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2016-12-06 05:00:00

韓国、「国家大乱」浮沈の瀬戸際にあるが「助ける国はない」

テーマ:ブログ

 

 

李朝末期の混乱と同じ

大統領制改革が焦点

 

韓国は今、大統領が「容疑者」として検察から追及されている。11月29日には、朴大統領が「条件付き辞任」を発表する緊急事態に追い込まれた。その捜査過程を見ていると、検察の強引なやり方が気にかかる。民衆の怒りをバックにして、「どんな告発状でも書ける」と言った調子で、現職大統領を容疑者に仕立てた。確かに、朴大統領も疑われるに十分な状況ではあるが、やっぱり捜査過程としては大統領本人の聴取を待たずに、「容疑者」と名指すことは避けるべきだろう。

 

こうしたことを韓国で言えば「袋叩き」にされることは分かっている。だが、「感情先行」という国民性を考えると、韓国検察は慎重さに欠けると思う。検察が、国民感情に火をつけているのだ。韓国の国民性は、「感情8割・理性2割」とされている。一度、世論がある方向に傾くと、もはや理性的にものを見ることはない国民だ。

 

韓国野党を見ていればよく分かる。朴大統領の「弾劾」は決定的として、野党から次期大統領を選出すると張り切っているのだ。今回の「崔ゲート」がなぜ引き起こされたかという根本問題を飛び越えて、「朴大統領退陣」を訴え、次期大統領は「野党から」と上滑りの主張を繰り返している。まさに、感情8割で、原因究明という理性的な声はかき消されている。この調子だと、次期大統領もまた、金銭にまつわる醜聞に見舞われるであろう。理性的判断をしないから、同じ事件を繰り返すのだ。これが、韓国の国民性である。

 

李朝末期の混乱と同じ

『中央日報』(11月23日付)は、「国が傾くとき」というコラムを掲載した。筆者は、同紙の、イ・サンオン社会2部副デスクだ。

 

このコラムでは、朝鮮民族の悲劇を指摘している。自らは、根本的に問題を解決せず、互いに功名争いをしている。その姿は、昔も今も変わらないというのだ。私が、ここまで冷静に韓国の国民性を分析した文章に出会ったのは初めてである。いつも、誰かを批判してそこに責任をなすりつける。これによって、精神のバランスを取ってきたのが朝鮮民族である。戦後は、日本が標的にされてきた。諸悪の根源は日本である、と。今も、この悪弊は続いている。自らに原因を求めずして、日本にその責任をなすりつけ、一件落着である。

 

今回の「崔順実事件」の責任は、全て朴大統領にある。だから、弾劾するという理屈づけだ。だが、歴代大統領が同様な問題を引き起こしている。この事実から見て、制度的な欠陥はないのか。それには憲法を改正して、大統領に全ての権限が集中する現行制度を改めなければならない。そういう本筋論は、野党によって一蹴されている。目前に転がり込んできた大統領職を野党が確保して、従来通りの巨大権力を握る大統領でありたい。これが、韓国政治家の偽らざる姿だ。

 

野党は朴大統領を個人的に非難して、大統領制度には手をつけたくない。これが本音である。ここを改めなければ、韓国の腐敗構造が永遠に続くであろう。自浄能力が著しく乏しい民族なのだ。その点では、中国と瓜二つである。儒教文化圏は、「イノべーション能力」に欠ける、過去回帰型文化である。

 

(1)「チョン・ビョンソク前コリアテック総長は、先月に出した著書『朝鮮はなぜ崩れたのか』で両班(ヤンバン)の特権独占、権威的行政、搾取的租税制度が、朝鮮末期の核心的な問題であると指摘した。最近、金鍾仁(キム・ジョンイン)議員が雑誌のインタビューで官僚社会の硬直性、大企業の貪欲、政界の無能を国家危機の根本理由に挙げたのと似た脈絡だ」。

 

チョン・ビョンソク氏は最近、著書『朝鮮はなぜ崩れたのか』を出版したという。この中で、大韓帝国が崩壊して日韓併合された原因は、ヤンバンの特権独占によって権威的行政=専制政治が、行われていたことだと結論づけている。専制政治の下では、搾取的租税制度が行われて、庶民を徹底的に搾取して資本蓄積の余裕すら与えなかった。この見解は、日本側が行ってきた旧李朝崩壊の原因分析と完全に重なり合っている。これまで韓国では、こうした分析は認めなかった。日本が軍事力によって一方的に李朝を崩壊させた、としてきた。日本「悪玉論」が一貫していたのだ。

 

もちろん、日本が軍事力を用いたことは批判されるべきである。ただ、情状酌量の余地もありそうだ。日本は、明治維新によって新政府が成立した。これを李朝に通告する文書を届けたが、李朝は文書に「天皇」を示す文字があることを理由に受取拒否。再度、届けたがそれも受取拒否するという異常事態であった。ここに明治新政府は危機感を抱き、強圧的な態度に出たのだ。最初から朝鮮を征服する意図はなかった。問題は、李朝が国際情勢に疎く、内部での勢力争いで改革のエネルギーを消耗していたことにある。

 

