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2016-07-25 04:28:42

韓国、「南シナ海判決」竹島は日本領へ飛び火「極度に怯える」

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揺らぐ竹島帰属根拠
韓国は逃げ道を探す

常設仲裁裁判所は7月12日、中国による南シナ海の「九段線」に基づく領海主張を「歴史的権利なし」と明快に否定した。日米政府は早速、この判決を歓迎するとの談話を発表したが、同じ自由圏に属する韓国の態度表明は、16時間後に短く曖昧なものに止めた。

韓国政府はなぜ、判決後これだけの時間を掛けたのか。

オバマ米大統領はこれまで、韓国に対して南シナ海での中国の行動を非難するように要請してきた。半ば、怒りを込めた発言にもかかわらず、韓国政府の煮え切らない態度の裏には、中国政府への「遠慮」があると見られてきた。ところが、それだけでないことが判明した。竹島の帰属をめぐって、日本政府がかねてから国際司法裁判所への提訴を発言してきたが、その都度、韓国が拒否してきた。今回のフィリピン政府による仲裁裁判所への提訴であれば、相手国(今回は中国)の応訴に関わらず、判決が出ることが分かったのだ。

韓国としては、南シナ海の問題は重大な事態の出現である。再び日韓関係が悪化した場合、日本政府が単独で仲裁裁判所へ提訴する可能性もある。そうなると、韓国の「不法占拠」が明らかになる。これは、韓国政府にとって「一大事」だ。韓国政府が、今回の「南シナ海」問題を他人事ならず、深刻に受け止めている背景は「竹島問題」にある。

揺らぐ竹島帰属根拠
韓国紙『ハンギョレ新聞』(7月13日付)は、「韓国政府、南シナ海判決、16時間後に短く曖昧な声明」と題して、次のように伝えた。

『ハンギョレ新聞』は、韓国の野党系メディアとされている。『朝鮮日報』や『中央日報』とは、やや報道姿勢が異なるが、その視点は興味深い。
この記事では、南シナ海判決の報道において、前記二紙が明確にしなかった竹島との関連性が取り上げられている。韓国政府の苦悩ぶりが窺えるのだ。

(1)「フィリピン政府の提訴で始まった南シナ海紛争に関連する国際常設仲裁裁判所(ハーグ所在)の判決に対して、韓国政府が7月13日、『外交部報道官声明』形式の公式反応を出した。判決は12日午後6時(韓国時間)、外交部報道官声明の発表は13日午前10時30分に行われた。公式反応が出るまでに16時間30分を要した。米国、中国、フィリピン、ベトナム、台湾など各国の利害関係が尖鋭に絡んだ南シナ海紛争という高次関数を前にした政府の悩みの深さを裏付ける。誰も口にはしないものの、南シナ海紛争と関連した国際司法機関の初の判決であるこの裁判結果が、独島(注:竹島)を巡る韓日の軋轢にも飛び火する余地が排除できず、政府の苦悩は一層深い」。

竹島問題は、これまで日韓関係の喉に突き刺さった二つの問題の一つである。一つは慰安婦問題であるが、これは昨年暮れに日韓政府の合意によって解決に向かった。残りの竹島はもっとも敏感な領土問題である。韓国が日本を「帝国主義」と非難してきた根拠は、日本の竹島領有権主張にある。竹島は、韓国の「不法占拠」であることが国際法上で明らかになれば、その打撃はまことに大きいはずだ。韓国にとっては、「天変地異」にも等しい世紀の大事件に発展する。

韓国の歴代政権は、韓国国民を騙してきたことになる。とりわけ、竹島を韓国領へ強引に編入した李承晩(イ・スンマン:1875~1965年)初代韓国大統領の罪は深い。「反日大統領」の元祖である。日本の被占領中、勝手に日本海で「李承晩ライン」を敷き、どれだけ多数の日本漁船を拿捕し、没収したか分からない。私は、その痛ましい報道を聞きながら子ども時代を過ごしている。多くの日本の漁民が無実ながら抑留されてきた。日本にとって、「竹島」は韓国への深い恨みの島になっている。

(2)「外交部報道官声明は僅か二つの文章からなっている。表現も極めて抽象的だ。最初の文章はこうだ。『(韓国)政府は主要国際海上交通路である南シナ海での平和と安定、航行と上空飛行の自由は絶対に保障されなければならず、南シナ海紛争が関連合意と非軍事化公約、国際的に確立された行動規範に則り解決されるべきという立場を一貫して堅持してきた』。既存の公式見解の繰返しだ」。

