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2017-01-23 05:00:00

韓国、「財閥受難」大統領主導の財団へ資金拠出は「犯罪」か

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サムスンが第三者供賄罪?

韓国検察は「冤罪」製造器

 

韓国の財界が大揺れである。朴大統領の40年来の知人である「崔順実(チェ・スンシル)」被告が引き起こした国政壟断事件が、財閥に飛び火している。朴大統領が直接、財閥トップに面談して後述の2財団設立への資金拠出を要請した。これに応じた財閥企業が、検察から「犯罪」行為として捜査を受けているのだ。

 

なかでも、サムスン電子が韓国特別検察チームから最も疑惑の目で見られている。李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子副会長の逮捕請求が、ソウル中央地方裁判所へ提出されたものの、1月19日早朝に証拠不十分として却下された。事態は、捜査を続行して再度の逮捕申請をするか、在宅起訴になるのか関心が集まっている。

 

容疑内容は、崔被告が実質的に支配した文化支援財団「ミル財団」とスポーツ支援財団「Kスポーツ財団」へのサムスンによる資金拠出が、「第三者供賄罪」に当たると言うのだ。この2財団には53社の大企業が計774億ウォン(約75億4000万円)を拠出した。現在、サムスンがヤリ玉に上がっているものの、他の拠出企業にも累は及びそうである。

 

「第三者供賄罪」とは、聞き慣れない罪名である。サムスンが、前記の2財団に拠出したのは、朴大統領から将来の「見返り」を期待して行ったのでないか。とすれば、間接的に朴大統領に贈賄したと見なされるという理屈だそうである。過去の類似事件では、最高裁の確定判決が出るまで数年もかかったという。

 

サムスンが第三者供賄罪?

「第三者供賄罪」は、それほど複雑な法廷闘争が繰り広げられる難事件である。ソウル中央地裁が、こういう難物を敬遠した理由が分かる気がするのだ。資金提供者のサムスンが、資金提供先でない第三者の朴大統領から将来、見返りを期待したかどうかは立証が極めて難しいはずである。そこに動かぬ物証でもあれば白黒も付けやすい。だが、検察の言うような「推測」だけで事件化するのは、感情論は別として法理論的に成立しないのであろう。

 

『中央日報』(1月14日付)は、「賄賂かメセナか 幕が上がった特検・サムスンの法理戦争」と題して、次のように伝えた。

 

この事件は、複雑である。サムスンが事実上の「持株会社」として、サムスン物産と第一毛織の合併を行った。この際、外国人株主からの強い反対を受けたが、国民年金公団の賛成によって両社の合併が実現したという経緯がある。逮捕容疑では、この問題と前記の2財団へのサムスンによる資金拠出がリンクになっている。つまり、検察は両社の合併に朴大統領が関わっている。その関係で、サムスンが2財団へ資金を拠出したと疑われているのだ。

 

韓国特検が、どのような視点で捜査に臨んでいたかを示す貴重な記事である。検察は、立件化に向けた、あらゆる場合を想定して証拠を積み上げる捜査手法が開示されている。平凡な生活を送っている身からすれば、「へー」と驚くことばかりだが、こうした細かい手法に慣れて、「大局」を見失い事件へと「でっち上げる」恐ろしさも感じるのだ。

 

(1)「最初の争点は、崔順実(チェ・スンシル)被告側に対する支援を賄賂と見る特検と正常なメセナ(社会貢献)活動だったというサムスンの反論だ。サムスン側は、正常なメセナ(社会貢献)活動であると主張している。特別検察側は賄賂と見ている。その根拠は、崔被告が設立した財団の実体や、サムスン電子の支援金額や方法が正常なメセナ活動と見るのが難しい、と反論している」

 

サムスンが、崔被告側へ図った便宜の内容は次のパラグラフで扱われている。サムスンは、メセナ活動であると主張し、検察は賄賂と指摘している。最後は、裁判所の判決に待つしかないが、それぞれに言い分があるから、単純にどちらが正しいか、言えるはずもない。ただ、サムスンの資金提供のどこが疑われているかを知ることはできる。

 