日本が朝鮮半島の政治情勢に神経を払ったのは、中国とロシアが朝鮮を自らの政治勢力下に収める動きをしていた点だ。朝鮮が、中国かロシアに軍事的な支配を受けると、日本の安全保障に大きな影響を及ぼす。開国間もない日本としては、朝鮮半島が前記二国によって支配されることを回避したかった。そのためには、李朝が開国し近代国家に移行することを願ったのだ。李朝は、日本のこうした意図を拒否したほか、日本を「後進国」扱いしていた。

 

最近、韓国の金鍾仁議員が雑誌のインタビューで、「官僚社会の硬直性、大企業の貪欲、政界の無能を国家危機の根本理由に挙げた」という。これは、李朝末期の政治状況と似た脈絡だと、記事は指摘している。確かにその通りである。この点は、私もブログで繰り返し指摘してきた。官僚は規制ばかり増やして責任逃れをしている。野党が国会でしょっちゅう責任を追及するから「防衛本能」が強くなっているのだ。

 

大企業は財閥制度によって守られている。「循環出資」という巧妙な形態で、企業を系列化して行く。官僚はこの財閥と結びついているのだ。この裏には、政府が控えている。今回の「崔事件」は、まさにこの構図の中で引き起こされたものである。朴大統領の「個人犯罪」という視点を超えて、韓国の政界=経済界の癒着構造が招いた事件である。ならば、大統領に集中している巨大権力の解体こそ目指すべき目標であろう。

 

韓国野党は、政権奪取が目前にきているから、あえて大統領の巨大権力解体に熱意を失っている。そこまでやらなくても、権力は転がり込んでくる。そういう「計算」をしていることは間違いない。もし、今回の「崔事件」が発生せず、来年12月の大統領選挙であれば、「政治の民主化」を旗印に大統領の巨大権力を批判したであろう。ともかく、韓国の与野党は揃って、権力獲得だけに集中して争っている集団にすぎない。これが、韓国危機の本質である。

 

(2)「チョン前総長は、『科挙制度は教育熱を鼓舞し、能力中心の官僚制を実現したという側面では寄与した。しかし、試験が過度に観念的な哲学中心であり、実用的な教育ができなかったことで、人的資源が浪費される結果を招いた』と診断した。彼は倭乱(注:秀吉の朝鮮出兵事件)当時に日本に連れて行かれた『被虜人』のうち、平民・賎民はほとんどが朝鮮に戻ることを嫌がったと説明し、日本では技術者として待遇され、働ける機会を得て安定した生活が可能だったためだと分析した。『蔑視され衣食住の保障もない朝鮮にあえて戻る理由はなかった』ということだった。実際に10万人前後と推定される倭乱被虜人のうち帰還した人は数千人にすぎなかった」。

 

李朝の科挙は、中国の制度を移入したものだ。試験内容は、「過度に観念的な哲学中心であり、実用的な教育ができなかった」。技術は排除されており、空理空論を弄ぶ官僚群が生まれたのは当然であろう。韓国が今も、中国と瓜二つの存在であることは儒教文化圏がもたらした不可避的な結果である。朝鮮はもともと仏教国であった。それが李朝(1392~1910年)の登場で儒教に切り替わった。今から考えれば、取り返しのつかないことをしたと言うほかない。儒教は階級社会であり、搾取社会なのだ。

 

秀吉の朝鮮出兵では、約10万人前後の朝鮮の人々が日本へ連れて行かれたという。だが、このうち朝鮮に戻った人たちは約数千人で、残りの人々は喜んで日本にとどまったという。日本では技術が尊重され、彼らの生活は朝鮮時代よりも良かったのだ。これは、日本が搾取社会でなく、職人を大切に扱う気風があったからであろう。

 

儒教独特の階級社会では、学問だけが尊ばれ、技術は下賤の人間が行う仕事として卑下されてきた。現在の韓国で、若者が競って大学へ進学するのは、この儒教社会の流れを汲んでいる。その大学は工学部でも技術を教えない。街の塾が技術教育を行うという、浮世離れした国である。これで、韓国に新しい技術が生まれるはずはない。そもそも、文化そのものに問題があるのだ。

 

 (3)「チョン前総長は、本のあとがきでこのように問いかける。『国家存亡の危機を迎えても責任を問うたり反省もせず、根本的革新をできなかった朝鮮の伝統は、いまでも続いているということなのだろうか」。
 

私は、儒教文化圏がイノベーション能力に著しく欠けるので、技術だけでなく制度の改革面でも過去回帰型であると見ている。中国は未だに専制主義である。韓国は民主政治になった。日韓併合で近代化教育を受けた強い影響が出ているのだ。韓国人は、このことに全く気づいていない。日韓併合は、悪の原点という捉え方に引きずられている。

 

韓国が、「感情8割・理性2割」という価値基準を改めて、理性の判断部分が増えれば、「反日」の一刀両断で日本を斬り捨てることも減るであろう。今回の日韓軍事情報協定によって、韓国の安全保障に日本も協力する形態ができた。これは、従来の「反日」へ一定の歯止め役を果たすに違いない。日本が、韓国の安全保障において後方基地を提供している事実もおいおい知ることになろう。ともかく、韓国は自国の安全保障体制が、どのようなシステムによって構成されているかも理解していない珍しい存在だ。

