韓国、「捕らぬ狸」南北統一の夢に沸く軽薄さ「日本利用」が前提 | 勝又壽良の経済時評

韓国、「捕らぬ狸」南北統一の夢に沸く軽薄さ「日本利用」が前提

『習近平大研究』勝又壽良著

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無邪気な南北統一論
統一で日本の懐狙う

韓国人は、考えれば考えるほど不思議な民族である。深く物事を考えないで、瞬間湯沸かし器のごとく、その場その場に応じて極端な反応をするからだ。外からの刺激(火力)に応じて、瞬間湯沸かし器は沸騰するが、火力が弱まれば再び静かになる。なんとも不思議に思えるのだ。

そう言えば、韓国紙『朝鮮日報』(2013年10月4日付け)コラムで、日韓の国民性比較をして次のように書いていた。「冷静な日本と直情的な韓国は、火星人と金星人ほどの違いがありそうだ。その中間程度ならばちょうど良いのにと思う。韓国は興奮し過ぎで、日本はあまりに静か過ぎる」というのだ。「なるほど本当にそうだ」、私も思わず膝を叩いたほどである。これは、例の福島原発放射能漏れ事故。日本人は冷静であった。被害が及ばない韓国人が、興奮して騒ぎ立てている。日韓は対照的なのである。

新年に入っての韓国は、北朝鮮との統一論に沸き返っているという。北朝鮮の若き指導者の無鉄砲さに警戒していたかと思えば、180度も視点が異なる北との統一論を勝手に夢見ているのだ。この議論を精査してみると、莫大な統一費用を日本に持たせる。そういう虫の良い「日本利用論」が元・韓国駐日大使の口から漏れている。韓国政界で、大声では言わないまでも、暗黙の共通認識になっているのかも知れない。どこまでも日本を利用する。「金蔓(かなづる)日本」という認識であろうか。一連の日本批判も帰する所は、日本に新たな謝罪をさせて金を出させる。こんなところかも知れない。

無邪気な南北統一論
韓国紙『中央日報』(1月17日付け)は、コラムで「統一が成功するためには」を掲載した。

① 「新年に入って洪水のように溢れた韓国(注:朝鮮半島)の統一論は、統一はなされなければならないこと、統一はこんなに良いこと、統一は韓国経済の『大当たり』という統一当為論を前面に出している。険しくならざるをえない統一の過程と方法は省略し、統一された後の恍惚とした未来像にだけ熱狂する浪漫的な発想だ。韓国の統一は市場経済をする自由民主主義体制の統一だ。北朝鮮はまだ赤化統一を考えている。それが叶わなければ次善策として分断の現状維持を望んでいる。核武装も体制の安全を守るための北朝鮮なりの生存戦略だ。それで韓国、北朝鮮の合意による統一ははるかに遠い。今の統一論は、どのようにするのか、どのような統一なのかが省略された統一礼賛の大きい談論であることが弱点だ」。

朝鮮半島の統一は朝鮮民族の悲願であることは疑いない。かつて朝鮮半島を植民地にした日本としては、現在の分割状態に対して「道義的な責任」を感じる。だからと言って、いつまでも日本が謝罪し続ける訳にもいかない。韓国に対しては、1965年の日韓基本条約によって、謝罪と賠償を済ませている。北朝鮮については国交回復ができず、そのままにされている。いずれ賠償の支払い義務は発生するが、韓国は関係ない問題だ。

韓国が描く、韓国による北朝鮮救済合併は、財政的に大変な負担であることは確かだ。その実例は、東西ドイツの合併によって旧西ドイツが財政的に莫大な負担を強いられた。1990年に東西ドイツは統一されたが、2010年に至るまで実に20年間も統一の経済的な負担に悩んできた。ドイツですら、これだけの犠牲を負ったのである。韓国の経済力で、北朝鮮の貧困を救済するには「天文学的」な財政負担を余儀なくされるに違いない。

「統一はこんなに良いこと、統一は韓国経済の『大当たり』という統一当為論を前面に出している。険しくならざるをえない統一の過程と方法は省略し、統一された後の恍惚とした未来像にだけ熱狂する浪漫的な発想だ」。批判はもっともである。そうした経済的負担を忘れて、一方的な側面だけを強調する韓国世論は、余りにもナイーブ過ぎる。

