新春挨拶2017③

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新春挨拶2017②からの続きです
 

私たち盛岡医療生協・いわて民医連が目指すもの

1)SDH(健康の社会的決定要因)とHPHの視点を重視した医療・介護事業の推進

今年を挟んだ3年間は県連・法人の事業戦略の策定・決断とその具体化の正念場を迎えています。経営計画や医師確保・養成計画も含めた医療・介護構想の策定と具体化が必須であり、今後の活路を切り開くものです。その方向性としては、上記に述べたような今日的な医療・介護の課題に正面から立ち向かい、無差別平等の地域包括ケアを実現して行くことです。そして、こころの羅針盤として「いのち・憲法・民医連綱領」を離さず、SDHHPHの視点と活動を重視します。

医学・技術の進歩と病院の機能分化の中で、多くの中小病院では技術構築の困難な分野が増え展望が見えにくくなっている現状があります。一方、日本は高度医療の水準は高いもののプライマリヘルスケアの分野が遅れている現状があります。改めて私たちの医療・介護活動は健康権保障という観点から医療・介護のニーズを明確にして、地域でのプライマリヘルスケアをリードすることに力を注ぐ必要があります。多岐にわたる医療・介護課題がある中で、超高齢社会に立ち向かってゆくことを中心に据えて日常の医療・介護活動を組織してゆくことは、地域に根ざして保健予防活動から在宅医療・介護まで取り組んできた私たちのまさに出番と言えます。

そして、この目指す医療・介護の内容を充実させるためにも、その実践は新しい理論や技術の吸収や 標準化と共に、安全、倫理、チーム医療、QI など総合的な質の向上が必要不可欠です。その上で各事業所では、「民医連らしさとは、医療生協らしさとは何か」を論議し、具体的な課題を明らかにして行きましょう。

 

2)住民が安心して暮らせる街づくりへの取組み

昨年10月に刊行された「平成28年度版厚生労働白書」の冒頭あいさつで、塩崎厚労省は「・・・地域包括ケアの目指す姿は、文字通り『地域丸ごとの支援』です。・・・高齢者だけでなく全ての人々が地域に暮らし、生きがいを共に創り、高めあう『地位共生社会』の実現に向けて2020年代初頭の『我がこと・丸ごと』の全面展開をめざし、今後改革を具体化して行きます。・・・高齢化を乗り越えるためには、行政のみならず、地域住民の方々一人ひとりに考え行動いただくことが必要です」と述べています。軽妙なキャッチコピーですが、国の支出を抑え地域での互助と自助(自己責任)で頑張れというメッセージが込められています。しかし、私たちが想像する「我がこと、丸ごと」は全く違うものです。「安心できる居場所づくり」「つながりマップによる地域の見える化」「地域でのお互いさまの助け合い」など、共同組織と職員がこれまで培ってきた多彩な取り組みを更にバージョンアップして、住民が安心して暮らせる無差別平等の地域包括ケアにつなげて行きましょう。

 

盛岡医療生協 理事長
尾形 文智

 

岩手県 盛岡市 川久保病院

川久保病院ホームページ http://kawakubo-hos.jp/
さわやかクリニックホームページ http://sawayaka-c.net/

 

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新春挨拶2017②

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新春挨拶2017①からの続きです

 

医療・介護を取り巻く情勢について

1)国の責任放棄、運動・たたかいの中心は都道府県へ

安倍政権は、2016年度からの3年間をその「改革集中期間」として設定し、都道府県を 軸にした改革を診療・介護報酬改定や「総合新基金」の政策誘導と合わせて具体化させています。特に今回の改革は都道府県が主体となり、三つの改革(医療・介護提供体制、医療保険制度、診療報酬制度)を一体的に推進していくことが特徴で、その核心は医師養成も含め医療介護提供体制の改革・統制です。入院医療については病床機能ごとの必要病床数を厚生労働省からの資料とツールをもとに都道府県が定めていきます。その病床再編・削減は、医療機関の話し合いで決めていくことが基本とされていますが、決着しないときは知事の権限で実行されます。また国民健康保険は都道府県単位に再編され、保険料も都道府県単位で決まることになります。協会健保と後期高齢者医療保険はすでに都道府県単位の運営となっており、医療提供体制と医療保険財政の両方を都道府県が管理することになります。これにより、都道府県単位での診療報酬の具体化も検討されようとしています。

 

2)2025年を迎えるための総仕上げ・・・2018年の「惑星直列」

2018年は診療報酬改定、介護報酬改定、第7次医療計画、第7期介護事業計画、「医療費適正化計画」、国民健康保険の都道府県化、さらに1年先送りとなった新専門医制度が同時に進行します。こうした状況をとらえ、厚労省の保険局長はマスコミの取材に対し、2018年を「惑星直列」と呼び、「ドラスティックなパラダイムシフトが起きる」と述べています。 また「2012年度が『ホップ』、2018年度が『ステップ』、2024年度が『ジャンプ』」とも述べており、2018年度を「分水嶺」と位置付けています。昨年からの3年間、とりわけ 2018年度は、都道府県を軸に「2025年医療介護提供体制改革(地域医療構想や地域包括ケアと新専門医制度中心に)」が全面的に展開されるター ニングポイントです。いよいよ医療・介護制度改革が地域で断行され、医療・介護制度が大きく変わろうとしています。