(2)「2つ目の争点は、サムスンが出した金がすべて国民年金公団のサムスン物産-第一毛織合併賛成の対価だったかどうかだ。サムスンはミル財団(2015年10月、125億ウォン)とKスポーツ財団(2015年12月と昨年1月79億ウォン)の資本金、冬季スポーツ英才センター事業支援金(2015年10月と昨年3月、16億ウォン)、乗馬支援金(2015年9月、78億ウォン)など時期と対象を別にして支給した」。

 

サムスン物産と第一毛織の合併は、2015年9月である。時系列的に見ると、サムスンがミル財団への拠出が15年10月。Kスポーツ財団への拠出は、15年12月と16年1月である。冬季スポーツ英才センター事業支援金は15年10月、乗馬支援金が15年9月だ。このように見ると、サムスン物産と第一毛織の合併時期と近接している。検察が、執拗に企業合併と拠出時期とが絡んでいるのでないかと見るのも分かるのだ。

 

(3)「特検チームはこのお金のすべてを合併の成敗を左右する大統領の広範囲な権限を念頭に置いて渡した『包括的賄賂』と見ている。特検チームの関係者は、『崔被告が設立した非営利・営利法人の実質はすべて個人の財布だ。支援金のそれぞれの性格を別に見る理由はない』と強調した。一方、サムスン側は『反対給付を望んでおらず、合併とは関係がない』という立場だ。包括的贈収賄罪事件は事案によって有罪・無罪が分かれる」。

 

検察は、前のパラグラフでの「疑問」が、「包括的賄賂」に当たると見なしているが、サムスン側はそれを否定している。決着は、裁判所に委ねるしかない。

 

(4)「3つ目の争点は、『朴大統領=崔被告一家』という等式が成立するかどうかだ。特検チームは、崔被告一家と朴大統領が長期間にわたり経済的な境界なく暮らした『経済的共同体』か、どうかを追跡している。この場合、第三者賄賂罪よりも容疑立証が容易な一般賄賂罪を適用できる。特検チームの関係者は。『崔太敏(チェ・テミン)氏の息子チェ・ジェソク氏の陳述のほかにも経済的共同体だったことを後押しする陳述が多数確保された』としている」。

 

検察は、朴大統領と崔被告一家が親しかったから、「経済的共同体」に当たるかどうかを捜査しているという。この場合は、一般賄賂罪を適用できるという。ちょっと、こういう判断は無理があると思う。こじつけの感が強い。崔被告が、大統領府で朴大統領と同居でもしていない限り、「経済的共同体」は成立しないだろう。ソウル中央地裁は、こういう論点に疑問を挟んだのでないか。

 

(5)「4つ目の争点は、特検チームがサムスン側に対する起訴の方向を『第三者供賄』とする場合、争点は問題の金が合併賛成の対価という点を李副会長が認識したかどうかだ。最高裁は『暗黙的請託があるというには、当事者間に第三者に提供される金品が公務員の職務行為の対価という点に対する共通の認識や了解がなければいけない』と指摘した。李副会長は『(2015年7月の個別面談当時、朴大統領の言葉が)何の話かよく分からなかった』という立場だ」。

 

検察が、サムスン側を「第三者供賄罪」に問うには、李副会長の2財団に拠出した資金は、合併賛成の対価という点を認識していたか立証できなければ困難である。ここで指摘したいのは、政府から財閥への強制献金が慣例として行われていたことだ。

 

この寄付金割り当てには、次のような「寄付金の黄金比」なるものが存在するという(『朝鮮日報』16年11月18日付)。

 

今回のミル財団、Kスポーツ財団に対するグループ別の寄付金を見ると、サムスンは204億ウォン(約19億円)、現代自動車は128億ウォン、SKは111億ウォン、LGは78億ウォンをそれぞれ負担した。これは各財閥グループの資産規模に比例する」。

グループ別の総資産は次の通りだ。括弧内は寄付金額である。

サムスン 350兆ウォン(204億ウォン)

現代自  210兆ウォン(128億ウォン)

SK   160兆ウォン(111億ウォン)

LG   106兆ウォン( 78億ウォン)

 

「寄付金の黄金比」について、財界では「サムスン2、現代自1.2、SK1、LG0.8」という規則性が見られる。財閥グループから苦情が出ないように、資産規模という尺度が「寄付金の黄金比」となっている。韓国政府が、ここまで用意周到に寄付金集めをしているとは驚きである。「奉加帳」回しが日常化しているのだ。この事実を見ると、検察が主張する「第三者供賄罪」の成立は難しいように見える。過去に、強制献金の事例があるからだ。過去に例がなく、今回だけ特別に行われたとすれば話は別だが、過去にもあったのだ。検察の主張は不利であろう。

