2月28日に、プレミアを迎える、ロイヤルバレエの新作、『ふしぎの国のアリス』のインサイト・イブニングでした。
ロイヤルバレエにとって、全幕バレエの新作は16年ぶりになるそうです。
3月中旬まで3キャストで、学校公演を含めて、7公演行われます。 ちなみに、2月28日の初日は、ガラ公演として、チケット代プラス、決められた寄付金を払うことになっています。 私は、残念ながらガラ公演のチケットは買っていないので、この作品の初日を見逃します。
6月には、この作品が、トロントのナショナル・バレエ・オブ・カナダで上演されることが決まっています。
作品クレジット
『ふしぎの国のアリス』 ルイス・キャロル原作
クリストファー・ウィールドン:振付
ジャクリーヌ・バーレット振付補佐
ジョービー・タールボット(Joby Talbot):作曲
ニコラス・ライト: シナリオ
ボブ・クロウリー: デザイン
今回は、まず最初に、この作品を指揮する、ロイヤルバレエ音楽監督のバリー・ワーズワースと、作曲家のジョービー・タールボットのお話。
ジョービー・タールボットはロイヤルバレエで2006年に初演された、ウェイン・マグレガーの『クローマ』の作曲家。 彼の音楽は私にはあまり馴染めないものが多くて、今回も音楽は実はそれほど期待していませんでした。
が、きれいな音楽です。
今回、この『不思議の国のアリス』のために、特別に作曲された曲を用います。
通常、バレエのリハーサルは、1台のピアノの伴奏により行われますが、今回は、ダンサーたちがより多くの音を普段から聴くことができるように、2台ピアノでリハーサルを行っているそうです。
今日も、2台のピアノでした。
ちなみに、オーケストラピットの三分の一近くが、パーカッションで占められるそうです。 バリーも見たことがなかったパーカッション楽器が登場するそうです。
もちろん、オーケストラで演奏されるものを今日はピアノで聴いているのですが、演奏スタイル的には、プロコフィエフに近いものがあり、ハーモニー的には、ショスタコーヴィチの中期までの作品と、プロコフィエフの叙情作品と、ラヴェルをあわせたように感じました。
続いて、15分ほど、シナリオを書いたライト氏と、作曲家のタールボットと、振付師のウィールドンの対話。
1年以上前に、3人で3日間に渡って、話し合いをしたそうです。
真っ白な状態から、スタート。 作曲家はどれくらいの長さの音楽がどの部分で必要、という情報がいります。 よって、ウィールドンが動いたりしながら、長さをはかっていったそうです。
この良く知られた原作をどのようにしてバレエ化するのか、難しいことだと思います。
だからこそ、シナリオを書く人が必要になるのでしょうね。
そして、お待ちかね? このバレエの一部分のリハーサルをみせて頂きました。
音楽を聴かせて頂いた後、どのような振付になっているのか非常に興味がありました。
今回は、第2キャストの3人がリハーサル。
アリス: セーラ・ラム
ジャック(庭師の息子のはず): フェデリコ・ボネッリ
白うさぎ: ジョナサン・ハウエルズ
冒頭部分と、アリスが白うさぎを追いかける部分。
そして、ジャックとアリスの素敵なパ・ドゥ・ドゥ。
ちなみに、原作のアリスよりは若干年齢設定が高めで、15歳、という設定だそうです。
実は、私は子供用の『不思議の国のアリス』しか読んでいません(先日、読み聞かせをしたばかり)。 原作を買ってあるので、再来週までには読もうと思います。
アリスは、ローレン・カスバートソンに振付けられています。 今日も観ていて、セーラが踊っているのに、凄くローレン的な踊りだな、と思いました。
ウィールドンの言葉が入りつつも、基本はクラシックです。
でも、純粋なクラシックではなく、おもしろそうです。
リハーサル後は、今回、ゲスト・ダンサーとして舞台に立つ俳優のサイモン・ラッセル・ビール氏の対話。
バレエ経験の無い俳優の話は非常に面白かったです。
そして、衣装が2着用意されて、デザイナーのクロウリー氏とウィールドンの対話。
今回見せていただいたのは、ハートの女王の真っ赤なチュチュと、アリスが着る衣装。
アリスはよく絵本でみかけるような、水色のワンピースに白のエプロン、ではなくて、紫・ピンクのヴィクトリアン調のドレスを着るようです。
ちなみに、今日、地下鉄の構内でこのバレエのポスターを見かけました。
この今日見せていただいた衣装で写真を撮っています。
このバレエは、ダブル・キャラクター(例えば、アリスのお母さんが、ハートの女王になる)で行われるようなので、どんなファンタジーの世界に連れて行ってもらえるのか、今からわくわくしています。
今日のインサイトだけでも、十分に期待できるものでした。
私、もし13年前に、進路変更をせずに、バレエ衣装を勉強することにしていて、運よくロイヤルバレエの衣装部に入れていたら、この衣装製作に関わることができたのかな、なんて少し複雑な気分でした。
『アリス』のチケットはほぼ完売のはず。
メディアでも宣伝していますからね。
英国で書かれた原作を、英国人振付師が振付。
再来週が、非常に楽しみです。