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2016-09-25 04:26:30

中国、「北戴河会議」習氏敗北説を吟味する「長老が結束?」

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エコノミック・ショート・ショート

 

例年8月、北京に近い避暑地・北戴河(河北省)で開かれる共産党長老を交えた「北戴河会議」の結果は、中国内外から注目されている。今年は具体的な内容について、ほとんど報道されず、「推測」の記事だけである。その中で、「勇気」ある記事が現れたのでこれを手がかりに、その後の中国政治の動きを絡めて検証したい。

 

毎日新聞社発行の『週刊エコノミスト』(9月13日号)は、毎日新聞客員編集委員の金子秀敏氏の「異変!北戴河会議、長老に敗北した習主席」と題する記事を掲載した。その結論部分に注目したい。

 

(1)「北戴河会議で習主席が権力闘争に敗れたことで、習主席との対立が表面化していた李首相の発言力が強まり、日中関係の修復など中国の内政、外交の大転換が始まった。習政権の求心力は低下し、中国政治の不確実性が増すことは避けられないだろう」。

 

この記事は、「習氏敗北」を宣言する記事であり多分、世界初のものだ。情報の「鉄のカーテン」を張っている中国のことだから、関係者以外に真偽のほどは分からない。そこで、北戴河会議終了後の動きによって検証するしか道がないのだ。これは、前記記事を否定するものでない。そもそも、私は否定できるほどの具体的な情報を持っていないのだ。

 

習氏敗北で日中関係が大転換するのか。

 

それは、G20で行われた日中首脳会談が、従来のそれと比べて、雰囲気などが劇的に改善されたのかである。周知の通り、相変わらずの習氏の「苦虫を噛む」姿が大写しになっている。会談の部屋に両国の国旗も飾られず、他国の首脳会談とは明らかに「格落ち」の様相を示した。日本側が会いたいというか「会ってやる」という露骨な態度を見せているのだ。

 

この情景から見ると、日中関係が大転換したとは言いがたい。ただ、日中の軍事衝突を避ける手続きや東シナ海でのガス田共同開発について協議するという合意には達した。これをもって、「日中外交の大転換」と見るかどうかだ。これまでの懸案が、少し前向きになった程度であろう。この裏には、人民解放軍の根強い「反日姿勢」が控えている。前記二つの案件はともに、「人民解放軍マター」である。

 

中でも2010年、東シナ海のガス田共同開発が協定書を交わす寸前で延期されたのは、人民解放軍と国有石油会社の利権確保が絡んだものである。当時、「反胡錦涛派」が、結集して協定書交換を阻止した。詳細は、拙著『火を噴く尖閣』(2012年)で明らかにしてある。彼らは、利権の山分けを狙っていたのだ。その後、人民解放軍内部の腐敗が摘発されたものの、「泥水」が「清流」になるはずもない。根っこでは、ガス田の利権山分けを狙っているはずだ。早急な合意に達する意思があるとすれば、習氏が「仏頂面」する必要もなかったであろう。ただ、あの「能面」は、中国国内向けのポーズとの説も聞くが、さてどうなのか。

 

李首相の発言権が強まるとの見方はどうか。

 

李首相は、経済政策で失敗している。金融緩和策を主張してきたが、昨年11月から「流動性のワナ」に落ち込んでいる。マネーサプライのM1(現金+普通預金)を増やしても、M2(M1+定期性預金)の増加にならず、両者の乖離幅は拡大する一方である。企業は新規設備投資の資金を借り入れるという意欲を失っている。これが、M2の増加とならないのだ。結局、M1は増えても投機資金(主として住宅ローン)に向かっている。住宅在庫は捌けるが、不動産開発企業は新規の住宅関連開発をするわけでない。高値で住宅在庫が売れて、「やれやれ」というのが実態だ。

 

李首相は、金融を緩和すれば経済成長率が高まるという、単純な「成長派」である。これに対して習主席は、「デレバレッジ」(債務削減)を優先すれば、2~3年後に、再び高めの成長率が期待できるという見方だ。これら両者の経済観は、不動産バブルの崩壊と生産年齢人口比率の低下という、二つの構造問題から目をそむけた「能天気」な議論である。真面目に世界のバブル経済崩壊の歴史を読めば、そんな安易な回復期待など吹き飛ぶはずだ。怖くて現実を見ないのか。無知で知ろうとしないのか。答えは二つに一つであろう。

