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2016-06-29 04:15:30

中国、「日米印」アジア海洋安保をつくらせた「外交的失敗」

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中国が敵に回した強者
傲慢な中国の軍事戦略

習近平中国国家主席は、就任以来満3年を経た。その間、相次ぐ外交的な強攻策はほとんど失敗したと言って良い。周辺国との関係は改善どころか悪化を招いている。ただ、中国脅威論を植え付けただけで、関係改善どころか逆の現象を招いている。

習氏は、「中華の夢」実現に種々の方策を打ってきた。その一つが「一帯一路」プロジェクトである。中国を基点にして中東やヨーロッパを高速鉄道(「一帯」)で結ぶほか、同時に、海上でも繋ぐ(「一路」)という壮大な計画である。この実現によって、中国の世界的な存在感を高めて、米国と覇権を争うという隠れた目的を持っている。これこそ、まさに「中華の夢」の実現である。

もともと、「一帯一路」という巨大プロジェクトは、国連機関が音頭を取ってやるべき世紀の大事業である。それを、中国一国のリーダーシップの下で行うというところに、尋常ならざる「策略」を嗅ぎつけられている。肝心の中国経済は、もはや「ピーク」を超えて老成期入りしている。格別、中国特有の技術や科学研究の成果もあるわけでない。古い歴史と広大な国土、それに世界最高の人口という3点セットを引っ提げて、世界を中国の意図通りに回したい。そういう軍事的な野望がほとばしっている。「一路」に関わる日本・米国・インドが、共同で海上安保体制を固める動きを強めたのは当然である。

名実ともに、世界の軍事覇権国である米国。アジアで中国による軍事的台頭で安全保障を揺さぶられている日印の3ヶ国が、海洋安全保障面で密接な協力関係を築き始めたところだ。これに神経を使う中国軍艦が6月15日、沖縄本島の東方沖で行われている日、米、インドの共同軍事演習「マラバール」の情報収集で日本領海を侵すフライングをしている。日米印3カ国は、対潜水艦戦などの訓練など通じ、海洋進出を強める中国をけん制する。中国は、情報収集艦を派遣して米空母を追尾するなど、巻き返しを図っている。

中国が日米印に対して、3対1の勢力関係である以上、軍事的に不利な状況であることは明白である。だが、「中華の夢」実現に向け、軍事的な緊張関係をつくり出してまでもやり抜く腹だろうか。無駄な軍拡が、中国の内政充実を阻害して、結果的に「中華の夢」を夢に終わらせるであろう。この矛盾に気付かず、中国は見当違いの戦術によって、国力を消耗するのだ。「一帯一路」プロジェクトは、周辺国に対中警戒論だけをまき散らし、未達に終わるに違いない。中国の野心が警戒されるだけだ。「一路」は、日米印が結束して対応し始めた。中国一国が、「一帯一路」プロジェクトを実現させる資金力も技術力もあるはずがない。狙いは、政治的支配権の拡大にある。時代遅れの秦の始皇帝ばりのアイデアだ。陳腐な計画である。「一帯」については、すでに立往生している。私のブログ(6月23日)で取り上げた。

中国が敵に回した強者
『ウォール・ストリート・ジャーナル』(6月16日付)は、「日米印、新アジア海洋安保秩序の形成に乗り出す」と題して、次のように報じた。

この記事では、日米印3ヶ国の海軍が単なる親善目的の演習でなく、実戦さながらの演習を続けていることに大きな特色がある。「マラバール」(今回の演習名)はもともと米、インド海軍の2国間訓練だった。中国との経済関係が揺らぐことを懸念したインドは、日本を含めた3カ国の演習に拡大することに乗り気ではなかった。だが、中国が中東への海上交通路(シーレーン)確保にインド洋への進出を強めると、3カ国は急速に距離を縮め始めたと言われる。まさに、日米印の3ヶ国海軍の「接着剤」を担ったのが、中国の海洋拡大戦略である。中国の海洋拡大戦略は、「一路」の延長線上に位置している。

日、米、インドが特に警戒しているのが、中国の潜水艦の動きである。「2006年10月、沖縄付近で中国のソン級潜水艦が米空母キティホークのすぐ近くに浮上。10年4月にはキロ級潜水艦が沖縄本島と宮古島の間を抜けて太平洋に進出した。インド洋でも13年ごろから中国潜水艦が動きを活発化させており、14年9月には沿岸国のスリランカのコロンボ港に寄港してインドをいらだたせた。いずれ核ミサイルを搭載した原子力潜水艦が、南シナ海や西太平洋、インド洋を自由に動きまわることを3カ国は恐れている」(『ロイター』6月15日付)。

