韓国、「ビック2」サムスンと現代自「業績不振の危機」 | 勝又壽良の経済時評

韓国、「ビック2」サムスンと現代自「業績不振の危機」

 

 

「思い上がり」が不振の原因

スマホの失敗で沈むサムスン

現代自は利益率低下で疲弊

 

かねてから、懸念されてきたことが現実問題となった。韓国企業の2枚看板であるサムスン電子と現代自動車が揃って、業績不振に見舞われている。国際ブランドと言えば、この2社しか思い浮かばない存在だ。サムスンは、例のスマホの「ギャラクシーノート7」の発火事故。現代自は、繰り返されたストライキによる生産減である。

 

 サムスン電子と現代自動車の16年7~9月期は、いずれも最悪の業績であった。現代車の営業利益は前年同期比30%近く減少して1兆681億ウォン(約982億円)。2010年以降、営業利益は最悪状態に落ち込んだ。サムスン電子の7~9月期の営業利益(5兆2000億ウォン)は、前年同期比30%ほどの減益だ。韓国経済を支えてきた代表的企業の業績が悪化して、韓国経済の先行きに警戒信号が灯った。

 

サムスン電子も現代自も韓国輸出の屋台骨である。それが、前記のような理由で転(こ)けてしまったから、国内の生産活動にも大きく響いた。そもそも、韓国を代表する企業が2社しかないというのも底の浅さを示している。日本では、輸出企業と言えば50社が勢揃いするほど、賑やかなものだ。これだけ見ても、日韓の産業構造には天と地もの開きがあるのだ。

 

「思い上がり」が不振原因

この金看板がなぜ「落下」したのか。共通原因は、「思い上がり」にあるようだ。サムスンは、事故発生時に社内挙げての原因究明を怠った。企業トップ2人が、爆発事故を起こしたスマホのレントゲン写真を見て、バッテリーの隅が尖っていたので、これが原因だと簡単に決めつけてしまった。

 

もともと、スマホはアップルが開発したものだ。それを真似して二番煎じで登場したサムスンが、アップルを抜いて世界一の座についた。それだけに、初期の開発投資をしないで参入したので、スマホに新機能を付加した場合、バッテリーに負荷がかかるという認識がなかった。こういう技術軽視が祟って、まんまとその弱点を突かれた形だ。

 

アップルはスマホ(iPhone)の先行開発者として、技術の難しさをトコトン理解している。言葉を換えると、時間と資金をかけて、採用した技術が人間生活に馴染むように地道な努力を重ねてきた。サムスンは、その対極であり、時間と資金を惜しんで、市場へ投入する「綱渡り」経営であった。

 

ここで、アップルの製品開発方針を見ておきたい。

 

『東洋経済オンライン』(11月27付)は、松村太郎氏の「アップルは、どうして日本を重視するのか」を次のように掲載した。

 

(1)「日本からアップルを見ていて、また多くの人にとって、アップルは革新的な企業だ、という印象を抱くことが多い。しかし筆者は米国で取材し、その印象を180度変えた。アップルはむしろ、テクノロジーの歩みを、業界を率先して緩やかなものにしている、という感想を持ったからだ。アップルが最初ではなかったが、スマホでタッチスクリーンで誰もが簡単に使える形で提案されたのはiPhone。スマートウォッチはすでにさまざまな製品が出回っていたが、Apple Watchの登場で、市場が花開いた。きっかけとしてのアップルが、米国のテクノロジー市場に存在している」。

 

一言で言えば、奇をてらった技術を採用するのでなく、安心・安全を十分に確認した後で、商品化する。アップルが採用した技術だから大丈夫だという、消費者に対する安心の証にもなっている。これは、IT製品として、一見似つかわしくないような姿勢だが、結果的には、消費者の支持を得てきた。

 

(2)「これは、革新的、破壊的、といわれるよりも名誉なことだ。多くのテクノロジー企業には、さまざまな理由で、この『ゆっくりとした発展』ができないからだ。理由はいろいろだ。スタートアップ企業にとって、キャッシュと時間はイコールで語られることが多い。そのため、できるだけ速く製品を出す必要があるし、社会を無理矢理揺り動かすことが、企業の成功の仕様にもなっている」。

