6/17通常総代会あいさつより

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おはようございます。本日の通常総代会開催に当たりご列席いただきましたご来賓ならびに総代のみなさま誠にありがとうございます。盛岡医療生協理事会を代表いたしましてお礼申し上げます。

 

53回通常総代会を開催するに当たり、私からは4つのことをお話します。

まず一つ目は「共謀罪」についてです。

「いわゆる共謀罪」は、519日の衆議院法務委員会から始まり、衆議院本会議でも強行採決。更に参議院では審議時間も審議内容も全く不十分な中、委員会採決も省略し6月15日早朝に本会議で強行採決がなされました。議席数に物を言わせた暴挙と言わざるを得ません。 そもそも与党は、国際組織犯罪防止条約締結に不可欠、「オリンピック開催に不可欠」と主張して法案の成立を急ぎましたが、世論の多数はこの共謀罪法案に懸念を示していました。このままでは、戦前のように国民が「物言えぬ」社会をつくることになることが懸念されます。私たちは日本国憲法が保障する内心の自由、言論・表現の自由に抵触する、「いわゆる共謀罪」制定を目的とした組織的犯罪処罰法改正に改めて反対し、その強行採決に断固抗議するものです。

二つ目は先月526日参院本会議において可決された介護保険の見直し法案についてです。この法案審議に際し政府与党は、衆院厚生労働委員会では与野党の合意を踏みにじり、「森友学園問題」をつかれたことへの報復のごとくわずか22 時間で審議を一方的に打ち切って採決を強行し、参院厚生労働委員会では、首相質疑すら実施せずにさらに短い16 時間の審議で採決を行いました。市町村に関係する事項が多いにも関わらず、地方公聴会も開催していません。十分に審議を尽くさないまま採決に踏み切った政府の責任は二重三重の意味で重大です。

法案の内容についても、審議で次々と問題点が明らかになりました。例えば、①「利用料3割化」について政府は、前回「改正」で導入された2割負担の影響を検証すらしていません。利用者に生じている個々の困難に対して必要な対策を講じないまま「利用料3割化」を実施に移すことは絶対に許されません。②また、要支援者への「総合事業」ですが、利用者の「自立支援・重度化防止」を市町村に競わせることで、自治体による介護サービスの打ち切り(=「卒業」ならぬ強制退学)をさらに拡大させる懸念が強まっています。今回の「改正」法が審議方法の面でも、内容の面でも、介護の充実を求める高齢者・国民の願いからかけ離れたものです。いったい誰のための「持続可能性の確保」なのか、何のための介護保険制度なのか、政府に対し改めて正面から問う必要があります。私たちは今回の法案に対する総合的な検証と制度の抜本的な見直しを引き続き求めて行きましょう。

 

三つ目は特別養護老人ホーム「はなみずき」建設の取組みについてです。

盛岡医療生協組合員・職員の長年の夢であった特別養護老人ホームの建設が着々と進んでいます。201512月のキックオフ集会より実質的に建設へ向けた募金・寄付金の取組みが始まりました。それから一年半、医療生協理事を中心に全ての支部で多くの組合員さんが募金活動に旺盛に取り組み、その輪を広げ、自らも積極的に協力していただきました。現在19千万の目標に対してあともう一歩のところまで迫ってまいりました。当初は「とてつもなく」高く感じた目標でした。もちろん道のりは平たんではなく、多くの困難と皆さんの努力・工夫、そして感動のドラマがありました。皆さんの力を結集することにより達成できました。改めて組合員さん・共同組織のちからは偉大だと感じました。この場を借りて改めて御礼申し上げます。

もちろん、今がゴールなのではなくて、事業としてはここがスタートラインです。組織と建物に魂を入れて行くのはこれから、私たちの手にかかっています。私たちが望む理想の介護の実現、来年3月開業に向けて皆さんの、そして職員のアイディアと知恵、力をあわせて行きましょう。更なるご支援をお願いいたします。

 

四つ目は医療生協ならではの街づくり、地域包括ケアへの取り組みです。

 団塊の世代が75歳を超えて後期高齢者となる2025年に向けて政府による医療・介護の構造改革が進められています。その内容の多くは効率化や「選択と集中」をキーワードにして医療・介護の現場に市場原理を持ち込み、公的責任の縮小を図るものです。そして来年・2018年は診療報酬と介護報酬の同時改定、第7次医療計画、第7期介護保険事業計画、国保の都道府県化の実施など、重要な制度改革が目白押しで、厚労省自身がこれらを「惑星直列」、「分水嶺」などと呼び、2025年を迎えるうえでの総仕上げと位置付けています。