南シナ海判決に当たって、韓国外務省声明は二つの文章からなる。「南シナ海紛争が関連合意と非軍事化公約、国際的に確立された行動規範に則り解決されるべき」という従来の公式見解の繰り返しである。オバマ米大統領は、韓国政府の「毒にも薬にもならない」どっちつかずの見解に、苛立ってきたのだ。今回も、この部分は繰り返えされている。

(3)「注目すべきは二番目の文章だ。『政府は7月12日に発表された仲裁裁判判決に留意し、これを契機に南シナ海紛争が平和的で創意的な外交努力を通じて解決されることを期待する』。この文章の『平和的解決期待』も政府がこれまで繰り返してきた公式見解だ。だが、判決結果に『留意』(take note)するという表現は注目に値する。『支持』や『尊重』という表現とは大きく異なる。『留意』には価値判断が含まれない外交用語だ。裁判の結果が『無効で拘束力がない』という中国政府はもちろん、『最終的かつ法的拘束力があると見なければならない』という米国政府の反応ともニュアンスが違」。

韓国外務省は、もう一つの文書で「仲裁裁判判決に留意し、これを契機に南シナ海紛争が平和的で創意的な外交努力を通じて解決されることを期待する」とした。「留意」という単語を使っているのだ。「留意」とは、賛成や反対という意思表示とは別に、「関心をもっている」という意味である。これだと、米中双方から「睨まれる」懸念はないという苦肉の策である。そして、この文言を使った背景には将来、「竹島問題」で日本政府が仲裁裁判所へ提訴してきたときの対応を考えている、というのだ。

(4)「『留意』という表現を『創意的な外交努力を通じて解決されることを期待する』という字句と重ねてみれば、外交政策的な脈絡がやや明らかになる。今回の判決が、紛争の激化に飛び火する導火線となる恐れがあるので、司法的手続きのみに依存することなく『外交交渉を通じて創意的に共存共生の出口を用意して欲しい』という願いが含まれている。南シナ海を巡る米中の激しい対立と軋轢の渦中に身動きできる余地を確保しなければならない韓国政府の苦しい境遇が垣間見える」。

留意という表現の中に、韓国が米中双方に顔を立てているという、ヌエ的な存在を印象づけている。実は、そうでないという指摘を次のパラグラフでしている。まさに、「敵は本能寺」であって、「敵は竹島=独島」にあるのだ。司法的な判断で中国に歩はないが、中国とフィリピンが外交交渉の余地も残しておけと指摘している。

将来、日本が竹島の帰属を仲裁裁判所に訴えた場合、韓国が敗訴したケースを想定しているのだ。司法的には日本領であっても、韓国との外交的な話し合い余地を残して置いて欲しい。こういう願望が込められた発言と読める。次のパラグラフが、これを明確にしている。

(5)「韓国政府のこうした慎重で曖昧な反応には、米中軋轢の間でバランスを取るだけでなく、今回の裁判結果が日本の独島挑発を刺激しかねないという憂慮も作用したものと見られる。『竹島(独島)を韓国が不法に占拠している』と主張してきた日本政府が、独島問題を仲裁裁判所に提訴する可能性を排除できないためだ。ただし、法理だけでなく、北東アジア情勢などをあまねく考慮しなければならないため、日本政府が少なくとも現時点では仲裁裁判所に提訴する可能性は高くない。これと関連して韓国政府は『(南シナ海紛争)判決の内容と(独島問題との関連性有無についての)法的含意などに対し、政府次元で綿密に検討する予定』(12日外国部チョ・ジュンヒョク報道官)とし、慎重な態度を取っている」。

韓国政府の竹島に関する公式見解は、「歴史的、地理的、国際法的に明白な韓国固有の領土であり、外交交渉や司法的解決の対象にはなりえない」としている。それだけ、自信があるならば、これまで日本政府が国際司法裁判所への提訴を受け入れるように要請してきたのだから応託すれば良かったはずだ。それを拒否してきたのは、「歴史的、地理的、国際法的に明白な韓国固有の領土でなかった」ことの証明を恐れた結果であろう。韓国初代大統領の李承晩が、強引な「李承晩ライン」を引いて、韓国領に編入したのが事実だ。