 

結局、習氏も李氏も経済政策を巡って優劣を競える場に立てないほど、中国経済の実態を無視した議論をしている。現状では、ゾンビ企業を救済して「ボロ」(倒産に伴う失業者)を出さないように最大限の努力をしているところだ。この「ボロ」隠しは永遠に継続できるわけでない。タイムアップ寸前であろう。その時、中国政治はどう立ち向かうのかである。習氏の「続投」は消えるだろう。李氏の「主席」も考えられない。経済政策失敗の責任を問われるからだ。

 

経済の現状で判断すれば、習vs李は「政策の弱者同士」であり、甲乙つけがたいのである。となると、現状維持で習氏が相対的に有利な立場にあると思う。この前提で、現実の中国政治を観察すると「習リード」の現実が浮かび上がるのだ。

 

『大紀元』(9月14日付)は、「天津市トップ、元江派閥の李鴻忠氏が就任、習氏は一石三鳥?」と題して次のように伝えた。

 

(2)「中国共産党中央紀律検査委員会(中紀委)は9月10日、天津市共産党委員会(以下党委)代理書記で同市トップの黄興国氏が『重大な紀律違反がある』として調査していると発表した。当局は13日、失脚した黄氏の代わりに、湖北省党委書記の李鴻忠氏が天津市トップに就任させたとの人事を発表した。直轄市である天津市は距離的に北京に近く、歴代の天津市党委書記が中央政治局委員に兼任するほど、政治的かつ経済的に重要な地位を持つ。天津市党委員会書記の人事は、習近平政権の『19大』(中国共産党第19次全国代表大会)中央政治局人事計画に関わるため、大きな意味を持っている。なぜ、江沢民派閥に近いとみられる李鴻忠氏を天津市トップに起用したのか」。

 

天津市共産党委員会代理書記で同市トップの黄興国氏が、「重大な紀律違反がある」として失脚した。黄氏は、習派とされる。その黄氏の失脚は「汚職に区別なし」とする習氏の「中立性」を演出したものであろう。これまでは,自派からの失脚は出ていなかった。江沢民派や胡錦涛派がヤリ玉に挙げられてきた。今回の一件で、「公平に」汚職追放という旗印になった。そして、その後任は,あえて「江派」と言われる人物を登用した。

 

これは、習氏の威光が落ちたのでなく、「一石二鳥」どころか「一石三鳥」を狙ったという大胆解釈である。その根拠を聞いて見よう。

 

(3)「李氏の経歴は華々しい。広東省恵州市副市長、同市党委書記、広東省深圳市党委副書記、同市代理市長、市長、党委書記、湖北省副省長、同省省長、党委書記などを歴任した。李氏の昇進は江沢民元主席の抜てきによるものとみられる。江派閥の李氏は2012年4月、江の側近で元中央政治局常務委員の周永康氏とともに湖北省武漢市などへ視察した。しかし、14年7月周氏が汚職で失脚した後、李氏は公の場で習近平氏を支持する発言が相次いで、習陣営に寝返り、習氏への忠誠を示した」。

 

李氏の経歴から言えば、「江派」は明らかである。過去の出世には、江氏が手を差しのべてきたからだ。だが、江派の大番頭である周永康氏の失脚後は、いち早く「習近平氏」支持の発言によって、習陣営に寝返り、習氏への忠誠を示した。機を見るに敏なのだ。

 

(4)「14年12月22日、当局は元中央弁公室主任である令計画氏が汚職の容疑で調査を受けていると発表した。李氏は直ちに湖北省幹部を集め、党中央の決定を支持すると示した。また、同省党委会議で李氏は習氏が中国共産党中央の『指導の核心だ』『習近平氏に見習う』『習氏の指導核心を擁護していく』などと発言した。李氏の習氏を擁護する発言は一定の効果があった。15年7月24日、中紀委は河北省党委書記の周本順氏が汚職の容疑で調査を受けていると発表した。同日、中紀委は同公式ウェブサイトで湖北省党委書記の李氏への独占インタビューを掲載した。両省のトップの異なる待遇は李氏の将来を示唆された」。

