日本のみならず、

世界的な流れですが、

現代社会において

重要視される要素に

「効率性」と

「利益最大化」があります。


営業利益を上げることを

団体としての責務とする

営利社団法人である企業としては、

当然の目的となりますが、

個人の行動原則が

この2点に集約されると、

つまらない社会となります。



一方、日本が大切にしてきた

行動原則に「粋」があります。



これは、先に挙げた2点の

真逆を行くような行動です。



「宵越しの金は持たない」


は粋の

有名な行動パターンですが、

どう考えても

効率的とは言えません。


友を助ける喧嘩となれば

強い相手にも見栄を切って、

火事ともなれば

建物が崩れる危険があっても

屋根でまといを振るのが

火消の粋。


「あいつはバカか?」


と言われるような行動ですが、

そんな所に

美学を見出すのもまた粋。


入る風呂は

長湯が出来ない程の熱い湯、

蕎麦を食うなら

汁に浸けるは先の一寸だけ。


自分の利益を最小化させても、

やせ我慢の中に美を見出します。



電車、バスの席を譲るのも、

店が混んで来たら

ササッと席を立つのも、

自分の利益を最小化させる

粋のうち。


しかし、最近の街中での行動や

ニュースを見ると、

「無粋」な行動もよく目につきます。


5分も待てば

次の電車が来るのに、

扉に傘を挟んで

扉を開けさせる人、

我先に席を目指す人、

未だに歩道を

自転車で疾走する人、

悪質クレーマーなどなど、

自らの利益の最大化の為に、

他者の利益を

最小化させる人は

後を絶ちません。



「効率的行動」としては

実はこの方が正しいんです。


行動者本人の利益は

最大化されますから。


しかし、

それは社会の利益をも

最小化させます。


そこで人類は

法を生み出すのですが、

法の最大の欠点は、

明文化されていない

脱法は全て合法、

というもの。


そんな時、役に立つのが

社会規範なのですが、

そこに日本では

「粋」という精神が生まれました。


法には必ず抜け穴があり、

しかも法は物理的に

全てのケースを

取り締まれません。


そこで


「あいつは無粋だねぇ」


と言われることが何よりの

屈辱と制裁になるような

社会が日本に有れば、

社会はより

豊かになるんですけどね~。


その為には個々人が

「粋」に生きることが

条件となるのですが、

効率性重視の社会の中、

現実的にはもはや

「粋」は死語なんですかね