この調子で、日本批判をしているのだ。日本植民地時代のプラスとマイナスについて、全く考えようともしないで一方的に日本批判をする。アジアでは韓国が、香港・台湾・シンガポールなどと並んで、「中間所得国の罠」を脱することができたのは、日本の植民地で近代国家の基本ができていた面もある。台湾もかつての日本植民地であって、韓国と同様な近代化の基礎を日本がつくった。シンガポール・香港は英国植民地として、近代国家の基礎が固まったのだ。

台湾は大変な「親日国」であるのに、韓国は名うての「反日国」である。この好対照を見れば、韓国の国民性の「興奮しすぎる」特徴を、どうにも否定しがたいのである。現在は、竹島・靖国参拝・慰安婦などで、猛烈な日本批判を続けている。その短絡的な思考には、とても付き合いきれないのだ。中国人ともきわめて似通った国民性である。

権哲賢(クォン・チョルヒョン)元駐日韓国大使(注:008年4月から11年6月まで3年2カ月勤務)は、安倍晋三首相の靖国神社参拝を「アベノミクスの瞬間的成功に酔って取った衝動的、非理性的な行動である」と斬り捨てた。短期的には、日本国民に一時的な満足感を与えるかもしれないが、「長期的には結局、世界から日本が捨てられてしまうだろう」と警告する。まことに意気軒昂な日本批判である。

この後段の本音部分では、「日本への経済的依存」というおまけがついている。日本を批判して、世界の孤児になると言いながら、最後は「世界から捨てられる」日本の経済力に依存したい。そういう矛盾した言動を平気でするから驚く。韓国人の日本への拭いがたいコンプレックスを見事に表したものだ。

統一で日本の懐狙う
『朝鮮日報』(1月19日付け)は、権哲賢・元駐日韓国大使のインタビュー記事を掲載した。

② 「日本の(靖国参拝)行動は批判されて当然だが、韓国としては状況を冷静に見る必要がある。韓日間の関係がこれ以上悪化することは防ぐべきだ。中国をけん制するためには、日本と韓国の協力が欠かせない。デリケートな諸問題を、留保的な分野に含めておくべきだ。歴史認識の問題については、歴史教科書の共同制作委員会を作るなどの方法を模索すべきだ。そして協力すべきは協力するという正常な関係に戻らなければならない。それが外交であり、知恵だ」。

韓国の外交関係者は、一様に中国への警戒観を滲ませている。中国外交の本音が、自国の勢力圏拡大にあることを熟知しているからだ。その中で、ただ一人中国に対して「無防備」であるのが朴大統領だ。日本を批判して中国へすり寄る。中国の術中にはまり込んでいるとしか言いようがない。相手の中国は外交面で「百戦錬磨」である。2000年以上もユーラシア大陸で、覇権を争ってきた国である。甘言を弄して相手を陥れる。朝飯前のことである。朴大統領はそれが分からない、と言うのだから絶望的である。

中国の脅威をこれだけ知っている韓国が、日本批判では手段を選ばず嬉々としてやっている。中国・大連駅には伊藤博文を暗殺した「安重根記念博物館」をつくって、「日本帝国主義」を糾弾すると息巻いている。ならば、朝鮮戦争で人民義勇軍を送り、韓国を戦場にした中国の責任はどうなるのか。こちらは不問にしている。片手落ちなのだ。

韓国の民間有志は、米国での2カ所めになる「慰安婦像」設置を運動している。最近は、他国と協力して「慰安婦」を世界記憶遺産に指定すると言い出してもいる。「韓国女性家族省は1月15日、韓国、中国、東南アジア地域に分布する旧日本軍の『慰安婦』に関する記録を2017年目標で国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産に登録する計画を発表した」(『人民網』1月17日付け)。ここまで日本へ敵対行動を取りながら、最後は金銭面で「日本よろしくね」とは、いったいどういうことなのか。頭を捻らざるを得ないのだ。それでも隣国だから、我慢しなければならぬとすれば、もはや限界を超える。

③ 「今のような状況が続いたら、国際世論が『韓国はやり過ぎ』という方向に流れていきかねない。『日本は韓国に首脳会談をやろうと言っているのに、韓国は最後まで拒絶している。韓国はひど過ぎるのではないか』という声が上がるかもしれない。世論がそうなったら、ボールは韓国の側に飛んで来る。すべての責任は韓国にかぶせられる」。