 

胡錦涛氏側近の令計画氏が、汚職の容疑で調査を受けていると発表の際、李氏は直ちに湖北省幹部を集め、党中央の決定を支持すると示した。ここでも敏捷に習氏支持を打ち出している。ぐずぐずしていると,その立場が疑られやすいだけに瞬発に、習氏支持を打ち出す。涙ぐましいまでに時の権力者ににじり寄って行くのだ。日本の戦国時代の大名が、豊臣側につくか徳川側につくかで命運が決まったように、現代の中国も戦国時代の再現である。

 

(5)「習氏はなぜ江派閥の李鴻忠氏を天津市トップに就任させたのか? 目的は3つある。

 一つ目は、権力の掌握だ。習近平氏が国家主席を就任前、江沢民派閥が政治権力を握っていた。習氏が就任後、人材不足に直面した。この3年間、習政権は100人以上の江派閥官員を失脚させたが、現有の中国共産党体制では、すべての江派閥官員を失脚させるのが難しい。したがって、習陣営に寝返った官員を起用せざるを得なかった。同時に、党内権力闘争を様子見している江派閥官員に対して、江派閥から脱退すれば、重要なポストに任命する可能性があるとのメッセージを出し、官員らに安心感を与える効果がある」。

 

習氏はなぜ江派閥の李鴻忠氏を天津市トップに就任させたのか。目的は3つあるという

第1は、江派の寝返り促進である。江派閥から脱退すれば、重要なポストに任命される可能性があるとのメッセージを出し、官員らに安心感を与える効果がある、というもの。恭順の意を示せば、「取り立ててやるぞ」。習氏の懐の大きさを示しているというのだ。

 

「2つ目は、江派閥の内部崩壊を狙っているため。李氏の天津市トップ就任で、江派閥で黄興国氏の背後にいる現中央政治局常務委員、張高麗氏らの汚職を摘発し、張氏らの失脚を図ることは、習氏が李氏に課した最大の任務だ。また李氏の忠誠心を試そうとしている。昨年、天津市で起きた大爆発事件で、市は環境問題など多くの難題に直面している。これらを適切に処理できるかどうかも、李氏に課した課題だ」。

 

第2は、江派閥の内部崩壊を狙っている、としている。現中央政治局常務委員、張高麗氏らの汚職を摘発するように、李氏の忠誠心を試しているというのだ。生臭い話しである。中国で出世街道を進むには、こういう「味方を売る」ことも課されているのだ。

 

「3つ目、天津市トップが在任中に失脚したことで、習氏は党内高官に対して、昇進したからと言って政治地位が安全だということではないとのシグナルを送っている。習氏は国家主席になってから、党内の多くの慣例を打ち破った。天津市党委書記が中央政治局委員を兼任する慣例もなくなり、天津市が直轄市でなくなる可能性もあるとみる。この可能性は黄興国氏が2年間もの長い間、同市党委書記代理のままで、正式の党委書記がいなかったことから見てとれる」。

 

第3は、昇進しても安心はできないというメッセージだという。党内の高官ポストを得て有頂天になっていると、思わぬところから刺客が送られるのだ。戦国時代さながらの「出世絵巻」が繰り広げられている。中国で「顕官」になるには身も心も擦り減らす覚悟が求められる。その見返りが「賄賂」であった。それも,大がかりに行えば、「お縄頂戴」である。いやはや、中国は住みにくい世界である。

 

習氏は、中国皇帝の位置にある。簡単にその座を奪われるシステムになっていない感じがする。天変地異(経済の超不況や軍事問題の失敗)でも起こさない限り当面、追放されないと思う。事実、歴代皇帝の座は強かった。習氏敗北説は話しとして面白いが、さて、、、、

 

(2016年9月25日)

 

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2016-09-24 05:00:00

韓国、「中国人旅行客」ぼったくり商法で大不評「日本と比較」

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エコノミック・ショート・ショート

 