 

大統領制改革が焦点

『朝鮮日報』(11月25日付)は、社説で「韓国の帝王的大統領制、正すなら今しかない」と題して、次のように論じた。

 

この社説では、現在の韓国政治の混乱を収拾する役割を持つ野党が、その認識に欠けていること。それが最大の問題と指摘している。韓国歴代大統領が、全て金銭スキャンダルにまみれている現実を正視していないのだ。野党にとって、大統領の巨大な権力は「魅力」でもある。間近に迫った政権奪取へのチャンス到来で、目が眩んでしまったのであろう。朴大統領を批判するが、「自分も大統領になって、その権力を振るって見たい」という、妙な心理状態に陥っている。これこそ、韓国が繰り返す悲劇の原因である。

 

権力は魔物と言われる。権力に接近すればするほど、その魔性に良心が麻痺するのだろうか。とすれば、その権力の魔性を減退させることだ。制度改革によって権力の分散を図るという議論が出て当然であろう。野党からその議論がいま消えてしまったのだ。朴大統領の提案による大統領制改革は、①任期を4年にして重任を妨げない。②大統領は、外交と安保問題に特化する。③首相は、議会が選任する議院内閣制とする。野党は、この案を棚上げする動きだ。韓国政治の近代化に背を向けて、自らも禁断の「蜜」の味を楽しみたいのだろうか。

 

(4)「韓国最大野党『共に民主党』の文在寅(ムン・ジェイン)前代表は11月23日、ある講演で『今回の(崔順実〈チェ・スンシル〉)問題を“帝王的大統領制の弊害”と指摘する見方もあるが、憲法には何の罪もない』と主張した。つまり『制度の問題』ではなく『人間の問題』というのが文氏の主張であり、要するに文氏は憲法改正をやりたくないということだ」。

 

(5)「ところがその前々日の21日、文氏は『改憲は必要だが、それは次の政権でやるべきことだ』と訴えていたし、これ以外にも文氏は改憲の必要性について機会があるたびに何度も言及していた。ところが、文氏は崔順実問題をきっかけに政権を取れる可能性が高まったと考え、改憲という自らの従来の主張を変え、現状維持の方がよいと考え始めたようだ。また共に民主党が大統領弾劾を急ぐ理由についても、『改憲機運の高まりを阻止するため』という指摘が出ている」。

 

文在寅氏は、次期大統領選で有力候補とされている。その文氏が、憲法改正による大統領制問題についてぶれにぶれている。みっともない話だ。信念がなく、目前に迫った権力の座に心が揺さぶられている。恥も外聞もなく、3日前と違う発言をする。政治家として失格であろう。これが、韓国の大統領になりたいという人物の素顔である。

 

(6)「文氏は今の憲法の下で政権を取り権力を握りたいと考えているようだ。とすれば李承晩(イ・スンマン)大統領から朴槿恵(パク・クンヘ)大統領に至る全ての大統領が1人の例外もなく、全員が悲惨な末路を迎えた前例を改めて思い起こさねばならない。彼らも全員が『自分だけは違う』と考えていたはずだ。崔順実容疑者は『虎の威を借りるキツネ』のごとく大統領の絶対的な権力を利用して悪事を重ねた。これまで大統領の親族たちによる不正もこれと同じようなものだった。そのため今こそ大統領の権力を分散しなければ、今後も同じ問題が繰り返し続いていくことは間違いない。また与野党による先の見えない対立と国政の漂流も堂々巡りが続くはずだ」。

 

李朝末期の悲劇は現在、まさに政権争いにおいて右往左往する姿だ。信念もなく、ころころと「日替わりメニュー」同然の政見を恥ずかしげもなく振りまいている。目的はただ政権の座に就きたいという一念だけである。韓国政治の悲劇はここにある。「反日」を自らの政権浮揚手段に使っているのも同じ理由であろう。何しろ韓国では、諸悪の根源が日本という共通認識である。

 

感情8割の国家だ。国民も情緒に訴える政治家の演説に違和感を覚えることもないのだろう。こうして、抜本的な政治改革の機会は先延ばしにされて行く。当面の敵が朴大統領であるから叩いていれば、政治家としての人気を高められる。安易な政治活動なのだ。米国のトランプ氏に似た戦術であろうか。

 

(7)「憲法改正問題は大統領選挙において誰かに有利に働くということはない。まずは誰もがこのことをしっかりと理解しなければならない。ただそれでも文氏が最後まで改憲に反対するのであれば、次の政権でやるしかない。過去の大統領たちも選挙では改憲を公約として掲げたが、自分が当選するとたちまち改憲については語らなくなった。今回こそそうはならないよう、候補者たちは絶対にほごにできないレベルの明確な約束を国民の前で結ばねばならない。今回の崔順実問題ほど大きな犠牲を出しその弊害を目の当たりにしながら、それでも今の奇形とも言える大統領制度を見直せないのであれば、文字通りこの国に未来はない」。

 