私は、島根の隠岐の島へ行ったことがある。その折に聞いた話しだが、戦前は竹島まで漁に出かけていた。おいしいアワビが、たくさん獲れたのだ。皇室にも献上した。小船が、沈みかねないほど、アワビを積んで帰港したという。明らかに日本の領土である。仲裁裁判所であれば、今回のフィリピンと同様に、日本だけの提訴で仲裁裁判が始まる可能性が出てくる。韓国政府が、もっとも恐れる事態が持ち上がるのだ。

韓国は逃げ道を探す
『中央日報』(7月16日付)は、この問題について次のように報じている。

この記事では、『ハンギョレ新聞』と主旨は同じだが、やや違った角度から南シナ海判決を報じている。これは、日米韓三カ国の外交当局者の記者会見の模様を報じたもの。この中で、日米と韓国では、南シナ海判決に対する評価が微妙に違っていること。韓国が一歩、腰が引けた姿勢で南シナ海判決に臨んでいるのは、「竹島=独島」問題を抱えているからだと論じている。韓国二紙の報道が一致していることから見て、韓国政府は将来の「竹島=独島」問題を見据えて、その時の「逃げ道」を探し始めている感が強い。

この視点が正しいとすれば、韓国にとって今回の南シナ海判決は、頭痛の種になろう。これまでのような「日本帝国主義」を声高に唱えた日本批判は、後々の事態を考えると極めて不都合な事態になるからだ。国際司法の場で、竹島が日本領であることが確定すると、韓国の「不法占拠」という不名誉な事態に暗転する。これまでの日本批判の立場が、逆転するのだ。今後の韓国政権にとって、最大の外交案件になった。

(6)「7月14日午後(現地時間)、米ホノルル・ハレコアホテルのルアウガーデン。韓日米外交次官の共同記者会見で、日本の記者が質問した。林聖男(イム・ソンナム)外交部第1次官、杉山晋輔・外務省事務次官、ブリンケン米国務副長官がアジア太平洋安全保障研究センターで4時間ほど懸案について協議した後、結果を伝える場だった。3カ国の次官が会ったのは12日の仲裁裁判所の判決後初めてだった」。

(7)「記者会見中、韓国と日米の間で微妙な立場の違いが見られた。記者会見で最初に発言したブリンケン副長官は、『今回の判決は南シナ海紛争の解決に重要な寄与をするものと考える。判決は中国とフィリピンの双方が守るべき“法的拘束力”を持つ』と強調した。 杉山事務次官は、『海洋安保に関連し、完ぺきに法治に基づいた解決が重要』とし『海洋法条約に基づいて下された今回の司法府の決定は最終的な“法律的拘束力”を持つ」と述べた』。

日米の外交当局者は、南シナ海判決が「法律的拘束力」を持つと説明した。司法の判断が、「拘束力」を持たないわけがない。そうなると、中国の立場が苦しくなる。国連常任理事国として拒否権まで持つ中国が、自ら不都合な判決だから守らないでは筋が通らないのだ。ならば、常任理事国の座を捨てる決意があるか、と問えばあるはずもない。「我が儘」な振る舞いとして、その影響力は削がれて行くに違いない。

(8)「林次官(韓国)は、『今回の判決を契機に南シナ海の問題が外交的努力により平和的に解決することを希望する』とのみ話した。判決の意味と効力に対する評価は排除された表現だった。林次官は記者会見中にこの文章を3回繰り返した。一方、ブリンケン副長官と杉山事務次官は法治(rule of law)、適法性(legality)、法的拘束力(legally binding)などの言葉を繰り返し使用した。林次官の発言にはない言葉だった」。

韓国の外交当局者は、奥歯にものが挟まった言い方に終始したという。「外交的努力により平和的に解決することを希望する」と同じ文言を3度も繰り返して、言葉を濁さざるを得なかった。それは、韓国政府がいつの日か、中国と同じ立場に立たされる公算が強まっているという判断があるからだろう。日韓関係が悪化すれば当然、「竹島問題」が国際司法の場に持ち出される。その際、韓国は中国の敗訴から連想されるように、自らも「敗者」に転落する。それを、想定しているのであろう。

(9)「林次官は、『国際規範(international agreements)』と表現したが、ブリンケン副長官と杉山事務次官は『国際法(international law)』と述べた点も違った。 外交消息筋は、『(林次官の発言は)米中の対立だけを考慮したのではない』とし、『日本が独島(ドクト、日本名・竹島)についてごり押しの主張をしながら、この問題を国際法廷に持っていこうとするため、国際法で正面対立した場合の有利・不利を性急に判断できない状況で、政府の立場は慎重にならざるを得ない』と話した」。