韓国は、停滞する消費刺激の一助にと、海外旅行者の増加に期待している。現実は、外国人旅行者を受け入れる準備はほぼゼロだ。ぼったくり商法が盛んな上に、地方では英語表記も「トイレ」と「ノー・スモーキング」の二つだけという驚くべき事実が判明した。国際化時代の今日、韓国のこの「独りよがり」な振る舞いには、ただただビックリ仰天させられる。

 

世界と隔絶した韓国社会の動きは、慰安婦問題ではっきりしている。解決した思えば、まだ「謝罪が足りない」などと、次から次へと言いたい放題の振る舞い。こうしたことが、韓国社会では可笑しいことだとは思われていないから、日本は本当に驚くのだ。すべてが「自分中心」である。その端的な表れが、地方での「トイレ」と「ノー・スモーキング」の英語表示だろう。外国人旅行客が、単独で韓国の地方旅行するのは、ほとんど不可能だ。これに対して韓国では、「外国人旅行者は韓国について事前の調べをして置くべきだ」と『朝鮮日報』へ投書する読者まで現れている。韓国全体が、独りよがりで浮世離れしているのだ。

 

『朝鮮日報』(9月15日付)は、日韓観光業者が中国人旅行者へどのような対応したか。それを取材する異色ルポを掲載した。まず、韓国の観光業者が、どれだけ酷い「ショッピング」を強制しているかが分かる。

 

韓国の観光業者が、ショッピング中心の旅行を組んでいるには原因がある。安いツアー料金で引き受けているからだ。往復の航空運賃に若干の上乗せ程度という、ダンピング価格である。泊まるところも当然、「安宿」になる。これでは、中国人観光客から不満が出るのだ。要するに、「安いツアー料金」が中国人観光客の不満を買っている理由だ。ならば、料金を上げれば良いはずだが、叩き合いで下げているのだ。

 

(1)「今年7月、韓日両国を訪れる中国人観光客を対象とした旅行商品を比較した。1日の旅行費用の差は約2万ウォン(約1800円)だったが、内容は雲泥の差だった。韓国の旅行商品はスケジュールのほとんどがショッピングに当てられていた一方で、日本の旅行商品は観光名所の見学を中心に構成されていた」。

 

日本旅行の実態は、後で紹介する。

 

(2)「7月4日、済州市連洞にある高麗ニンジン販売店を訪れた。入り口を入ると、待機していた従業員たちが、中国人観光客たちがカメラや携帯電話を持っていないか、しきりに確認した。従業員たちは、観光客たちを前後から挟み込み、まるで監視するかのように一緒に行動した。ある中国人観光客が製品の写真を撮ろうとしたところ、従業員が観光客を体で押し「ブシン(不行:駄目です)!」と叫んだ。同店鋪は、外国人の団体観光客だけが入ってこられるようになっており、韓国人の立ち入りは厳重に禁止されていた。売り場の写真や値段が外部に知られるのを阻むためだと思われる」。

 

私も韓国旅行の際は、こうした朝鮮人参の店に連れて行かれた。そこには、日本人の売り子もいたので、いろいろを話しができたが、決して安いという印象ではなかった。ソウルの繁華街では、朝鮮人参の専門店がひしめき合い、交渉次第では値引きしてくれる。日本人の顧客名簿を持っており、定期的な注文を貰っていると言っていた。その名簿を見せてくれて、「噓」でないことが分かった。日本語はべらべらで、近くでは日本の歌謡曲も流していた。時間があれば、テント構えの飲み屋で一杯やりたいね、と仲間と話すほどリラックスできる雰囲気だった。

 

(3)「売り場の一方には英国のエリザベス2世女王、中国の江沢民・元国家主席、米国のビル・クリントン元大統領などの写真が飾られてあった。疑いの目で写真を見つめる観光客たちに従業員が聞いた。『この方々の共通点が何なのかお分かりですか。皆高麗ニンジンの愛好家だということです』。この説明を聞いた多くの観光客たちがようやく『ジウス(就是:なるほど)』とうなずき、製品を注意深く見始めた。ここでは、5、6個単位で包装された高麗ニンジンが、値段の表記もなしに60~120万ウォン(約5万6000~11万2000円)で売られていた。商品の包装紙にはサムスンのロゴが貼ってあった。サムスン火災保険に加入しているという意味だったが、中国人たち『サムスンが作ったものであれば信じられる』と言ってショッピングバッグに商品をたくさん詰め込んでレジに向かった」。

