ジャパン少額短期保険は電車などで痴漢に間違われた時、弁護士にすぐに助けを求めることができる特典が付いた弁護士保険を発売した。
男性が痴漢を疑われたときの「痴漢冤罪ヘルプコール」は、携帯電話やスマートフォンにあらかじめ登録していた画面を押すと、登録弁護士の携帯電話やスマートフォンにメールが一斉発信される。
受け取ったメールを見て、対応可能な弁護士がボタンを押すと契約者にメールが返信され、弁護士と電話で相談できる仕組みだ。
保険料は月払いで590円、年払いで6400円。
事件後48時間に発生した弁護士の相談や接見の費用などを補償。
弁護士費用等保険金は最高で300万円、法律相談費用保険金が最高10万円、個人賠償責任保険金が最高1000万円となっている。
人類には乗り越えねばならない幾つかの苦難がある。
HIV、ガン、そして、痴漢冤罪だ。
痴漢冤罪という言葉を聞いただけで、全ての男性は震え上がり、古代ギリシアの名君主オイディプス王ですら「アゥアゥ…」と口走るのみであった。
電車における女性専用車両の導入も痴漢冤罪の被害者を僅かでも少なく出来ないか、との思いから導入された制度である。
痴漢冤罪を声高に叫ぶ様な鬼女は女性専用車両に隔離すべきなのだ。
しかし、対処療法としての手当てに抜本的解決など出来ず、我々は満員電車と言うリスクの中、何もしていないのにも関わらず、両腕をバンザイの要領で挙げて潔白を叫ぶのだ。
何たる屈辱よ!
騎士たる誇りは何処へ行った!?
精神的貴族、MR.ストイック、東洋の神秘、「あれは、いいモノだ」と称された我が栄光は!?
…しかし、今日も今日とて、私含め全ての男達は満員電車内でバンザイし続けるより他無いのであった。
そんな我々に差し伸べられた救いの手。
それが痴漢冤罪保険である。
痴漢冤罪に対するリスクヘッジとしては、中々良心的な価格だと言えよう。
それは商品開発に携わった方々の、商売では無い、熱き使命感の表れと言えよう。
しかし、痴漢冤罪発生から駅長室へ連行される迄の、一刻一秒を争う状況で携帯電話の登録画面を押す事が出来るだろうか?
コレは実践に即したロールプレイングで幾度と無くシミュレーションする必要がある。
試しに「痴漢冤罪を受け、偶然居合わせた木の実ナナにより取り押さえられ、駅長室へ連行されるかとぅ」というシチュエーションで脳内トレーニングをしてみる。
…ダメだ。
どう考えても木の実ナナが怖すぎて、「アゥアゥ…」と口走るだけの不能となってしまった。
痴漢冤罪のみならず、木の実ナナとの遭遇を考えると怖すぎて、もうダメだ。
かとぅ