韓国、「言葉尻」二階幹事長発言に「反発」も日本へ就職依頼 | 勝又壽良の経済時評

韓国、「言葉尻」二階幹事長発言に「反発」も日本へ就職依頼

 

 

 

日韓併合時代持ち出し批判

就職の頼みの綱は日本だが

 

自民党二階幹事長は6月9~11日、先に訪日した韓国大統領特使への返礼として訪韓した。その際、二階氏は言葉が滑って「(日韓関係を疎遠にしようとする)悪巧みをする連中を見つけたら撲滅しよう」と述べた。韓国政府はこれを問題視し、日本外務省に注意を促したことが分かった。

 

朝日新聞は、ことが大きくなる前にいち早く、問題発言だといったニュアンスで報じたが、韓国側はこれを利用して「高飛車」な姿勢に出ている。客観的に見て、二階氏の「悪巧みをする連中を見つけたら撲滅しよう」という発言はいささか説明不足の感じは否めない。ただ、朝日が何も騒ぎを大きくするような「提灯記事」を書く必要もなかった。韓国側に「問題にしてくれ」と催促したような感じで釈然としないのだ。朝日は、「慰安婦強制連行」という偽記事を流した。それが現在まで、日韓騒動の原因になっている。日韓関係記事では、「中立姿勢」をとるべきだろう。

 

あるいは、朝日が二階発言にある「悪巧みをする連中」の中に入っていると邪推したのかも知れない。そうだとすれば、韓国で慰安婦問題をリードする市民運動家と朝日は、底辺で連帯関係にあるのだろうか。ことの真偽は知る由もない。

 

日韓併合時代持ち出し批判

『朝鮮日報』(6月13日付)は、「二階特使の愚行こそ韓国が過去を忘れられない原因だ」とするコラムを掲載した。筆者は、同紙東京特派員の金秀恵(キム・スヘ)氏である。

 

このコラムでは、根深い「日本不信」を述べている。韓国人が日韓併合で受けた心の傷は、永遠に続くというニュアンスで日本を糾弾している。すでに、70年も過去のことである。このコラムを執筆した記者の祖父母のころの話である。だが、この記者があたかも直接、経験したような調子で,その怒りを日本へ向けている。

 

多分、この背景には韓国の「86世代」という「反日・反米」の思想教育が徹底して行なわれている影響もあろう。日韓併合がいかなる状態で行なわれたのか。日韓併合は、英米の承認の上で行なわれたほど、朝鮮の政治情勢が混乱を極めていたのだ。そういう点を一切飛ばして、「全て日本が悪い」という論法での日本批判である。

 

こういう議論で日本批判するならば当然、日本側も反論する必要がある。朝鮮は、日韓併合によって近代国家の基礎を築けた点を完全に無視している。あたかも、朝鮮李朝が近代国家の基礎をつくったという錯覚に取り憑かれていることが不思議である。この裏には、儒教文化が優れていたという誤解がある。ならば、現在の中国を見るが良い。儒教文化のご本尊である。あの中国の政治経済が、近代合理性に貫かれているとは誰も思わないだろう。韓国は、日韓併合がなかったならば、現在の中国か北朝鮮の政治体制下に組み込まれていたはずだ。

 

ジャーナリストとしての金氏は、色眼鏡を外して朝鮮李朝の前近代性を検証していただきたい。国家の近代化には何が必要か。独立後の韓国は、日本からいかなる支援を受けてきたか。経済発展に必要な条件は何か。感情論でなく、理性で捉えて欲しいのだ。韓国の大学教育は、そうした点を抹殺しているのだろう。そうだとすれば、欠陥教育である。

 

(1)「二階幹事長が、『韓日関係を良くしよう」』という安倍首相の親書を持って韓国に来た時、多くの人々が期待した。ところが、二階幹事長は『悪巧み』という一言で冷水を浴びせた。もちろん、発言全体を見ると、何を言いたかったのかは理解できる。二階幹事長は10日、全羅南道木浦市で野党『国民の党』の朴智元(パク・チウォン)前代表をはじめ韓国の国会議員らと会った時、『両国を遠い位置付けに持っていこうとする勢力が韓国にも日本にも少数だが存在する。悪巧みをする連中は見つけたら撲滅しよう』と言った」

 

