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2017-02-21 05:00:00

韓国、「節穴?」感情8割で物事の本質を見落とす民族特性

テーマ:ブログ
 
 

世界最大手企業から「縁切り状」

経済原理を理解しない野党の石頭

 

朝鮮民族とは、いかなる特性を持っているのか。私はこのブログで「感情8割、理性2割」の価値判断で行動を決めると指摘し続けてきた。その時の感情に支配されて行動することが、圧倒的に多い民族である。

 

「感情8割、理性2割」のデータは、韓国で作家、社会批評家として活動しているオランダ人のマーティン・メイヤー(Martin Meijer)博士の研究成果である。「リーダーシップ」「評価」「意思疎通」「意思決定」「信頼」「不一致」「時間配分」「説得」の8つの視点を基に、他人に仕事を任せるときに、理性と感性をどのような割合で重要視するかを分析したものだ。

 

メイヤー氏の研究によると、アジアでは、日本、韓国、中国の順で感性の比重が大きくなると指摘している。韓国の理性判断が2割とすれば、中国は1割か。日本は5割程度、理性が占めているのだろう。理性9割は米国である。総じて、プロテスタント国は理性の比率が高く、カソリック国は理性の比率が低い。イタリアは理性4割、感情6割としている。イタリア人の陽気な振る舞いから見ると、妙に納得させられるのだ。

 

日本の不幸は、感情の判断基準が高い韓国や中国と地政学的に接していることだ。日本が歴史認識で「正論」を言っても、全く通じない相手が中韓である。感情論で押し返してくるからだ。南京虐殺問題も被害者の数が、当初の7万人から吊り上げられて、今では30万人となっている。この数字は、根拠があるわけでなく中国的に言えば、「多数」という意味なのだ。日本は大真面目に、被害者の数を特定しようとする。だが、中国にとってそれは無益なことである。理性でなく、感情論の国家だから、日本人とは肌合いが異なる。韓国も全く同じ事情である。

 

韓国人の「感情8割、理性2割」を裏付けるような、最新の世論調査結果が出ている。韓国ギャラップが、慰安婦問題について2月14~16日に全国の成人1003人を対象に調査した(『朝鮮日報』2月17日付)。回答者の20%は「再交渉すべきでない」とした。釜山の日本総領事館前に設置した慰安婦被害者を象徴する少女像について、「撤去または移転すべきだ」は16%にとどまった。要するに、理性的な回答は20%かそれ以下しかない。他はほとんど感情論である。

 

韓国人は、前記の世論調査でも分かるように、日本と「慰安婦問題」で折り合おうとしない。中国の南京虐殺と同じような認識である。慰安婦問題の本質は何か。そういった込み入った話には興味を持たない国民である。当時の社会的環境である公娼制度という法的な視点の議論を飛び越えている。現代の韓国人の意識で、70年以上も昔の問題を弾劾し続けているのだ。その非合理性に気づかないほど、冷静さを欠いている。例えば、「死にそうなくらい憎い日本」という表現が、韓国メディアで活字になっている(『中央日報』2月17日コラムで同紙のチェ・サンヨン論説委員執筆)。

 

当時の問題を裁くには、その時の法的視点から論じなければ、理性的な答えは求められない。現在の感情論で裁き、日本に対して永遠の謝罪を求める。こういうあり得ない要求を突きつけているのだ。日本がまともに応じるはずがない。日本はもはや、十分な謝罪と賠償金を払い誠意を示している。国家の謝罪は、どこの国でも一度だけだ。ドイツも例外でない。そのドイツの罪は、民族抹消という人類史最大の犯罪である。

 

韓国は、慰安婦問題をドイツの犯罪と同列に見ている。それが間違いである。なぜなら、当時の公娼制度が、売春を合法化しており、犯罪でなかったからだ。こういう議論をしても、韓国人には通用しまい。それでも日本は、反論しなければならないから疲れるのだ。少女像は、日本への嫌がらせである。この嫌がらせという感情論が、日韓関係にヒビを入らせる。そして、韓国経済に損害をもたらすという理性的な判断がつかないのだ。

 

感情的な判断で、韓国の信用と落とした事件に韓進海運の破産がある。世界の海運会社で7~8位のランクにあったが、朴大統領と崔順実被告の感情論で倒産に追い込んでしまった。海運会社は、航空会社と並んで「ナショナル・フラッグ」(国旗)を掲げる数少ない業種である。国家の信頼がかかったビジネスなのだ。それを、いとも簡単に破綻へ追い込んだのである。

 

世界最大手企業から「縁切り状」

『韓国経済新聞』(2月14日付)は、次のように伝えた。

 

(1)「小売り世界最大手の米ウォルマートが韓進(ハンジン)海運の物流問題をきっかけに韓国の海運会社と二度と取引しない方針を定めたという。海運業界によると、ウォルマート側は昨年末に法定管理(企業再生手続き)に入った韓進海運米州営業チームにメールを送った。『これまでの取引に感謝している。しかし今後、韓国海運会社とは取引しない計画』と明らかにした。ウォルマートは、『韓国海運会社と取引しないことにしたのは、韓進海運のためではなく韓国政府を信頼できないため』と伝えた」。