(1)「米国が構想する新アジア海洋安全保障秩序の部分的アウトラインが今週、フィリピン海(日本、台湾、フィリピンなどに囲まれた太平洋の付属海)の水域から垣間見えた。南シナ海などの領有権で自己主張を続け、軍備を強化している中国に対抗するため、民主主義国である米国、日本、インドという3カ国の力を結集して海洋秩序の確立を目指すものだ。米海軍の空母打撃群(CSG)は、インドと日本の艦船と合同で、対潜水艦作戦の訓練および防空、捜索救難の訓練をこのフィリピン海域で行った。これら3カ国による合同演習としては過去最大級で最も精緻なものの一つだ」。

中国海軍は、東シナ海、南シナ海、インド洋で潜水艦が積極的に動き回っているという。この現実に対応すべく日米印は、対潜水艦作戦の訓練および防空、捜索救難の訓練をこのフィリピン海域で行った。これら3カ国による合同演習は、過去最大級で最も精緻なものの一つとされている。南シナ海では、フィリピンが常設仲裁裁判所に仲裁を訴えており、6月中に判決が出ると見られている。中国は、いかなる判決が出ても拘束されないと豪語している。「中国敗訴」の判決が出れば、中国は「被害者意識」に囚われて、米国糾弾の動きが予想されている。「被害者意識」は、ナショナリズムに燃え移って、中国軍の突発的な行動も予想される。すでに米海軍は米7艦隊の外に、米第3艦隊もアジアへの出動命令をだしている。中国軍の突発的な行動には、すぐ対応できる準備をしているところだ。

(2)「日米両国は長年、防衛面で緊密に協力してきた。そして米国はインドとの戦略的な関係を強化しようと動いており、インド洋だけでなく太平洋でも活発な役割を果たすようインドに促している。中国の台頭によって地域的なバランス・オブ・パワー(勢力均衡)がシフトしつつあるためだ。カーネギー国際平和財団インドセンターのC・ラジャ・モハン所長は、『米国は負担を共有できる国を求めている』と述べ、日米印3カ国間の提携強化は『重要な戦略的シフトだ』と語った」。

米国は、インドに対してインド洋だけでなく、太平洋でも活発な役割を果たすように求めているという。日本海軍にもすでに同様な要請をしているだろうが、中国海軍がところ嫌わずに動き回っていることを考えれば、日米印3ヶ国海軍が緊密な連携の上で出動することは、中国海軍の動きをけん制する上で重要になっている。中国海軍は、何が目的で動き回っているのか。軍事覇権への挑戦とすれば、自己の実力を弁えない跳ね上がり行動である。

傲慢な中国の軍事戦略
(3)「インドは、非同盟国家としての伝統に誇りを持っており、正式の軍事同盟に同意する公算は小さい。しかし、3カ国は既に、昨年始まった3カ国閣僚級対話の場を持っている。こうした関係をしっかり固めることは米国の重要な目標となっている。中国が南シナ海をどんどん『軍事化している』(米当局者)とみるからだ。中国は近隣諸国との間で南シナ海の領有権問題で対立しており、軍用機が発着できる滑走路を人工島や環礁に建設している。米国は、世界貿易の3分の1が航行する南シナ海水域での『航行の自由』を確保するため、一連の作戦を通じて艦船や飛行機を派遣し、中国の主張に異議を唱えている」。

世界最強の海軍力を誇る米海軍に対して、中国があたかも挑戦するごとくチョロチョロとネズミのごとく動き回っているのは、米海軍にとっては目障りに違いない。当面は、取るに足らない相手であっても、米海軍が油断していると取り返しのつかない事態を招く。潜水艦作戦では世界一とも称せられる日本海軍が、インド海軍の戦力を高める役割を果たすことは十分にあり得ることだ。実戦経験を持つのは日米海軍であって、中国海軍はゼロである。潜水艦の静謐性で決定的な弱点を抱える中国潜水艦が、今日もあちこちで雑音をまき散らしながら、日米印潜水艦の捕捉訓練の餌食になっているであろう。中国潜水艦の発する雑音は、技術的な遅れの結果である。

(4)「日米印3カ国の合同演習(演習名は「マラバール」)で、インドはステルス・フリゲート2隻、誘導ミサイル搭載コルベット艦1隻、艦隊支援艦1隻を派遣した。この演習は米印による年次演習の一環で、ますます精緻で広範囲に及んでいる。日本は14年以降、定期参加している。3カ国演習は先週始まったが、これに先立ちインド艦船はベトナムとフィリピンの港に立ち寄った。いずれも中国と南シナ海の領有権を争っている国だ。インドのパリカル国防相は今月、シンガポールで開催された地域安全保障会合で演説し、『この地域では、どの国の攻撃的な態度ないし行動も、われわれの共有する繁栄にリスクをもたらす』と述べた」。