 

(6)「5つ目の争点は、李副会長が被害者だったかどうかだ。朴大統領が恐喝加害者なら被害者は賄賂供与で処罰できないというのが最高裁の判例だ。チャン・チョルジュン檀国大法大教授は、『恐喝の被害者かどうかも結局は特検チームが対価性を立証するかどうかにかかる問題』と述べた」。 

 

前のパラグラフで指摘した「寄付金の黄金比」が存在しており、恒常的に政府からの「強制献金」が行われていたならば、恐喝の被害者と加害者という構図は成立しないだろう。「強制献金」にしても、他の政権でも行われており、サムスン以外の財閥も寄付に応じているからだ。

 

検察の言い分にはかなり無理もありそうだ。事実、ソウル中央地裁は李氏の逮捕請求を棄却した。法理論に詳しくない私ですら、検察の「ファッショ」性を勘ぐるのだ。ここで李氏を逮捕すれば、朴大統領の「犯罪」立証に大きく前進する。最終的な狙いは、大統領弾劾を成立させることにある。

 

韓国検察は冤罪製造器

韓国の検察については、前述の通り「強引な捜査」による立件という例があることを見落とせない。

 

『中央日報』(1月18日付)は、「4つ星将軍の名誉を失墜させて勲章一つでなだめようとする韓国」と題する、えん罪記事を報じた。

 

えん罪の被害者は、韓国政府が報国勲章の授与を17日の国務会議で議決した黄基鉄(ファン・ギチョル)第30代海軍参謀総長(60)のことだ。

通常、韓国各軍の参謀総長人事は2年任期に合わせて、4月または9月に交代する。しかし黄氏は、2015年2月に軍服を脱いだ。定期の人事交代でない、「懲罰的人事」の色彩が濃厚で、軍需産業不正捜査の真っ最中だった。朴槿恵(パク・クネ)大統領が軍需産業不正は「利敵行為」と強調した後、検察が動いたもの。

 

黄氏もその犠牲になった。性能が落ちる船体固定音波探知機(HMS)を救難艦「統営(トンヨン)」に納品するよう指示した容疑を受けたのだ。結局、除隊の2カ月後に検察に拘束、起訴された。セウォル号沈没事故が起きたが、「統営」を投入できなかったのはすべて黄氏のためだと考えた。しかし、裁判所は1審と2審で無罪を言い渡した。16年9月の最高裁でも無罪だった。最初から、無理がある捜査だったということだ。

 

この記事で明らかにされているように、韓国検察は「ときの勢い」で捜査して強引に立件するという無謀なことを行いやすい体質がある。この事件では、朴大統領というバックがいて、「鶴の一声」で無理やり立件化した。今回の特別検事による「崔順実ゲート」では、国民の政治不信による「100万人デモ」を背中に受け、何とか朴大統領を弾劾へ追い込み、退任後の逮捕へ持ち込んで「ヒーロー」を目指していると見られるのだ。こうした邪心でなく、証拠だけに基づいた立証責任を淡々と果たすべきであろう。

 

ここで問わなければならないのは、韓国における、政経の癒着問題である。政府が財閥に対して強制献金を求めるのは、両者に日頃から馴れ合い関係が存在することである。財閥が、韓国経済の屋台骨になって輸出を支えてきた関係が、いつしか強制献金という「第二の法人税」まがいのものを生み出した理由であろう。

 

韓国財閥が、中小企業を食い物のしてきたことは事実である。具体的には、財閥の高賃金を支えるべく、中小企業からの製品の買いたたきを半ば容認していたことだ。これは、寡占経済体制ができあがっており、政府がそれを保護してきた結果であろう。例えば、現代自動車労組は、「労働貴族」と揶揄されている。高賃金を取りながらさらなる賃金闘争に走る。こうした賃金コスト増大は、下請けからの部品買いたたきとなって表れている。

 

韓国経済は、寡占経済体制ゆえに競争条件が整備されていないのだ。規制も多く、それが財閥を保護することにつながっている。野党は、次期大統領選挙で一斉に「財閥解体」を叫んでいるがピンぼけに映る。

 