すでに、日本に対して行っている「嫌がらせ」は常識を超えている。「慰安婦」問題でも、韓国軍は自国内に慰安婦施設をつくっていたのだ。しかもベトナム戦争では、残虐な婦女暴行を働いて批判されている。自らはこうした行為を行いながら、日本を批判する神経が分からないのだ。常軌を逸した行動と言わざるを得ない。「韓国はやり過ぎ」である。世界の批判は韓国へ向かって当然である。

④ 「今や、日本が(日韓問題で)完全に屈服し、膝を屈するのを期待するのは困難になった。結局のところ、密使が水面下で動き、ウィン・ウィンになる方法を探らなければならない。留保的な分野に含めるべきものは含めておき、互いに協力できる方向へ進むことで、首脳会談までつなげる方向になるべきだ。しかしそれができず、最悪の状況が飛び出すことになった。一定期間は冷戦を覚悟し、時間を置くしかない。今のところ、解法はない」。

日本はすでに、どれだけ韓国へ謝罪したのか。さらに謝罪して金を出せ。そう言う側が問題なのだ。「留保的な分野に含めるべきものは含めておき」とは、具体的に何を指すのか。日韓双方の言い分は互いに棚に上げて置こう、と言うことであろう。だが、韓国のことだ。気に入らないことが起これば、再び「反日」になることは確実。こうした気が変わりやすい「隣国」と、永久に平穏に暮らす方法はあるのか。余り深く付き合わないことが最善の道である。ただ、これでは味気がなさ過ぎる。要は、韓国を刺激しないでおくこと。日本が「大人」の態度で接するしかない。

⑤ 「対日外交の最重要目標の一つが、南北統一をやるに当たって、妨害されないようにするということだ。北朝鮮との和解協力、平和統一をやる上で、日本が支援するようにさせようということだ。そういう基本目標のためにも、日本とある程度の交流が必要だ。ポピュリズムに流れたら、外交は後戻りのできない方向に行ってしまう。ポピュリズムに陥ってはならない。国益を考え、国民を引っ張って行くべきだ。有能かつ勇気ある指導者が、国民を説得していくべきだ」。

ここで韓国の本音が出てくる。南北統一で、日本が反対する理由がないのだ。朝鮮半島が統一されて平和になれば、日本としても望むところである。「北朝鮮との和解協力、平和統一をやる上で、日本が支援するようにさせようということだ。そういう基本目標のためにも、日本とある程度の交流が必要だ」。これが、韓国の新たな日本利用の「錬金術」なのだ。「お主、なかなかやるわいな!」という台詞の一つも出てくる場面である。何億ドルか「統一協力金」名目で日本に出させる。その成果は、すべて韓国が頂く。統一後は、さらに大がかりな「反日」策を練り上げる。日本を窮地に追い込む策略ぐらいは、日本人ならば誰でも気づく。中韓は、東南アジアの温厚な人々と性格が本質的に異なっているのだ。中韓は狡猾過ぎる。

⑥ 「日本には『能ある鷹は爪を隠す』ということわざがある。韓国は、日本に対する爪を繰り返し露わにした。隠すべき時は隠さなければならない。韓国の国益のため、日本を活用すべきだ。それがプロだ。韓国は、アマチュアのようにやっている。こんなことを言うと『売国奴』『親日派』と非難されるばかり。日本に勝つためには、日本を理解すべきだ。悔しさを抑え、我慢すべき時は我慢しなければならない。これからも、韓日関係は悪い時と良い時を行き来するだろう。韓国の政策も、柔軟性を持ち続けるべきだ」。

今さら、韓国が「能ある鷹は爪を隠す」。そういう高等な芸ができるはずがない。瞬間湯沸かし器の性格である。持って生まれた遺伝子であるから、今後とも、ことあるごとに日本と対決してくるはずだ。その背景には、中韓ともに儒教国家である点が指摘できる。儒教では、古いことが最大の価値判断基準である。日本よりも歴史が古い。ゆえに、中韓は日本よりも「格上」である。そう信じ切っている国民である。

中韓には、「触らぬ神に祟りなし」で対応すべきであろう。一見、敗北主義を勧めているように見えるが、そうではない。有らぬ悪口雑言を聞きたくないだけである。その分、ASEANと交流を深めた方が、はるかに精神衛生にも良い。世界は広いのだ。中韓にこだわる理由はない。

(2014年1月30日)



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