 

サムスンが、「ギャラクシーノート7」で再度の発火事故を起こしたのは、まさに「ゆっくりとした発展」ができずに、大きな穴に飛び込んだ結果である。キャッシュ獲得は時間の節約によって達成されるという、間違った経営戦略がもたらしたものだ。サムスン電子の祖業は商社である。商社は商機を敏感に掴むことにある。この敏感商法が、テクノロジー企業であるサムスン電子の「企業文化」になった。それが間違いなのだ。

 

(3)「潤沢な手元資金を背景に新しいことに取り組めるアップルは、時間に追われて製品を送り出す必要がない。実際に、iPhoneで1年に1度の新製品、Macでは4年に1度のモデルチェンジ、数年寝かせて新たなデバイスをリリース、というサイクルに耐えられる財務的な体力がある。同時に、最新のテクノロジーをいちばん初めに披露するのではなく、人々の生活を本当に便利に変えるまで熟成させて提案するまで待てる、というマインドセットが、緩やかで確実な変革のペースを作り上げている。その結果、スマートフォンもウエアラブルデバイスも、アップルが動いて初めて市場が動き出すというサイクルを何度も目にすることができた。テクノロジー業界から見れば「後出しで利する」と見えるかもしれないが、一般の人々にとって心地よい「アップルペース」が生み出されている」。

 

16年9月に発売されたアップルの「iPhone7」は発売当初、斬新な機能は見られないが安心感があるとの評価であった。サムスンの「ノート7」が、再度の爆発事故で生産・販売中止に追い込まれた後だけに、アップル製品への信頼感が評価されたのであろう。ともかく、アップルはサムスンとの競争でも足元を見失わず、「我が道を行く」経営ぶりだ。サムスンとは「天と地」もの違いである。

 

現代自は、「労働貴族」と揶揄される賃上げを巡る長期ストが、生産をストップさせた。現代自の平均賃金は、すでにトヨタ自動車を上回っている。それでも高賃金を要求してストに突入する。世界でも最強の労組という評判である。

 

今年の賃上げ成果は、労組にとっては赫々(かっかく)たるものだった。全面ストライキは2004年以来、12年ぶりに行った。会社側との暫定合意案では、次のような超ハイレベル回答であったが、それすら拒否する強腰な労組である。暫定合意案とは、合計で「170万円」を給料に上乗せという「豪華」な内容だ。これも拒否したから驚きである。

 

『朝鮮日報』(9月25日付)コラムは、「170万円の賃上げにも不満 欲深い現代自労組」と題して、次のように批判した。

 

(4)「同社労使の暫定合意案は5万8000ウォン(約5400円)の賃上げ、成果給および激励金として基本給の350%プラス350万ウォン(約32万円)、1株13万ウォン(約1万2000円)に上る株式10株を支給するというものだった。労働組合員1人当たり平均1800万ウォン(約170万円)の給料上乗せになり、これはほぼ非正規雇用者の年収に相当する」。

 

14回の時限ストの末にたどりついたこの暫定案を、現代自の組合員は78%という圧倒的反対で否決したのだ。すでに9700万ウォン(約900万円)の年収をもらっている組合員たちが、賃上げ幅が小さいと不満を爆発させた。これに対して、労組委員長は「組合員の気持ちをきちんと汲み取ることができず、申し訳ない」と頭を下げたという。この常識外れの超高額の賃上げに現代自は経営的に耐えられるのか。14回もの時限スト後に、全面ストを打ったのだ。10月14日の妥結では、基本給4000ウォン(約370円)、商品券30万ウォン(約2万7500円)が上乗せされた。

 

以下では、サムスンと現代自について、個別に取り上げる。

 