インド艦船は、ベトナムとフィリピンの港に立ち寄っている。日本艦船も同様に前記の2ヶ国へ寄港している。これは、ベトナムとフィリピンが、対中国戦略で日米印3ヶ国と同一歩調を取っている証拠である。中国にとっては、何とも気がかりな動きに違いない。南シナ海で、ベトナムとフィリピンは中国と係争中である。これら両国にとって中国は、ただ我慢するしかできない横暴な相手である。その鬱憤を晴らすべく、日米印の三カ国海軍に「正義」の実現を託しているに違いない。

今回の3ヶ国訓練は、潜水艦を探知して追尾する対潜水艦戦に力を入れている。米海軍は最新の哨戒機と原子力潜水艦を、海上自衛隊は対潜能力を備えたヘリコプター空母と哨戒機を投入。インドも対潜ヘリコプターを参加させた。「自衛隊の幹部は、『マラバールは単なる親善訓練ではなく、実際の戦術、技量を向上させるためのもの。これを見た中国は、作戦や戦術を見直す必要があると考えるだろう』と話している」(『ロイター』6月15日付)。

この、ロイター記事を見ても分かる通り、中国海軍の挑発があって始めた3ヶ国の実戦型演習が、中国海軍にブーメランス効果をもたらしている。中国海軍が動き回らなければ、日米印3ヶ国の合同演習もなかったはずだ。中国は、寝ていた子を起こすというとんだ間違いを犯している。「飛んで火にいる夏の虫」である。つくづく中国は、愚かな行為をしていると思う。バブル経済の後遺症を放置しているほか、海軍戦略では相手国を刺激するだけで、窮地に立たされている。これが今の中国である。

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(2016年6月29日)



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2016-06-28 04:14:41

韓国、「サムスン三代目」先代の猛烈主義から脱皮し「戦線縮小」

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サムスンの企業文化は軍隊調
GMに似たトップ・ダウン式

サムスングループ会長の李健煕(イ・ゴンヒ)氏が病床に伏して満2年が経つ。長男の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長は、今ようやく韓国最大の企業グループの舵を握ったところだ。李健煕会長とは、明らかに方向性が異なる。それは、拡大したサムスングループの立て直しであり、戦線縮小である。すでに、化学や防衛事業関連のグループ会社6社を売却した。広告代理店も売却に向けて交渉中とされる。偉大なる父・李健煕の時代は去ったと言うほかない。

私が、もっとも注目するのは広告代理店売却を交渉中という点である。サムスンがこれまでスマホで急成長できた裏には、大量の広告作戦を展開した「販売上手」を挙げなくてはならない。サムスンは、「80%主義」を貫いてきた。製品の質よりも販売のタイミングを重視してきた。その最大の援護射撃が「大量広告」である。自ら広告代理店を持ち、自由自在な販売戦略を展開している。

その最大の立役者である広告代理店が、売却対象になっているというのだ。これは何を意味するのか。サムスンの経営戦略が180度変わることを示唆する。大量の広告に依存しない経営路線を選択する意思表示と見るべきだ。スマホのような耐久消費財に依存した経営からの脱皮である。今後すぐに、スマホに代わるような大衆商品の登場は期待薄である。ならば、こういう「B2C」ビジネスから足を洗うことが賢明。ちなみに,Bとは企業、Cとは消費者を意味する。2とは、「to」である。「B2C」は「fromBtoC」の略語である。BからCへ直接に結びつくビジネスモデルなのだ。

日本の家電メーカーは、すでに「B2C」を止めている。テレビなど新興国と競争する製品分野では出血が大きい。この結果、独占的な競争力を維持し、製品価格が安定している部品製造に特化するメリットを追う方向へ転換した。パナソニックが従来の技術を生かして、自動車や住宅の部品へ進出して好業績を上げている。このようなビジネスモデルは、「B2B」と言われる。BとBの直接取引であるから、大量の広告宣伝を行う必要もない。製品価格は安定している。技術の高い壁で、新興国の参入リスクはないのだ。

サムスンは、この「B2B」ビジネスモデルへ方向転換する意向を固めている。パナソニックがモデルである。李在鎔副会長が、経営の舵を握った直後、この意向を漏らしたことがある。現実に、この方向で進んでいることは間違いない。だから、サムスンが広告代理店を経営する必要性が薄らぐ。売却対象に入って当然だろう。

ここで、サムスンの将来路線が、おぼろげながら浮かんでくる。成長可能性が高い①バイオや②電子、③金融事業に特化するとの予想である。バイオは、バイオ医薬品である。半導体の洗浄技術が応用可能とされ、すでに実績を上げている。電子は、本業であるから将来の全自動運転車の電子部品へ進出する計画を発表した。ただ、半導体技術を使うものの、汎用品でなく超LSIという一段上の技術が不可欠である。サムスンではまだここまで到達していないとされる。日本企業に対抗するまでには時間がかかるようだ。金融事業は、ソニーがモデルであろう。韓国の金融業はきわめて遅れている。サムスンの得意技の電子技術を応用すれば、将来性が見えるかも知れない。

