黒シャツ、黒スーツに

金ネックレスでバーに行き、

スコッチと葉巻、

そしてジャズを楽しみ、

都会の夜を

謳歌したりもしますが、

和の文化も大好きで、

和装で歌舞伎観劇、

その後は老舗蕎麦屋で一献、

なんてコースも楽しみます。



そんな和装の文化ですが、

危機意識を持って見ています。



それは、産業の構造的問題。



本来寝間着なはずの浴衣で

電車に乗ったり、

ホテルなど公共の場所に現れたりと、

和装文化への情報量の欠如から、

恥も無く恥ずかしい行為が

横行していますが、

それを助長するかのように、

「浴衣を着て集まろう」

なんてイベントも多々ありますしね。


これはこれで問題です。


それに、和装が崩れてきている、

という問題もありますが、

これは着こなしの

ムーブメントの話しなので、

江戸の頃から崩した着こなしが

流行った時期、

ピシッとした時期とありますので、

着付け教室が教える着方だけが

正しい訳ではないだろう、

とは思います。



一方の産業的問題は深刻です。



和服に携わる職人さんの

仕事振りを見ると、


「和服が高いのも仕方がないなぁ」


と思わず思ってしまいます。


しかし、ふと考えると、

それだけの仕事をしながら、

職人さんの生活が

豊かかと言えば

決してそうではありません。


それでも、良い着物となると

50万、100万なんてのも

当たり前です。


職人さんは生活が厳しく、

完成品は100万。


産業構造に

問題があることが分かります。


スーツでも

良い物は天井知らずですが、

1万円から数万円、

10万程度、それ以上と、

ラインナップは揃っていますし、

数万円のスーツを着て、

馬鹿にされることもありません。


一方の和装の世界、

化繊の着物を着れば、


「あら、化繊ねぇ」


なんて言われ、

着物は10万から、

みたいな認識が

和装を愛する人にこそ

多くあります。



2020年、

多くの外国人が日本に来ますし、

日本文化に触れます。


その中に当然

和装文化もあるでしょう。


しかし、パッと来た外国人の方が

数十万の着物を買うでしょうか?


着物を愛し、広めたいと

思っている人たちこそが、

着物を高価なものとし、

和装の文化を衰退させることに

手を貸しているのが実情です。


最近、お洒落だけど

安価な洋服が

沢山出てきています。


それは薄利だけど

多くを売ることで

経営を成り立たせています。


これから2020年に向けて

必要なことは、

超上質な着物と、

安価な化繊の着物の

中間に位置する、

薄利多売の良い着物を

産業化することでしょう。


その過程において、

職人さんの生活を向上させ、

次の世代の職人が

入りやすい業種にし、

中間的着物があることで

オールラウンドに

着物を楽しむ文化が広がり、

それによって

日常的に接することとなり、

和装及び和の文化への

日本国内への啓蒙になります。


日本人が

まず馴染んでいない文化を、

外国人の方に見せたり、

薦めたりなんて

出来ませんからね。



和装は上質な着物を着る

特権階級の道楽、

にしては決していけませんが、

安価な着物と

数十万の超上質に

階層化している現状が、

それを助長してしまいますので、

和装界のAOKI、コナカが

今こそ産業として必要ですね。