過去の大統領も、選挙では改憲を公約として掲げた。だが、当選するとたちまち改憲については語らなくなってきたという。大統領職の権力の大きさに溺れるのだろう。人間の弱さをこれだけはっきりと示す話はない。韓国政治の混迷は、同時に経済の混迷につながる。すでにそれは始まっている。韓国における、権力の最大の亡者は大統領である。

 

(2016年12月6日)

 

 

 

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2016-12-05 05:00:00

中国、「ダンピング大国」欧米日から市場経済国を拒否される

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米は7月に拒否の返事

 

中国は経済覇権を断念

 

 

「図々しいにもほどがある」、と言うところだろうか。中国は、12月11日で期限の切れるWTO(世界貿易機関)の「非市場経済国」から、念願の「市場経済国」への移行を要求している。その回答が、先ごろ米国からもたらされた。「ノー」というのだ。

 

米国政府の腹の内は、冒頭の「図々しいにもほどがある」という一言に尽きる。中国は、過剰生産を続ける鉄鋼などの素材産業で、超安値輸出を改めない。中国政府はまた、自国企業に大ぴらな輸出補助金もつけるなど、WTOのルール違反を続けているのだ。これでちゃっかりと、約束だから「市場経済国認定」を要求しても無理。厚顔無恥そのものの行動なのだ。

 

IMF(国際通貨基金)は今年10月、中国人民元をSDR(特別引き出し権)という国際通貨の一つに昇格させた。この決定が出るまで、人民元の国際化への努力を約束したが、SDR移行後は素知らぬ顔で国際化の約束と逆のことを始めている。資本規制の強化や人民元相場の安値誘導である。ともかく、約束しても守らない国が中国なのだ。

 

こういう「前科」を持つ中国である。「市場経済国」への移行が、どんなデメリットを世界経済に与えるかも知れない。ここは、従来通りの「非市場経済国」として保護観察処分にしておけば、世界は少し枕を高くしていられるのだ。

 

「非市場経済国」とは何か。第三国の価格を基準にして、ダンピング(不当廉売)かどうか判断し、高関税で防御できるという内容である。「市場経済国」になると輸出価格が、中国国内に比べ不当に安い場合しか課税できないのだ。先進国にとっては、中国を「非市場経済国」に認定したままにしておけば、第三国の価格を基準にして、ダンピング(不当廉売)かどうかを判定できるから機動的に動ける。ところが、「市場経済国」なら輸出価格が、中国国内に比べ不当に安い場合しか対応できない。調査に時間がかかって、手遅れになる危険性が高いのだ。

 

米政府は11月23日、中国を世界貿易機関(WTO)協定上の「市場経済国」に認定しない方針を表明。欧州連合(EU)も同様で、日本も追随する公算が大きいと予測されている。世界の3大経済圏から肘鉄を食わされた感じだ。ところで、米政府は今回初めて公式発表したわけでない。すでに7月段階で中国へ予備的に通告していた。

 

米は7月に拒否の返事

『大紀元』(7月18日付)で、次のように伝えていた。

 

(1)「米通商代表部(USTR)は7月13日、世界貿易機関(WTO)に対して、中国が銅など9種類の鉱物に不当輸出関税を徴収したことで米国企業に打撃を与えた、と提訴したことを発表。USTRは、米自動車産業や化学産業などが必要とする銅、鉛、黒鉛、アンチモン、タルク、タンタル、スズ、酸化マグネシウム、コバルトの9種類の鉱物に対して中国が5%~20%の輸出税を課したことで、米企業の生産コストが大幅に上昇したとし、価格の面で中国企業に対して有利にしていると非難した。ロイター通信によると、米国は中国に対して、『今年12月に中国が市場経済国として自動的に認定されるとは限らない』と通告した。米当局が、中国政府の鉄鋼市場などへの干渉で過剰生産と供給過剰を招き、他の国の企業に打撃を与えたと主張した」。

 

中国政府は、なりふり構わずという言葉通りに、好き勝手なことを続けている。全て国際ルールを無視したやり方だ。先進国が監視していることを忘れたような振る舞いである。こういう中国が、「市場経済国」に認定されると、各国へさらに被害が拡大することは明らかである。「非市場経済国」としての縛りをつけておくことが欠かせない。

 

(2)「欧州議会は5月12日に、中国を『市場経済国』に認定することに反対する決議を、定数751議席のうち賛成546票の圧倒的多数で採択した。一方で、欧州委員会は7月20日に中国の『市場経済国』認定について議論を始める。同委員会ジャン=クロード・ユンケル委員長は、EUが中国を『市場経済国』と認定するには、中国の鉄鋼生産能力の削減努力にかかっていると示唆した」。

 

欧州議会は、5月の時点で中国の「市場経済国」移行への反対決議をしていた。欧州へも中国の「ダンピング製品」が大量に流れ込んでいるからだ。欧州委員会では、中国との政治的な関係を考慮する意見もあったが、中国製品輸入の「実損」に基づき欧州議会と同一歩調をとったと見られる。日本政府は、表面的には沈黙しているが、欧米に同調して「市場経済国」移行拒否と見られている。

 

