あの日から
1年たちました。
去年の今頃は、近所の高齢の方のところを回りながら、安否を確認したり、倒れた家具をなおしてあげたり、そんなことをしてました。
様々なことを感じてきたこの1年でした。
想定外という言葉はあまり好きではありませんが、それでも、本当に未曾有うのことが沢山起きました。
人として、自分がどう生きていくのか、役者として何のために板に立つのか。
改めて、自分を見つめなおし続けたこの1年でした。
先日、震災と津波から必死で走って逃げた小学5年生の体験を聞きました。
目の前に津波が迫ってきて、必死で山を駆け上った。
山の上にあった保育所で夜を過ごした。そこで母と会えた。
しかし一緒に住んでいた祖父は来ていなかった。
数日後、母が黙って祖父の腕時計を自分の手首にしてくれた。
その時、祖父はダメだったんだと悟った。津波で祖父を亡くし、一度は悲しみに沈んだ。
しかし震災で亡くなった祖父の時計が震災後も時を刻み続けているのを見て、『負けるな!前へ進め、頑張って進め!』というおじいちゃんのメッセージだと思った。
“前へ進むこと、一日一日を精一杯やりきることが祖父に応えることだ”と心に誓った。『負げでたまっか!』という少年の叫びに心が震えた。
少年もそのお母さんもみな笑顔でした。素敵な笑顔でした。
いろんな思いを乗り越えた、深く力強い笑顔だった。
その笑顔は、逆に僕らにものすごい力をくれました。
僕の尊敬する方の言葉です。
”どんな状況でも、幸福は励ましの絆から広がる。”
僕も少年たちのような深い力強い笑顔で、そのことを体現していきたい!
役者として、それを自分の使命にしていきたい。
40代最後の年、それを胸に刻んで歩いていきます。
僕の中では去年まで、3月のこの時期は東京大空襲を思い出す時期でした。
震災の方があまりにも身近すぎて、ついつい忘れそうになるけど、どちらもしっかりと自分の中に刻み付けて、決して忘れずにいたいものです。