中国、「軍事力誇示」日韓けん制で日本海大演習「韓国紙が冷笑」 | 勝又壽良の経済時評

中国、「軍事力誇示」日韓けん制で日本海大演習「韓国紙が冷笑」

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米軍のF35日本へ配置
韓国紙が腹を括って反中

中国人民解放軍は、かつての清国海軍と寸分違わない振る舞いをしている。軍事力を誇示して自己満足しているからだ。李鴻章は当時、英国から最新鋭の軍艦4隻を購入、日本へ示唆航海した。清国海軍の実力を見せつけて、日本が朝鮮半島から手を引くように圧力をかけたものだ。日本はこれに発憤して急遽、軍艦を建艦して対抗した。日清戦争(1894~95年)の発端の一つはここにある。

あれから120年余、人民解放軍が同じことを始めている。こともあろうに、日本海まで出てきて大演習をしたのだ。今回の目的は、日韓への軍事的な圧力強化である。日本は尖閣諸島問題。韓国はTHAAD(高高度ミサイル網)設置反対である。中国の要求に従わなければ、軍事力で「お見舞い」という暴力団並みの姿勢を見せている。中国は期せずして、日韓を敵に回す振る舞いだ。この民族は、本当に歴史に学ばない「お調子者」国家である。李鴻章と同じ間違いをしでかしている。

米軍は、最近の中国軍の異常な行動に警戒感を強めている。米軍は来年1月から岩国基地(山口県)に最新のステルス戦闘機F35を順次16機配備する予定だ。来年1月に10機を先行配備し、来年6月に残る8機を配備する予定だ。米軍が、米本土以外にF35を配備するのは岩国基地が初めてである。米軍が、北東アジアの軍事情勢に注意を払っている証拠だ。

このステルス戦闘機F35の機能については、8月26日のブログで取り上げた。中国のステルス戦闘機「J―20」との性能比較では、「30年の遅れ」が米空軍のデービッド・ゴールドフェイン参謀総長(大将)から示唆されたほどである。理由は、「中国機は強力なエンジンを搭載していないため、ステルス戦闘機の“超音速の巡航能力”を発揮できない」という致命傷を抱えているのだ。

ステルス戦闘機が“超音速の巡航能力”を欠いているのでは、実戦では使いものにならないはずだ。米中機が戦闘を交えれば、撃墜されるのは中国機である。だが、中国では例の「大言壮語」(ほら吹き)によって、米軍機のF35が北東アジアに登場しても「制空権」は渡さないと豪語しているから笑える。李鴻章の二の舞を演じている。

米軍のF35が日本配置
『朝鮮日報』(8月22日付)は、次のように伝えた。

(1)「新華社電は22日、『日本のF35配備は中国の脅威にはなるが、それによって東中国海の制空権を掌握しようとする試みは白日夢になるだろう』と主張した。海軍出身の梁芳・中国国防大教授は新華社に対し、『中国は有事に際し、制空権を掌握するため、南東部の海岸地帯への軍事配備を強化した。F35は脅威にはなるが、中国のミサイル攻撃の範囲内にある』と述べた」。

技術水準が30年前の中国製ステルス戦闘機が、米軍のF35と交戦して勝てる訳がない。全機が撃墜されてお終いであろう。中国が制空権など守れるはずがないのだ。こういう不可能なことを、あたかも実現可能のように言いふらすのが中国人の特性である。ここに危機の芽が存在する。自己過信と相手の実力軽視という軍略上、絶対にあってはならない戦力の見誤りが、中国を自滅に追い込むのだ。

中国はエンジンの製作能力がきわめて低い民族である。自動車も航空機もエンジンという名の精密機器が製造不可能な国である。この驚くべき低レベル国家が、大言壮語するから可笑しいことになるのだ。次のニュースは、中国技術の貧困さを証明している。