スマホの失敗で沈むサムスン

サムスン電子は、7~9月期の営業利益をギャラクシーノート7(以下、ノート7)の生産中止決定前、7兆8000億ウォン(約7230億円)と見込んでいた。それが、ノート7の生産中止決定で5兆2000億ウォン(約4820億円)に修正された。当初1兆ウォン(約920億円)水準とみられていたノート7関連の費用が生産中止の決定とあわせて3兆~4兆ウォンに跳ね上がったからだ。生産済みの430余万台をすべて回収・補償して廃棄しなければならないためだ。

 

 7~9月期の営業利益(5兆2000億ウォン)は、前年同期比では29.7%もの大幅減益である。例年、7~9月期は情報技術(IT)業界で最高の書き入れ時にあたる。それが思わざるノート7の爆発事故で好機を逸した。今年10~12月期も年末の買い物シーズンである。ギャラクシーS7以外、これといって目玉になるスマートフォンがないからだ。サムスンによると、10~12月期から17年1~3月期までに追加発生の機会損失だけで4兆ウォン(約3700億円)に達する。ノート7事故に伴う損失が3期にわたり8兆ウォン(約7400億円)ほど発生するのだ。

 

前記のように「ノート7」に伴う損失は、17年1~3月期までに約7400億円と見込まれるが、イメージダウンという見えない損失まで含めると、膨大な金額になるはずだ。次なる失敗は絶対に許されない。そういう状況に追い込まれている以上、これまでと同様に短期間に新製品を売り出すことは不可能になろう。ライバルのアップルが、スマホに関しては1年に1回の新製品発表だ。サムスンも、これを見倣う必要があろう。技術的に出し抜くリスクは、もはやサムスンにはないはず。三度目のリスクが現実化すれば、サムスンのスマホは一巻の終わりになる。失敗は許されない・

 

「ノート7」の失敗は、サムスンの世界スマホ利益ランキングを否応なく引き下げた。

 

『中央日報』(11月25日付)は、次のよう伝えた。

 

(5)「市場調査会社のストラテジーアナリティックス(SA)が11月22日(現地時間)に発表した『2016年7~9月期のグローバルスマートフォンの営業利益額シェア率』によると、アップルは営業利益85億ドル(約9631億円)で、市場全体の91.0%を占めた。これは歴代最高値となった。アップルの完全復活である」。

 

 (6)「中国の華為は、2.4%で2位だった。中国のVIVOとOPPOがともにシェア率2.2%で華為の後に続いた。これら中国スマートフォン三銃士の合計シェア率は6.8%だ。華為は、『効率的なサプライチェーンと優れた製品、効果的なマーケティングで収益性を大幅に高めた』とSAが分析する」。

 

(7)「サムスン電子は、アップルと中国3大メーカーを除いた『その他のメーカー(2.2%)』に含まれた。『サウスチャイナ・モーニングポスト』はSAのアナリスト、ニール・モーストン氏の言葉を引用し、サムスン電子は7~9月期に営業利益額シェア9位へ滑り落ちたと報道した。 SAによると、サムスン電子の7~9月期の世界販売シェアは21.0%で1位だった。出血も甘受し、スマートフォンを販売し、市場1位の座を守ったという解釈が可能だ」。

 

サムスン電子はこれまで、アップルとともに営業利益額シェア率で首位を独占していた。市場調査会社カナコード・ジェニュイティによると、今年4~6月期の2社の営業利益額シェア率は「合計106%」だった。アップルとサムスンで100%を上回る利益シェアとは、他社が赤字であったことを示す。事実、アップルの営業利益額シェアは75%、サムスン電子は31%。2社を除く他のすべてのスマートフォンの製造会社は赤字になったという意味だ。 スマホ業界の競争は、「死闘」という言葉がぴったりである。

スマホの世界はちょっと気を抜くと、それまでの勝者が敗者になる。スポーツと同様な世界である。「B2C」ビジネスの怖さがここにある。サムスンは今後、「B2B」ビジネスに移行する腹積もりだ。最終消費者相手の「B2C」か、企業相手の「B2B」ビジネスが、安定的な利益を得られるからだ。その必要性を、今回の「ノート7」の失敗が教訓を与えている。