韓国財閥の解体とは、「循環出資」の全面禁止と出資と経営の分離を行えば、それで済むことだ。戦後日本が実施した「過度経済力資本集中排除法」を参考にすべきであろう。財閥だから安穏という経営実態が競争力を失わせている。輸出に特化した韓国経済を再編成するには、大企業を活性化させることが不可欠である。それが、風通しを良くして、中小企業が伸びられる環境をつくるはずだ。大企業だから生存できる。そういう過保護な政策は撤廃すべきである。

 

(2017年1月23日)

 

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2017-01-22 05:00:00

中国、「恐怖!」米の対中貿易政策「30年前の日本」再現か

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米国の貿易赤字、49%が中国

中国政府は、米国新政権の対中貿易政策に戦々恐々としている。口では、「世界の二大強国」と豪語するが、その中味となると「ウドの大木」に過ぎない。減り続ける外貨準備高に神経をすり減らすなど、軽くなってきた「財布」の行方に神経を尖らしている。

 

トランプ政権は、「アメリカ・ファースト」を旗印に掲げている。膨大な貿易赤字を減らして、国内の雇用を増やすというのだ。2015年は貿易赤字額の49%を中国が占め、日本の9%を大きく上回っている。こうして、米国が対中貿易政策で大ナタを振るうのでないかと見られている。内容が分からないだけに、中国政府は警戒しつつも手の打ちようがない。

 

モノの貿易でみると米国の赤字は2006年がピークで8279億ドル(約95兆円)。直近の15年は7456億ドルである。このうち、約半分の赤字が対中国であるから、トランプ大統領が、中国を目の仇にしている理由が分からないでもない。

 

日本は1980年代から対米貿易摩擦が持ち上がり、米国から手痛いしっぺ返しを受けた経験がある。当時、米国の貿易赤字額の65%(1991年)は日本であった。米議会では、日本の電気製品をぶちこわすというパフォーマンスが演じられるなど、日米貿易摩擦は深刻な状態に陥っていたのだ。

 

中国が、米国の貿易赤字で日本を上回るのは2000年からだ。中国がWTO(世界貿易機関)に加盟したのは2001年である。それ以降、米国の貿易赤字拡大の主因は中国となった。ここで不思議なのは、中国が米国の貿易赤字拡大のテコになっていながら、政治的に米国と摩擦を起こすことばかり行ってきたことだ。南シナ海における傍若無人な領海拡張戦略が、いずれ米国の「自由航行原則」と衝突するリスクを考慮しなかった。

 

オバマ政権の8年間は、対中でジッと我慢の政策を続けてきた。リーマンショック後の財政再建を第一として極力、紛争を回避する逃げの政策であった。中国が「米国弱し」と見くびる理由となったのだ。トランプ政権は、オバマ政権時に見くびられた中国に対して、失地回復策に出るのは当然であろう。

 

「新参者」中国が、南シナ海を我が物顔で占拠する姿は、トランプ氏ならずとも、心ある者には許し難い行動に映るはずである。オバマ氏は、TPP(環太平洋経済連携協定)という多角的貿易協定によって、アジア経済圏から中国排除の対抗策を練り上げた。だが、後任のトランプ氏は、その意図を理解できずにいる。オバマ氏が、紛争に走らず平和的手段で、中国「締め上げ」策を講じていたのに、TPPに無関心とは困った米大統領だ。直接、軍隊を差し向けて相手に手を出すよりも、経済的に締め上げる政策の方が、はるかに高等戦術である。トランプ氏が、オバマ流のTPP政策の真意を理解できないのは惜しいことである。

 

中国メディア『中金網』(1月10日付)は、米国がかつての日本に対して行ったのと同じ方法で、中国に対抗してくるのではないかと懸念を示す記事を掲載した。『サーチナー』が転載した。

 

トランプ氏は米通商代表部(USTR)代表には同元次席代表で弁護士のロバート・ライトハイザー氏を指名した。ライトハイザー氏は、対中強硬派としても知られているためか、中国ではトランプ政権に対する警戒の声が高まっている。

 

(1)「1980年代の日本はバブル期で、今の中国のように米国企業や不動産を買収し、質が高く、相対的に安価だった日本製品は大量に米国に輸出され、米国は莫大な貿易赤字を抱え、日米貿易摩擦が生じた。ライトハイザー氏はレーガン政権下でUSTR次席代表を務め、対日鉄鋼協議では日本を自主的な輸出規制に追い込んだことで知られている」。