 

(4)「中国人たちは売り場ごとに、『70%割引』『今日一日だけ半額』と叫ぶ売り子たちの呼び込み行為に魅せられたかのように次々と商品を手に取ってはレジへと向かった。約30分にわたる『嵐のようなショッピング』を終え、化粧品や生活用品などをたくさん詰め込んだ3~4個のショッピングバッグを両手に出てきた観光客たちの表情は、なんだか曇っていた。『従業員たちの販売態度があんまりにも強引で、いくらで買ったのか覚えていない』と言った」。

 

ここでの雰囲気は、明らかに「催眠商法」と言われるものだ。世界の政治家の写真を掲げて、朝鮮人参愛用者だと「催眠」をかけてくる。その延長線で、定価をつけずに「割安感」を訴える。包装紙にはなぜか、「サムスン」のロゴを張って信頼感を高める。この販売手法では、中国の「一線都市」以外の出身者はころりと騙されるのだろう。「催眠商法」ゆえに、催眠から覚めて冷静になると、「してやられた」という感じになって、文句の一つも言いたくなるに違いない。これが、「二度と韓国へは旅行したくない」という人々を増やすのだ。

 

『朝鮮日報』(9月15日付)は、日本への中国人旅行ツアーの同行ルポを掲載した。

 

(5)「本紙記者は、旅行会社が推薦する4500人民元(約7万円、航空チケット代は除く)の最安値ツアーを選んだ。中国人の団体客に最も人気の『黄金ルート』のツアーで、名古屋や大阪、富士山、東京を5泊6日で回る。これに先立ち、記者は7月初めに43万ウォン(約4万円)を払い、中国人客と一緒に3泊4日の韓国・済州島ツアーに参加した。航空チケットを除くと、4500人民元の日本旅行商品の1日平均費用は済州島パッケージツアーよりも2万ウォン(約2000円)ほど高い。両商品とも観光ホテルクラスの宿と食事、観光バス、ガイドが付いていた。実際に体験してみると、品質の差は価格差以上に大きかった。日本では6日間のツアーで家電や化粧品を販売するショッピングスポット3カ所を回った」。

 

約7万円で5泊6日のツアーは最安値ゾーン。済州島ツアーと違い、6日間の間にショッピングは3カ所を回るだけであった。日本ツアーと済州島ツアーでは、1日あたりの平均費用は日本が約2000円高かったものの、サービス内容はそれ以上の差があり、日本の「割安感」を示したという。

 

(6)「旅行の初日に訪れた名古屋で泊まったホテルは、1泊5000円ほどだった。客室は広くはなかったが、清潔だった。済州島で泊まった中国人客専用ホテルよりもむしろ1泊あたり1万ウォン(約900円)ほど安かった。ガイドが案内する飲食店はほとんどが創業100年を超えており、鍋料理や丼料理を出した。中国人客が、『私たちの中に回族(イスラム教を信じる少数民族)がいる』と言うと、豚肉の代わりに野菜や豆腐を使った料理が出てきた」。

 

日本の宿は、済州島に比べて狭かったが清潔そのもの。飲食店は、創業100年以上の老舗であり、それが清潔感と品格の高さを示したのであろう。イスラム教徒には、豚肉の代わりに野菜や豆腐を使った料理を出すという臨機応変のサービスである。サービスも工業製品と同様に、「品質管理」が大切だ。日本は、それを提供できる強みを持っている。

 

(7)「名古屋で会った遼寧省出身の観光ガイド、王旭升氏は中国人客に『本当の日本を知りたければ、まずトイレへ行ってみて』と勧めた。富士山近隣の休憩施設で入ったトイレでは、空いている個室がモニターに表示された。トイレに着替え台や授乳室もあった。旅行最終日には、バスの中でガイドが満足度アンケートの用紙を配った。空港から出国する直前までショッピングスポットばかりを訪れていた済州島のツアーと一番違う点だ。宿泊施設や食事に満足したかどうか、ガイドがオプションツアーに固執しなかったかどうか、望まないショッピングを強要されなかったかどうかなど、5項目が並んでいた。北京から家族と共に参加したという中国人客は、『歴史問題や領土をめぐるあつれきで中日の溝は深いが、公共の場の清潔さや偽商品のない正直な商売に感動した』と語った」。