韓国当局者は、「国際規範」なる言葉を用いた。日米当局者は、「国際法」なる用語を用いているという。南シナ海の判決は、司法の判断であるから「国際法」である。韓国当局の「国際規範」という緩い縛りではない。韓国が、この「国際規範」を持ち出したのは、「竹島敗訴」において、韓国にも逃げ場を与えて欲しいという気持ちが滲んでいる。韓国にとって、もはや「反日」で得るものが、なにひとつないことを明らかにした。過去70年余、日本批判を繰り返してきた韓国は、「竹島問題」で絶体絶命の立場に追い込まれた。

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(2016年7月25日)





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2016-07-24 05:58:02

中国、「庶民の重税」高い税金は福祉に使わず軍事費へ回す

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マルクスが描いた「労働者天国」は、いつになったら実現するだろうか。中国庶民は高い税金を負担しながら、それに見合った福祉を与えられずにいる。中国の庶民が、どれだけ税金を負担しているか、その実態を知らないままに過ごしてきた。富裕階級にとって中国は、相続税も固定資産税も存在しない「金持天国」である。この中国式「社会主義」は、庶民を食い物にするモンスターである。

税金の話しは、小難しくてどこでも敬遠される。だが、高齢社会になると社会福祉の充実が深刻な問題になる。日本でも、「老人ホーム」の不足が日々の話題になっている。中国はこれまで、社会福祉問題は二の次、三の次にされて、軍事費拡大が最大の眼目になってきた。事情を知らされていない国民は、「国威発揚」の証と軍事費膨張を喜んでいる。国民は、満足に病気治療も受けられない。その矛盾に気づかずにいるのだ。お気の毒と言うほかない。

『大紀元』(7月15日付)は、次のように伝えた。

この記事では指摘していないが、中国政府は4月1日から国内景気のてこ入れで大規模な減税に乗り出した。企業の売り上げにかける「営業税」を廃止し、売り上げから仕入れを引いた粗利にかける「増値税」に一本化する税制改革を実施している。今年の減税規模は5000億元(約8兆2000億円)超を見込んでいるという。景気を下支えするとともに先進国並みの税制導入で、産業の高度化につなげる目的と言われる。

記事で出てくる「営業税」は、すでに廃止されているからそのつもりで読んでいただきたい。なお、「税金の話しは苦手」とする方は、私のコメントだけでも読んでいただきたい。中国の税制が「庶民重税」である現実を理解してもらいたい。「社会主義」とは、民の生活が楽になるのが原則であろう。それとは逆行している事実を知って、社会主義の放つ幻想から目を覚ましていただきたいのだ。

(1)「『南都週刊』が2010年に報じた『中国の隠れた税収一覧 驚愕の事実』と題した記事によると、中国人の多くは、個人に納付義務のあるのは所得税だけだと考えている。それは誤りで、複雑な税制度のなかで多く徴収されている。世界銀行によると、2012年で中国人労働者の収入に対する税率が45%にも達するという」。

世界銀行の調査では、中国人労働者の収入への税率が45%(2012年)にもなっている。ここで日本、ドイツ、スウェーデン3ヶ国の国民負担率(対国民所得:2013年)を見ておきたい。

日本     ドイツ    スウェーデン
個人所得課税   7.8   12.8    18.5
法人所得課税   5.4    2.4     4.0
消費課税     7.2   13.9    18.8
資産課税     3.7    1.2     8.7
社会保障負担率 17.5   22.2     5.7
合計      41.6   52.6    55.7
(老人人口比率)25.1   20.6    18.6

中国の老人人口比率は9.6%(2015年)である。上記の3ヶ国の老人人口比率は2013年であるから、厳密な比較はできないものの、おおよその比較が可能である。私が言いたいのは、中国の老人人口比率が10%以下にもかかわらず、中国人労働者収入への税率が45%と高いことである。日本の老人人口比率はざっと中国の2.5倍である。それでも日本の国民負担率は41.6%であり、中国を下まわっているのだ。

