰も手を付けない隙間的な業務や役割」が増え、チームとしてのパフォーマンスは低下します。期待されるチームの目標を明確にすることにより、「誰のためのチームなのか」「チームメンバーが専門性を発揮することにより患者にどんな医療が提供できるのか」という実践的な課題を共有することができます。同様に、病院が組織としてレベルアップするには、構成員である個々の職員・職場のスキルアップが必要であることは言うまでもありません。しかし一人ひとりが「担当者としての仕事」を全うするだけでは達成困難です。一人ひとりが「○○担当者」として守備範囲を決めて振舞うのではなく、「当事者」として診療・業務にあたることが必要です。「わたしの仕事」と「あなたの仕事」の隙間に「誰の仕事でもない、言い換えれば『当事者の仕事』」があるはずです。




 私たちと共に、いわて民医連・盛岡医療生協の未来を創ってゆきましょう。

 今日から、ここから。

 よろしくお願いします。ともに頑張りましょう。




2016年4月1日 岩手民医連入職式でのあいさつより

尾形 文智

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