現状の中国は、いくら力んでみたところで、世界では「子ども扱い」されていることが分かる。「中華帝国の夢」とか言っていても所詮、ローカルの戯言扱いに過ぎないのだ。それでも、米国の次期大統領がTPP(環太平洋経済連携協定)不参加を正式表明した後、にわかにその存在が関心を持たれている。中国が例の「大言壮語」(ほら吹き)によって、米国の代役になれるかも知れないポーズを見せるからだ。

 

『フィナンシャル・タイムズ』(11月23日付)は、「貿易主導、中国は力不足」と題するコラムを掲載した。

 

(3)「中国はトランプ次期米大統領の米国に否定された貿易のグローバル化を救うことができるのか。その質問の答えは『ある程度まで』だ。中国は望んでも米国の代わりにはなれない。トランプ氏は環太平洋経済連携協定(TPP)からの脱退を明言したが、これはTPPの代わりとなる東アジア地域包括的経済連携(RCEP)を中国が前進させる道を開く。TPPの12カ国のうち7カ国がRCEPの潜在的メンバーだ」。

 

中国は、仮に望んだとしても米国の代わりは務まらない。これは、誰も否定できない事実だ。せいぜいRCEPの旗振り役の一つにはなれても、リードする力はない。それは、中国が国内産業保護の親玉であることだ。産業高度化を目指しており、中国に進出した他国企業の製品に対してすら差別的行動を取っている。

 

例えば、中韓自由貿易協定(FT)を締結しているにもかかわらず、韓国企業が中国で生産している電池製品に国内製品並みの補助対象から外しているのだ。こういう非情なことをする中国政府が、他国製品に対して無差別一律の対応をするはずがない。中国経済は「柄」は大きくても「中味」がガラガラの状態である。身体は横綱級でも実力は平幕以下である。

 

(4)「世界貿易で中国が米国にとって代わるには限界がある。世界の国内総生産(GDP)シェアを見ると、中国は2016年に15%まで伸びたが、日本も含むアジアは31%、米国と欧州連合(EU)の合計は47%だ。こうした数字も、世界貿易における高所得国の役割を十分に説明しきれていない。まず世界の最終的な需要の大部分は、高所得国によるものだ。さらに重要なのは、現代の貿易を支配するノウハウは高所得国の企業が発展させた。中国企業は匹敵するノウハウをまだ持ち合わせていない」。

 

世界のGDPで、中国の占める比率は15%である。日本も含むアジアは31%、米国と欧州連合(EU)の合計は47%である。このGDPでのシェアを見ると、高所得国の「横綱」に対して、中国は15%にすぎず「平幕」以下である。これでは、力の入った大相撲にならないであろう。中国がいくら頑張ったところで現代の世界貿易に質的な影響を与える位置にはいないのだ。

 

中国は経済覇権を断念

『ウォール・ストリート・ジャーナル』(11月26日付)は、「米国が抜けた世界貿易のリーダーはだれか」と題する寄稿を掲載した。筆者は、マイケル・ペティス北京大学光華管理学院の金融論教授である。

 

マイケル・ペティス教授は、私のブログでは何回か登場したが、西側の研究者で最も早く中国経済の急減速を予測していた。私も及ばずながら、その立場にあったが、教授の論考に接したとき、「百万力の味方」にあったような気持ちで、うれしさがこみ上げたことを鮮明に覚えている。きょう再び、こうして紹介できることは喜ばしい限りである。

 

(5)「中国経済に必要な条件を考えると、同国が米国の代わりに世界貿易の中心的存在になることはほぼ不可能だ。共産党機関紙の人民日報でさえ、中国が『米国を抜いて世界のリーダーになる』ことはまずないだろうと11月21日に指摘した。それは中国が、失業率の上昇と債務の増加というトレードオフの関係に対処するために増え続ける大幅な貿易黒字を必要としているからだ。中国では深刻な不均衡と加速する信用拡大が何年も続いている。今年は雇用安定に必要とされる国内総生産(GDP)目標の6.7%を達成したが、そのためにGDP比40%超という水準まで債務が膨らむことになった」。

 

このパラグラフでは、極めて重要な事実を指摘している。11月21日付の『人民日報』は、「中国が米国を抜いて世界のリーダーになる」ことはまずないと指摘した。これは、初めてのことである。これまで2020年代とか2030年代に、中国が世界一の経済規模になると広言してきた。それを、取り下げたとすれば、中国経済の実態が悪化している事実を間接的に認めたものだ。

 

中国経済の悪化は、失業率の上昇と債務の増加という悪循環に現れている。失業率の増加を防ぐためにゾンビ企業に追い貸しをして命脈を保たせている。この悪循環を少しでも防ぐには貿易黒字が必要である。その貿易黒字に水を差すような貿易の「仕切り屋」は、中国にとって荷が重すぎて不適切であると指摘している。

 

ここで、「GDP比40%超という水準まで債務が膨らんだ」としている点について、コメントをしたい。マッキンゼー国際研究所が14年4~6月期現在で推計した、対GDP比の債務は次のようになっている。

 

政府     55%

金融機関   85%

非金融企業 125%

家計     36%

合計     282%

 

