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2012-02-15 22:08:28 テーマ:Books

恋人たち

川上未映子『すべて真夜中の恋人たち』を読んだ。
川上未映子は、中也賞をとった詩集『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』で衝撃を受けたものの、小説を読むのは初めて。
主人公がフリーの校閲者、というので、ちょっと気になって読んでみたのだった。

なんだろう。
いや、よい小説だと思うけれど、どこかでなんとなく受け入れきれない自分がいた。
フリーの校閲者、の日常って、まあ、こんなもんだろうけど、それにしても地味すぎ、まあ、こういうひともいるかもしれないし、むしろ、これだけ地味だからこういう小説の主人公なのだし、ああ、でも、なんか、もやもやするー。
まあ、でも、このもやもや感は、この小説がよくできているからこそ、感じているものなのかもしれない。

あと、主人公がカルチャーセンターに行くシーンにも、過剰に反応してしまった。
そういう意味では、あちこち近過ぎるから、抵抗があるのかもしれないな。うん。

去年から、少し意識して小説を読もうと思ってきたけれど、話題になった小説を追っかけているだけでも結構な本の数になってしまう。おまけに今年はちょっと翻訳物にも手を伸ばしてみたいとも思っている。読み始めてしまった本は最後まで読まないと気がすまない性分なので、なかなか思うように消化できないけど、まあ、ぼちぼちね。


今月いっぱいはなんだかとんでもないことになっています。
働いてます。


2012-02-13 19:16:04 テーマ:ブログ

いまごろ

エゴサーチというものを、ごくたまにする。
たいていは見なければよかったものを見つけてしまうので、あまり精神状態のよくないときにしてはいけないはずなのに、そういうことをしたくなるのはたいていそういうときだから困ったものだ。
まあ、これだけネット上で無防備に個人情報をさらけ出しているのだから、文句は言えませんし言うつもりもないし、わたしも有名になったもんだと思うことにしてますが。

でも、たまにはいいものも見つける。
東郷雄二さんが、『サンボリ酢ム』について書いてくれていました。

http://lapin.ic.h.kyoto-u.ac.jp/tanka/tanka/kanran89.html

去年の12月ではありませんか。全然気づいていなかった(誰か教えてよ)。
この頃、俳句関係のサイトばかり巡回しているせいもあって、短歌関連サイト(全体的に低調な気がする。ブログも停止しているひとが多いし)をあまり見なくなっていたのもある。
これ、読んでいただければわかるけど、今までこの歌集については誰も触れてくれなかったことがいっぱい書かれている。必ずしも全部その通りではないけれど、いくつかは気づいてくれてありがとう! と声を大にして叫びたいようなことだった。もくろみや企てが理解される喜びを久しぶりに味わいました。
いまごろになってですが、東郷先生、ありがとうございました。



ずっと書きあぐねていた原稿をなんとか書き終えた。
短歌の雑誌に俳句のことを書いてくれということで、俄然張り切っていたのだけれど、いざ書き始めたら書きたいことが多過ぎて。そのくせ、たいして俳句のもろもろをわかっているわけではないから、結局は普通の原稿より難産だった。終わったあとも、ああ、あのことにも触れておけばよかったとか、あっち方面のことも書けばよかったとか、きりがない。
とりあえず「俳句と現代詩について」だったのに俳句のことしか書かなかったくらいには俳句について書きました、と予告だけしておく(笑)。

とりあえず今週はものすごーく忙しいみたいなので、原稿が終わってほっとしました。


そうそう、けさは珍しく夢見がよくて、しあわせな気分のところを猫に起こされたの。きー。
覚えているうちに「夢占い」のサイトで鑑定してみようかなっ♪
2012-02-11 23:11:54 テーマ:ブログ

五年目に

『万葉集』を読む会が五年目に突入。
開始した当初は十人以上いたような気がするけれど、今の六名になってからはしごく安定している。たまに欠席のひとはいるものの、このメンバーがいるから、きっと最後まで行けるような気がしている。って、まだ半分にもなっていないんだけどね。遅々たる歩みだからこそ、達成したときの感動は凄いだろうな。