 

1980年代、日本が対米貿易最大の黒字を出した裏には、鉄鋼製品の大量輸出があった。これが、米鉄鋼業衰退の引き金を引いた。ライトハイザー氏は、レーガン政権下でUSTR次席代表を務めて、日本製品の輸出に歯止めを掛けた。これだけでなく、円高=ドル安による為替政策も日本の輸出にブレーキ役を果たした。

 

この米国の「立役者」が、今度は、米中貿易摩擦の最前線に飛びしてきたのだ。もともと、弁護士であるから法的な知識を駆使して、中国の対米輸出の調整に乗り出すのだろう。ライトハイザー氏は、日本の対米輸出に枠をはめた経験を持つだけに、中国に対しても「八面六臂」の動きをするに違いない。

 

(2)「ライトハイザー氏が、日本製品の輸入抑制で中心的な役割を果たした人物である。ライトハイザー氏の起用で、矛先を中国に向けることになるのは間違いない。米国の対中貿易赤字は、15年に過去最悪となる3674億ドル(約42兆2638億円)を記録した。これは、過剰生産によってだぶついた中国産鉄鋼製品の不当廉売によるところが大きい」。

 

中国の鉄鋼生産能力は、異常なまでに膨れあがっている。現在の操業度は50%以下とされている。ライトハイザー氏はこの過剰設備の矛盾を突くはずだ。私が交渉当事者ならば、そこを問題にする。中国国内で生産調整できずに、失敗した部分を輸出にハケ口を求めるとは言語道断の振る舞いである。テーブルを「ドン」と叩いて、交渉したい気分にさせられるのだ。

 

(3)「トランプ氏は、対日政策で成功を収めた経験のあるライトハイザー氏を起用することで、元凶となっている中国の鉄鋼業に狙いを定め、『トランプ政権の最初の一撃』を加えるつもりかもしれないと懸念を示した」。
 

多分、中国側が危惧するような事態となろう。中国政府は、鉄鋼の生産調整について「総論賛成、各論反対」というダブル・スタンダードで臨んでくるに違いない。これまで中国政府は、GDPを押し上げる目的で、鉄鋼設備の増設を認めてきた。だが、生産調整の段階になると、雇用問題を理由に難色を示す。余りにも自国の利益だけを前面に出した身勝手な政策すぎるのだ。

 

中国が市場経済国家であれば、米国は鉄鋼産業不振を理由に、中国へ輸出調整を迫ること自体、「比較生産費原理」に反することである。中国の場合、「社会主義市場経済」という統制経済であり、市場原理を歪めている経済システムである。この異質の経済システム国が、「グローバル経済」のメリットを公平に享受したいというのは虫が良すぎる。WTO(世界貿易機関)において、日米欧が中国を「非市場経済国」扱いするのは当然である。

 

1980年代後半、米国は日本の経済システムに対してクレームを付けてきた。日本の商慣習までヤリ玉に上がった。当時、日本では「内政干渉」であるとの批判も出たが、今考えると米国の言い分はもっともである。国内に保護システムを残して、「市場経済」を名乗るわけにはいかないのだ。中国は、WTOによる自由貿易のメリットを存分に受けている以上、国内保護=計画経済を打ち切るべき時である。ライトハイザー氏は、この点にまで鋭く迫るべきだ。

 

中国は、輸出で経済成長してきた経済である。今、その頼みの輸出が頭打ちである。人件費上昇が生産コストを引き上げており、「世界の工場」と豪語していたのも昔のこととなってきた。「世界の工場」とはもともと、産業革命(1760~1830年)後の英国が、その栄誉に浴したものだ。正直正銘、英国生まれの技術で生産した工業製品が、世界市場を席巻した。中国は、自国生まれの技術があるわけでなく、先進国の「下請け工場」が偽らざる姿だ。あたかも「中国技術」が世界を制覇したかのごとき振る舞いだが、ただの下請けに過ぎない。

 

『大紀元』(1月14日付)は、「中国、2016年輸出額7.7%、17年も不振続くと予測」と題して、次のように伝えた。

 