以上の3事業のバイオや、電子、金融事業に特化するとなれば、李健煕会長の唱えてきた「妻子以外はすべて取り替えろ」というサムスンの企業文化が、非現実的なものに映るはずだ。こんな荒々しい企業文化では、とうていバイオや、電子、金融事業など手がけられるはずもない。李在鎔副会長は、こうした革命的な路線変更を睨んで、「サムスン電子にスタートアップ文化を導入する」と宣言した。「管理のサムスン」と言われた社風に、自由かつ迅速な組織文化を植え付けるという意味と解されている。

サムスンの企業文化は軍隊調
ここで、「スタートアップ」なる用語に注目していただきたい。通常は、パソコンの立ち上がりを意味するが、ベンチャービジネスを立ち上げるという意味でもある。つまり、サムスンは新規まき直しのスタートラインに着いているという示唆である。巨大企業から脱して、小規模企業で小回りの効く企業への変身を目指していると思われる。もしそうだとすれば、サムスンは大きく変わろうとしている。

確かに、今の企業文化は「管理のサムスン」である。李健煕会長が経営の最高方針を決めてきた。そこに到る過程では、サムスングループに「未来戦略室」なる企業参謀本部が存在する。①グループ全体を管理支援する組織、②調査研究部門で意志決定を支える組織、③業務の執行組織である。だが、これらの頂点には李健煕会長がデンと座っていた。李会長の意志に反する決定は不可能である。まさしく「管理のサムスン」に間違いない。

この李健煕会長が治める「管理のサムスン」は、本人の李氏が病臥に付している。コミュニケーションも不可能な事態において、機能不全に陥っていることは疑いない。李在鎔副会長では代役が効かないどころか、サムスン自体が空中分解しかねないリスクと隣り合わせになっている。改めて、サムスンの企業文化とは何かを問い直す段階にきた。

企業文化という言葉を聞くと、誰でも「へー」という違和感を覚えるものだ。日本風にいえば、「社風」に当たる。ただ、「社風」では「家風」と同じイメージで古くさく感じられて敬遠されるに違いにない。「企業文化論」とは、米国で注目されてきたテーマである。企業業績と密接な関係を持っていることが立証されている。それだけに、ないがしろにはできないのだ。サムスンが企業文化の見直しに入ったのは、「三代目」の慧眼と言うべきだろう。「二代目」の企業経営のやり方を変えるには、企業文化そのものを変えることが前提になるからだ。

企業文化は、企業組織の根底部分に潜んでおり、通常はほとんど意識されずに見過ごされている。ただ、組織の規範、価値観、ビヘイビアなどの面で、大きな影響力を及ぼす重要な位置を占めている。普段は、意識されない「空気」のようなものである。だが、この空気が変わると、「仕事のやり方」に大きな変化が生まれる。「仕事のやり方」は、堅苦しくいえば、企業組織の規範、価値観、ビヘイビアを反映するものだ。繰り返すと、企業文化は仕事のやり方を規定する。

同じ業界に属する企業でも「仕事のやり方」は異なっている。それぞれ企業固有の「企業文化」が微妙に違っているからだ。創業者の性格、その後の発展経路などの成功体験や失敗体験を裏付けにして、同様の製品やサービスを扱っているにしても、違った形の「企業文化」が形成されるのが普通である。

三菱自動車がまた、データ改ざんを行って大問題になっている。これは、同社の企業文化に問題があるからだ。こういう議論は聞かないが、実際はここがルーズになっているはずである。「三菱」というプライドを持ちながら、技術レベルは同業他社からも遅れている。そのギャップを埋める地道な努力を怠って、メンツだけを維持しようとする。これが生んだ事件だ。立て直しには、徹底的な企業倫理の構築である。これなしに、三菱自動車は再建不可能であろう。

「企業文化」は企業の骨格を形成している。それが、企業の寿命である存続期間に影響を及ぼす。企業文化は、企業にとって「神経系」にあたる役割を果たすものだ。企業の「神経系」にあたる企業文化が鈍感な状況で、社会の変化や需要構造の変化に即応できなければ、衰退の運命をたどるか、倒産の憂き目に遭う。こういう意味で、企業文化のチェックはきわめて重要である。「サムスン三代目」が、いち早くここに着眼したのは評価すべきであろう。

サムスンの社風は「トップ・ダウン」である。会長の決定した経営目標は、経営参謀本部である「未来戦略室」が、全力を上げてサポートし実施するシステムとなっている。経営の第一線の兵士に当たる現場の意向や見方は何ら参酌されていない。

ここで注意すべきは、参謀本部が欧州の軍隊で発達したものである。つまり、軍事組織における師団長・旅団長・連隊長・大隊長に当たる高級指揮官の作戦指揮を補佐する業務を行う機関である。軍事組織における指揮系統は単一である。それゆえ、参謀本部に一切の指揮権はない。第一線の指揮官が、参謀本部の補佐を得ながら、作戦指揮において独自に決定するものだ。