きょうは、「もみつ」(紅葉する)の語から、いろんなことを考えた。
そもそも万葉集の時代はもみじは「黄葉」で、かえでなどの赤い「紅葉」はほとんど出てこない。当時は紅葉を愛でるという習慣はまだなくて、「もみつ」は単に木の葉が枯れるさまを言ったようだ。赤い紅葉を愛でることは中国からの伝来。だからそれまでの日本人は美しい紅葉は知らなかった(そこにあったとしても美しいものとしては見えていなかった)、のではないか。
そこから発展して、欧米人には肩凝りがないという話になり(ただの筋肉痛の一種と捉えられている)、それがマッサージとか指圧みたいなものが欧米に流行るようになってから、欧米人にも「肩凝り」が認識されるようになったという話とか。
まあ、紅葉にしても肩凝りにしても、ほんとにそうなのかは誰も確たる検証をしているわけではないのだけれど、勝手にそんな話をしていることが楽しい。

わたしはせっかく予習したレポートをうっかり忘れて(全く違うファイルを持って行ってしまった!)、もう申し訳ないやら悲しいやらだったけれど、、、、

勉強会の前に、ひさしぶりに巣鴨を散策。
とげぬきさんにお参りして、おみくじを引いたら「吉」だった。よきかな。
お昼に「ときわ食堂」でカキフライ定食を食べる。ここは本当においしい。
腹ごなしに猿田彦まで歩いて、途中の海苔屋で一緒にいたまりちゃんが買い物したら、猿田彦御賽銭の5円玉を貰ったり試供品みたいな海苔を貰ったり。
お得感満載な巣鴨でした。
2012-02-05 20:56:07 テーマ:ブログ

透透眼鏡

昨日は「喨の会」でした。
先月が「未来」の編集会議と重なってしまったので、一カ月ぶり。一カ月あいてしまうと、振り出しに戻った気分で緊張感が半端無い。提出する句も、ぎりぎりまで手を入れて悩んで悩んで、出したあとでまた後悔して。句会は楽しいけれど、苦会でもあるなあ。まだまだ腰が据わらない。
今回は主宰に一句とってもらった。
その句も、ぎりぎりで手を入れて直した句。ああ、こういう感じは主宰が好きかもしれない、なんて不遜なことを思っていたら採られたので、そういう意味ではなんとなく選の方向がわかってきたのだろう。そんなことがわかったところで、主宰好みの句が自在につくれるわけではないし、ましてや自分の句がよくなるわけでもなんでもないのですが。

初めてこの「喨の会」に参加したのが去年の二月だったので、ちょうど一年たったことになる。
「澤」の会費振込の通知も届いたし、ほぼ一年、俳句と真剣(?)に取り組んできて、季何さんからも「どうするんですか?」とか言われても、本人もよくはわかっていない。

ただ、昨日の句会の「しばり」が「雑誌広告」というちょっと変わったもので(その題が決まったときにわたしはいなかったのでくわしいことはわからないのだけれど)、昔の雑誌に載っていたいかがわしい広告(睡眠学習機とか身長が伸びる器具とか)の話が話題になったらしく、その延長で雑誌広告を詠み込んだもの、という「しばり」になったらしい。
みんなの句は、「日ペンの美子ちゃん」からヌードの乳首の星印まで、なかなかにバラエティに富むものだったけれど、主宰が「すけすけメガネ」で何句もつくっていて、ああ、こういう小澤さんはいいなあと思ったんですよ。「すけすけメガネ」ってわたし知らなかったけど、服が透けて見えるメガネってことですかね? どう考えてもインチキとしか思えないものなのに、小澤少年は心ときめいたのでしょうか(笑)。こんな馬鹿馬鹿しいものを句材にしてしまう、そんな主宰のいる「澤」はすばらしいと思ったですよ(まぢで)。はい。もう少しここで修行させていただくことにします。

昨日は、『雲の座』で俳人協会賞新人賞を受賞された押野さんのお祝いの会でもありました。めでたいことでありました。
(俳人協会新人賞がどういうものかとか、現代俳句協会との違いとか、俳句の賞に関してのいくつかのびっくりする話とかについても話を聞いた。そういう話を聞くにつけ、短歌との違いは人口の差かなあ、ということも思う。俳句の世界にはけっこうな標高の山がいくつもあって、ひとつの山の登頂を果たしたとしても「俳句」という山脈を制したことにはならなくて、そのすべての山を制覇することには全く意味がなくて、むしろ隣の山はないものと思って山裾あたりで暮らしているひとが一番楽しい……っていうような喩を、かなり無責任に言ってみたり)
2012-01-31 20:04:03 テーマ:Books

