風花朗読会は、きょうで29回目。古井由吉さんが、好きなひとを呼んで、10年続けてきた。「どうせなら30回までやったらよかったんじゃないですか」と言ったら、「いやあ。これがちょうど、なんですよ」と、パイプをくゆらせながらおっしゃった。文士だ~、と、少なからず感動。

というわけで、きょうは風花の朗読会に行ってきたですよ。あてがわれた席が、カウンターの中、しかも朗読するひとの真横という特等席で、うっかりustに映っちゃったりしてました(汗)。

古井さんは、ひとりで歌仙を巻いた、ということで、それを朗読。あとで聞いた話では、かなり厳密に歌仙に挑んだそうですが、わらわらしていたときだったので「あら、古式ゆかしい和歌?」くらいにしか聞けず申し訳なかった。

町田康さんは、『テイストオブ苦虫』からの短い文章いくつかと、未発表の文章と。町田さんらしい語りの生きている文章で笑いが起きる。

最後の柄谷行人さんは、ミヨシマサオについて書いたエッセイを。枕に、中上健次が夢に出てきて、って話をしていて、むこうがわに中上紀さんがいらして、うっとりと聞いている姿をうっとりと眺める。
(柄谷さんの朗読はほとんどを動画録画した。真横にいたんだけどね)

終わってすぐ、ちらっと柄谷さんと話す。「手紙書こうと思ってたんだよ。立ち入った話を、あとで、ね」(意訳)と言われて泣きそうになる。

しばらくは店内が雑然&混沌という感じで、カウンターの向こう側で町田さんとY野さんが語りあっている姿をぼーっと眺めたりしていたんだけど、気づいたらいつの間にかうしろに柄谷さんがいて、少し話したり、酔っぱらいつつある町田さんと岡井隆について話したり、また柄谷さんと話したり、中森明夫さんに「わたしのこと覚えてますか?」と絡んだり、最後は偶然来ていたM井さんと俳句の話をしたり。まあ、いろいろもったいなくてこんなこところには書けないことがいっぱいでした。

2時過ぎに、帰る。
タクシーの運転手が赤羽のひとで、赤羽のすばらしさについて語られながら。おかげで最短距離で帰れたもよう。

しあわせないちにちだった。