この項目別の比率から見ると、前記の「40%超」とは、どの項目を指しているのか。40%に近い数字とすれば、「家計36%」がある。後のパラグラフで、家計債務の増加が、個人消費に悪影響を及ぼすと指摘している。ゆえに、「40%超」とは家計債務が、対GDP比で40%を超えたことを指している。

 

(6)「債務の制約は中国経済の難しい舵取りの主な足かせとなっている。それゆえ貴重な解決手段として貿易黒字に頼らざるを得ない状況がある。貿易黒字の1パーセント分は債務の約10パーセント分を補っている。米国は柔軟な金融システムと資本規制が70年代までにすべて廃止されたことに伴い、まもなく巨額の貿易赤字を計上し始めた。米国は赤字の代償である失業と消費者債務を進んで受け入れることで、政治的な優位性を確立した。中国が米国に代わるリーダーになれない主な理由はそこにある」。

 

中国経済にとって、家計債務の増加が大きな制約条件になっている。この結果、貿易黒字に依存せざるを得ない経済システムである。「貿易黒字の1%分は(家計)債務の約10%分を補っている」と言っている。米国経済は、70年代以降に貿易赤字の代償である失業と消費者債務を進んで受け入れることで、世界の覇権を握ってきた。中国はすでに膨大な家計債務を抱えているので、とうてい、米国の代わりは務まらないと結論づけている。

 

中国がもし、不動産バブルに突入せずに堅実な経済運営であったならば、米国に代わるという可能性もあり得たかもしれない。現在は、「満身創痍」である。債務総額の対GDP比は300%を超えているはずだ。ここまで傷を深くしてもなお、「中華の夢」とは浮世離れした話である。中国もようやく目が醒めて、この厳しい現実を受け入れたのだろう。

 

(7)「米国のように指導的メンバーが、巨額の赤字を出し続ける貿易システムでは、参加国が純輸出を増やすことで成長を加速させられる。これに対し、中国のような指導的メンバーが巨額の黒字を抱える貿易システムでは、参加国が純輸入を吸収し、低成長に甘んじなければならない。後者に喜んで参加するのは、どうしても資本が必要な発展途上国くらいだろう。しかし、中国が求めるような貿易黒字国を中心としたシステムの再編ではなく、世界貿易は次第に不安定となり、争いごとが頻発する公算が大きい。それはむしろ歴史的な標準に近く、数十年間続いた安定期のほうが異例だといえる」。

 

これまでの米国経済は、巨額な貿易赤字を出しながら、世界各国の純輸出を吸収して世界経済の潤滑油になってきた。中国がその代役を勤めるには、すでに失業率が高く家計債務が増加して不可能である、こうなると、米国の巨額貿易赤字を吸収する先がなくなったのだ。よって、世界貿易は次第に不安定となり、争いごとが頻発する公算が大きい、と指摘しているのだ。マイケル・ペティス教授は、これから世界が不安定になるという不気味な予測をしている。私は各国において、安全保障が極めて重要な国家安泰の装置になるだろうと見る。日本もその例外でない。

 

(2016年12月5日)

 

 

 

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2016-12-04 05:00:00

韓国、「軍事情報協定」日米韓の防衛体制確立「反日は不可能?」

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    エコノミック・ショート・ショート

 

韓国政界は収拾のつかない混乱状態だが、その中で大きな前向きの動きが出た。朴大統領の決断で懸案の日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)が11月23日、調印して同日発効した。韓国の野党3党は、この協定について「売国協定」とのレッテルを貼り、中には「日本の再武装を認めるもの」などと主張する意見まで飛び出すほどだ。北朝鮮の核開発が現実のものとなり、すでに数発の核を保有していると分析されている。それでも野党と野党系メディアは、浮世離れした話で盛り上がっている。

 

韓国にとって日韓GSOMIAの発効は、北の脅威に直面して死活的な問題となっている。過去27年間、この日韓GSOMIAの必要性は指摘されながら、韓国の「反日ムード」によって、調印が妨げられてきた。今回は、差し迫ってきた「北朝鮮危機」が韓国の背中を押して、調印・発効の運びとなったもの。日韓では劇的な協調路線が敷かれたことになる。

 

韓国は、居ながらにして日本の収拾した高度の軍事情報を利用できるのだ。そのメリットは、言葉で言い表せないものであろう。日本が、大変なコストをかけて得た軍事秘密情報である。それを利用できる以上、従来のような「反日」をやっていられなくなる。再び、朝鮮半島で有事が起これば、米空軍の主力は日本の基地から出撃するからだ。

 

日韓GSOMIAの発効は、韓国にとって日本が安全保障上必要不可欠な存在であることを、はっきり認めた証拠になる。もはや道義的にも「反日」騒ぎを引き起こせない客観情勢ができた。ただ、韓国野党は道理の分からない人たちの集団だから、なにかと耳障りな雑音を発するに違いない。

 

『中央日報』(11月23日付)は、「日本の偵察衛星5基、北朝鮮ミサイルを詳細に把握可能」と題して、次のように報じた。

 

この記事を読むと、今回の日韓GSOMIAが韓国にとって極めて重要な情報源であることが分かる。それにも関わらず、協定発効に至るまで27年間の歳月を必要としたことは、北朝鮮から受ける危機がのっぴきならぬところまで迫っていることの証明であろう。