円城塔

少し前、円城塔さんの作品を読もうと思って図書館で検索したらあんまりなくて、芥川賞の候補になった頃に再度検索かけてみたら『これはペンです』があったので早速借りてみた。そのあと『Boy's Surface』も借りたのだけれど、なかなか読み進まなくて(他の読むべきものがあって)、さすがに芥川賞受賞が決まって延長は無理かと思ったら二冊とも簡単に延長できてしまった。板橋区民はあまり流行に乗せられないタイプらしい。

で、『これはペンです』はとても面白かった(話としては同時収録の「良い夜を持っている」のほうが好み)。ただ、この本は、ものすごく集中して一気に読むか、何回も行ったり来たり戻ったりしながら繰り返し読むべき本かもしれない。図書館なんかで借りて読む本ではなかったなあと深く後悔した。文庫になったらちゃんと購入してまた読み直そう。
「これはペンです」に出て来る、文字の配列が間違っているタイプライターというのが面白い! さらに「一打ごとに文字の配列が切り替わっていくソフトウェア・キーボード」とか! そういうキーボードで短歌や俳句をつくったらどうなるんだろう。想像しただけでわくわくする。
こういうことを考えてしまう円城塔という作家は、言葉とか物語といったものを心底疑っているのだろうと思う。疑い深いひとは信用できる。

『Boy's Surface』は読み始めたところ。こっちのほうがSF度が高いのかな。似非物理マニアとしてはくらくらしながら読んでいます。


昨日、20年くらい前に親しく仕事したり遊んだりしていたひとと久しぶりに電話で話をして、いろいろ懐かしいことを思い出したりしていた。10年ほど前に某所で偶然会ったこともあったので、長く生きていればまたどこかでひょっこり会うようなこともあるのかもしれない。人生、半世紀過ぎてしまうと、もう二度と会えないひとのほうが増えて来るけど、会うべきひととはきっと会える。そういう神様の差配はわりと信じている。
2012-01-29 00:15:41 テーマ:ブログ

ドラマ

ザ・インタビューズに書いたものだけど、今期ドラマの話なのでこちらにもコピペしておこうかな。どれくらい暇なんだとあきれないでくださいね。

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もうだいぶ月日がたってしまいましたが、テレビはなかば惰性のように見続けているので実はあんまり楽しみにしている番組はないんです。
ドラマでいえば、「刑事黒川鈴木」が今のところいちばん熱心に見ています。ものすごく面白い。全部の役者がグッジョブ! あとは山Pの葬儀屋のドラマが案外いいですね。山Pじゃなくても、前田敦子じゃなくても、とくに榮倉奈々でなくていいドラマですが。「最後から二番目の恋」は、なんだかリアル過ぎる設定なのにどうにも感情移入できなくて、その理由はなんだろうと思いながら見ています。「理想の息子」は、マザコン息子という設定よりも、鈴木京香の母親としてのリアルさがちょっと面白くなってきました。いわゆる母性神話みたいなところとは実際の母親は遠いと思う。家建てて欲しいというような、現世的な欲望の対象だったりするんだよなあって(笑)。山田くんも嫌味なくマザコン男子を演じていて、ほんとに彼にもうちょっと身長があれば……と、思ったり。「ストロベリーナイト」は面白いけど竹内結子があんまり好きでないのだな、たぶん。西島くんの役どころは、前回のスターのボディガード役とりはるかに好きですが。「運命の人」もこういう昭和なドラマは嫌いではないので見てしまうんだけど、もっくんは新聞記者としてはマッチョすぎると思う。あ、「ラッキーセブン」は瑛太の(松潤ではなく)、「ハングリー!」は向井くんのPVとして見ればいいドラマ。「ステップファザー・ステップ」は双子見たさで見ている。「聖なる怪物」はいい役者揃い。回を追うごとにどろどろぶりが凄いけど面白いかと言われるとそれほどでもない。「早海さん」はどうでもいい。「13歳のハローワーク」は、こんなに関係ないドラマでも村上龍にお金が入るのかと思うとやるせない。「ダーティ・ママ」はあのベビーカーに興味はある。
あ、「平清盛」は久しぶりに大河ドラマをちゃんと見ようと思えた。あのくらいの時代が好きなのもあるけど。NHKドラマでいえば「カーネーション」は相変わらず面白いし、「開拓者たち」も満島ひかりがよかったし、「タイトロープの女」は久しぶりに池脇千鶴がいい味出している。意外にNHKがいいんでないの。