(4)「中国税関総署が発表した2016年貿易統計によると、ドルベースの輸出入総額は前年比で6.8%減少した。2年連続のマイナスとなった。米トランプ次期大統領の対中貿易政策や国内経済減速などで、17年の貿易見通しが引き続き不振の可能性が高いとみられる」。

 

中国の輸出入総額は、16年も前年比で6.8%減少(ドル・ベース)となった。15年も前年比減少であった。17年も前年比減少が見込まれる。この結果、3年連続の現象となる。中国では、中間財などを輸入して加工輸出する比率が4割弱ある。この結果、輸出減退は輸入減を招き、貿易総額が減少する構造になっている。

 

(5)「税関総署によると、16年の輸出額は前年比で7.7%減の2兆974億ドルで、下げ幅は09年世界金融危機以降の最大幅となった。また輸入は同5.5%減の1兆5874億ドルだった。国務院新聞弁公室が行った記者会見では、『世界金融危機後の世界経済回復力が依然と弱く、外需の低迷が16年貿易不振の主因だ』と示した」。

 

16年の輸出額は、前年比で7.7%減である。輸入は同5.5%減となった。中国当局の説明では、「世界金融危機後の世界経済回復力が依然と弱い」と外部要因に責任を擦り付けている。実は、16年に人民元は対ドルで6.6%下落していたのだ。それでも、輸出を押し上げる効果は乏しかった。輸出不振の原因は、中国内部にあるのだ。輸出品の多くが部品や原材料を輸入に依存しており、長期的には元安による輸出押し上げ効果は限定的となっている。

 

日本では、原材料からの一貫生産による製品が輸出される。中国輸出では、多くが部品や原材料を輸入に依存している。この点が、日本と中国では完全に異なっている。技術力の差である。中国は「世界の下請け工場」である、とする私の命名に誤りはないであろう。この脆弱な産業構造で、世界の覇権を握ったような振る舞いをするから笑われるのだ。中国に最も必要なことは、謙虚さとひたむきな努力だ。

 

(2017年1月22日)

 

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2017-01-21 05:00:00

韓国、「慰安婦再交渉」次期大統領候補「国際法無視」の大合唱

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    ポピュリズム国家の赤っ恥、「非可逆的」の文言で自縄自縛

 

大統領弾劾で揺れる韓国社会を見ると、韓国はどうにもならない「駄々っ子」に映る。日韓の国家間で取り決めた2015年12月の「慰安婦合意」は、朴政権が取り決めた合意であるから無効であると言い始めているのだ。革命政権であれば、旧政権の合意事項は無効というケースはままある。韓国は、大統領選挙によって政権の移行が起こるだけで、政治システムが変わるものでない。いやはや、韓国はまともに付き合えない異次元世界の国家というほかない。

 

韓国は「デモ共和国」とも言われる。大衆がデモを行えば、それによって政権が交代したケースがあるからだ。「大衆」こそすべてという理解の仕方だが、韓国は「感情8割、理性2割」といわれるほど感情過多である。その大衆には、国際法という各国共通の規範の存在など、完全に無視した議論をしている。政治家もそれに呼応するから手がつけられないのだ。

 

『朝鮮日報』(1月14日付)は、「ポピュリズム政権発足の可能性、韓国は世界第4位」と題する社説を掲げた。

 

(1)「英国の経済分析機関『オックスフォード・エコノミクス』が、韓国など各国でポピュリズム政権が発足する可能性を警告する報告書を出した。同報告書は、20の経済大国のうち11カ国で2~3年以内にポピュリズム政権が登場する可能性があるとして、韓国を第4位に挙げた」。

 

英国の研究機関の分析で、韓国は2~3年以内にポピュリズム政治が実現すると予測しているという。現状を見ただけでも、その可能性が強いことがよく分かる。国家間で取り交わした合意事項ですら、「反日」と「朴大統領弾劾」という悪条件が重なると、撤回すると騒ぎ立てる韓国国民の存在に呆れるほかない。

 

最も驚かされたのは、次期大統領選の有力候補者とされる潘基文(パン・ギムン)氏である。昨年12月まで、国連事務総長の座にあった人物だ。国際法を守って実践する最高責任者のポストにあったにもかかわらず、次のように平然と語っている。「最近、釜山に少女像を建てたことについて、日本がああだこうだ言っているが、万一(慰労金)10億円が少女像の撤去に関連したものだとすれば、それは間違いだ。それならばカネを返さなければならない話だ」(『朝鮮日報』1月13日付)と言ってのけたのだ。

