『不思議の国のアリス』 インサイト・イブニング | WITH HOPE!!

WITH HOPE!!

在英14年目、イギリスの生活を愛し、楽しんでいるMiyukiです。
イギリスで細々と演奏活動をしているので、クラシック音楽の話題、日常、イギリスの姿をお伝えしたいと思います。
バレエが好きで、ロイヤルバレエの公演を主に観ているので、その感想も。

 2月28日に、プレミアを迎える、ロイヤルバレエの新作、『ふしぎの国のアリス』のインサイト・イブニングでした。

 ロイヤルバレエにとって、全幕バレエの新作は16年ぶりになるそうです。


 3月中旬まで3キャストで、学校公演を含めて、7公演行われます。  ちなみに、2月28日の初日は、ガラ公演として、チケット代プラス、決められた寄付金を払うことになっています。 私は、残念ながらガラ公演のチケットは買っていないので、この作品の初日を見逃します。


 6月には、この作品が、トロントのナショナル・バレエ・オブ・カナダで上演されることが決まっています。


 作品クレジット

 

『ふしぎの国のアリス』 ルイス・キャロル原作


 クリストファー・ウィールドン:振付

 ジャクリーヌ・バーレット振付補佐

 ジョービー・タールボット(Joby Talbot):作曲

 

 ニコラス・ライト: シナリオ

 ボブ・クロウリー: デザイン

 

 

 今回は、まず最初に、この作品を指揮する、ロイヤルバレエ音楽監督のバリー・ワーズワースと、作曲家のジョービー・タールボットのお話。

 

 ジョービー・タールボットはロイヤルバレエで2006年に初演された、ウェイン・マグレガーの『クローマ』の作曲家。 彼の音楽は私にはあまり馴染めないものが多くて、今回も音楽は実はそれほど期待していませんでした。

が、きれいな音楽です。

 今回、この『不思議の国のアリス』のために、特別に作曲された曲を用います。


 通常、バレエのリハーサルは、1台のピアノの伴奏により行われますが、今回は、ダンサーたちがより多くの音を普段から聴くことができるように、2台ピアノでリハーサルを行っているそうです。

 今日も、2台のピアノでした。


 ちなみに、オーケストラピットの三分の一近くが、パーカッションで占められるそうです。 バリーも見たことがなかったパーカッション楽器が登場するそうです。


 もちろん、オーケストラで演奏されるものを今日はピアノで聴いているのですが、演奏スタイル的には、プロコフィエフに近いものがあり、ハーモニー的には、ショスタコーヴィチの中期までの作品と、プロコフィエフの叙情作品と、ラヴェルをあわせたように感じました。


 

 続いて、15分ほど、シナリオを書いたライト氏と、作曲家のタールボットと、振付師のウィールドンの対話。

 1年以上前に、3人で3日間に渡って、話し合いをしたそうです。

 真っ白な状態から、スタート。 作曲家はどれくらいの長さの音楽がどの部分で必要、という情報がいります。 よって、ウィールドンが動いたりしながら、長さをはかっていったそうです。


 この良く知られた原作をどのようにしてバレエ化するのか、難しいことだと思います。

 だからこそ、シナリオを書く人が必要になるのでしょうね。


 

 そして、お待ちかね? このバレエの一部分のリハーサルをみせて頂きました。 

 音楽を聴かせて頂いた後、どのような振付になっているのか非常に興味がありました。


 今回は、第2キャストの3人がリハーサル。

 アリス: セーラ・ラム

 ジャック(庭師の息子のはず): フェデリコ・ボネッリ

 白うさぎ: ジョナサン・ハウエルズ


 冒頭部分と、アリスが白うさぎを追いかける部分。

 そして、ジャックとアリスの素敵なパ・ドゥ・ドゥ。

 

 ちなみに、原作のアリスよりは若干年齢設定が高めで、15歳、という設定だそうです。

 実は、私は子供用の『不思議の国のアリス』しか読んでいません(先日、読み聞かせをしたばかり)。 原作を買ってあるので、再来週までには読もうと思います。

 

 

 アリスは、ローレン・カスバートソンに振付けられています。 今日も観ていて、セーラが踊っているのに、凄くローレン的な踊りだな、と思いました。 

 ウィールドンの言葉が入りつつも、基本はクラシックです。 

 でも、純粋なクラシックではなく、おもしろそうです。



 リハーサル後は、今回、ゲスト・ダンサーとして舞台に立つ俳優のサイモン・ラッセル・ビール氏の対話。

 バレエ経験の無い俳優の話は非常に面白かったです。


 

 そして、衣装が2着用意されて、デザイナーのクロウリー氏とウィールドンの対話。

 今回見せていただいたのは、ハートの女王の真っ赤なチュチュと、アリスが着る衣装。

 アリスはよく絵本でみかけるような、水色のワンピースに白のエプロン、ではなくて、紫・ピンクのヴィクトリアン調のドレスを着るようです。


 ちなみに、今日、地下鉄の構内でこのバレエのポスターを見かけました。

 この今日見せていただいた衣装で写真を撮っています。



 このバレエは、ダブル・キャラクター(例えば、アリスのお母さんが、ハートの女王になる)で行われるようなので、どんなファンタジーの世界に連れて行ってもらえるのか、今からわくわくしています。


 今日のインサイトだけでも、十分に期待できるものでした。

 

 私、もし13年前に、進路変更をせずに、バレエ衣装を勉強することにしていて、運よくロイヤルバレエの衣装部に入れていたら、この衣装製作に関わることができたのかな、なんて少し複雑な気分でした。


 

 『アリス』のチケットはほぼ完売のはず。

 メディアでも宣伝していますからね。


 英国で書かれた原作を、英国人振付師が振付。 

 再来週が、非常に楽しみです。