ここまで書いて、アニメに言及する気が失せました。こんなにテレビ見ている自分にあきれて(笑)。
2012-01-23 21:58:51 テーマ:ブログ

過労働

昨日は朝の9時にA社に出社。
勤めていたときでさえ、こんな時間に会社に行ったことはなかったよ(思えばずっとゆるい出社時間だったのだな。せいぜい早番で9時半とかだったもんなー)。
超急ぎ出版の本のための出張校正。いろいろばたばたと仕事は進む。
お昼も、晩ごはんも、社食にて。日曜だから(平常はある)麺類もお寿司もなくて、定食メニューみたいなののなかから選ぶ。なんだかどれを食べても全部同じ味な気がする~。
両休憩あわせても1時間もなかったと思う。
結局なんとか終わったのが夜の11時過ぎ。
家で仕事していても、これくらいぶっ通しで仕事していることがないわけではないけれど、やはり疲れますね~。もうちょっとコンスタントで平和な仕事がほしいと思ったりするものの、贅沢は敵なのよ、仕事があるだけでありがたいの。
ただ、きのうも都営乗り放題のワンデーチケットで行っていたので、またこのチケットが無駄になってしまうのかとどきどきした。ちゃんとその日のうちに帰れてよかった。
帰りに買い物して帰ろうとひとつ前の駅で降りて行ったスーパーは終わっていたけどね(たしか午前2時まで営業していたはずなのに、昨日は0時で終了だった)。

で、きょうは「未来」の掲載短歌を読み合う勉強会(「星の会」という名前)のため、発行所へ。さすがに昼近くまで起きられず、出かけるぎりぎりまで自分を励まし励まし支度する。
お互いの掲載歌のすべてについて批評をしあうので、本当に勉強になる。今月も人数は少なめ(5人)だったけど、とても刺激になった。こんなふうに読み合える機会があるのなら、毎月の「未来」への作品もがんばらなくちゃと思う。いや別に力抜いているわけではないけれど。

帰り道、新宿の埼京線のホームに、外人のおすもうさんが二人いた。
把瑠都? と思ったけど違ったと思います。たぶん。
2012-01-21 19:53:09 テーマ:ブログ

綾野剛

NHK朝の連ドラ「カーネーション」を、ここ数年にない熱心さで見ている。
朝ドラは、<少なくともこの時間までには起きよう自分キャンペーン>のため、けっこう惰性のように見続けてきたのだけれど、「カーネーション」は久しぶりにドラマとしても面白くてはまっている。
泰蔵兄ちゃんを演じていたのが須賀貴匡くんで、彼はわたしが平成ライダーで最も好きな「仮面ライダー龍騎」の龍騎(すなわち主役)だったひとで、主役なのに最終回の一回前に死んでしまうという薄幸のライダーだったんだけど、あらあ、こんなところでいい役貰えてよかったねえと思っていたら早々に戦死してしまった(涙)。
で、最近、周防さん役で出て来た綾野剛がなんだかやたら話題になっているようなので、ずっと彼のことを好きだ好きだと言い続けてきたわたしとしては、ちょっと語りたくなったわけです(誰も求めていないとは思いますが)。

綾野剛くんも、奇遇というかデビューは仮面ライダーだったんですね。2003年の「仮面ライダー555」で、ライダー役ではなくオルフェノクという敵方なんですが、555というのはちょっと複雑な構成だったから単純にショッカーとか怪獣とかそういうのじゃないんです。さすがにこの当時の綾野くんを認識できてはいなかったけど、言われてみればちょっと気持ちの悪いやさおとこ風な彼を思い出すことはできます。

で、ちょっと気になりはじめたのがドラマ「Mother」。あの、話題になった芦田愛菜ちゃんのドラマで、彼女を虐待していた母親の愛人役ですね。次が天海祐希主演のドラマ「GOLD」。武井咲ちゃんのカメラマン役で、このとき初めて綾野剛という名前を知ってググった記憶があります。
そのあと、「セカンドバージン」の鈴木京香の息子役(全身タトゥー)、「ヘブンズフラワー」(川島海荷主演ドラマで、「ボクらの勇気未満都市」を彷彿させるドラマだった)でのシオン役、映画でも「奈緒子」というよくわからない映画(笑)で春馬くんのライバル役だったり、「クローズゼロII」で日傘さしてる弱男子風の不良役やってたりと、着々と脇役路線を順調に(?)歩んでいました。最近ではドラマ「妖怪人間ベム」に犯罪者役で出たりNHKの「開拓者たち」に出たりと、そのたびに「あれ、この顔好きだなあ」と思って名前を調べるといつも綾野剛だった、という感じなんです。