二階氏の発言は言葉足らずとしても、日韓双方に日韓接近を喜ばないグループが存在することは確かだ。特に、韓国では世界中に「少女像」を立てて歩く一団が存在している。これは、明らかに「悪巧み」する集団であろう。日韓併合を感情的に許さないグループは、このコラムの筆者である金記者にも一脈通じるものがあるに違いない。韓国の反日市民団体は、韓国国民に共通する「反日意識」を象徴するものだ。

 

「反日意識」を正当化しているから、日本の大使館や領事館前にウイーン条約で設置を禁止している少女像を「韓国国民の多数が受け入れている」のだろう。国際法で禁止しているものを、韓国政府は「国民の情緒論」で放置している。ジャーナリストとして金氏は,この事態をどう見ているのか。やはり、日本が悪いから当然という認識であろうか。

 

(2)「二階幹事長はおそらく、『韓日双方の極端な思想を持つ人々を除き、合理的な人々同士で協力していこう』と言おうとしたようだ。これまでの功労を見れば、二階幹事長はそのような話をする資格が十分にある。それでも『悪巧み』という言葉は、韓国人の胸にずっしりとのし掛かる。韓国が過去の問題を繰り返し言うのは、過去の問題が韓国に残した傷がそれほど大きく、深く、ひどいからだ。それに対して謝罪を要求しているのを、隣国にツバを吐くことで返している日本の右翼と同等と考え、同じように『悪巧み』と言えば、返す言葉がない。合理的な韓国人が日本に愛想を尽かすのはこういう瞬間だ」

 

金氏は、「悪巧み」という言葉にずいぶんとこだわっている。日韓関係を壊して、日本に繰り返し謝罪させようという集団は、「悪巧み」という言葉に該当しないだろうか。ここまで言葉尻にこだわるのは、韓国は、全て正しいという前提に立っているからに違いない。だから、ここまでこだわるのであろう。

 

(3)「『インドを400年支配した英国も、インドに正式に謝罪したことがない』という日本の知識人が時々いる。『それとは違い、日本はすでに何度も謝罪したが、韓国はそのたびにさらに謝罪を要求する』という不満が行間ににじみ出ている。それに対しては、ただ一言だけ言いたい。日本が謝罪したのも事実であり、韓国が固執しているのも事実だ。しかし、日本以外のどの先進国も日本のように卑劣な言葉を繰り返して傷をつつくようなことはしない。二階幹事長は自身の発言にもっと慎重になるべきだった。日本は韓国が過去に執着していると批判するが、韓国が過去を忘れられない大きな原因はまさにこのような愚行にある」

 

英国のインド植民地政策と、日韓併合政策を論理的に比較検討したことがあるだろうか。

 

英国はインドから徹底的に利益を収奪した。インド国内での綿布生産を禁止するために、職工の腕を切り落したとも言われる。こうしてインド国内の綿布生産を禁じて英国製の綿布を売りさばいた。英国は、インドに鉄道を敷設したか。大学を開校したか。何もせず、麻薬の生産と英国製品の販売先でしかなかった。この搾取されっぱなしのインドが現在もなお、英国に謝罪要求しているのか。そういう話は聞いたことがない。解決済みなのだ。

 

日本は、朝鮮で英国がインドに行なったような搾取政策をしたわけでない。農業の発展を計り、鉄道・教育機関(大学などの高等教育から義務教育まで)・司法・産業振興など、産業革命に必要な一切の「インフラ投資」を日本の財政負担で行なった。利益収奪の対象でなく、同じ「日本人」として法的に対等な扱いをする努力をしたはずだ。

 

日本人の謝罪の仕方に心がこもっていないから許せない。そういう次元の話ではないだろう。韓国が戦前、産業革命を果たした裏に、日韓併合という制度が存在した。この歴史的な事実について、日本を嫌いだからと言って認めない訳にいくまい。歴史とは、われわれにこういう冷厳な現実を突きつける。それを、いかに認識するかによって、民度が試されるのだろう。

 

就職の頼みの綱は日本だが

韓国は、「二階発言」の言葉尻を捉えて日本政府に「軽い抗議」をした。韓国国会議長が、その日本へ韓国学生の就職を依頼しに訪日してきたのだ。

 

『中央日報』(6月9日付)は、「韓国国会議長、過去4年間の韓日関係後退を反省、今後は未来志向的関係の構築を」と題する記事を掲載した。

 