 

米ウォルマートと言えば、著名な世界的な小売業である。韓進海運は、ウォルマートを上得意にしてきた。韓進の倒産は突然であり、船舶は世界中で貨物の運搬に当たっていた。特に年末の商戦を控えて、一年でも最も荷動きの盛り上がる超繁忙期の倒産であった。荷主への迷惑は尋常なものでなく、港湾で荷揚を拒否される。韓進の船舶が費用未払い金の担保として差し押さえられるなど、大変な混乱を来した。ウォルマートは、「韓国海運会社と取引しないことにしたのは、韓進海運のためでなく韓国政府を信頼できないため」と切り捨てるのは当然である。

 

(2)「ウォルマートは、韓進海運の突然の法定管理申請による物流の混乱で被害を受けた。ウォルマートは、1990年代から20年以上にわたり韓進海運と取引してきた。ウォルマートの年間海運物流量の1割ほどを韓進海運が担当した。海運業界の関係者は、『政府による韓進海運の法定管理処分で韓国海運会社の信頼度が落ちたという証拠』とし、『ウォルマートのような荷主は一つや二つでないはず』と話した。この関係者は、『韓国海運産業全体が破産しないためには政府レベルの信頼回復措置が至急だ』と強調した」。

 

ウォルマートは、1990年代から20年以上にわたり韓進海運と取引していた。ウォルマートの年間海運物流量の1割ほどを韓進海運が運搬していたのだ。景気の好不況にかかわらず、安定した荷主であった。そのウォルマートから、韓国政府に縁切り状が突きつけられたわけで、韓国の現代商船の荷主になって貰う可能性はゼロである。韓国経済にとっては、大きな損害になった。

 

先に、私は韓進海運倒産には、朴大統領と崔被告が絡んでいると記したが、次のような「黒い事情」が潜んでいる。昨年11月12日付のブログで「韓国、『疑獄』世界8位韓進海運を倒産させた『崔順実ゲート』」と題して、次のように指摘した。

 

「崔氏がどうして韓進海運を倒産に追い込んだのか。やり手の崔氏でも、世界的な海運会社を倒産させる実力はあるのか。この判じ物を解く鍵は2018年、韓国・平昌冬期五輪組織委員長の趙亮鎬(チョ・ヤンホ)韓進グループ会長が、16年5月突如の辞任をせまられた一件に伏線はあったのだ」。

 

「崔氏は、平昌冬期五輪で自らが関係する企業に受注を狙っていたが、趙組織委員長に拒否されたという。さらに、崔氏が主導して設立した財団の一つへの寄付を趙氏が断ったという。この一連のことを『逆恨み』した崔氏が、韓国政府の韓進海運救済を拒否させる裏工作をしたのはないか。そう勘ぐられている」。

 

「事実、韓進海運が会社更生法を申請した折、朴大統領は、極めて冷淡なコメント残している。『いい気味だ』と言わんばかり。『私憤』でもあるような感情的な反応をしたのだ。今から思えば、『盟友』崔氏から、趙亮鎬韓進グループ会長への悪口を吹き込まれており、それがつい口に出たとも言えるのだ。事実とすれば、朴大統領の責任は極めて重い。『万死』に値するとも言えよう」。

 

「このブログでも韓進海運の倒産について、韓国政府の対応のまずさを厳しく批判してきた。『ナショナル・フラッグ』を掲げる海運企業の倒産が、韓国経済のイメージダウンと同時に、実損を与えるデメリットを詳細に説明してきた。これに気づいたのか、韓国政府はその後、韓国の海運・造船の救済計画を打ち出した。こうした対策を取るくらいなら、なぜ韓進海運を救済しなかったのか。当然、出てくる疑問だ。重ねて、朴大統領の経済音痴を批判せざるを得ない」。

 

女性同士の「悪口」と書けば、読者から反発も出ようが、朴大統領と崔被告は40年来の友人である。それこそ、「肝胆相照らす」関係だ。崔被告が朴大統領に告げ口して、平昌冬期五輪組織委員長の趙亮鎬(韓進海運会長)を解任させた。それだけでは満足せず、韓進海運への政府支援を打ち切らせたのだ。朴大統領は、告げ口外交の名手である。崔被告から「伝授」されたのかも知れない。

 

この一連の過程を見ると、感情論そのものである。ここには理性の一片も感じられない。韓進海運倒産が、世界の物流にいかなる波乱を巻き起こすか。荷主の被害はどうか。そういう配慮(理性)はゼロである。あったのは、朴・崔コンビのドロドロした「敵討ち」に似た感情だけである。これが、韓国の経済進路に多大の被害を及ぼした。

 

韓国は現在、未曾有の大学卒業生の就職難にあっている。「超氷河期」とも言われている。この就職難の原因について、韓国の政治家は企業の責任追及に余念がない。企業が新規採用を渋って、自社の利益確保を優先しているという理屈だ。

 