政府が進めようとしているのは、「自己責任」と「市場化」を基本に、上から一方的に推進する地域包括ケアです。その基本は、「本人と家族の自己責任による負担の覚悟」「自分の財布の中身に見合った医療介護」の選択です。それに対して私たち医療生協が目指している無差別・平等の地域包括ケアの目的は、「誰もが、人間らしく、その人らしく、安心して地域で暮らし続けるために、住民と医療・介護のネットワークを実現する」ことです。私たちは医療生協の事業所を中心として住民ニーズの掘り起こしと他事業所や行政との協力・連携をすすめます、そして医療生協の3か年計画にある通り、今後とも組合員と共に様々な取組みを進めて参ります。

 

最後になりますが、19683月に盛岡医療生協は創立しました。来年2018年には医療生協としての大きな節目である50周年を迎えます。私たちを取り巻く社会の情勢は予断を許しませんが、住民本位の医療介護と「安心して住み続けられる明るいまちづくり」の運動を前進させて、この記念すべき年を迎えましょう。多くの皆様から記念行事等に係わるご意見をいただきながら夢のある事業を実現させましょう。

 今日一日有意義な総会となりますことを祈念いたしまして、私の挨拶をおわります。

 

 

2017年6月17日 第53回通常総代会にて
盛岡医療生協 理事長
尾形 文智

 

岩手県 盛岡市 川久保病院

川久保病院ホームページ  http://kawakubo-hos.jp/
さわやかクリニックホームページ http://sawayaka-c.net/

 

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前編からの続き~

 

 「地域医療連携推進法人」(以下、「法人」と略す)制度をどうみるか?


  この制度を考える上で大切な視点は、「官邸が主導する徹底した医療費削減と医療・介護の市場化・社会保障の解体を狙う構図」の中で捉えておくことではないだろうか。そもそもこの制度は、第1に 政府・厚労省がすすめる地域医療構想と都道府県毎の医療費抑制計画を軸とした病床機能分化の促進や病床削減の推進役を狙ったものである。第2に制度の検討過程で営利企業の参入や株式会社化を否定し非営利性を担保したとはいえ、政権が進める社会保障制度の解体(縮小)の中でも「成長戦略」に貢献できる地域独占的な新型法人としての役割を果たすことは可能なのである。第3に現時点では、「法人」のあり方については、様々な形態が想定され幅のあるものとなっているが、いったん 「法人」の枠組みに入れば、意思決定を含む権限が強化される流れが、参加する一部法人の意に反して行われる可能性は十分にあるだろう。「法人」は、地域医療構想区域内の医療、介護サービスの連携、「統一的な医療連携推進方針の決定」「医療連携推進業務等の実施」「参加法人の統括」が主な業務とされている。また、理事会や社員総会の他に医師会や自治体など外部の関係者を含む評議会の設置が定められており、これらは法人の意思決定に際し意見を述べ、法人はその意見を尊重することが必要とされている。とすれば、そのような「外部団体」が運営に一定程度以上の影響力を持つことになるのは明白だ。


 実際には、「法人」の機能や役割は、地域の状況や結集する法人の意図や関与の仕方によって大きく左右されるだろう。単純な連携強化、業務提携のレベルもあれば、「連携」の仕方によって事実上の地域独占法人にもつながりかねない懸念もある。また、現時点では税制面や診療報酬、補助金など直接的経済的なメリットや誘導策は示されてはいない。しかし、今後政策誘導されるようなことがあれば、半ば強制的に参加が促進される・・・参加しなければ医療機関として存続が難しくなる・・・、そんな可能性も懸念される。


 近未来の「私たち自身の選択」にあたって留意することは、上記のごとく、この「法人」制度は、既存の規模の医療法人のみで活用できるメリットはほとんどなく、むしろ現政権がすすめる医療費抑制・機能分化と病床削減に手を貸すことなり得る危険性をはらんでおり、慎重な対応が必要だ。一方、今後医療圏の中で一定の規模でこの法人を設立するような動きが生じた場合、「自分の法人だ
けが参画しない」選択することは、連携面や経営面で障害となることも十分考えられ、自身の存続と地域の医療を守るために参加しなくてはならない場合も当然想定される。


 杞憂かもしれないが、懸念されるのは、各々の(または自身の)法人・事業所の自由な選択や意思決定に本意でない外圧がかかるのではないかということだ。参加を検討する場合、自身の法人における独立性の確保、つまり自らのビジョンや事業計画を意に反して変更せざるを得ないような事態を招かないように運営ルールを多面的総合的に検討することが大切だ。自らの、患者・利用者や地域に対する存在意義を見失うようなことはあってはならない。また、この「法人」の機能として期待されている共同購入、人事交流、業務連携などについては、各々の自主性を損なわないことに配慮しながら、より安定的な経営体となるべく業務連携等のあり方を検討し、発展させることも必要であろう。