なぜ、中国の負担率が高いのかである。老人人口比率が10%以下の段階で、日本以上の負担率になっている理由は、軍事費の負担が大きいことであろう。私が、ブログで繰り返し指摘してきたように、中国はこれからの高齢社会で、軍事費と社会保障費の負担によって「財政破綻」に陥る危険性が高い。こういう事態をまったく想定しないで、中国は軍拡につとめている。典型的な「帝国主義国家」として振る舞っているのだ。

(2)「中国の税金は個人所得税と流通税に大別できる。個人所得税は全税収の7%を占めており(2014年の統計)、流通税とは商品の流通過程で課税される諸々の税金の総称で、増値税、営業税、消費税、関税からなる。間接税である流通税は一般市民には課税額が分かりにくいため、『隠形税(隠れた税、ステルス税)』とも呼ばれている。実は中国人は日常生活を送りながら様々な形で納税している。住宅や車の購入といった金額の大きなものから、食べ物や衣類といった生活必需品の購入まであらゆる消費活動が納税している。自宅で一口の水道水を飲んでも、そこには6%の増値税が課税されている。ただお金を使うだけで、納税の義務が発生する」。

中国の税金は個人所得税と流通税に分けられる。前者は直接税であり、後者は間接税である。個人所得税は、直接税であって所得金額に応じて課税される。流通税は間接税であり、所得金額に関わらず一律に課税される点で不公平感をもたらす。高所得者には負担が軽く、低所得者には負担が重くなるのだ。日本では消費税率が8%であるが、別枠であるから重税感が強くかかる。来年4月から消費税10%への引き上げを延期した理由は、重税感が消費を圧迫するという懸念である。中国の場合、販売価格に一本化されているので、どれが消費税分か。営業税(売上に課税される)分はどれだけかという区分が不明になっている。

(3)「増値税、営業税(注:4月から廃止)、消費税の税金3本柱に加え、中国人は買い物をするたびに1%から7%の都市建設維持税を納付している。例えば、街中で100元のCD1枚を購入した場合、増値税の17元に7%を乗じた1.19元(約19円)が都市建設税として販売価格に含まれている。文末にはAさん一家の3年分の平均課税額が計算(省略)されているが、そこには課税額が収入の51.6%を占めるという驚くべき結果が記されている。このように、中国では諸々の物品に世界でも類を見ないほど高額の税金が課せられているが、増値税や消費税といった間接税は表示価格にあらかじめ転嫁されているため、消費者が税を負担していると実感しづらい。このため、徴収する側にとっては非常に都合のよい制度だといえる」。

中国では、増値税や消費税のほかに、「1%から7%の都市建設維持税」が課されている。ある家計をモデルにした課税額を計算すると、収入の51.6%を占めるという結果になった。世銀の調査では45%であったが、ここでは50%強の負担率になっている。前記の3ヵヶ国比較では、ドイツやスウェーデン並みの負担である。だが、中国は「豊かになる前に老いる」状態だ。社会保障費負担が、それだけ大きくのしかかる。

中国は社会保障費負担が低い段階で、先進国並みの税負担率とは、財政政策がいかに歪んでいるかを証明している。①国有企業への手厚い補助金、②中国共産党員8800万人(2014年末)の扶養、さらに③膨大な軍事費負担が、こうした財政状態を生み出しているのだ。今後はさらに、④社会保障費がうなぎ上りに増えて行く。⑤不良債権処理問題もこれに加わる。どうやってこの財源を捻出するのか。他国を軍事威嚇し、それが国威発揚の証などと誤解していると、中国財政はいずれ破綻するだろう。

(4)「中国作家協会発行の文芸雑誌『作家文摘』のバックナンバーに、中国と米国の物価を比較する記事が載せられていた。そこでは、中国国内の商品にかけられる税率は、米国の4.17倍、日本の3.76倍、EU15ヵ国の2.33倍に相当し、世界一高額だと結論付けられている。『中国の税率がここまで高いのは、国家予算のほとんどが間接税でまかなわれているからというごく単純な話だ。様々な名目の税金が物品の流通過程で次々と価格に転嫁され続け、最終的には消費者にそのツケが回ってくる』と記事は指摘する」。

中国国内の商品にかけられる税率は、米国の4.17倍、日本の3.76倍、EU15ヵ国の2.33倍に相当し、世界一高額だとされている。中国人観光客が、海外で「爆買い」する事情がよくわかるのだ。中国政府は、必死になって「爆買い」抑制に動き出している。だが、中国国内の商品価格が「税金の塊」であれば、海外で安く買おうというのは、ごく自然な動きであろう。