経済原理を理解しない野党の石頭

『韓国経済新聞』(2月13日付)は、「唯一韓国の青年失業率が上昇している」と題する社説を掲げた。

 

この社説は、真っ当である。韓国の高い青年層の失業率を引き下げるにはどうしたらよいか。韓国の野党には経済の理屈から考えた対策が何もないのだ。次期大統領選は野党が有利とされている。これでは、企業規制に全力を上げ、労働力の流動化という先進国では一般化された対策が実行される気配を感じられない。こうして、高い失業率は解消せず、韓国経済は自滅に向かうのであろう。この間、ますます感情論の虜になって、理性的な政策から離れて行くに違いない。

 

(3)「青年層(15-24歳)の失業率が10.7%(昨年11月基準)に上昇したという。2000年(10.8%)以来16年ぶりの最高水準だ。青年失業率は4年連続で上昇し、米国を上回った。青年雇用の悪化は予想された結果だ。昨年から『定年60歳延長法』が施行されたが、賃金ピーク制などの後続措置は全くなかった。人件費の負担が急増した企業には新規雇用の余裕がない。政界は企業を『断罪の対象』と見なし、連日規制を出している。雇用が生じる穴をふさいだ張本人が自分(注:政界)であることも知らず、政界はまた解決人を自認している。ある大統領候補は企業がしないので政府が公共部門の雇用を創出すると声を高めたという。財閥を規制する代わりに中小企業を育成し、青年に職場を与えるという主張も登場した」。

 

韓国野党の間違いは、国民の「反企業」ムードに乗っかっているだけである。財閥家族が栄耀栄華の生活を送っているからけしからん。野党は、こういった感情レベルの反発を利用しているに過ぎない。財閥問題は、「循環出資」という出資形態を全面禁止すること。さらに、企業統治(コーポーレート・ガバナンス)の確立によって株主権の確立をすること。これによって、出資と経営の分離を実現して、財閥家族の経営干渉を排除できるのだ。

 

こういう筋道を立てた財閥対策が、なぜできないのか。ただ、感情論で騒いでいても、問題は一歩も解決しない。野党は、「労働貴族」の代弁者であってはならない。階級政党から国民政党へ脱皮しなければだめなのだ。産業構造の変化が激しい現在において、終身雇用と年功序列型賃金を守り通したい。そういう考え方自身が時代遅れである。欧米の賃金体系をよく見ることだ。そこを見ないで、先進国並みの所得を得たいと場違いな要求に堕している。韓国労組=韓国野党は、感情論の塊である。理性の一片もなさそうである。

 

(4)「政治(家)が動くほど良質の雇用は減る。(投)票を計算して出てきた失業対策は失業助長策にすぎない。緊急な労働市場の構造改善を遅延させ、悪循環を深刻にする。韓国の青年失業率の急増は労働市場の硬直性の傍証だ。10%にもならない組織化された少数(注:労働組合組織率が10%以下)と、成果年俸制に反対して既得権に執着する『労働貴族』が廃止されない限り、青年の雇用を創出するのは最初から不可能だ」。

 

韓国の労組組織率は日本の17%検討に比べて極端に低い。財閥企業しか労組がないためだ。この少数組合員の過大な要求に対して、革新派(野党)は忠実に従っているのだ。余りにも国民一般の利益を無視した存在である。選挙の時に、手足になって動いてくれる。その労組の言い分をそのまま聞く、ただの「ご用聞き」である。

 

韓国与党も不甲斐ない。「国会先進法」に縛られて自ら提案している労働改革法案は棚晒しになっている。野党の反対に出会って二進も三進も行かないのだ。その挙げ句に、朴大統領の弾劾事件が持ち上がっている。次の大統領選挙で保守派のセヌリ党は不利と見たのか、党名を改称する。

 

『朝鮮日報』(2月14日付)は、「与党セヌリ党が自由韓国党に党名変更、1990年以降5度目」と題して、次のように報じた。

 

(5)「韓国の与党セヌリ党は13日、常任全国委員会と全国委員会を相次いで開き、党名を「自由韓国党」に変更すること決めた。党名変更はセヌリ党誕生からちょうど5年目での決定だった。韓国の保守政党は1990年の3党合同で誕生した民主自由党以降、新韓国党(1996年)、ハンナラ党(97年)、セヌリ党(2012年)を経て、自由韓国党へと看板を変えることになった。過去の保守政党の党名変更は盧泰愚(ノ・テウ)、金泳三(キム・ヨンサム)、李会昌(イ・フェチャン)、朴槿恵(パク・クンヘ)氏ら歴代大統領や有力な大統領候補が主導する『発展的解体』だった」

 

与党ハンナラ党は少数与党である。国会の議席は次のようになっている。

セヌリ党   95議席(与党)

共に民主党 121(野党)

国民の党   38(共に民主党から分裂 野党)

正しい政党  32(セヌリ党から分裂 野党)

正義党     6

無所属     8

 