 

3)超高齢化社会の疾病・健康の変化と広がる健康格差

日本は介護保険制度が発足した2000年に高齢化率世界1位となっており、 超高齢社会への対応という点では世界に前例のない実践が求められています。超高齢社会においては疾病構造や健康とは何かという概念も変化せざるを得ず、住環境や医療・介護の制度、提供体制、日常の診療機能も変化・発展しなければ対応できません。

それと同時に、社会経済システムの行きづまりの中で、貧困が開発途上国だけでなく、日本を含めた経済先進国にも広がり健康格差を生んでいます。世界で社会保障費や医療の効率の問題が支配層と市民社会の間で争点化してきており、必要な医療や介護を人々から遠ざけるような事態が進行しています

 

新春挨拶2017③へ続きます。

 

盛岡医療生協 理事長
尾形 文智

 

岩手県 盛岡市 川久保病院

川久保病院ホームページ http://kawakubo-hos.jp/
さわやかクリニックホームページ http://sawayaka-c.net/

 

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新春挨拶2017①

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新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

 

はじめに

昨年私たちは社会福祉法人「いわて共同福祉会」を無事立ち上げ、本格的に特別養護老人ホーム「はなみずき」建設に向けて取り組みが始まっています。この私たちの手による特養では「人間としての尊厳を尊重しプライバシーのある自由で安らげる生活を支えていくこと、そして、医療生協の神髄でもある組合員と地域住民の参加による開かれた運営と、安定した民主的な経営管理」を目標として掲げています。約1年後(20183)の開設に向けて、全組合員・職員の力を合わせて運動を進めて参りましょう。現在それに係る資金(寄付金)集めが急務です。目標に向けてもうあと一押し二押しのご協力を重ねてお願いいたします。

 

私たちを取り巻く情勢について

1)拡大する格差と貧困

昨年のアメリカ大統領選挙では、当初は誰も予想していなかったトランプ氏が選ばれました。様々な分析がされていますが、一番の要因はオバマ政権が年間で大きく改善できなかった経済格差と一層の貧困拡大、そしてTPP に突き進むなど多国籍企業の利益中心のグローバル化などへの中間層の大きな不満が、その根源を「移民」や「人種」にすり替える排外主義やデマを振りまく候補者に流れた結果でしょう。一方で、サンダース氏の躍進に象徴されるような、この新自由主義的な横暴に反撃する世界の動きがイギリス、ヨーロッパなどでも広がりを見せています。しかしながら、その反面各地で無差別テロは絶えず、極右・排外主義の台頭が見られているのも直視する必要があります。歴史に学べば明白ですが、貧困はファシズムの温床であります。日本においても、経済の行きづまりの中で反動的・自国中心的な政権を誕生・増長させることに警戒心を持つ必要があります。

 

2)戦争法の全面的実施、戦争する国づくりの動きが加速

昨年11月15日政府は南スーダンPKO へ駆けつけ警護の任務を付与しました。これに合わせて自衛隊では戦闘地域での医療体制の整備を急いでいます。そして、戦争する国づくりと一体となって沖縄米軍基地再編・強化が強行されています。横田、京都、岩国、三沢、横須賀、佐世保などで米軍とともに戦争するための増強が図られ、オスプレイの配備・低空訓練が日常化しています。沖縄高江ではオスプレイパッド建設、辺野古新基地建設が暴力的に進められています。辺野古を巡って福岡高裁そして最高裁は、地方自治を踏みにじり「辺野古が唯一の解決策」と国策の代弁を司法が行う不当判決を言い渡しました。私たちは平和といのちを守るため、沖縄とともに日本全土で米軍基地の増強反対、沖縄への新基地建設反対の運動をねばり強く進めて行きましょう。そして、違憲立法である戦争法(安保法制)を必ず廃止する事、それは平和憲法を守るとともに、立憲主義、民主主義というこの国の根本を取り戻す最重要課題です。

 

3)アベノミクスの破たんと一層進む格差と貧困の拡大

安倍首相がどれほど「アベノミクスの成果」を嘯いても、年連続で実質賃金はマイナスであり、2年連続で個人消費が低迷し深刻な消費不況が広がっています。2014年の「就業形態の多様化に関する総合実態調査」によると、非正規雇用労働者が初めて4 割を超えました。「アベノミクスで100万人以上雇用が増えた」と政府は宣伝していますが、実態は賃金が低く身分も不安定な非正規労働者が増大し、正規労働者に置き換わっています。加えて急速に進行する社会保障制度の相次ぐ改悪の中で、貧困と社会的孤立が拡大し深刻な生活困難を抱える高齢者、労働者、シングルマザーなどが増えています。私たちの周りでも健康保険が「事実上無い」ために医療機関に受診できず手遅れとなり死亡する事例も後を絶ちません。若者、働き盛り、高齢者すべての世代で広範に貧困と格差が拡大し、生存権まで脅かしているのです。

 

新春挨拶②へ続きます

 

盛岡医療生協 理事長
尾形 文智

 

岩手県 盛岡市 川久保病院

川久保病院ホームページ http://kawakubo-hos.jp/
さわやかクリニックホームページ http://sawayaka-c.net/

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