前回、楽譜などの残っている時代と書きましたが、よく考えたらまだその前のことが少しあります。
今日はその辺を。

10~11世紀ごろにバイキングたちは少しずつキリスト教化してきます。
日本では源氏物語が書かれた頃ですね。
教会も少しずつ増えて、祭典が行われたのですが、当時の公式の言語はラテン語で、司祭でさえも意味が分かっていなかった。ましてや文字の読める人などほとんどいなかったようです。
ミサで歌われる歌もラテン語、メロディも外国から持ってきたもので、長いメリスマなど大変に不思議なものだったでしょう。一般の人にはなかなか受け入れられなかったみたいです。

それでも12-13世紀になると教会や寺院も増え、パリなどに留学して、司祭としての訓練を受けてくる人も多くなりました。 
$北欧からコンニチワ-古い楽譜
13世紀の末にスウェーデンで書かれた楽譜。

やがて多声音楽も少しずつ出てきます。
教会の外では相変わらず、民謡、ダンス音楽、バラードなどが盛んでした。
今日集められた曲集の中でも一番古い部類に属するバラードで「聖ヨーランと龍」があります。
去年の11月に日本で講演をしたヘレナ・エークのCD「マリア」の中に納められてありますが、断片的なメロディーにドイツの曲などからインスピレーションを得たものと合わせて完成させたものです。 
$北欧からコンニチワ-Helena/1マリアー中世とスウェーデンの伝統音楽
このCDで聴けます。

ところで、スウェーデン史の時代区分にはルネサンス、バロックがないことをご存知ですか。
学校で「ヨーロッパはルネサンスではじまる」ような教育を受けていた私にはショックでした。
ルネサンスという現象がないから仕方がないんですね。
スウェーデンの中世はキリスト教(カソリック)の伝播(1000年前後)に始まって国教がプロテスタントに変更されるまで(1520年頃)を指します。
私が習ったヨーロッパの中世よりずっと長い時期ですね。
その後ヴァーサ王、その末裔の時代があり、スウェーデンはどんどん大きくなっていきます。この所謂大国の時代が終わる1720年までがまた一つの区切りになっているんだそうです。

で、次は中世後期の音楽について書きます。