韓国の少数与党「ハンナラ党」が、党名を「韓国自由党」へ変更する。党勢立て直しが理由だという。韓国の保守政党は、1990年の3党合同で誕生した民主自由党以降、5度目の党名変更である。次のパラグラフで指摘されているが、中身が変わらずに党名を変えただけでは、有権者に支持されるかどうか不明だ。目先を変えて新鮮さをアッピールするのは、いかにも「韓流」と言わざるを得ない。感情に訴える仕方であるからだ。

 

昔、日本ではこんな話があった。1989年、リクルート事件で退陣した竹下首相の後任として、外相をも務めた伊東正義に白羽の矢がたった。「表紙が変わっただけで中身が変わらなければ」と断ったのだ。日本には理性で判断する政治家もいるが、韓国では党全体が目先を変えるという「表紙派」である。

 

(6)「党関係者は、『支持率が低下し、党内の求心力もない状況で党名が変更されたことは保守政党の歴史で初めてではないか』と話した。党常任顧問の金守漢(キム・スハン)元国会議長は本紙の電話取材に対し、『党名を100回変えたとしても中身が問題なので心配だらけだ』と漏らした」。

 

韓国政治を根本から立て直すにはどうするか。そういう地道な議論は聞かれない。野党と「政治休戦」して、政治改革、経済改革について胸襟を開いて語り合う。そういう度量が求められている。だが、朝鮮民族の「性」というべきか、互いに自己の正しさを主張して妥協の方法を知らないのだ。この繰り返しが、今後も続くのであろう。まさに、「感情8割、理性2割」の民族である。希望を持てない民族と言うほかない。

 

(2017年2月21日)

 

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2017-02-20 05:00:00

米国、「トランプ氏」外交は現実路線「日本重視」の裏に何が?

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国防長官が説得する

日本の協力が不可欠

 

トランプ米大統領は、豪州首相との電話会談で怒りを爆発させ、途中で打ち切るなど破天荒な振る舞いをする。その当人が、安倍首相との会談では親密ぶりを世界にアピールした。日米首脳会談前には、習中国国家主席の電話会談を行い、「一つの中国論」を確認している。大統領選挙中や、大統領当選後に見せた攻撃的はツイッターから、現実の外交路線に戻ってきた感じだ。

 

国防長官が説得する

トランプ氏が、中国との電話会談で「一つの中国論」を認めたのは、ティラーソン国務長官らの説得があった。

 

『ロイター』(2月10日付)は、次のように報じた。

 

この記事を読むと、米国が中国との間で「一つの中国論」を再確認したのは、アジア地域での地政学的な問題解決の障害を排除することに置かれている。米国が、「一つの中国論」に同意することで、米中間での連絡網が繋がるという意味だ。南シナ海や貿易問題とは切り離されていることに留意すべきであろう。実質的に、オバマ政権時代と同じ米中関係を維持するという話である。

 

(1)「トランプ米大統領が前週、中国政府の求めに応じ、米国の『一つの中国』政策を維持すると表明した背景には、ティラーソン国務長官の尽力があった。米当局者が明らかにした。トランプ大統領は9日に中国の習近平国家主席と電話会談し、中台がともに一つの中国に属するという『一つの中国』政策の維持で合意した。米当局者によると、大統領による突然の立場修正に先立ち、ホワイトハウスではティラーソン国務長官やフリン大統領補佐官らが会合を行った。ある当局者はこの会合について、米中関係や地域の安定のために『一つの中国』政策の維持を表明することが正しい選択だと大統領を説得するための協調的努力だと述べた」。

 

事情を知らない者には、トランプ氏が習氏と電話会談を行い、「一つの中国論」で合意したと聞けば驚く。トランプ氏は、あれだけ中国批判をしてきたが「君子豹変」となったからだ。この裏には、ティラーソン国務長官らが、トランプ氏を説得したもの。トランプ氏は大統領就任後約3週間経ち、「米国大統領」の役割を自覚するようになった面もあろう。オバマ前大統領が退任直前に言い残したように、「トランプ氏も変わる」ということなのだ。大統領という「ポストが人をつくる」のであろう。

 

(2)「ティラーソン長官は会合で、米中関係の柱となってきた政策を巡る疑念を解消しない限り、米中関係は停止したままになると警告した。ティラーソン長官による今回の尽力は、トランプ政権が直面する幾つかの地政学的問題で同氏が影響力を持つ可能性を示唆している。中国に精通した米国の専門家はトランプ氏の立場修正について、緊張が和らぎ、幅広い問題で協議に道が開かれるとしながら、南シナ海の問題や中国からの輸入品に対する関税など他の問題を巡る立場の軟化につながるわけではないと釘を刺す」。

 

このパラグラフで注目すべきは、「トランプ政権が直面する幾つかの地政学的問題」の存在である。その一つが、北朝鮮の核と長距離ミサイルの開発である。北朝鮮問題は、もはや説得して開発を中止させられる段階を越えてしまった。60発の核爆弾の製造が可能な段階であり、ICBM(大陸間弾道ミサイル)の開発が成功すれば、米本土も核攻撃の対象にされる危険な段階になってきた。

 

米国では、「力による平和戦略」論が急浮上している。北朝鮮の危険因子が、現在よりもさらに膨らむ前に、奇襲攻撃による強制排除を敢行すべき段階へ立ち至った。そういう認識が急速に、米国内で強まっているのだ。

