もうすでに、完全に旬は過ぎ去った感があるのですが、安保法制が成立して２カ月が経った現在、改めて安保法制の議論を再検討してみようかと思います。
安保法制賛成派の論拠はおおよそ、ＹｏｕＴｕｂｅのＫＡＺＵＹＡ氏が動画で語っていた論拠に基づいているので、ＫＡＺＵＹＡ氏の発言を検証しつつ、安保法制に関する議論に関して再検討を行います。
検証その①
日本の安全保障を取り巻く環境は急激に悪化している！！
これは、よく言われる論点ではありますが、本当にそうなのでしょうか？つまり、ここで、本当に日本の安全保障の環境は客観的に見て急激に悪化しているのか検討する必要があると思うのです。
では、実際に国際機関が日本の安全保障の環境をどのように評価しているかを見てみましょう。
安全保障環境 危機的状況から遠く 日本の「平和指数」４年連続８位
国際的なシンクタンク「経済平和研究所」のホームページによると、各国がどれくらい平和であるかをランキングで示す「世界平和度指数」の調査で、日本は二〇一二年から四年連続で八位となっている。（中略）
安全保障関連法案をめぐる国会審議で、安倍晋三首相は「わが国を取り巻く安全保障環境が変化した」と繰り返してきた。しかし、中身をよく見ると「一日も早い、法制の整備が不可欠」（首相）という危機的な状況とはいえず、説得力に欠けている。
もちろん、日本の安全保障の危険性が高まっているであろうことは確かですが、しかし客観的に見てそれほど急激に日本の安全保障を取り巻く環境が急激に悪化しているわけではありません。北朝鮮の核開発は近年突然始まったことではありませんし、日本側が何らかの法整備をしたところで突然核開発を中断する可能性は皆無ですし、尖閣諸島にしても、もうすでに領有権に関して実質的に決着はついており、中国としても日本やアメリカと全面衝突となり得るようなリスクを負ってでも手に入れたいほどの利益はないと判断しているのが実情です。
検証その②
安保法制と集団的自衛権は中国包囲網だ！！
これも残念ながらデマ情報と言わざるを得ないでしょう。そもそも、初期の国会答弁では集団的自衛権を発動するための存立危機事態は「ホルムズ海峡に機雷が撒かれたときだけだ」と安倍首相本人が答弁していたのに、その後中東情勢が変化し、ホルムズ海峡に機雷が撒かれる可能性が無くなってから、「中国による危機」を言い出したに過ぎません。
さらに、安保法制成立後の初の自衛隊の海外派遣は中国軍を警護するための南スーダンへの駆けつけ警護です。
南スーダンＰＫＯ、「駆け付け警護」追加検討
政府は２０日、安全保障関連法の成立を受け、南スーダンの国連平和維持活動（ＰＫＯ）に派遣中の陸上自衛隊に「駆け付け警護」の任務を新たに与える検討に入った。
現地の国連スタッフらが武装集団に襲われた場合に自衛隊が助けにいくもので、人道的な観点から検討を急ぐ必要があると判断した。来年春までに施行される安保関連法が実任務に適用される初のケースとなる可能性がある。
「中国に対抗するために成立させるのだ！！」と説明されていた法律によって、最初に派遣される任務が中国軍の警護とは・・・これは、完全に詐欺といってよいでしょう。
検証その③
集団的自衛権は国連憲章で認められた権利だから合憲だ！！
こんなもん、検証に値するまでもないほどクソな理屈ですが、国連で認められている権利を、自国内の憲法で制限することは可能です。このような理屈をゴリ推しする連中は、権利と義務の違いくらい理解してほしいと思います。「○○しなくてはならない」というのが義務で、「○○してもよい」というのが権利です。国連で課されている義務について、「憲法で制約できるのか？」という議論ならあり得るかもしれませんが、国連で認められている権利を行使するか否かは当然ながら各国の判断に任されます。
中には極端にバカな評論家（ウソ山繁晴さんだっけ？）が、「国連で認められている集団的自衛権を認めないと、日本は国連から脱退しなくてはならない！！」なんて言っていたそうですが、論外です。日本政府は一貫して集団的自衛権の行使は不可能であるという憲法解釈を続けてきました。この一点だけを取っても「集団的自衛権を認めなければ国連から脱退しなくてはならない」という話が大嘘であることが分かります。
以上の議論から、集団的自衛権やら安保法制やらが日本にとって良いことであるか否かはさておき、安保法制の賛成論者の主張のほとんどが根拠のないデタラメであることだけは示せたのではないかと思います。