(5)「『南都週刊』が2010年に報じた記事で、中国国民は複雑な税制度のなかで、知らぬ間に収入の約半分を納税していることが暴かれた。最近、ネットにこの記事が再転載されたことで、政府による『ステルス税(隠された税)』制度に対してネットユーザーが次々と怒りのコメントを書き込んだ」。
①中国人は世界一の高額納税者にもかかわらず、世界最低水準の社会保障しか受けることができない。そして、基本的な自由や権利も与えられていない。
②われわれの収入の半分を、政府が横取りしているということだ。だが、徴集された税金がどう使われているか、我々に知るすべはない。
③人民から取り立てて、それを使う?国家機密だと?
④国は富み、民が窮乏する根源だ!」

中国の税体系が「ステルス税(隠された税)」とは、実に言い得て妙である。国民が知らない間に財布から現金が抜き取られているに等しい。この事実を知った現在、軍拡がもはや「国威発揚」の手段で万歳とは言えないはずだ。中国人は高い税負担者にもかかわらず、世界最低水準の社会保障しか受けられないのだ。そして、基本的な自由や権利も与えられていない。こう嘆くのは、もっともなことであろう。ただ、同情はしても、外国人にとってはどうにもならないのだ。

中国が世界覇権を目指して、東シナ海や南シナ海で莫大な軍事費を使っている。その影で、迫り来る高齢社会への準備はないままに放置されている。これでは、必ず財政破綻を迎えるに決まっている。土地を使った打ち出の小槌は、もはや機能不全である。その副作用によって、不良債権が累積し続けている。習近平氏にとって、絶体絶命のピンチが迫っているのだが、「知らぬは亭主ばかりなり」である。

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(2016年7月24日)


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2016-07-23 05:36:08

中国、「北朝鮮ノービザ」米中対立で中朝親密化へ踏み出す

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中国はアジアで孤立感を深めている。南シナ海判決では完敗だ。韓国が、中国の反対にもかかわらず、「THAAD」(高高度ミサイル網)導入を決めた。「反日」をテコにして、中韓は密接な外交関係を固めたが、中国は北朝鮮による核開発を抑止できず、韓国の期待を裏切った。しびれを切らした韓国が、「自衛権」を盾にして中国の反対を押し切ったのだ。

忿懣ややるかたない中国が、間髪を入れずに打った手は、北朝鮮へ入国できる地域限定の「ノービザ」制度を始めたことだ。この地域限定の「ノービザ」は、アライバルビザ(観光ビザ)の一種である。ビザ取得は現地で行うために、アライバルビザと呼ばれる。

前もって大使館でビザを取得しなくても、現地でアライバルビザを使って入国できるのが特徴。アライバルビザを出す国は限られている。主な国には、インドネシア・ミャンマー・ラオス・カンボジア・エジプトなどがある。北朝鮮が中国人向けだけに、始めるのかどうかは不明。身分証明書や写真や申請書などがあれば、取得できるという。

『人民網』(7月14日付)は、次のように伝えた。

(1)「2年あまりの準備期間を経て、中国人観光客が朝鮮を訪れる『上陸旅行』がこのほど正式にスタートした。パスポートを持たない中国人観光客が、遼寧省丹東市から朝鮮側に渡航して、異国情緒を楽しむことができる。この旅行商品を扱う遼寧省丹東市の中国国際旅行社の全順姫総経理は、『7月9日同プロジェクトが開始してから3日足らずで、1000人近い観光客を受け入れた』と説明した」。

中朝の国境線である鴨緑江を挟んで、国境の街である丹東市(中国)と新義州市(北朝鮮)が、地域限定型の「ノービザ旅行」を始めた。訪問時間は、半日だけという慌ただしい旅行である。だが、中朝両国の雪解けムードという事実が浮上した。

北朝鮮は、度重なる国連からの制裁を無視して核開発やミサイル発射実験を繰り返している。中国も、国連による制裁に表向きは協力した形だが、北朝鮮の「外貨獲得」を助けるべく、北朝鮮旅行への支援に乗り出したもの。改めて、中朝「血の同盟」を確認することになった。中国にとって、朝鮮半島という地政学的な重要性から判断すれば、韓国よりも北朝鮮を選ぶのは当然である。中国は鴨緑江を挟んで北朝鮮と国境を接している。北朝鮮が民主主義国になることは、中国にとって最大の政治的危機である。こうした地政学的視点に立てば、最終的に北朝鮮を選択するだろう。韓国は、それを完全に見誤ってきた。中国は、北朝鮮よりも韓国を重視している。そう過信していたのだ。