 

この場合、米国が「一つの中国論」を認めないとする立場を取れば、中国と北朝鮮問題で話し合う道が絶たれるリスクが発生する。この視点から、ティラーソン国務長官らがトランプ大統領を説得したと見られる。

 

これを窺わせたのが、2月11日(米時間)、北朝鮮がミサイル実験を行った後の、日米共同記者会見で見せたトランプ大統領の青ざめた顔である。安倍首相が強い抗議の姿勢を見せた後、トランプ大統領は「我々米国は、偉大な同盟国である日本と共にある。これは100%だ。そういうことをみなさんに伝えたい」(全文)とこれだけの発言に止めたのだ。あの饒舌なトランプ氏が、たったこれだけのフレーズを発しただけで終わった。これは、余計な発言をして米国の「力による平和戦略」を北朝鮮に感づかれまいという配慮であろう。トランプ氏は、これまで見せたことのない緊張感溢れる表情であった。まさに、「米国大統領の顔」である。

 

『ウォール・ストリート・ジャーナル』(2月13日付)は、「トランプ大統領の外交、現実路線に近づく」と題して、次のように報じた。

 

不動産会社のオーナーが突然、米大統領に就任しただけに、大きな戸惑いがあるはずだ。これまでは、持ち前の強気一辺倒で人生を生き抜いてきたにしても、世界覇権国である米国大統領は、地球の運命を左右しかねない立場に立つ。それだけに、独断専行でなくスタッフの意見に十分な配慮をしなければならない。トランプ氏は今、そういう状況に置かれていることを認識し始めたのだろう。安倍首相は、この段階でトランプ氏と会談したわけで、一定の影響力を与えたと思われる。日米関係にプラスの効果が期待できるのだ。

 

(3)「ドナルド・トランプ米大統領は外交について選挙戦で打ち出していた一部の型破りな約束を撤回し、数十年来の政策決定や慣習に沿った従来型の方向に向かっているようだ。アジア、中東、ロシア、欧州の同盟国との最近のやりとりでは、歴代の共和・民主党政権が構築してきた総意に敬意を払う姿勢を強めている。今週予定されているカナダとイスラエルの首脳による訪米もトランプ外交の行方を占うことになりそうだ」。

 

トランプ大統領は、歴代の共和・民主党政権が構築してきた総意に敬意を払う姿勢を強めている、と指摘している。これが、民主政治の良さであり、独裁政治と根本的に異なる点だ。政治経歴ゼロのトランプ氏が、過去の関係をひっくり返すことは不可能である。

 

(4)「北朝鮮のミサイル発射を受けて11日夜に安倍晋三首相との共同記者会見に臨んだトランプ氏は、『米国は偉大な同盟国である日本と100%共にある』と言明した。トランプ氏の変化の裏側では、外交政策チームが形をなしつつある。ジム・マティス氏とレックス・ティラーソン氏は上院から承認され、それぞれ国防総省と国務省のトップの座にしっかり腰をおろしている。戦略国際問題研究所(CSIS)の中東部門を統括するジョン・アルターマン氏は、トランプ氏が『以前よりアドバイスを聞くようになって』おり、オーソドックスなやり方に知恵を見いだしていると述べた。トランプ氏は就任初期の段階で大統領としての現実に目覚めた格好だ。選挙中の発言や大胆な大統領令行使が地政学上の現実や憲法との整合性に衝突したのだ」。

 

米国の国防長官と国務長官が、議会承認を受けて正式に就任した。この両人事が動き出したことは、トランプ大統領の行動に大きな影響を与えるであろう。両省の膨大なスタッフが機能するのだから、トランプ氏が独断専行できる範囲は大幅に狭められるに違いない。それだけ「トランプ・リスク」は薄められるであろう。

 

(5)「就任から3週間が経過したが、トランプ氏は中国を為替操作国に認定していない。先週、トランプ氏は対アジア政策の現状をおおむね受け入れる方向にも動いた。ワシントンでの安倍氏との会談後、アジアでの同盟関係や軍事協定を支持すると述べたのだ。北朝鮮のミサイル発射が伝えられる前でさえ、トランプ氏は日本について厳しい発言を控え、トランプ流をあらためて同盟国である日本の友人として振る舞った」。

 

トランプ氏は、日米首脳会談の共同記者会見で、「日本に感謝する」と発言している。これは、安全保障上の意味であろう。米国は、アジアの安全を維持する上で、日本の存在が不可欠であることを認識した結果と思われる。米国単独では、地政学的にもアジア地域の安全保障を維持できない。また、日本一国で軍事的に中国へ対抗するには、膨大な軍事費を必要ゆえに内政を圧迫する。そういう意味で、アジア地域の安全を保つには、日米同盟は不可欠な存在になっている。

 

日本の協力が不可欠

『ウォール・ストリート・ジャーナル』(2月13日付)は、社説で「アジア外交で勝利するトランプ氏」と論じた。

 