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安保法制賛成派の論拠はおおよそ、ＹｏｕＴｕｂｅのＫＡＺＵＹＡ氏が動画で語っていた論拠に基づいているので、ＫＡＺＵＹＡ氏の発言を検証しつつ、安保法制に関する議論に関して再検討を行います。
検証その①
日本の安全保障を取り巻く環境は急激に悪化している！！
これは、よく言われる論点ではありますが、本当にそうなのでしょうか？つまり、ここで、本当に日本の安全保障の環境は客観的に見て急激に悪化しているのか検討する必要があると思うのです。
では、実際に国際機関が日本の安全保障の環境をどのように評価しているかを見てみましょう。
安全保障環境 危機的状況から遠く 日本の「平和指数」４年連続８位
国際的なシンクタンク「経済平和研究所」のホームページによると、各国がどれくらい平和であるかをランキングで示す「世界平和度指数」の調査で、日本は二〇一二年から四年連続で八位となっている。（中略）
安全保障関連法案をめぐる国会審議で、安倍晋三首相は「わが国を取り巻く安全保障環境が変化した」と繰り返してきた。しかし、中身をよく見ると「一日も早い、法制の整備が不可欠」（首相）という危機的な状況とはいえず、説得力に欠けている。
もちろん、日本の安全保障の危険性が高まっているであろうことは確かですが、しかし客観的に見てそれほど急激に日本の安全保障を取り巻く環境が急激に悪化しているわけではありません。北朝鮮の核開発は近年突然始まったことではありませんし、日本側が何らかの法整備をしたところで突然核開発を中断する可能性は皆無ですし、尖閣諸島にしても、もうすでに領有権に関して実質的に決着はついており、中国としても日本やアメリカと全面衝突となり得るようなリスクを負ってでも手に入れたいほどの利益はないと判断しているのが実情です。
検証その②
安保法制と集団的自衛権は中国包囲網だ！！
これも残念ながらデマ情報と言わざるを得ないでしょう。そもそも、初期の国会答弁では集団的自衛権を発動するための存立危機事態は「ホルムズ海峡に機雷が撒かれたときだけだ」と安倍首相本人が答弁していたのに、その後中東情勢が変化し、ホルムズ海峡に機雷が撒かれる可能性が無くなってから、「中国による危機」を言い出したに過ぎません。
さらに、安保法制成立後の初の自衛隊の海外派遣は中国軍を警護するための南スーダンへの駆けつけ警護です。
南スーダンＰＫＯ、「駆け付け警護」追加検討
政府は２０日、安全保障関連法の成立を受け、南スーダンの国連平和維持活動（ＰＫＯ）に派遣中の陸上自衛隊に「駆け付け警護」の任務を新たに与える検討に入った。
現地の国連スタッフらが武装集団に襲われた場合に自衛隊が助けにいくもので、人道的な観点から検討を急ぐ必要があると判断した。来年春までに施行される安保関連法が実任務に適用される初のケースとなる可能性がある。
「中国に対抗するために成立させるのだ！！」と説明されていた法律によって、最初に派遣される任務が中国軍の警護とは・・・これは、完全に詐欺といってよいでしょう。
検証その③
集団的自衛権は国連憲章で認められた権利だから合憲だ！！
こんなもん、検証に値するまでもないほどクソな理屈ですが、国連で認められている権利を、自国内の憲法で制限することは可能です。このような理屈をゴリ推しする連中は、権利と義務の違いくらい理解してほしいと思います。「○○しなくてはならない」というのが義務で、「○○してもよい」というのが権利です。国連で課されている義務について、「憲法で制約できるのか？」という議論ならあり得るかもしれませんが、国連で認められている権利を行使するか否かは当然ながら各国の判断に任されます。
中には極端にバカな評論家（ウソ山繁晴さんだっけ？）が、「国連で認められている集団的自衛権を認めないと、日本は国連から脱退しなくてはならない！！」なんて言っていたそうですが、論外です。日本政府は一貫して集団的自衛権の行使は不可能であるという憲法解釈を続けてきました。この一点だけを取っても「集団的自衛権を認めなければ国連から脱退しなくてはならない」という話が大嘘であることが分かります。
以上の議論から、集団的自衛権やら安保法制やらが日本にとって良いことであるか否かはさておき、安保法制の賛成論者の主張のほとんどが根拠のないデタラメであることだけは示せたのではないかと思います。
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