これまで脇役イケメン枠(そんなのあるのか?)で、しかもあんまりいい役ではなかったんで、これは波岡一喜みたいにそこそこドラマ出演の仕事は来るけどあんまり名前を覚えてもらえない役者になってしまうのかと危惧していたところ、「カーネーション」ですよ!

わたしは周防さん初出演のとき、見終わってすぐにビデオを巻き戻し(念のため毎朝録画しています、って HDDレコーダのときは巻き戻すとは言わないのかな)、出演者の名前を確認したですよ。おお、綾野剛キターーーーー!! と大きくガッツポーズしたですよ。
そして回を進むごとに、いつもの間男キャラはどこへやらの爽やかスマイルに、多くの女子が「周防さん」「周防さん」言い始めるのをほくそえんで眺めていたですよ。

今後の「カーネーション」の展開も楽しみですが(朝ドラで不倫ってもしかして初めて?)、綾野くんがちゃんとした主役をはれるような役者になっていくのを見守りたいと思っています。

ちなみにわたしは波岡一喜は映画『パッチギ!』から注目していたし、いまやモテモテの向井リーだって、松潤ドラマ「バンビーノ」の冴えない先輩役のときから目をつけていたんだから!(と、誰に自慢してもしょうのない自慢)。

……という、誰が読んでもだからなんなんだという日記でした。
暇なのか?
2012-01-20 22:45:12 テーマ:Books

三人母

金原ひとみ『マザーズ』をやっと読んだ。

子育ても遠い日のことになりつつありますが、読んでいて辛かったことがあれもこれもと甦ってきて、何回も泣きそうになりました。あるシーンでは実際に泣いた。

ドラッグ漬けの作家・ユカ、モデルで不倫中の五月、ユカの高校時代の同級生で今は専業主婦の涼子。この三人の母親が子どもを預けているのが無認可のセレブ保育園で、保育中の子どもをウェブカメラで視聴できるなんてのは、実際にやっている保育園もあるのかもしれない。
三人の母親のどれともわたしはシンクロしないけど、子どもを保育園に預けながら働くことにまつわる様々なことはやはり共通して経験したことだ。ほんとに、いろいろ余計なことまで思い出して、なんであんなことに耐えてまでわたしは働き続けたり子どもを育て続けてきたのだろうと、それはもちろん過ぎてしまえばなんてことのない話ではあるのだけれど、渦中のときは本当に孤独だったし絶望的だったし自棄だったりしたなあ。ああ、よく頑張ったよ、自分。

という具合に、小説を読んでいるというよりは自分の昔のことを思い出しては戦慄していた感じもあるんですが、『マザーズ』の凄いところはそういう誰彼に共通する「闇」の部分をかなり露悪的に描いてしまっていることだと思う。虐待をしてしまったひとは(実際にしなくても、そういう感覚は多くの母親が経験している)涼子に、不倫をしていたひとは(あるいは夫との関係に絶望した経験をもつひとは)五月に自分を重ねて読むだろう。まあさすがにドラッグに溺れたひとは少ないかもしれないけれど、ユカの抱えている闇も容易に想像できる。

不満があったのは、三人とも「男(夫)」への依存が強過ぎるところ。ひとりくらいシングルマザーとして生きていく選択をしたっていいのに。ユカや五月には経済力はありそうだから、それだけではひとりでは生きていけない何かが、今という時代にはあるのかもしれない。そういう意味でも現代的な小説なのだろう。
 
<今の仕事を始めてすぐに央太と結婚した私は、央太と暮らしていく中で、そうして少しずつ価値観を変えていった。私には、央太の要素が大量に溶け込んでいる。だから私は央太を他人だと思えない。彼は私の血のようなものであって、彼と別れたとしても、その血は永遠に体内を巡り続けていくだろう>