この社説のタイトルは、トランプ氏がアジア外交で勝利を手にする、としている。これは、日本との良好な外交関係が維持できる見通しがついたことを根拠にしたものだ。安倍・トランプ首脳会談は、互いに信頼関係を築けたから安心だとしている。WSJがここまで踏み込んだ社説を掲げることは、首脳会談の雰囲気が非常に良かったことを高く評価した結果だ。

 

(6)「驚くほど友好的な日米首脳会談が行われた。中国はアジアの覇者を狙う野望に対する反対勢力の急先鋒が安倍首相だととらえている。その認識は正しく、今回の日米首脳会談の意味を中国の指導部が理解しているのは間違いない。『われわれの間にはとても良好な絆がある。非常にうまが合う』。共同記者会見でトランプ氏はそう熱く語り、こう続けた。『車のところで彼(安倍首相)を出迎えた際、握手したが、彼を引き寄せ肩を抱いた。そうしたいと感じたからだ』。これが、日本はただ乗りの同盟国だと選挙期間中に批判していたトランプ氏の身の変わりようだ」。

 

安倍氏の性格とトランプ氏は、極めて似かよったところがあると、指摘されている。二人とも、極めて外向的であって、いわゆる「人を逸らさない」特技を保っているようだ。初対面の人に対しても、旧知の人のようにフレンドリーに振る舞える。これは、天性のものであろう。安倍氏は、「先輩政治家」としてトランプ氏を国際会議の場で、盛り立てる役割が期待される。トランプ氏が安倍氏を厚遇した狙いの一つはそこにある。13日のNHK番組に出演した安倍首相の話では、海外の会議では、必ず日米首脳会談を開くことで合意したという。日米の連携は、中国の海洋進出が急ピッチなだけに、これを防ぐ意味でも大きな役割を果たす。

 

(7)「『われわれは日本の安全保障に関与する』。トランプ氏はそう宣言した。尖閣諸島は日米安全保障条約の適用範囲内だとするジム・マティス国防長官の発言と同じ認識を表明した。たとえ関係が最良の状況下にあってもトランプ氏との間では泣き所になりかねない貿易面では、マイク・ペンス副大統領と麻生太郎副総理・財務相をトップとする経済協議の枠組みを設けることで合意した」。

 

日本は安全保障問題では、100点満点の成果を上げたと言える。経済問題は、これから麻生副総理とペンス副大統領の下で、総合的に話し合われる。米国のインフラ投資に日本が協力する。日本はこれまで、「インフラ輸出」を旗印にしてきた。是非とも実現させたいものだ。

 

問題は、日米FTA(自由貿易協定)である。日本にとっては農産物のさらなる関税率引き下げを求められかねない難物である。TPP(太平洋経済連携協定)は、トランプ氏によって「永久離脱」となっているが、ペンス氏はもともとTPP賛成論者であった。今後の経済対話のなかで復活できるように、トランプ氏の説得を続けて行くべきだろう。

 

トランプ氏は、二国間協定にこだわっているが、米国の貿易赤字はFTAで消えるはずがない。そのことについて、時間を掛けながら説得するしかない。トランプ氏の支持基盤は、保護貿易では救済できないことが明からになってきた。この救済策として、インフラ投資を提案するのが効果的であろう。TPPが本来、アジアの安保と経済の両面で優れた効果を出す。トランプ氏に対して、そのことを繰り返し説得することが必要だ。

 

(8)「新型中距離弾道ミサイル『ムスダン』を日本海へ向けて11日に発射した北朝鮮も、日米間の連携強化の重要性を示すことに一役買うことになった。北朝鮮がミサイルの発射実験を行ったのは、トランプ氏の就任後では初めてだ。今回の発射は、北朝鮮が開発を進めている大陸間弾道ミサイルではなかったものの、同国の核開発が多面的に前進しつつあることをあらためて知らしめた。トランプ氏は、『米国は素晴らしい同盟国である日本を100%支持する』と述べた。まったく同感だ」。

 

米国による北朝鮮の核開発阻止に、なぜ日本の協力が必要なのか。国連の常任理事国でもない日本が、「6ヶ国協議」の一員であっても影響力は薄い。米国は、「力による平和戦略」を練っていることは周知のことだ。日本が、米軍の奇襲作戦に日本基地の使用を認めることは作戦上不可欠である。トランプ氏が、「米国は素晴らしい同盟国である日本を100%支持する」と述べた理由はこれであろう。WSJの記事では、「まったく同感だ」とトランプ発言に賛意を表している。WSJは、米軍の奇襲攻撃作戦を知っているに違いない。

 

(2017年2月20日

 

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2017-02-19 05:00:00

韓国、「ジェラシー」日米首脳会談の蜜月振りの衝撃で「誤報」

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 日本が米国に「70万人の雇用」約束し「尖閣防衛の保障」?