 

中国人ガイドは、「本当の日本を知りたければ、まずトイレへ行ってみて」と勧めたという。一番不浄なトイレがきれいであることで、他も推して知るべし、なのだ。なかなか、日本通の中国人ガイドと言うべきだが、日中の最大の違いはこのトイレかも知れない。中国でもホテルは洋式だが、使用した紙は流さずに横の箱に入れておく。私が台湾のトイレで最も面食らったのは、トイレにドアがないこと。あれほどの驚きはそう、ざらにあるものでない。中国人の「トイレ感覚」は、日本人と大きくかけ離れている。農村社会の仕来りを今も、引きずっているのだ。中国の近代化は、この「トイレ革命」から始まるのだろうか。

 

(2016年9月24日)

 

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2016-09-23 05:00:00

韓国、「信用失墜」サムスン新型スマホ事故「斜陽への一歩」

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サムスン信頼低下24%

技術の信頼性が生命線

 

韓国経済は、集中的な災難に見舞われている。サムスンの新型スマホが発売早々、バッテリーの発火事故によって、世界全体の出荷台数250万台の全量交換を迫られている。もう一つは、韓進海運の会社更生法申請である。いずれも韓国のトップ企業である。この不祥事は沈滞する韓国経済の雰囲気を一層、暗くしている。

 

サムスンのスマホは、新技術を採用した自信作である。だが、バッテリーで爆発事故が起こった。系列企業のサムスンSDI製品が引き起こしたものだ。新型スマホの発売を急いだ結果、十分な技術的な見直しがなされなかった結果とされている。

 

『中央日報』(9月12日付)は、今回のバッテリーの発火事故が、次のような過程を経て、世界中で使用禁止措置にまで拡大している事実を伝えている。

 

バッテリーの発火事故は、すでに世界全体で35件に及んでいるという。 9月8日、米国では「ギャラクシーノート7を充電して発火したようだ」と主張する2度の火災が発生した。この火災で家屋1軒と車両1台がそれぞれ焼けたと伝えられている。火災の原因がノート7なのかは詳細な調査が必要だが、同日米連邦航空局(FAA)は「機内でノート7を使ったり充電したりせず電源を消しておくように」と勧告した。9日には米消費者製品安全委員会(CPSC)が、「ノート7のユーザーは製品を使わず電源を消しておくように」と公式勧告を出した。

 

こうして発火事故の波紋はあっという間に世界へ広がった。9日に日本の国土交通省と欧州航空安全局、カナダ交通省なども使用中断勧告を発表した。10日にサムスン電子は、全世界の消費者に「(新製品交換前まで)ノート7を使わず電源を消しておくように」と告知した。韓国政府国土交通部も同日、「機内ではノート7を使わず委託手荷物でノート7を送らないように」と勧告するにいたった。

「ギャラクシーノート7」の事故が、サムスンのイメージにどのようなマイナスを及ぼすか、注目されている。発火事故は今後、どのような広がりを見せるか分からないが、現時点では、次のような「マイナス通信簿」となって現れている。サムスンは韓国経済の屋台骨である。それにヒビが入った現実を軽く見てはならないだろう。

 

サムスン信頼低下24%

『朝鮮日報』(9月12日付)は、次のように報じた。

 

(1)「アンドロイド端末専門メディアの米『アンドロイドポリス』が発表した一般インターネットユーザー1万1621人を対象にしたアンケートの結果によると、ギャラクシーノート7のリコールに絡み、『サムスンブランドに対する認識に影響を及ぼしていない』との回答が39%を占めた。『サムスンの迅速で効果的な対応に、信頼がさらに高まった』も37%に達した。好意的な反応が全体の76%を占めたことになる。その一方で、サムスンのスマホに対する信頼が『多少低下した』は13%、『大きく低下した』は11%にとどまった」。

 