日本の参謀本部は、天皇が統帥権を持ったので、その代行として作戦の指揮権を与えられた。この結果、前記の欧州の参謀本部の限界を越えていることは明らかである。太平洋戦争中、米軍は第一線の大隊長に作戦の指揮権が与えられた。日本軍は作戦指揮権を東京の参謀本部が持ち、現地部隊に無謀な突撃命令を出していた。こうして、多くの日本軍兵士が無駄な死に追いやられたのだ。

6月23日は、沖縄戦が終わった日だ。多くの兵士が犠牲になったほか、県民も巻き添えを食い犠牲を強いられた。東京の参謀本部が無益な犠牲を伴う作戦命令を出した結果である。悪しき参謀本部の典型例である。

なぜ、サムスンの企業文化論でこの話しをするかといえば、サムスンの指揮命令系統が日本型参謀本部であるからだ。李健煕会長が統帥権(人事権)を持って傘下各社に命令を出している。その結果、入社後3年間で25%もの中途退職者が出ているのだ。日本の大企業では、同じ期間で5~7%の中途退職者である。サムスンの中途退職率は異常に高いと言うべきであろう。こうなると、「未来戦略室」の存在を許すサムスンの企業文化は、再検討の対象になる。

サムスンの企業文化は、2009年に破産した米国の自動車メーカーGM(ジェネラル・モーターズ)に似たものがある。「上意下達」だ。社内のコンセンサスというきめ細かい経営戦略決定とは無縁であった。これに対して、日本のトヨタは、「ボトム・アップ方式」である。現場労働者の意見も「投書」という形ですくい上げ、それを全社内のコンセンサスにまで引き上げる努力を積み重ねてきた。これこそ、トヨタがGMを抜いて世界一の自動車メーカーに発展した原動力である。

サムスンは、トヨタ式の「ボトム・アップ」という企業文化を取り入れられるか。日本型参謀本部に馴れてきた「トップ・ダウン」方式ゆえに、その転換には相当の摩擦を伴うであろう。

GMに似たトップ・ダウン式
GMは、09年6月1日(現地時間)、米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請した。負債総額は、1728億ドル(約16兆4000億円)という過去最大規模に達した。GMといえば、07年までは販売で世界最大の自動車メーカーであり、08年に首位の座をトヨタ自動車に明け渡すまでの77年間、世界首位の座を占めてきた。そのGMが倒産したのである。

GMの倒産は過去の成功体験が余りにも偉大で、世界最大の自動車メーカーであることの「奢り」が地道な業務改革を拒否させてきたものと見られる。「GMによいことは米国にも良いこと」という言葉こそ、GMの企業文化が「王者としての奢り」に満ち満ちていたことを問わず語りにしている。この点で、サムスンも似ているのだ。今年1~3月、スマホで世界一の販売実績に返り咲いた。韓国産業界では断トツの強さを発揮している。奢れる条件はいくつもあるのだ。

GMが競争環境を見誤るようになるのは、1980年代からである。これがGM衰退の引き金になった。具体的には二つの要因が指摘されている。
一つは、低価格で高品質な日本車が米国市場に定着しつつあったこと。この点はスマホでも言える。新興国が安価なスマホをつくって追い上げているのだ。
もう一つは、GMの労使関係が酷く悪化していたこと。当時のCEOであるロジャー・スミスは、「GM最大のコスト要因は労働者の人件費である」と見なしていた。それほど、労使関係が悪化していた。労使関係の悪化は、企業文化に問題のあることを示唆している。

これら二つの問題に対する解決手段として彼が考えたのは、ロボット利用による工場の自動化であった。これにより、低価格の日本車と労組の賃上げ攻勢を同時に解決できると判断した。GMは450億ドルもの自動化設備を導入したが、皮肉にも、いっそうの生産性低下を招いた。そこで、トヨタ自動車のカンバン方式を学ぶため、GMとトヨタの合弁事業であるNUMMIに派遣されたGM側の幹部は、その後、ロジャー・スミスによって全社に離散させられた。トヨタ方式を学ぶ謙虚さがなかったのだ。

ロジャー・スミスの経営判断の誤りは、その後のGM経営に決定的な傷跡を残した。ここで問題になるのは、ロジャー・スミスの強権に対して、GMの社内役員が誰一人も異議を申し立てなかった。また、社外役員もお目付役の役割を果たさなかった点である。こうしてロジャー・スミスの独裁を許したのだ。GMの企業文化がすでに正常でなかったことを示している。サムスンの李健煕会長も絶対的な権力者である。もし、健康で経営の指揮権を取り続けたとしたら、現状でどのように意思決定したか。興味深い。

