11月29日午後5時、後楽園ホール催事場にてWBA世界スーパー・フライ級休養王者・清水智信選手の記者会見が行われました。

いうまでもなく、WBA世界チャンピオンという称号は、WBAが決定するものです。したがって、チャンピオンシップ委員会の承認したタイトルマッチを経てWBAが決定する場合にあらずして何人もWBA世界チャンピオンを称することはできません。同様に、WBAが世界チャンピオンと決定した者、もしくは世界タイトルマッチと承認した試合をローカル・コミッションや選手マネージャーが勝手に変更することはできません。

(したがって、清水智信選手の所属する金子ジムはもちろん、JBCでさえも既に承認を得たタイトルマッチを変更することはできないのです。)


しかるに、この度の記者会見で、清水智信選手のマネージャーは「WBA正規チャンピオン」を自称して、WBAないしJBCの決定に異を唱えているのです。


そもそも、今回の騒動は清水選手が「涙の会見」によって惹起されたものですが、その遠因は興行権を持つ亀田プロモーションと金子ジムの間に存する未解決の経済的問題にあります。私は、この件について亀田ジムの委任を受けて金子ジムとの折衝をしてきました。


この際、清水選手の処遇を考える上で重要な点は、

①清水智信選手は既にWBAの決定により「休養王者」となリ、暫定王者テーパリット選手が正規王者になっている
②12月7日にWBA世界スーパー・フライ級タイトルマッチが行われ、指名挑戦者亀田大毅選手が挑戦をする。この試合は11月9日にWBAの承認を受けている
③したがって、このタイトルマッチの勝者の次戦は任意(voluntary)である。したがって、清水選手は統一戦の「交渉」をしなければならない
④しかしながら、清水選手は記者会見でトップ・コンテンダーの亀田大毅選手との対戦を拒否するような発言をしてしまった

ということです。


もちろん、清水選手が命をかけてべルトを獲得した努力には充分敬意を表しますが、不可抗力とも言うべき怪我によってさえもプロスポーツ選手は不利益を被ることがあることを理解するべきでしょう。

したがって、今清水選手がなすべきことは、自らの不運を嘆くことでも、他を非難することでもありません。一日も早く怪我を治し、万全の状態でリングに上がることです。そして、これ以上不利にならないように、マネージャーが関係各方面と交渉をすることです。


そのためには、まず清水選手の興行権をもつ亀田プロモーションとの関係を改善するべきでしょう。

金子ジムの名誉を守るため具体的な事実は公表しませんが、関係改善を阻害する経済的問題を解決することが何よりも肝要です。

その部分を解決しないでJBCに何を要望しても、「当事者間で話し合ってください」といわれてしまうでしょう。

実は、ここ10日前後、私は金子ジムとの交渉をしてまいりました。そして、「亀田プロモーションとの次戦についての話し合いを進展させるにあたり、清水選手の発言を撤回して欲しい」旨をお願いしてきました。

チャンピオンは挑戦を拒否してはなりません。なのに、自分から「亀田と関わりたくない」「同じリングに上がりたくない」という発言をしてしまったのです。これだけで「チャンピオンにふさわしくない言動」ととられても不思議ではないのです。そして、それは清水選手にとって非常に不利な状況を招来するものであることは明らかです。


そこで、私は金子ジム側に前言の撤回と謝罪を求めたのです。その上で、統一戦の交渉をスタートすべきだとの認識で、このことについては11月26日までは金子ジムサイドも同認識であったはずです。


したがって、私は先の記者会見で清水選手によって前言の撤回と謝罪が行われるものとばかり信じておりました。そのため、私は現場に待機をして次の交渉の段取りに入るつもりでいましたが、結果は非常に遺憾なものでした。


会見で、清水陣営は「返上」を口にしていましたが、返上であれば何故「権利」の主張をするのでしょう。返上によって権利(があるとすれば)の放棄をするのであれば「権利」を主張をする必要はないでしょう。ましてや、既に決定している世界戦のタイトル変更まで要求しているのですから亀田サイドから重大な業務の妨害であると認識されても致し方ないでしょう。


交渉の過程で、突然かかる背信的行為に至った清水陣営の真意は必ずしも明白ではありませんが、清水選手のブログに「皆様の大きなお力添えを賜りますようにお願い申し上げます。」とあるところから、事情の知らない人々を巻き込んで有利な状況を作ろうとしているのかもしれません。


私は、亀田ジムの代理人として申し上げます。

亀田ジムおよび亀田プロモーションは、契約に基づいて興行権を持つ、元世界スーパーフライ級チャンピオン(現、休養チャンピオン)清水智信選手のプロモートに対し常に最善の処遇を致します。