 

中韓は、安倍首相とトランプ大統領の日米首脳会談の蜜月振りに大きなショックを受けている。韓国紙で最大部数を誇る『朝鮮日報』が、あろう事か大誤報をしている。これは、中国紙の記事をそのまま掲載した二重ミスに陥った結果だ。「他人の不幸は密の味」と言うが、今回はその「逆バージョン」である。日米首脳がハグする姿に、中韓は悔しさの余りに卒倒したのだろうか。

 

先ず、ジェラシー満載の記事をお見せしよう。

 

『朝鮮日報』(2月12日付)は、「『尖閣保護』、トランプに『米に雇用70万人』で応じた安倍」と題して、次のように報じた。

 

(1)「ドナルド・トランプ米大統領と安倍晋三首相の初の首脳会談は、両国が安全保障と経済協力を交換した格好となった。安倍首相は米日安全保障同盟の強化を再確認することで、中国と領有権を争う尖閣諸島(中国名:釣魚島)周辺での武力衝突発生時に米軍が介入するという約束を取り付けた。その代わりに安倍首相は米国に70万人の雇用を創出することをトランプ大統領に約束した」。

 

日本は、今回の日米首脳会談では通商と通貨を巡る衝突を回避したいと狙っていた。実際に、その願いは叶い安保問題が中心議題にになった。それにもかかわらず、ここでは、「両国が安全保障と経済協力を交換した格好となった」「米国に70万人の雇用を創出することをトランプ大統領に約束した」という、根も葉もない記事になっている。70万人の雇用というのは、日本企業がこれまでの対米投資によって83.9万人の雇用を生み出しているという現実データの取違いである。

 

これが、どう間違ったのか「70万人の雇用を約束した」という記事に化けている。しかもこの記事の出所が、後のパラグラフに出てくる中国紙『環球時報』の記事を孫引きしたことが分かる。こうなると『朝鮮日報』記事は二重の恥をかくことになる。日米首脳の共同記者会見に出席していれば、こういうミスは出なかっただろうに、朝鮮日報社内でも間違いの指摘はなかったのか。

 

今後、焦点となる日米経済問題について、日本側は日米自由貿易協定(FTA)交渉入りを争点から外したい。そのために、間口の広い緩やかな話し合いをイメージしている。これに対し、米側が農産物関税引き下げなど具体的な成果を求めて個別分野に切り込んでくる可能性は指摘されている。また、中央銀行の金融政策も含む経済対話では虚々実々の駆け引きが予想される。こういう次第で、通貨と通商の問題はこれからの課題なのだ。経済問題が話題に上がっていない段階で、どうして日本が米側に「70万人雇用計画」を出すのか。出すはずがない。ただ、事前に種々のアイデアがあった程度のこと。安倍首相は、訪米前の国会で明白に否定していた。

 

日米の経済対話では、マクロ経済政策や貿易と並び、インフラ、エネルギー、サイバー、宇宙で協力案件が話題に上がると見られる。高速鉄道や発電所の建設は、米国内で雇用を生み、日本企業の受注増につながる。サイバー攻撃や宇宙空間での脅威への共同対処も利害が対立する余地が少なく、トランプ政権との信頼醸成には格好の分野とされている。

 

以上のように、日米の経済問題は今後の調整課題である。これとは無関係に、日米首脳会談では、安全保障問題がメインの議論であった。尖閣諸島は日本の施政権下にあり日米安全保障条約第5条の適用範囲にあることが明記された。これと「米国の新規70万人雇用」が、リンクではない。第一、これまでの日本の対米投資で84万人弱の雇用数であるのに、新規に70万人もの雇用増など実現できるわけがない。

 

(2)「トランプ大統領は首脳会談後の記者会見で、『両国間の絆と友情は非常に深い』として『今回の政権でも両国間の絆をさらに強固にしていく』と述べた。また、安倍首相との友好もアピールし『われわれはケミストリー(相性)も本当によい。この状況が変わることはおそらくないだろう』とも述べた。両国はこの日採択した共同声明で『揺らぐことのない米日同盟は、アジア太平洋地域の平和・繁栄・自由のための礎』だとして、『核と通常戦力の双方の軍事力を動員して日本を防衛するという米国の防衛公約は揺るぎない』とした。『米国はアジア太平洋地域で存在を強化し、日本は米日同盟におけるより大きな役割と責任を果たす』とも述べた」。

 

トランプ大統領が、ここまで明瞭に日本防衛についてコメントしていることに、中韓は衝撃を受けたに違いない。また、トランプ氏が「われわれはケミストリー(相性)も本当によい。この状況が変わることはおそらくないだろう」と良好な個人感情まで付け加えた。相互理解が進んでいることが、中韓記者の強烈なジェラシーを招き、冷静さを奪って筆を狂わせたのでないか。

 

韓国人は、日本人が話題の主になると、嫉妬がめらめらと燃え上がるらしい。安倍首相が2015年の訪米の際、米議会上下両院の合同会議で演説したが、その前に韓国は猛烈な妨害工作を行った。韓国国会議長まで米国へ派遣して、米議会関係者に阻止の工作を行い失敗した経緯がある。韓国人とは、このように狭量な民族なのだ。

 