(2)「滞在可能時間は半日で、料金は350元(約5500円)。パスポートは不要で、身分証明証を持って、丹東市の公安当局で『出入境通行証』を申請し、(北)朝鮮の入国検査当局の審査に通れば、渡航が可能になり、アライバルビザに類似している。中国人観光客が観光できるのは、指定された約3万平方メートルの観光エリア。朝鮮の民族音楽や舞踊を鑑賞したり、正真正銘の朝鮮の特産品などを購入したり、バスに乗って新義州(シニジュ)を観光したりできる」。

滞在可能時間は半日という。正味は3時間程度か。料金といっても入場料であろうが、約5500円程度で「指定された約3万平方メートルの観光エリア」を楽しむというのだ。ディズニーランドを想像すると間違うが、歌や踊りを鑑賞した後で、北朝鮮の特産物をお土産に買って帰る。ごく地味な「小さな旅」という趣であろう。

(3)「丹東市と新義州は鴨緑江を挟んで向かい合う国境の町。毎年11万人以上の観光客が丹東から朝鮮側に渡航する。全総経理によると、同プロジェクトのポテンシャルは大きく、今後第二期の工事が終わると、観光エリアは13万平方メートルに拡大し、1日当たりの観光客数が最大で約1万人になると見込まれている」。

これまで、丹東市から新義州への観光客は年間11万人以上であったという。新義州では第二期工事が終わると、観光エリアは13万平方メートルと、現在よりも4倍強に拡張される。これによって、1日最大1万人の観光客を受け入れ可能という。年間では、360万人以上になる。現状の中国人観光客が年間11万人以上というから、約32倍も増える計算だ。北朝鮮には貴重な外貨収入源になる。入場料だけで、ざっと2000億円になる計算だ。

今回のアライバルビザ方式による特定地域の観光旅行は、中朝関係の雪解けを象徴するが、すでに5月末にその兆候は出ていた。北朝鮮・朝鮮労働党のリ・スヨン政務局副委員長が率いる北朝鮮代表団による訪中があった。

ここ数年、関係が悪化していた中朝関係が、和解の方向に向かうきっかけになりそうだ。韓国政府で安全保障政策を担当するある関係者は、「北朝鮮は中国の手を取り、国際社会による制裁局面からの脱却を目指すかもしれない」との見方を示した。中国も今年3月、国連安全保障理事会による北朝鮮制裁決議に賛成はしたものの、今は北朝鮮との交流を最初から拒絶しにくい状況になっている。

米国のオバマ大統領は、日本でのG7出席(5月25日)の前に、ベトナムを訪問し中国に対する圧力を強めようとした。この動きを受けて、中国としても北朝鮮を自国側へ引き入れる必要が出てきた。北朝鮮も状況は同じである。最近、韓国は北朝鮮の伝統的な友好国であるウガンダやキューバなどに働き掛け、北朝鮮孤立政策を進めている。「北朝鮮は、韓国のこのような動きにかなり圧力を感じていることは疑いない」(『朝鮮日報』6月1日付)と見られている。

中国や北朝鮮は、米国や韓国の外交姿勢を受けて変化の兆しを見せている。中朝は、互いに向き合う必要性に迫られているのだ。今回の中国による北朝鮮への「救済策」が、中朝両国の関係改善へと向かわせる重要な一歩になる可能性が出てきたのだ。

韓国も中国に対して、冷静になり始めた気配が見られる。

『朝鮮日報』(7月20日付)は、「中国の報復に屈しなかった日本に学べ」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙編集局の車学峯(チャ・ハクボン)産業1部長 である。元日本特派員だ。知日派であろう。

この記事では、THAADをめぐる中国から韓国への恫喝を跳ね返そうという主旨である。その生きた例としてここ数年、日本が中国から受けた数々の威嚇や恫喝をものともせず、対抗している姿を褒めている。韓国も日本に見倣って、中国の恫喝を跳ね返そうという主張だ。かつての「中韓反日同盟」が、変われば変わったものである。正義は一つ、他国に対して不条理な要求をしてはならないことだ。