 サムスンが、「B2C」ビジネスで生きて行くには、アップルのような悠然とした経営姿勢が求められる。技術的な目新しさも製品に欠かせないが、その製品が人々の生活の改善にどのように役立つか。そういった視点が、「B2C」ビジネスには不可欠であろう。サムスンの企業文化は、「一刻も早く、少しでも安く」というせっかちなものだ。今さらこれをアップル型に変えることは至難の業であろう。サムスンの企業文化は、韓国の国民性そのものを現している。

 

次は、現代自について検討する。

 

現代自は利益率低下で疲弊

現代自は、韓国の国内市場で圧倒的な市場シェアを占めることから、慢心経営が続いてきた。「労働貴族」をはびこらせるのは、経営側に緩みと甘さがある証拠だ。古今東西、労組が身勝手な要求を通してきた企業は、ことごとく経営が蹉跌してきた。米国のGM、日本の日産という墓標がある。そして新たに、韓国の現代自がこれに続きそうである。

 

こういう書き方をするとかならず反論がくる。労働者を無視した暴論だと。そうではない。企業が存続し繁栄できてこそ、初めて労働者の権利が保障されるのだ。企業が左前になれば、合理的な賃上げや労働環境の改善が不可能になる。要は、合理性のある賃上げがベストなのだ。

 

 現代自・起亜自動車の7~9月期の営業利益率が、5%を割ったことが判明した。新しい会計基準が適用された2010年以降初めてのことである。長期ストライキが、経営体質を弱めているのだ。営業利益は、当該期間に生み出した企業の付加価値である。営業利益率とは、売上高に対する比率で、どれだけの付加価値を上げたか分かる。販売価格の引き下げやコストの増加が、営業利益率を引き下げる要因となる。

 

『韓国経済新聞』(11月25日付)は、次のように伝えた。

 

この記事では、現代自の企業体質(営業利益率)が、時間を経るとともに悪化していることが分かる。日・米・独のグローバル自動車企業と比較して、最悪状態に落ち込んでいるのだ。現代自の労組はそんな事実も知らないで、「わが世の春」を満喫している。それもいずれは終わる運命になった。

 

(8)「現代・起亜車とトヨタ、VW(フォルクスワーゲン)、GMなどグローバル10大自動車企業の16年7~9月期の実績を分析した結果、現代・起亜車の営業利益率は4.6%である。現代・起亜車の四半期別の営業利益率が、5%を下回るのは2010年の国際会計基準(IFRS)施行後初めてだ。主要グローバル自動車会社のうちで最低水準である。かつて『非効率の代名詞』と呼ばれた米ゼネラルモーターズ(GM)よりも低い収益性となった。現代・起亜車の年間営業利益率も低下している。金融危機直後の2011年、現代・起亜車の営業利益率は9.5%。2013年8.5%、15年6.2%、16年1~9月は5.6%に低下した」。

グローバル10大自動車企業の16年7~9月期の営業利益率では、現代自・起亜自の5%割れが最低となった。理由は、言わずと知れた「貴族労組」のストライキの影響である。過去の営業利益率の推移を見ると、その悪化ぶりは一目瞭然である。

2011年 9.5%

2013年 8.5%

2015年 6.2%

2016年1~9月 5.6%

2016年7~9月 5%割れ

 

営業利益率が逐年悪化している事実を、労使は話し合わないのだろうか。あるいは、労使交渉の席上で話が出ても、労組側は「それは経営の問題。労働者には責任はない」と切り返しているのだろうか。そうであれば、労組の間違いである。生産性を超える賃上げをしているから営業利益が減るのだ。この単純な事実も理解できないとすれば、現代自の経営は、もはや風前の灯火であろう。「賃上げの節度」とは、生産性上昇範囲内の賃上げである。それを上回る賃上げは、「企業収奪」である。会社を食い物にする「労働モンスター」だ。

 