『朝鮮日報』(8月22日付)は、次のように報じた。

(2)「米国の最新鋭戦闘機のエンジンと爆撃用ドローン(小型無人機)などを中国に密輸しようとした中国系米国人が米国の裁判所で実刑判決を言い渡された。21日付香港紙『明報』などによると、米フロリダ州連邦地裁は19日、中国系米国人のウェンシー・マン被告に中国への武器不正輸出の罪で禁錮4年2ヶ月の実刑を言い渡した。マン被告は2011年3月から13年6月にかけ、技術スパイとみられる中国人から100万ドルを受け取り、米国のF35、F22、F16戦闘機に使用されるエンジン、ヘルファイアミサイルを発射可能な爆撃用ドローンなど5000万ドル相当の武器と関連技術情報を香港、韓国、イスラエルなどを経由し、中国に輸出しようとした疑いで今年6月に起訴された」。

中国人スパイが、米国のF35、F22、F16戦闘機に使用されるエンジンを狙っている。中国政府が法螺を吹いていても、これら高級戦闘機のエンジン技術がないのだ。新幹線も独力でつくれなかった民族が、ステルス戦闘機のエンジンなど製造できるヒントも思い及ばないのだろう。中国の科学技術力は、スパイに依存するという呆れた低レベルにある。この実力で周辺国を威嚇する。腹を抱えて笑うほど、身のほど知らずの振る舞いである。

きつい言葉で言えば、この程度の民族が世界の覇権に挑戦するということ自体、自らを不幸にする事実を知ることである。蟹は甲羅に似せて穴を掘るという。中国も、自らの民度に応じた地位で満足すべきである。間違っても、世界の頂点に立ちたいという野望を持ってはならない。それにふさわしい能力を持っていないからだ。秦の始皇帝時代と現代のグローバル時代では、政治環境は完全に異なる。「中華の夢」は時代遅れである。

(3)「米国は天安門事件直後の1990年から中国への武器輸出を禁止している。中国で大学を卒業したマン被告は、米国に移住した後、2006年に米国の市民権を取得した。中国系の夫との間には子どもが2人いる。マン被告は電子部品メーカーを経営していた。これに先立ち、7月には中国系米国人の実業家、蘇斌被告が米国の軍需企業のコンピューターをハッキングし、F35、F22の技術データを盗んだとして、米国で禁錮3年10月の判決を受けた。米国の戦闘機エンジンを狙った中国人のスパイ事件が相次いでいることについて、香港紙『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』は、『戦闘機エンジン技術が中国軍の弱点だからだ』と報じた」。

マン被告は、渡米目的がスパイを働くことであったのだろう。FRBが最初からマークしていたことは十分に想像できる。もう一人の被告も、米国の軍需企業のコンピューターをハッキングし、F35、F22の技術データを盗んだとして、禁錮3年10ヶ月の判決を受けている。いずれもステルス型戦闘機のデータである。香港紙『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』は、はっきりと「戦闘機エンジン技術が中国軍の弱点」と指摘しているのだ。この状態で、中国が制空権を握るなど、あり得るはずがない。とんだ、妄想を抱いていることになる。いざ、米中が開戦したら、中国機はバタバタと撃ち落とされるのだろう。

戦闘機は、最先端の電子技術の華である。中国が日米に勝てる保証はない。それにも関わらず、日本海まで「出張」してきて、軍事演習をしているのだ。自己満足の典型例である。

韓国紙が腹を括って反中
『朝鮮日報』(8月22日付)は、社説で「東海で筋違いの軍事力アピール、自分で自分の首を絞める中国」を掲載した。

韓国有力紙の『朝鮮日報』が中国に対して、ここまで社説で思い切って主張したのは珍しいことだ。いつも、奥歯に物が挟まったような言い方で、「まあまあ」調の記事であった。それが、はっきりと「自分の首を自分で絞める」と中国に向かって言い切っている。ここまで、腹を括ったということであろう。中国は、「イエス」と「ノー」をはっきりと言わなければ分からない国である。あうんの呼吸という芸当は不可能である。王様気取りの国になっているから、不都合なことは指摘しなければ分からないのだろう。

(4)「中国人民解放軍は8月18日、東海(日本海)の公海上で大規模な実戦演習を行った。中国海軍のミサイル駆逐艦による対抗演習に加え、最新の戦略爆撃機、早期警戒機も動員されたという。演習を報じた中国紙・解放軍報は『演習現場に砲煙が立ちこめた』と書き、ミサイルや艦砲による射撃演習が行われたことを示唆した。中国が東海上で単独で実戦演習を行ったのは異例だ」。