 

 

尾形 文智

盛岡市医師会報5月号「時評」より転載

 

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2017年6月3日

526日、参院本会議において、介護保険の見直し法案(地域包括ケアシステムの強化のための介護 保険法等の一部を改正する法律案)が、民進党、共産党、社民党をのぞく与野党の賛成多数で可決されました。前回「改正」による影響の検証を実施しないまま、また法案の内容自体が十分明らかにされていないにも関わらず、「持続可能性の確保」の名の下に、さらなる給付削減を盛り込んだ今回の「改正」に対して強い憤りを感じます。

 

法案審議に際し政府与党は、衆院厚生労働委員会では与野党の合意を踏みにじり、わずか22 時間で審議を一方的に打ち切って採決を強行し、参院厚生労働委員会では、首相質疑すら実施せずにさらに短い16 時間の審議で採決を行いました。市町村に関係する事項が多いにも関わらず、地方公聴会も開催していません。そもそも性格の異なる大小31本の「改正」法を十把一絡げに束ねて一括法として審議すること自体実に乱暴なやり方であり、この間他の案件でも繰り返しされた安倍政権の強引な手法です。しかも内容の多くは200本を越える政省令に委ねられており、上程された法案だけでは詳細はほとんど分かりません。それにも関わらず、十分に審議を尽くさないまま採決に踏み切った政府の責任は二重三重の意味で重大です。

 

法案の内容についても、両院厚生労働委員会の審議で次々と問題点が明らかになりました。 ①「利用料3割化」については、野党の追及により政府は前回「改正」で導入された2割負担の影響を検証すると答弁せざるを得なくなりました。・・・そうであるならば、利用者に生じている個々の困難を具体的に把握し、 必要な対策を講じないまま「利用料3割化」を実施に移すことは絶対に許されません。これは利用料の問題だけにとどまりません。総合事業の実施、特養入所対象の制限、補足給付への資産要件や配偶者要件の導入など、前回「改正」の影響を全面的に検証し、利用者・家族、介護現場に生じている困難を打開するための施策が講じられなければなりません。 ②「保険者機能の強化に対する財政的インセンティブの付与」では、「自立支援・重度化防止」を市町村に競わせることで、自治体による介護サービスの打ち切り(=「卒業」ならぬ強制退学)をさらに拡大させる危険性があることが、現在の総合事業の中で既に起こっている深刻な実態を通して明らかになっています。参考人質疑では、「改善」に一面化した「自立支援介護」は、「尊厳を保持し、その有する能力に応じて自立した日常生活を営むこと」を目指す、とした介護保険の目的そのものを変えるものだとの指摘がありました。

 

新たに制度化される「共生型サービス」については、「介護保険優先適用原則」を強化するとともに、介護・障害サービスの「安あがり」な複合化につながるおそれがあること、土台とされている「我が事・丸ごと地域共生社会」方針が、その実態は公的支援を住民の「互助」に「丸ごと」移し替えていくものであり、「共生」の名の下に、 公的福祉、社会保障を縮小・解体させる新たな仕組みづくりにつながることも浮き彫りになりました。

 

介護従事者の処遇改善については、いま最も急がれる給与の引き上げ、全労働者平均と月額 10 万円 の給与差を縮小させていくための取り組みや、現場の実態と乖離したまま放置されている施設等の人員配置基準の見直しなどについて、政府から実効性のある方策を講じるとの回答はありませんでした。

 

今回の「改正」法が審議方法の面でも、内容の面でも、介護の充実を求める高齢者・国民の願いからかけ離れたものであることは明らかです。いったい誰のための「持続可能性の確保」なのか、何のための介護保険制度なのか、政府に対し改めて正面から問う必要があるでしょう。「介護の社会化」という介護保険制度の原点に立ち返り、「医療・介護は国の責任で」の立場から、今回の「改正」法に対する総合的な検証 と制度の抜本的な見直しを引き続き求めて行きましょう。 地域から・現場からの声を大きく発信して行きましょう。

 

 

2017年6月3日 理事会にて
盛岡医療生協 理事長
尾形 文智

 

岩手県 盛岡市 川久保病院

川久保病院ホームページ  http://kawakubo-hos.jp/
さわやかクリニックホームページ http://sawayaka-c.net/

 

 

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