(9)「ライバル企業を見ると、今年7~9月期の収益性は悪くない。トヨタの営業利益率は8.5%だ。トヨタは2014、15年と2年連続で10%を超え、今年も高い営業利益率を維持している。ドイツのダイムラー(メルセデスベンツ)は10.5%、BMWは10.1%だ。GMの営業利益率も6.6%と、昨年(3.2%)に比べて大幅に好転した。金融危機から8年間も賃金を据え置き、体質を変えた結果という分析だ。GMの年間営業利益率は、2010年以後初めて現代・起亜車を上回る予想だ。 日本企業のホンダが7.0%、日産が6.1%と、ともに現代・起亜車を上回った。排ガス不正があったフォルクスワーゲンも昨年は赤字だったが、今年1~9月の営業利益率は5.4%と大幅改善である」。

現代自・起亜車の営業利益率は、日・米・独の3ヶ国と比較して最悪である。大型倒産したGMは、8年間も賃金を据え置いて体質を変えた結果、今年7~9月期の営業利益率は6.6%に改善した。現代自の労組は、労働攻勢で傾いたGMの庇が元の状態に戻るまでに、前記のように長年の「賃上げなし」の時代を過ごしてきた事実を知るべきだろう。低い営業利益率のもたらす病気は、研究開発費(R&D)を節約させる「余病」を引き起こす。これは、企業にとって「死刑」の予告と同じだ。

 

(10)「現代・起亜車は営業利益率の低下で未来の自動車競争に向けたR&D投資資源が相対的に不足するという懸念が出ている。トヨタはR&Dに2014年1兆50億円、2015年1兆560億円(約11兆600億ウォン)を投入し、今年は1兆800億円の投資を予定している。現代・起亜車のR&D投資は昨年3兆3656億ウォンと、トヨタの3分の1水準だ。フォルクスワーゲンは昨年136億ユーロ(約16兆9300億ウォン)をR&Dに支出し、現代・起亜車の5倍を投入した」。

 

現代自・起亜車の15年のR&Dは、トヨタの3分の1、フォルクスワーゲンの5分の1にすぎない。自動車業界は、HV(電気自動車)、FV(水素自動車)など、エネルギー源が、これまでのガソリンから電気や水素へと大きく変わる。その先にはさらに、全自動運転車(スマートカー)が究極の理想カーとしてそびえ立っている。この難路に立ち向かって、現代自・起亜車はワールドカーとして競争できるのか。研究開発費において、大きく出遅れている現在、労使はどう協調するのか。賃上げは、所詮「コップの中の争い」でしかない。労使が、合理的な賃上げモデルで合意して、賃上げに費やすエネルギーを経営計画の推進に向けるべきだろう。

 

現代自の「労働貴族」が跋扈する姿に、韓国メディアが「反感」を示している。16年のストに対して、批判的なスタンスで報道していた。この影響力は大きい。2015年、韓国で発行される日刊紙で、1位は朝鮮日報(126万部)、2位が中央日報(75万部)である。これら2紙のシェアは53%に及ぶ。この有力紙が揃って、現代自労組を批判したうえで、「現代自を買うのを止めよう」というコラムを掲載するほどだ。

 

有力紙が、ここまで批判的トーンで現代自を見ている結果、自動車販売で悪影響を受けることは避けられない。現代・起亜自動車の国内シェアは、ずっと70%を上回っていたが、14年6月に60%台に下がり、それから2年4カ月後の今年10月に50%台へと後退した。16年間で最も低いシェアである。

 

現代自はこれまで、国内での高い販売シェアで利益を上げて、海外販売で値引きをして車数を増やす戦術であった。この国内の高価格戦略を衝かれて、輸入車が増えるなど、現代自の販売戦略には綻びが見えている。一方で、現代自労組の向こう見ずな賃上げ闘争が、次第に経営の自由度を奪ってきた。頼みの国内シェアで今後、ズルズルと後退が続くと、現代自にとって「一大事」となろう。すでに営業利益率は、ワールドカーの中で最低である。失地回復はなるのか。

 

(2016年12月8日)

 

 

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