(4)「中国の政府とメディアが、韓国への終末高高度防衛ミサイル(THAAD)配備をめぐり、韓国を批判している。韓国では中国による通商報復を懸念する声が上がっている。その根拠の一つが、日本に対する中国の報復だ。 中国が領土紛争はもちろん、歴史認識問題でも日本への脅迫と報復をためらわなかった。2012年9月、日本が尖閣諸島(中国名・釣魚島)を国有化すると、中国は『自国領土だ』として、戦闘機や艦船を送り、武力をアピールした。中国で日本製品の不買運動が起き、トヨタ、ホンダなど日本車の販売台数が半減した。また、通関手続きが遅れ、日本を訪れる中国人観光客による予約キャンセルも相次いだ」。

日本が、中国の「暴挙」に屈しなかったのは、まともな相手と見ていなかったことだ。子どもが、大人に反抗するようなもの。口には出さぬまでも、内心ではそういう受取方をしてきた。「人口・国土・歴史」という3点セットを唯一の自慢にする国家と、真っ正面から争っても意味はない。いずれ、時間が解決すると見ていた。韓国も、中国を恐れる必要性はさらさらないのだ。「中国離れ」をして反省させることが重要である。

(5)「当時、日本の政府も国民もメディアも、中国の報復に恐れを示さなかった。日本メディアは、中国が国際秩序を無視する無茶な行動に及んでいることに焦点を当てて報じた。中国の一部地域では、デモ隊が日本企業の工場や店舗に乱入し、器物を破壊した。反日を口実にした暴動だった。それによって巨額の損失が出た企業もあったが、日本では尖閣国有化の撤回を求める声はほとんど聞かれなかった。 日本が報復の脅しに動じなかったのは、国家的なプライドがあったからだけではない。日本人は、『一度屈服すれば、中国は無茶な要求を繰り返す。中国が国際秩序に従う国になるよう、日本と国際社会が力を合わせるべきだ』と話す。それは単に報復に屈しなかったということなのか」。

中国を現代国家と見てはいけない。秦の始皇帝が、未だに中国全土の立ち現れていると見た方が正解であろう。始皇帝の外交政策である「合従連衡」と戦争論での「孫子の兵法」が、今なお国家政策として踏襲している国家だ。この現実を見据えれば、習近平氏が狙っている覇権論の脆弱性が、自ずと分かるはずである。ドイツ人哲学者のカントが、『永遠平和のために』で説いたように、共和国は同盟を組んで専制国家と対抗する。これ以外、共和国の安全保障はないのだ。韓国は、日米韓三カ国の重みを知るべきであろう。

(6)「中国が貿易の枠組みを破壊するほどの報復措置を取れなかったのは、両国間の貿易が朝貢貿易ではないからだ。現代の貿易は、中国が一方的に恩を施すのではなく、両国にとって利益があるからだ。THAAD配備に関連し、中国の一部勢力が韓国に『通商報復』をちらつかせるのは時代錯誤だ。数百年前に逆戻りしたかのような『覇権的中華主義』が中国で首をもたげている。中国は日本だけでなく、南シナ海で領有権を争うフィリピン、ベトナムに対しても観光客の規制、バナナ輸入締め付けなどの報復措置を乱発している。国際裁判所で敗訴したことには武力アピールで対応している。THAAD配備めぐり、中国が韓国に見せた姿は日本、フィリピン、ベトナムなどにとってはあまりに見慣れたものだ。対応に苦慮して慌てるのではなく、日本の事例を参考にして、肝の座った対応が求められる」。

中国は、貿易を「朝貢貿易」意識で捉えている。これが、間違いの原因である。グローバル経済において、感情的な理由で他国を閉め出すわけにはいかないのだ。各国が集団で行う経済封鎖は可能だが、特定国相手の貿易排除はWTO(世界貿易機関)原則に反する行為である。韓国は、無法国の中国を恐れる必要がない。そろそろ、「事大主義」から脱すべきであろう。一国の主権をかけて、毅然としなければならない。その点で、韓国野党は「事大主義」の殻から抜け出せないでいる。李朝時代の意識そのままである。

お知らせ:拙著『日本経済入門の入門』(定価税込み1512円 アイバス出版)が発売されました。本書は、書き下ろしで日本経済の発展過程から将来を見通した、異色の内容です。中国経済や韓国経済の将来性に触れており、両国とも発展力はゼロとの判断を下しました。日本経済にはイノベーション能力があり、伸び代はあると見ています。ぜひ、ご一読をお願い申し上げます。

(2016年7月23日)

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