 

(1)「韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)が11月22日、韓国国務会議を通過し、朴槿恵(パク・クネ)大統領がこれを裁可したことで、国内の法的手続きが完了した。23日に韓民求(ハン・ミング)国防部長官と長嶺安政駐韓日本大使が署名すれば協定が発効する。これを受け、1989年から推進された韓日情報保護協定は27年ぶりに終わる見込みだ。情報保護協定は国家間軍事情報共有を目的に軍事情報の伝達・保管・破棄・複製・公開などに関する手続きを規定する。この協定の締結なく軍事情報を交換すれば軍事機密保護法違反で処罰を受ける」。

 

これまで日韓GSOMIAの必要性が叫ばれながら、27年もの歳月がかかったのは、一重に韓国側の事情による。日韓併合時代のシコリが残っていたからだ。この協定を結べば自衛隊が韓国に駐屯するなど、合理性のない噂が妨げてきた。こうした流言が、現実の北朝鮮脅威によって払拭されつつあることを示している。

 

(2)「日本が保有する偵察衛星5基は北朝鮮の弾道ミサイルの動向収集に役立つとみられる。現在米国の偵察衛星は韓半島(朝鮮半島)上空を一日2、3回ほど通過するため、北朝鮮弾道ミサイルの動きを把握するのに限界がある。特に今回の情報保護協定は北朝鮮が開発している潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)への対応にも効果的だ。北朝鮮が慶尚北道星州(ソンジュ)に配備される高高度ミサイル防衛(THAAD)体系の迎撃範囲を避けてSLBMを発射するには、独島(ドクト、日本名・竹島)近隣まで潜水艦を送る必要がある。その場合、日本の海上哨戒機(P-3C)77機と潜水艦に探知される可能性が高い。
 

日本が保有する偵察衛星5基は、北朝鮮を常時監視する態勢となっている。米国の偵察衛星は1日2~3回の偵察にとどまっている。その点で、日本の偵察衛星の能力は格別に高いことが分かる。韓国が日本と情報保護協定を結ぶメリットは計り知れない。韓国野党も野党系メディアも、この実態を理解せずに頑な態度だ。


(3)「軍当局は今回の協定が、北朝鮮軍の信号情報収集にも効果があると期待する。北朝鮮軍の武力挑発など軍事行動の前に通信装備やレーダーから出る信号情報は、韓国より日本でとらえやすいという。北朝鮮の信号情報は、障害物がない東海(日本海)を経て日本に向かうからだ。信号情報は軍事装備ごとに固有の波長を持ち、北朝鮮軍部隊の位置と種類を把握するうえで非常に重要だ」。

 日本の偵察衛星がキャッチする情報だけでない。北朝鮮からの陸上信号情報は、日本海を伝わって日本側でダイレクトに聴取できるメリットがある。韓国は、この情報も日本を通して入手可能になった。こうして、韓国の情報取得能力は格段の向上になるのだ。
 

こうした多くのメリットがある日韓GSOMIAについて、韓国野党は「反日」の立場を捨てないでいる。

 

韓国野党系の『ハンギョレ新聞』(11月17日付)は、「韓国にとって日本とは何か」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙のキル・ユンヒョン東京特派員だ。

 

この記事を読むと韓国野党と野党系メディアの対日認識が、日韓併合時代の日本観とさして変わっていないことを知るであろう。日本にとって、かなりのショックを受けるが、この原因はどこにあるだろうか。日韓併合時代から現在まで、韓国は日本の被害を被ってきたという妄念に囚われているのだ。

 

驚くのは、戦後の日本が共産主義にならなかったのは、韓国が防波堤になっていたという論理を展開していることである。この間違った認識によれば、日本からいくら賠償金を取り立てても当然という理屈になるのだろう。この発想の原点はどこにあるのか。韓国は可哀想な国だという被害者意識に取り憑かれている結果だろう。韓国がここまで経済成長できた理由は、「漢江の奇跡」を生み出した日本の資本と技術の支援にある。この事実を認識しないで、今なお被害者意識で日本を恨んでいる。どうにもならない民族という実感がするのだ。

 

(4)「解放から71年ぶりに初めて締結される韓日間の軍事協定に手をつけることが果たして正当なのかという怒りがあふれている。しかし、この質問に埋没すれば協定に対する問題意識は“なぜ今?”という“タイミング論”に留まってしまう。私たちの悩みはそれよりさらに深い地点にある。韓国にとって日本とは何か。この質問に対する韓国社会内の明確な“社会的合意”は存在しない。私たちにとって日本は相変らず近くて遠く、身近ながらも多少恐ろしく、理解できない国家だ。しかし、日本にとって韓国は何なのか、に対する明確な概念は存在する」。

 

韓国にとって、日本が「相変らず近くて遠く、身近ながらも多少恐ろしく、理解できない国家だ」と一刀両断である。東京特派員であるから、日本に生活しながら日本が分からないとすれば、ジャーナリスト失格と言うほかない。どんなに鈍感でも四六時中、日本人と顔をつきあわせていれば、何かは分かるはずだ。それが分からないとは、知ろうとしない自分が、意図的に心の中に壁をつくっているのだろう。責任は自らの閉鎖性にある。