GMの経営改革にあたる企業文化の見直しを最初に唱えたのは、今から63年前の1946年、P・F・ドラッカーであった。GMの依頼に基づく1年半にわたるコンサルティングによって、「分権制の組織と原理」への見直しを提案した。具体的には、GMをシボレー事業部、その他乗用車事業部、トラック事業部などに分社化して、互いを競争させるというものであった。

GMは自らドラッカーへコンサルティングを依頼したにもかかわらず、不都合な結果が出たことからその報告書を拒絶した。その理由は、GMの分権化を主体とする経営政策が恒久的な原理であり、絶対的な経営原則であるかのごとき「錯覚」に囚われていた点にある。自らの企業文化である「仕事のやり方」を見直す柔軟性を既に63年前に失っていた。

サムスンが、GMの二の舞を避けるには、「上意下達」の企業文化を捨てる以外にない。サムスン財閥のオーナーが、実権を握って経営の指揮権を発揮するには、企業規模が余りにも大きくなりすぎている。さらに敷衍すれば、韓国経済民主化の流れにおいて、財閥制度が変革される可能性を否定できない。サムスン「三代目」が韓国政界と渡り合うには、余りにも「ナイーブ」に映る。ここは、サムスンが戦線縮小して、企業文化を変える以外に、生き延びる道はなさそうである。

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(2016年6月28日)



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2016-06-27 04:13:32

中国、「経済破綻?」投資家ソロス氏復帰が意味する「不気味」

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ソロス氏に見抜かれた弱点
決め手なく彷徨う最高責任者

米国の再利上げは、世界経済の先行き不透明を理由に棚上げされたままである。これまで、二つの理由が挙げられてきた。中国経済と英国のEU離脱である。後者は、英国の国民投票の結果、決定した。実質的影響は2年以上先のことである。こうなると、残る難物は中国経済の行く末である。

ここへ、あの弱気見通しで知られる世界的な投資家ジョージ・ソロス氏の復帰が伝えられている。ソロス氏と言えば、今年の1月、中国経済は「ハードランニング」しか道はないと発言、中国政府から大きな反発を買った。だが、その中国共産党の「中枢」による爆弾発言で、これからの中国経済は「L字型成長」を進むと宣言したのだ。事実上、ソロス氏の1月発言を認めた形である。中国経済は今、どのような足取りであるのかを見ておきたい。

中国国家統計局の6月13日の発表では、1~5月累計の民間投資額は前年同期に比べて3.9%増にとどまり、固定資産投資全体の伸び率が16年ぶりに10%を割り込む主因となった。過剰設備を抱えた鉄鋼や石炭関連の投資が大幅に減った結果である。好調だった個人消費にも陰りがみられ、中国経済は「けん引役不在」の様相を強めている。

1~5月累計の民間投資額が、前年同期で3.9%増にとどまったのは、中国経済の失速を暗示するものである。新規の民間投資が伸びなければ、合理化投資が手つかずであることを物語る。人件費高騰を吸収するには、合理化投資が不可欠である。それを行えないとなれば、中国経済は人件費値上がりの中で埋没するしかない。輸出競争力が低下して、ますますASEAN(東南諸国連合)に太刀打ちできなくなる。「世界の工場」と言われたのは、しだいに過去のこととなりつつあるのだ。代わって、ベトナムやミャンマーなどが脚光を浴びる局面に移ってきた。

私は、中国が早く不良債権の処理に手をつけないと、大変な事態になると言い続けてきた。いままさに、その事態を迎えている。中国政府は過剰債務の処理に乗り出すどころか、「追い貸し」をして不良債権化を防ぐという「逆行」コースを歩んできた。これが、確実に命取りになっている。日本の「平成バブル」後の不良債権処理遅延と同じ過ちを犯しているのだ。本命の政策を行わず、ひと目を引く派手なパフォーマンスには熱心である。訪日観光客の「爆買い」取締がそれである。

中国人観光客による、「爆買い」と騒がれた派手な消費は下火になっている。関税引き上げ効果が、てきめんに効いているのだ。中国の各空港では、帰国観光客に対する詳細な手荷物検査が実施されており、これまでの「フリー」な入国審査と状況が一変した。一人で同一商品を何個も抱えて入国する姿が消えた。この程度の取締パフォーマンスが、中国経済の起死回生の一打になるはずもない。氷山と同じで、海面上に出ている部分より、その何十倍もの未処理問題が放置されているのだ。