前記の内容を要約する。

①  サムスンブランドに対する認識に影響を及ぼしていない 39%

②  サムスンの迅速で効果的な対応に、信頼がさらに高まった 37%

③  サムスンのスマホに対する信頼が「多少低下した」 13%

④  サムスンのスマホに対する信頼が「大きく低下した」 11%

結局、サムスンブランドを信頼するが76%。信頼が低下したが24%と、約4分の1に達している。単純に言えば、これまでのシェアの4分の1を失う恐れが出てきたのだ。

 

(2)「別の海外メディア、『GSMアリーナ』はギャラクシーノート7を交換して使い続けるか、別のスマホに変えるかを尋ねるオンライン投票を実施した。12日までに発表された結果では、7465人のネットユーザーのうち63%がギャラクシーノート7の交換を待つとした。37%は別の製品を選ぶと回答した。電子業界の関係者は『サムスン電子ブランドに対する顧客の忠誠心が予想より高いことが分かる』と話した。韓国の購入者も返品より交換を選んだ」。

 

前記の内容を要約する。

①    ギャラクシーノート7の交換を待つ 63%

②    別の製品を選ぶ 37%

要するに、新しい「ギャラクシーノート7」の交換を待つ人は6割強。別の製品に乗り換えるが4割弱である。これは、決して安閑としていられるものではない。現在、サムスンの世界シェアは、23.7%(2016年1~3月期)でトップである。2位のアップルは15.4%(同)であるが、その差は8.3ポイントである。アップルの新製品が発表されたので、こちらへ顧客が流れる可能性は大きく、今年の年末にはシェア逆転の可能性が大きくなった。

 

サムスン・スマホに対する信頼「低下」が、約4分の1もあることは、サムスンにとっては痛手である。他の分野では、過去の事故をきっかけにトップ企業が衰退したケースもあるのだ。

 

『韓国経済新聞』(9月12日付)は、次のように報じた。

 

(3)「ソニーのバッテリー問題は、2006年8月に米デルコンピュータが、400万台以上の自社ノートブックPCに搭載されたソニーのリチウムイオンバッテリーパックをリコールして始まった。バッテリーパックに欠陥があり、過熱により発火する事例が何回も発生した。 問題になったソニーのバッテリーは、HP、アップル、富士通、レノボ、東芝などのノートブックPCにも使われた。同年10月までにリコール対象に指定されたソニーのバッテリーパックは、実に960万個に達した。バッテリー業界1位だったソニーはこの問題を契機にサムスンSDI、LG化学、パナソニックなどに押し出された。結局今年7月、リチウムイオン電池事業部の売却を発表した」。

 

ソニーは1991年、世界で初めてリチウムイオン電池を商品化した。だが、2006年8月、米デルコンピュータの400万台以上のノートブックPCに搭載されたソニー製のリチウムイオン電池が発熱による発火事故を起こしてつまずいた。その結果、今年の7月、ソニーはリチュウム電池事業から撤退せざるを得なかった。

 

実は、今回のサムスン・スマホの発火事故は、前記のソニー事故と同じである。サムスンは2000年にリチウムイオン電池に参入(サムスンSDI)して、現在はシェア1位である。「サムスンSDIは今年、アップルのサプライヤーに加わった。サムスンSDIはアップル向けに現在、バッテリーを供給しているかどうかの質問には回答を避けた」(『ウォール・ストリート・ジャーナル』9月6日付)。アップルは、もしサムスンSDIから納入されていないとすれば、危ないところで難を逃れた形だ。

 

サムスンのスマホ事故は、一段とサムスンの責任を重くさせている事情がある。サムスン系列の電池メーカー、サムスンSDIが引き起こした事故であるからだ。他社製品であれば、サムスンの責任は薄められるであろうが、自社系列製品の事故である。こうなると、サムスンSDIを整理でもしない限り、サムスン製品への不安は付きまとう。ソニーが、リチュウムイオン電池のパイオニアであっても、事故が起これば一巻の終わりである。サムスンにとっては、実に気の重い事故となった。

 

技術の信頼性が生命線

『朝鮮日報』(9月12日付)は、社説で「サムスン新型スマホのリコール、トヨタと同じ轍を踏むな」と論じた。

 