 

(5)「近代以後、日本は大陸の脅威に対抗して日本を守るには、半島を自分たちの影響下に置かなければならないという、一貫した対朝鮮半島政策を推進してきた。日本陸軍の父と言われる山県有朋(3代・9代首相)の『利益線』概念だ。日本はそれに則り、初めは朝鮮を植民地にして『直接支配』し、敗戦後には韓日協定(1965年)を通じて経済発展を支援する『間接支配』方式を活用してきた。このような図式の中で、韓国は過去の冷戦時期に共産圏と向き合う最前線で、日本を防御する防波堤の役割を遂行してきた」。

 

戦前の日本が朝鮮半島に期待したものは、政治的に独立できる気風を求めていたことだ。当時の李朝は、中国派・ロシア派・日本派と派閥争いに明け暮れて、独立を忘れた烏合の衆と化していた。これでは、中国やロシアの思い通りに支配されて、日本に刃を向けてくるに違いない。日本がこれを最も恐れたわけで、日韓併合という手段に出た理由である。

 

この日韓併合は、欧米から承認された行動でもあった。朝鮮半島の安定はアジアの安定につながるという認識で一致していたのだ。日本は朝鮮を植民地として経営したのではない。「日本人」として遇するシステムをつくった。財政的には日本の負担になっていた。

 

戦後は1965年の日韓基本条約によって、日韓併合を謝罪し賠償金も十分に支払っている。その時点で、日韓併合に伴う法的な精算はついていたはずだ。それを蒸し返してきたのは韓国である。折に触れ、日本に経済支援を求めてきたのだ。日本が共産圏に組み込まれなかったのは、韓国という防波堤が存在した結果でない。そう言っては失礼だが、高い技術開発力と高い民度。それに米軍の駐留が、旧ソ連軍の侵攻意図を挫いたのだ。

 

(6)「2000年代初めの『韓流ブーム』に見られるように、初めは韓国の発展を驚嘆と祝福で眺めた日本の視角は、中国の急激な成長と共に冷え切った。日本軍『慰安婦』問題をめぐる過去5年間の韓日対立の深淵には、このような両国関係の構造的変化が隠れていると私は信じる。そして、今回の軍事協定締結は、ここ数年間、暴れる小馬のように日本(そしてその後は米国)に心配をかけた韓国が、再び米日の下位パートナーとして丸め込まれる出発点になるだろう。これは日本にとって大きな戦略的勝利となる」。

 

この記者はジャーナリストとして、決定的な見間違いを犯している。今回の日韓軍事情報協定締結は、韓国の対北朝鮮の情報収集における「死角」を解消する目的である。韓国を日米の下位パートナーとして丸め込もうというものでない。ならば、韓国は独自で北朝鮮情報を収集すれば良い。人工衛星を打ち上げる。日本海には常時、イージス艦を配備して北朝鮮の情報を収集すればことが済む。この議論は、典型的な左翼の言い回しで自らを被害者に仕立てて、日米を加害者の位置に持ち込んでいるのだ。

 

(7)「協定は韓国にとっても国益になるだろうか。韓国と日本の対中国・対北朝鮮観にはまったく両立不可能な決定的差異が存在する。韓国にとって中国は、未来の繁栄と発展のために共存しなければならないパートナーであり、北朝鮮は好むと好まざるとにかかわらず平和統一を成し遂げなければならない兄弟であり半身だ。日本人には申し訳ないが、韓日は戦略的利害を共有していない。韓国は(中国や北朝鮮と)『基本的価値』を共有している。韓国はあなた方の防波堤ではなく、善良な隣人であり友人だ。協定は私たちにとっては必要ない」。

 

ここまで言い切るならば、韓国は北朝鮮の核恫喝に怯えることもないだろう。また、中国がなぜ北朝鮮の核開発を防がなかったかについて、頭を悩ます必要もない。中国と北朝鮮の「善意」を信じても、日本に対して信じられないのはやむを得ない。日本は儒教文化圏でないからだ。それは、韓国が日本と「基本的価値」を共有していない結果であろう。韓国は、中国と北朝鮮との共通価値観に殉じて、裏切られても笑って死を迎えられる気概であるようだ。それも「壮士」として認めよう。ただ、笑って中国と北朝鮮の裏切りを受け入れられる韓国人は少ないはず。朝鮮戦争は、韓国にいかなる傷跡を残したか。多分、この記者の出生以前の事件であろう。だから、共産主義の残忍さが肌身で分からないのだ。

 

この記事で、筆者は論理矛盾を犯している。戦後の日本が、共産化されなかったのは、韓国が防波堤になったと言いながら、現在の韓国は日本に親近感を持たずに中国と北朝鮮に共通価値観を持つ、と。ならば、韓国は朝鮮戦争で北に統一して貰っておけば良かったのだ。こういう議論を主張する韓国野党系メディアの存在に驚く。次期大統領選では、野党候補が当選するだろう。その時、日韓関係に軋みが予想できそうだ。

 

(2016年12月4日)

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