ソロス氏に見抜かれた弱点
『ブルームバーグ』(6月11日付)は、「ソロス氏、投資最前線に復帰、大口の弱気トレード指揮」と題して、次のように報じた。

(1)「1992年にイングランド銀行(英中央銀行)を打ち負かした投資家として知られる85歳の資産家、ジョージ・ソロス氏が、投資の最前線に復帰したことが分かった。同氏は最近、取引を指示するためにより多くの時間をオフィスで過ごしており、一連の大口の弱気トレードを指揮したという。ソロス氏は少なくとも2013年以降、中国に不安を抱いており、同国の金融機関が景気減速に対応できなくなるとの懸念を強めている。同氏は今年、中国経済が07~08年の米国に似ており、借り入れが成長を支える状況は中国の銀行システムに不確実性と不安定さをもたらしたと指摘。『銀行が供給する資金の大部分は、不良債権をそのままにして赤字企業が生き延びるために必要とされている』と4月20日にコメントした」。

ソロス氏はここ数年、あまり投資に関わらず、慈善事業を中心に活動していた。だが、今年に入り取引の指示でオフィスにいる時間が長くなった。指揮を執っている理由については、昨年にファンドから退社した幹部の代わりを務めている面もあるという。だが、「投資勘」を取り戻し磨いているという予想もできるわけで、ソロス氏の動きがにわかに注目されるのだ。

ソロス氏は、中国経済が07~08年の米国に似ており、借り入れが成長を支える状況は中国の銀行システムに不確実性と不安定さをもたらしたと指摘している。銀行が供給する資金の大部分は、不良債権をそのままにして赤字企業が生き延びるために必要とされていると的確に見抜いているのだ。いわゆる、「追い貸し」という形で企業破綻を先延ばししている現状は、危機をさらに膨らませているのと同じである。この愚に、中国政府はようやく気付いて、「L字型成長」という覚悟を決めたのであろう。

(2)「中国の社債市場にはより多くのデフォルト(債務不履行)が迫っている可能性がある。ブルームバーグ・インテリジェンスの5月の試算では、利払いを賄う十分な利益を持たない借り手の『リスクローン』と分類できる借り入れは、15兆6000億元(約255兆円)に上った。これは15年の中国国内総生産(GDP)の23%に相当する」。

中国の社債市場で、利払いを賄う十分な利益を持たない借り手=ゾンビ企業の債務総額は、255兆円(5月試算)にも達しているという。この255兆円が、すべて破綻企業の債務として表面化することはないにしても、大変な時限爆弾である。日本の平成バブルの経営破綻の規模など比較にならない「大型破産」の続出が予想されるのだ。15年GDPの23%にもなるという。この現実を見ても、なお「中国経済を過小評価するな」などという向きには、驚愕せざるをえない。

そういう突飛なことを報じる記事が現れた。

決め手なく彷徨う最高責任者
『人民網』(6月17日付)は、「中国に債務危機は存在するのか?」と大上段に振りかぶっている。筆者は、中国社会科学院の学部委員で、国家金融・発展試験室の理事長を務める李揚氏である。

この記事は、中国式弁解法が凝縮されている。先ず、開口一番、「問題はない」と否定してから、個別具体論において問題の存在を認めるという「老獪」な方法を取る。中国人の話法で、最も気をつけなければなら点がこれである。「大言壮語」(ほら吹き)の後に、事実を認めるから、うかうかしていると真意を取り違えるのだ。

(3)「2015年末の時点で、中国の債務残高は168兆4800億元(1元は約16円)で、社会全体のレバレッジ比率は249%。中国政府の債務はコントロール可能な範囲で、中国には債務リスクに対応するための十分の資金があることを理由に『債務危機は存在しない』と強調した」。

中国の国家全体が抱える債務総額は、2015年末で対GDP比249%としている。マッキンゼー国際研究所は15年4~6月期で282%と推定している。どちらが正しいかの議論はしないが、中国政府のこれまでのパターンから言えば、少なめに試算しているに違いない。また、債務リスクに対応するための十分の資金があると言っているが、後のパラグラフでは、地価の値上がり分まで計算している。こういう現金化困難な評価物まで計算に入れること自体、弁済能力の不足を証明している。背伸びした「弁解」は要らないのだ。すぐに現金化できるものが唯一の「担保」たり得るのだ。

(4)「中国の高貯蓄率も、債務問題を解決する上で大きな追い風となる。中国は毎年、GDPの50%に相当する貯蓄を投資に転化しなければならない。貯蓄を投資へ変換すると、ほとんどが国内債務となる。高貯蓄率は、中国が自分の力で債務問題を解決するためのサポートとなる」。
高貯蓄率を誇っても、それは債務返済の原資にはならないのだ。高齢化社会を迎えるに当たり、社会保障費や年金積立の原資である。それを流用できるはずがない。返済が滞るのは、投資がそれに見合うリターンを生まない結果である。よって、高貯蓄率を債務返済は区別して考えるべきである。すでに投資のリターンが低下しているのだ。

(5)「この他にも、多くの国と異なり、中国の各級政府の負債は主に投資に充てられている。そのため、巨額の債務と対応し、中国の地方政府は大量の優良資産を有しており、それら資産が今後の返済において信頼できる保障になる。そして、中国で債務危機が発生する可能性を大きく下げると語った」。