この記事では、過去の日韓疎遠が韓国に多大な経済的な損害をもたらしたという認識がはっきり浮かび上がっている。李明博大統領の後半2年と朴槿恵大統領の前半3年の計5年、さらに遡れば、盧武鉉大統領時代の後半2年と合計すれば7年もの間、日韓は「不通」時代であった。

 

その結果、韓国は世界の先端技術情報に疎くなり、「第4次産業革命」と言われる、AI(人工知能)やロボット技術から、大きく引き離されて苦杯をなめている。日本と疎遠にならなければ、という深い悔いが残っているはずだ。だから今、韓国は対日工作で必死になっている。その一方で、「二階発言」の言葉尻を捕まえて騒いでいる。不思議な民族だ。感情的であり、理性的に行動できないのだろう。

 

(4)「 丁世均(チョン・セギュン)国会議長が、韓日関係正常化に向けて日本の衆議院議長らと会った。 丁議長は6月8日、都内で大島理森衆議院議長らと会談した。キム・ヨンス国会報道官によると、丁議長は『2国間で問題が起きるたびに議員が交流しながら問題を解決するために大きな役割を果たしていた』とし、『新しい韓日関係づくりのためには両国議会の役割が重要だ」と強調した。 丁議長は、『過去4年間は韓日関係が後退してしまった』とし、『この点を反省していて、今後は未来志向的な成熟したパートナー関係を築いていきたいと思う』と述べた」

 

韓国の国会議長は、15年5月の安倍訪米の際、安倍首相の米議会上下両院での演説を阻止すべく、米国へ乗り込んだ経緯がある。当時の国会議長はすでに交代しているが、韓国は現在、「馬鹿な反対運動を行なった」と反省しているにちがいない。安倍演説は好評で、日米関係は一気に深まった。以来、米国の日韓への態度はがらりと変わり、日本へウエイトをかけることが多くなっている。韓国の対米外交はこれ以降、日本に遅れをとることが増えた。いまや、日米蜜月外交の影で米韓関係は薄れる一方だ。

 

こうした背景もあって、韓国はこれまでの「反日」や日本対抗という旗を降ろしたことは事実だ。米韓関係が悪くなったときは、日本に仲介を頼みたいほど、日本を頼りにし始めている。米抜きTPP(環太平洋経済連携協定)では、日本を積極的に支援し、日本との関係をよくして置こうという議論まで出てきた。中国のTHAAD(超高高度ミサイル網)をめぐる「韓国いじめ」に遭い、日本との関係見直しを迫られたものだ。

 

(5)「丁議長は大島議長に韓日漁業協定の早期妥結、朝鮮人B・C級戦犯に慰労金を与えるための立法、韓国の青年失業と日本の求人難を同時に解決するための日本の就職ビザ発行基準の改善などを求めた」

 

韓国から見た日本の大卒就職率の良さは、驚愕以外の何物でもない。対馬海峡を隔てて向こう岸の日本は就職天国である。片や韓国は就職地獄に苦しんでいる。隣の芝生は青いどころの話ではないのだ。

 

韓国の4月の失業率は前年同月から0.3ポイント悪化した4.2%である。このうち若年層(15~29歳)の失業率は11.2%で、前年同月比0.3ポイント悪化した。「体感失業率」は前年同月比0.1ポイント悪化した11.2%と集計されている。これは失業率の統計には表れない、アルバイトをしながら就職活動をする人や入社試験に備える学生などを含めた雇用補助指標として示されるもの。韓国の就職状況は、ここまであっかしている。

 

日本では就職協定によって、18年3月卒業予定者の企業面接は6月1日から解禁となった。早くも内定率は60%を超えるという「超売り手市場」である。企業は、学生の親の内託書まで取って内定の「食い逃げ」を防ぐ手立てを講じているという。韓国が、こういう姿を見れば、まさに「垂涎の的」であろう。

 

韓国国会議長が、「韓国の青年失業と日本の求人難を同時に解決するため、日本の就職ビザ発行基準の改善などを求める」事情はよく分かるのだ。ただ、相変わらず「日本人の謝罪は心がこもっていない」などと批判されれば、なんとも言えない気持ちになる。韓国社会はメンツを捨てて、過去の歴史的な事実と向き合う勇気を持つべきだ。その勇気がなくて、「犬の遠吠え」同様に、事実でないことを根拠にした日本批判から卒業すべきだろう。

 

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(2017年6月23日)

 

 

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