中国海軍の歴史はきわめて新しい。実戦経験はゼロである。日米海軍のように太平洋戦争で対峙した経験がある訳でなく、中国海軍は新参者と言える。それが、何を間違えたのか「海軍古参」の日米海軍に挑んできている。精緻さに欠ける中華民族の海軍とは、いかなる動きをするのか。かつて、日清戦争では勝手に戦場を離脱した艦船が現れたほど。戦意は低かったのだ。その海軍が、マルクス主義で戦意が高揚したのだろうか。所詮、見物(みもの)という感じもする。ただ、戦争を未然に防ぐ工夫は不可欠である。

(5)「中国は7月、仲裁裁判所での仲裁結果が示される直前、南中国海(南シナ海)で大規模な軍事演習を行い、国際社会を緊張させた。領有権判決で敗北した後には、うっ憤を晴らすかのように日本と領有権を争う東中国海(東シナ海)でも軍事演習を行った。中国は世の中が自分たちの思い通りに回らなければ、対話と交渉ではなく、軍事力を繰り返し示している格好だ。中国はまだ大国の筋肉を見せつければ、周辺国が怖がって譲歩すると信じているようだ」。

中国は、秦の始皇帝時代と意識はほとんど変わらない。これが長年、私の抱いてきた中華民族観である。「イノベーション能力」に著しく欠けており、大国意識だけに酔いしれていることは疑いない。大国意識の根拠は、「人口・国土・歴史」という3点セットだ。理屈もなく、自らを「世界一」と盲信している国民である。この「大国意識」がGDP世界2位で「満開」となっている。それだけに、周辺国を「小国」とみなして増長する危険性が非常に大きい。

この暴走する「大国意識」を食い止めなければならない。韓国も、ようやくそれに気づいたのだろう。調子に乗ったら手がつけられない。その典型例は、習近平主席や王毅外相の振る舞いである。よくこういう態度がとれるものと呆れた行動を見せるのだ。決して、聡明には見えないが、ご本人は権力を背負っていると思うのだろう。人間として失格であり、気の毒なことだ。

(6)「南中国海、東中国海で中国の武力アピールは米日同盟の強化、米国とベトナムの和解、米軍のフィリピン再駐留など、ことごとく中国の安全保障利益とは逆行する結果につながった。アジアで米国の地位を強化してしまっただけだ。日本は中国の軍事的脅威を口実として、平和憲法改正と再軍備を既定事実化しようとしている。中国がTHAADを問題視し、過剰な行動を繰り返すならば、韓国でも同様の結果を生むだろう。中国が真に変化へと導かなければならない場所は、韓国でなく北朝鮮だ」。

中国の意識は、かつての秦の始皇帝である。世界で一番の大国と思いこんでいる。だから、周辺国に対して傲慢不遜な態度を平気で取れるのだろう。これが、中国への敵愾心を植え付けている。周辺国は一斉に反発して、「同盟」を組む方向へ向かっている。中国は、無意識のうちに「敵」をつくっているのだ。

朝鮮日報が、実に冷静に中国と周辺国の関係を読み取っている。
中国の武力アピールが、①日米同盟を強化させた。②米国とベトナムの和解、③米軍のフィリピン再駐留など、ことごとく中国の安全保障利益とは逆行する結果につながったのだ。中国自身の「軍国主義」が期せずして、各国を団結させている。

「防衛のジレンマ」という言葉がある。一国が軍拡をすれば、周辺国もそれに対応して自衛権を強化する、ことだ。中国の軍拡と軍事力誇示は、まさに自分で自分の首を締めているのだ。今日も「中華の夢」を追い求めている。それは、自滅への道であるが、そのことに気づかずにいる。米国から軍事スパイをしなければ成り立たない。そういう中国の軍備は、いずれ馬脚を現すものだ。甲羅に似せた穴を掘るべきだが、無謀にも「世界一の夢」から覚めないのだ。典型的な自滅国家の行動である。

(2016年8月31日)


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