 

外国公館の前には、品位を汚す物を置いてはいけないという「外交関係に関するウィーン条約」第22条が存在する。潘氏がそれを知らないはずがない。少女像は、ソウルの日本大使館前と釜山の日本総領事館前に設置されている。韓国外務省は、それを知りながら放置してきた。潘氏と同じ無責任な態度である。

 

国連事務総長の椅子に10年間もいた潘氏が、大統領選挙となればポピュリズムに変身するのは、韓国社会の「反日」の根深さを改めて浮彫にしている。最早、この韓国と話し合っても無駄という絶望感に陥る。日本がいくら誠意を示しても乗ってこない。韓国は、日本が謝罪しないと繰り返すが、日本の謝罪を受け入れず、さらに条件を吊り上げてくる。この状態では、さらなる謝罪は不必要である。

 

一昨年末の日韓合意文書では、「最終的にして非可逆的」なる一文が入っている。日本側が「最終的」なる文言を要望したところ、韓国側が「非可逆的」という文言を対抗上、挿入した(『中央日報』1月12日付)という裏事情がある。韓国政府は、この「非可逆的」なる文言に縛られているのだ。口が裂けても、日本政府に対して「慰安婦問題再交渉」を言い出せない決定的な足かせになっている。外交のプロである潘氏も知らない点であろう。

 

『朝鮮日報』(1月13日付)は、次のように伝えた。

 

(2)「韓国外交部の尹炳世(ユン・ビョンセ)長官は13日、国会外交統一委員会に出席し、釜山の日本総領事館前に旧日本軍の慰安婦被害者を象徴する少女像が設置された問題について、『国際社会では外交公館前に施設物や造形物を設置することは国際関係の側面から望ましくないというのが一般的な立場』との認識を示した。尹長官は、『日本側としては自国の公館前にもう一つの少女像が設置され、いろいろな理由で反発している姿を見せている』と説明。また、『誤解があるようだが、(韓国)政府は少女像設置に反対しているわけではない』とした上で、『場所の問題についてはわれわれが知恵を集める必要がある』とした。

 

韓国外相は、日本が駐韓大使と総領事を一時帰国という強硬手段をとったので、初めて日本公館前の「少女像」設置が違法であると公式発言した。日韓合意発表の際、この違法性を発言すれば良かったのだ。事態が悪化して初めて、「実は、」と言うのは韓国政府として大きな落ち度である。このほかにも、日韓再交渉は不可能という主張が韓国に現れたので紹介したい。

 

『朝鮮日報』(1月13日付)は、「慰安婦合意の再交渉主張、韓国の国際的信用落とす」と題して、ソウル大学国際大学院長のパク・チョルヒ氏が寄稿した。

 

日韓問題について、初めて聞く韓国側の「中立的」見解である。学者としての冷静な分析である。韓国の安全保障問題と絡めて、日米韓の結束が求められている現在、慰安婦問題で日韓関係が不安定では、3ヶ国関係にヒビを入れさせる懸念が大きい、と指摘する。

 

韓国が慰安婦問題で再交渉を持ち出すことは、韓国の国際的な評価を下げるだけである。第一、再交渉に日本側が応じないだろう。仮に、応じたとしても韓国に有利な内容にはならないだろう。こうした冷静な分析のできる人物こそ、韓国の大統領に就任して欲しいものだ。現在、候補者として名前の出ている人々に比べ、その識見において天と地ほどの差がある。

 

(3)「米国による保障がなければ、韓国の安保は揺らぐ。それこそが、THAADの配備を先送りできない理由だ。圧力に負けて配備を先送りすれば、この先、中国による圧力は逆に強くなるばかりだろう。THAAD配備は北朝鮮の核兵器に対する防衛的な対応措置だと中国を説得してきた韓国の努力も無になる。北朝鮮の『槍』は鋭くなる一方なのに、韓国は自ら『盾』を下ろすことになるのだ」。

 

韓国の安全保障問題が、いかに重要であるかを説いている。韓国野党には、こういった認識がゼロである。韓国へTHAAD問題で報復しないでくれ、と中国へ嘆願するほど見識がない。こんな政治家しかいない韓国だから、中国から手玉に取られて軽んじられるのだ。