この社説は、極めて論理的である。サムスンのスマホ事故の責任を転嫁することなく、厳しくその責任の所在を追求しているからだ。トヨタの急加速の問題は、米議会が選挙を前にした議員のスタンドプレーであった。トヨタを陥れるために大学研究施設までグルになって偽データを発表したことが、後に判明している。結果的には、トヨタ技術の正しさが認められた「事件」でもある。

 

(4)「サムスン電子は世界で販売した250万台の『ギャラクシーノート7』を全量リコール(無料回収・修理・交換)すると発表し、これで事態は収拾するかと思われたが、米国の複数の政府機関が同製品の使用中止を呼び掛けたことで、サムスンブランドは大きな打撃を受けることになった。IT業界では『米当局が自国の企業を守るために過剰な措置を取った』との声も聞かれる。仮にそうだとしても、欠陥のある製品を作ったサムスンの責任が消えるわけではない」。

 

米国では、サムスンの新型スマホの充電中に爆発が起こり、住宅が火災を起こしている。こうなると、政府機関がサムスン製品の使用中止を呼びかけることは当然の措置である。「米当局が自国の企業を守るために過剰な措置を取った」というレベルの話しではない。今後、同種の事故が発生した場合、国民に注意を呼びかけなかった政府の責任を追及されるのだ。韓国国内の見方は間違っている。

 

(5)「今回の事態は、技術を最優先に考えなければ企業にどのような危機が襲い掛かるのか、ということを示してくれた。サムスンが米アップルに追い付いたのも技術のおかげだった。『ギャラクシーノート7』も虹彩認証などアップルの先を行く機能で注目された。しかし、製品の早期発売を優先して切羽詰まったスケジュールで事業を進めていたせいで、バッテリーの問題を見逃してしまった。世界的に最高の企業になるためには『技術最優先』が信仰レベルに達しなければならない。この点でサムスンは未熟だという事実が明らかになった」。

 

サムスンが、その経営の基礎を固めたきっかけは、日本の半導体技術の「窃取」にある。拙著『サムスン崩壊』で詳述したが、正式なライセンス料を払わず、日本の半導体技術者を「アルバイト」で傭って手に入れた技術である。これが、サムスンの経営手法であり、自社技術の育成には関心を示さずにきた。今回の事故は、過去の自社技術育成軽視の表れである。朝鮮日報がいみじくも指摘するように「技術最優先」ではなかったのだ。

 

日本は「ガラパゴス」と揶揄されるほど、自社技術にこだわってきた。それでも、ソニーのリチユムイオン電池のように、パイオニアであっても事故を起こせば消える運命である。サムスンにその覚悟はあるのか。今、それが問われているのだ。

 

(6)「今回の事態が2006年のソニーのPCバッテリー加熱問題や、09~10年のトヨタ自動車の急加速問題 のように、企業の危機に発展するような事態に至ることは避けなければならない。迅速なリコールと徹底した補償を最優先にすべきだが、根本的にはサムスンの役員・社員全員が『技術最優先』という信念を骨の髄まで染み込ませなければならない。ほかの各企業も同様に考えるべきだ」。

 

サムスンに限らず、韓国企業全般に当てはまるが、「技術最優先」とはとても言いがたい企業行動である。目先の利益を追い求め、長期的な技術開発には関心を向けないのだ。韓国経済がここまで発展してきた原動力は、日本の技術と資本のお陰である。その認識がないままに現在に至っているのだ。

 

重ねて言えば、韓国経済はサムスンのつまずきに象徴されるように、日本からの「借り物技術」に支えられてきた。「反日」をやりながら日本の技術に依存するという倒錯した関係にある。この際、徹底的に苦しむことによって、日本がいかに韓国経済へ貢献してきたか。それを肌身で理解するきっかけになろう。

 

(2016年9月23日)

 

お知らせ:拙著『サムスン崩壊』(宝島社発行 定価・税込み 1402円)がこのたび発売となりました。サムスンの新型スマホは発売早々、爆発事故を起こしその影響が懸念されています。サムスンは、日本の半導体技術を窃取し、円高=ウォン安をテコにして急発展しました。スマホの一本足経営です。ぜひとも、本書をお読みいただきたくお願い申し上げます。

 

 

 

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させていただきます。よろしくお願い申し上げます。

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