ここでも詭弁を弄している。「巨額の債務に対応して、地方政府は大量の優良資産を有する」と憶面もなく言い切っている。それほど優れた投資物件であるならば、なぜリターンで債務返済ができないのか。ここまで、私に指摘されれば、返答に窮するだろう。こういう口から出任せの言い逃れは恥である。端的に言えば、過剰投資であるからリターンが逓減しているのだ。利益を生まない投資(債権)は、これを不良債権と定義する。もう一度、ここを入念に復習すべきである。中国の経済構造は次の式に現される

過剰債務=過剰投資=過剰設備=過剰生産=過剰輸出=世界経済混乱

この一連の関連性を認めるならば、過剰債務の禍根を断たずして世界経済の安定はあり得ない。ここまでくると、もはや中国経済の問題を超えて、世界経済の問題に転化していることが分かる。ソロス氏が、投機の世界に復帰する気持ちが理解できるであろう。

(6)「現在、中国の債務問題のほとんどは、企業に集中しており、その問題は注目するに値する。15年末の時点で、非金融企業の債務率は131%。融資プラットホームの債務を加算すると、非金融企業の債務率は156%まで増加する。うち、国有企業の債務率が占める割合が比較的高いと明らかにした」。

この辺りから、ようやく本音が出てくる。「国有企業の債務率の占める割合が比較的高い」という事実は、政府部門が債務の最終返済者になることを意味している。国有企業は企業部門であって、政府部門でないとの逃げ口上が許されないのだ。先進国での企業債務は、純然たる民間債務が多いが、中国では事情が別となる。

(7)「中国の銀行業の不良債権率が上昇し、債券市場で、契約違反を犯す企業も現れている。この点について、李氏は、債務問題のコアとなるのは、不良資産を処理すること。本質的には、過去の急速な成長が残した『実体を伴わない部分』を取り除くこと。不良資産とは、実体経済においては過剰生産能力や多すぎる在庫に当たるので、そのバランスを取ることと、生産能力や在庫を抑えることは密接な関係があるとの見方を示した」。

不良債権問題の発端は、過剰債務=過剰投資に帰せられるのだ。この問題の整理では、一律の設備削減でなく、最も非効率な投資をしている企業の整理淘汰を行うしか方法がない。その整理する決断が中国政府にあるのか否かが問われている。まさに政治的決断になるが、太子党に支援されている習近平政権では、それが極めて困難視されているのだ。
(8)「中国企業の債務は主に、国有企業のものであるため、債務問題の処理と国有企業の改革は密接な関係がある。債務問題の処理は、中国の市場化と法制化の構築とも密接な関係がある。M&A、再編、債務の株式化などの方法を通じて、合法であることを前提に、市場化の手段を十分に活用して進めるべきで、1枚の文書で解決できるものではない、とした」。

ここで、「債務問題の処理は、1枚の文書で解決できるものではない」と言い切っている。正論である。市場原則が、政治の介入によって曲げられている「社会主義市場経済」では、整理ができずに最後は共倒れになろう。中国経済の最大の困難はここにあるのだ。純粋な市場経済であれば、過剰債務の整理は簡単である。中国にはそれを望むべくもないから地獄の苦しみになる。よって、中国では過剰債務問題が解決困難な課題になるはずだ。

(9)「債務問題を解決するためには、不良資産の解決や国有企業の改革、金融機構の改革など、さまざまな角度から考慮しなければならない。財政当局や金融監督・管理当局、発展改革委員会、銀行などが、各自の力で解決できるものではなく、共に協力して努力し、過去数十年の高度成長期に蓄積された問題を解決することで、今後の発展のために良い基礎を作らなければならない、と強調した」。

今さら、この期に及んで何を言っているのか。過剰債務は日に日に膨らんでいる状況下で、「過去数十年の高度成長期に蓄積された問題を解決することで、今後の発展のために良い基礎を作らなければならない」と悠長なことを言っている時間的なゆとりがないのだ。こと、ここに至って「今後の発展のために」と人ごとのような分析をしている。単刀直入に言えば、現在の過剰債務を解決する手法を持ち合わせていないのだ。これが、国家金融・発展試験室の理事長を務める李揚氏の診断である。間違いなく、中国経済は危機に突入している。ソロス氏が見抜いている泥沼に足を踏み入れているのだ。

お知らせ:拙著『日本経済入門の入門』(定価税込み1512円 アイバス出版)が発売されました。本書は、書き下ろしで日本経済の発展過程から将来を見通した、異色の内容です。中国経済や韓国経済の将来性に大きく扱い、両国とも発展力はゼロとの判断を下しました。日本経済にはイノベーション能力があり、伸び代はあると見ています。ぜひ、ご一読をお願い申し上げます。

(2016年6月27日)



日本経済入門の入門 6月27日発売
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