(3)「安全保障分野での米国側からの約束に対し、日本は経済協力という大きな手土産で応じた。安倍首相は70憶ドルを投じて米国に70万人の雇用を創出すると約束。また、米国の求める『公正な貿易』のために、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の代わりに2国間の自由貿易協定(FTA)を検討することでも同意。トランプ大統領は、『TPPのような多国間貿易体制では米国と日本が双方の利益を最大限保障することはできない』として、2国間協定の締結の必要性を提起したという」。

 

この記事は、安倍首相が訪米前に広く流布した内容である。日本の年金資金の一部を米国のインフラ投資に融資するというもの。これについて、安倍首相は国会で明確に否定していたのだ。つまり、経済問題では具体的な提案はしない。TPP復活が日本政府の基本方針である。他のTPP加盟予定国11ヶ国(米国を除く)に対する信義の問題があるという立場を貫いていた。日米FTAも日本にとってTPPと比較して有利な内容になる保障がないからだ。このパラグラフは、完全なねつ造である。

 

(4)「両首脳は、『中国けん制』についても認識を共にした。共同声明では『両首脳は、尖閣諸島が米日安全保障条約第5条(武力衝突時の自動介入)の対象に該当することを確認した』と明言。2月3日にマティス米国防長官が東京で安倍首相と会談した際の約束を再確認した格好だ。トランプ大統領は中国の為替操作問題にも言及し、『(中国の)通貨切り下げについては私がこれまでも不満を申し上げてきたが、米国はすぐに“公平なグラウンド(競争の場)”に立つことになるだろう』と述べた。これは、米国が近く中国を為替操作国に指定するか、対中貿易に関して強硬な報復措置を取ることを示唆したものと分析されている」。

 

この記事は、あらかた正確である。日米が中国の軍需進出についてけん制するのは当然である。このメリットは韓国も享受するもので、中国紙『環球時報』と一緒になって日本を陥れるような記事(70万人雇用説)を書いてはまずいのだ。こういう点が、韓国の「中国接近」を窺わせる面である。

 

(5)「中国メディアは米日首脳会談の結果について、強く批判した。中国紙・環球時報は11日の論評で『安倍首相は今回の会談のために70万人の雇用などを準備したが、トランプ大統領を満足させるのは難しい』として『米国はこのような“安い価格の”提案を受け入れはしないだろう』と書いた。官営の英字紙『チャイナ・デーリー』は、『アジアの国家首脳のうち安倍が最初に米国と首脳会談を実施したのは、米国が安倍の体面を保ってやったに過ぎない』として、『日本国内でも今回の会談を“朝貢外交”と批判する世論がある』と指摘した」。

 

日本企業の米国への投資が膨らんでいる。2016年の国際収支速報によると、米国向け直接投資は5兆7268億円で前年に比べ5.6%増えた。今後も日本企業の活発な対米投資が見込まれている。16年の米国企業の日本向け直接投資は6325億円にとどまり、日本の対米直接投資の11%に過ぎない。この状況を見れば、トランプ氏と言えども、日本にもっと対米投資をしろとは言いにくいはずだ。環球時報は、事実確認もせずに出鱈目な記事を書き殴っている。

 

環球時報はもともと扇情的記事が売り物である。2月11日の論評で「安倍首相は今回の会談のために70万人の雇用などを準備したが、トランプ大統領を満足させるのは難しい」。「米国はこのような“安い価格の”提案を受け入れはしないだろう」とはよく言えるものだ。何をもって「安い価格」と言えるのか。ならば問う。中国は米国の抱える16年の貿易赤字の47%を占める。日本は9%に過ぎない。中国は一体、どの程度の対米投資をするつもりなのか。こう、問い直されると答えに詰まるはずだ。

 

16年の中国の対米投資は、前年比3倍増の約500億ドル(約5兆7500億円)に達したが、日本の5兆7268億円をわずかに上回っただけである。中国は、突然変異のように16年は3倍増だが、それまでのレベルが低いのだ。日本の場合、16年は5.6%増だから、もともと高水準を維持してきた。

 

中国はすでに外貨準備高は3兆ドルを割り込んでいる。もはや、昨年みたいな「爆投資」は不可能である。17年の大幅減は必至だ。中国こそ、どうやって膨大な対米貿易黒字に見合った直接投資をするつもりなのか。日本へ向けたジェラシーは、程度を越えておりお笑い種になる。自重した方が良かろう。

 

「日本国内でも今回の会談を“朝貢外交”と批判する世論がある」というが、これは朝日の記事である。日本の防衛費は対GDPの1%に過ぎずその上、非核国である。片や中国は対GDP比2%強。それに核武装国である。この中国に対して、日本はどうやって安全を守るのか。米国の核の傘に入るのは当然であり、それこそ平和憲法の精神に沿うものだ。

 

こういう前提に立てば、国家基本の要である安全保障をめぐって、米国と打ち合わせすることが、なぜ「朝貢外交」なのか。朝日新聞はまさか日本に核武装を薦めるわけでもあるまい。自由主義国家群が同盟を組むことは、ドイツの哲学者カントが『永遠平和のために』で説いている。朝日新聞は、前記のカントの書を紐解かれることを願う。

 

(2017年2月19日)

 

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