 

(4)「中国は北朝鮮を動かす『テコ』にはなるかもしれない。だが、韓国の安全を保障してくれる国ではない。韓米日の協力は、北朝鮮核問題の対応において欠かせない。そして3カ国の連携は、韓日間の協力があってこそ可能になる。韓日間の葛藤を助長しようとする言動は、究極的に韓米日の協力を弱めることにつながり、対北朝鮮での足並みの乱れを招く」。

 

韓国の安全は、どこが保障してくれるのか。中国ではなくて、日米韓三カ国の協力体制があってこそ可能であると、指摘している。この点は、私もこれまで繰り返し指摘してきた。韓国野党は、その点で大きな錯誤がある。一つは、儒教文化圏ゆえの誤解である。北朝鮮が同一民族であることと中国が旧宗主国であるという親近感である。だが、朝鮮戦争は、北朝鮮と中国が企んだ侵略戦争である。甘い夢に浸っていては危険なのだ。

 

日米韓という同一の価値観で繋がった三ヶ国が、安保体制で協力関係を維持発展させなければ、中朝という共産主義同盟に軍事的対抗が困難である。この現実を認識すれば、日本の謝罪が足りないとか、ときどき慰安婦問題で「妄言」を言うから許さない。そういう感情的な発言を先行させる暇はないはずだ。安全保障という、国家にとって最大の問題が、感情論の前にかき消されているのは、まことに不思議と言わざるを得ない。まさに、「感情8割、理性2割」の国民である。韓国のマスコミの多くが、このレベルで記事を書いているのだ。

 

(5)「慰安婦問題をめぐる2015年末の韓日合意は、両国間の葛藤を解消しようとするものだった。合意内容に不満を持つ人はいるかもしれないが、これを無効にして再交渉しようという主張は、一部の国民には受け入れられても現実的ではない。外交には相手がいる。日本の安倍首相は、『最終的な解決』という合意内容を挙げ、再交渉に応じないだろう。状況が変わったからと交渉のやり直しを求めれば、『韓国は必要ならゴールポストを動かす』という日本の右翼の論理を私たちが自ら証明することになる。韓国の国際的信用は低下し、国際社会の非難は韓国に向かう公算が大きい」。

 

韓国社会にとって最も必要なことは、「大人」になることだ。すぐにむきになっていきり立つのでなく、何が一番重要かを考えるべきだろう。およそ反省と無縁な民族である。「世界中で日本を批判できるのは韓国だけ」。こういう妙な自慢をする民族が、ほかにいるだろうか。経済的に困れば、日本を頼りにしてくる。日韓通貨スワップ協定の申し入れがそれだ。ならば、普段の言動も控えめにすべきだろう。「少女像」を立てて嫌がらせをするのは、日本に対する劣等感の表れである。普通は、劣等感は忘れる努力をするもの。韓国は、朴大統領の「告げ口外交」と同じで、言い募って同情を集めて心を癒すのだろうか。

 

(6)「韓国の市民団体は、日本の誠意のない謝罪に抗議する意味で釜山の日本総領事館前に少女像を設置したと言うが、在外公館の『安寧と威厳』を守るよう定めたウィーン条約に無視するこうした造形物の設置に国際社会は批判的だ。『世論が好意的なら国際条約も無視できる』という主張は、私たちの間でしか通用しない。政治家たちは、こうした感性に容易に便乗してしまう。万が一、日本と再交渉できることになったとしても、既存の合意よりも良い結果を得られなければ次の政権に重荷になるだろう。合意当時に生存していた46人の慰安婦被害者のうち、34人がすでに合意を受け入れたことも、再交渉論者たちには負担だ」。

 

韓国人のルールに対する認識は、他国に類例がない独特のものだ。「世論が好意的なら国際条約も無視できる」というのは、儒教社会特有のものに違いいない。儒教社会は、家族と宗族(同じ苗字の父系社会)の一体化した狭い範囲の世界である。その狭い社会で受け入れられるルールが、絶対的な規範であるのだろう。他の世界では通用しないことに血道を上げて騒いでいるのだ。外国公館前での嫌がらせの少女像設置が、ルール違反でも何ら気にしない。日本は、こういう民族と隣り合わせの不幸を嘆くほかない。

 

(2017年1月21日)

 

 

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