これはユカの言葉だけれど、こういうのを読むと「若い」なあと思う。もちろん、著者の若さでもあるのかな。

あと、わたしは金原ひとみの文章は好きではないかもしれない。描かれている内容よりはるかに文体が理屈っぽい。そのギャップは面白いけれど、泣き喚いているのに論理的なことを言っているようなもどかしさがときどき読書のスピードを緩めてしまった。これ一作しか読んでないんですが、ほかの作品を読むかどうかはまだわからない。

2012-01-18 20:35:17 テーマ:Books

尻の花

関悦史さんの第一句集『六十億本の回転する曲がつた棒』をやっと読んだ。
すごいタイトルである。略称は『六十棒』に落ち着いたらしいけど、ツイッターで話題になったカバー絵(ヒエロニムス・ボスの「快楽の園」)の、お尻に花を挿している絵から「尻の花」と呼ばれていたりもした。

句集は歌集に比べてすぐに読めるのがいい、と思っていたけれど、この句集はそういうわけにはいかない。なにしろ796句も収録されているのだから。句数の多さだけではない。硬軟、東西、カルチャーとサブカルチャー、ありとあらゆる世界の物語が下敷きになっている、そのめくるめく関ワールドに、ただただ圧倒される。

『新撰21』のときもその世界の特異性の片鱗には気づいていたのだけれど、こうして一冊の句集になるとやはり際立ちますね。手法としてはもちろん新しくはないのかもしれない(この引用/解体の手法はまさにポストモダンだし)。でも、関悦史という存在を通過すると、いまわたしたちが生きている世界が、見たことのない風景となって再現する。帯に安井浩司が「現代の叙事詩」という語をつかっているけれど、まさに関悦史によって俳句は新しい叙事詩となりえた(なーんて、大きなことを言いたくなる)。
あまり言及されることがないみたいですが、百人一首のパロディをやった「百人斬首」の章も、わたしは面白く読んだ。本歌との飛躍の度合いが、おお、と思わせる句とそうでない句(おもに駄洒落レベルになってしまっている)が混在しているのは確かだけれど。


一読のときはあえて付箋はつけず、再読のときに好きな句、気になった句に付箋をつけていったら本が大変なことになった(笑)。すでに有名な句もありますが、このブログを読んでくれているのは短歌のひとが多いだろうから、あえてそういう句も含めて多めに引用しておこう。発想としては短歌っぽいな、と思う句もたくさんあった。でも、短歌にはできないことを関さんの俳句はやっている。その面白さが少しでも伝わることを願って。



「日本景」
  ポテトチップの空き袋氷り泥の中
  臘製のパスタ立ち昇りフォーク宙に凍つ
  逢ひたき人以外とは遇ふ祭かな
「マクデブルクの館」(この章、全て正字)
  崖ヲ落ツ少年眞白キ瓦解
  蔵書ミナカプカプ翼畳ムナリ
  椿剪ル未ダ死ナヌ者数ヘツツ
  皿皿皿皿皿血皿皿皿皿
  生マレテハ毀レテ肉ガ歌ヲ詠ム
「介護」
  目瞑りては食ひうなだれては食ひ飯が減らぬ
  ズボン上げてやつて乳房が見えてしまふ
  便始末されゐて夏がかなしからう
  持ち帰りし繦褓にほへり月明り
  年暮れてわが子のごとく祖母逝かしむ
  祖母口を軽くひらきて木箱の中
  抱へて遺骨の祖母燥(はしや)ぎつつバス待つ春
「襞」
  蚯蚓鳴く千代田区千代田一番地
  蜜豆にときどきまじる鐘木鮫
  からに入りて己とつるむかたつむり
  エロイエロイレマサバクタニと冷蔵庫に書かれ
  小鳥来て姉と名乗りぬ飼ひにけり
  我が消え誰かれがきえ蝿叩き
  多くの死苦の引掻傷(エクリチュール)のある夏天
  人類に空爆のある雑煮かな
  グローバリズムなるゴーレムも春の土
  白雲すらりとねぢれて俺の嫁が君
  黍に問ふググレカスとは何ものか
「ゴルディアスの結び目」
  市役所を千年迷ふ緑かな
  シュレディンガー音頭は夏を「ψ(プサイ)にΦ(ファイ)」
「百人斬首」(この章は総ルビ、正字)
  カササギと撞着語法(おくしもろん)ノ夜(ヨル)ニ耽(フケ)ル
  詩(シ)ニ老(オ)イユキ龝(アキ)ノ草木(クサキ)モ怪物(べむ)ノ風(カゼ)
  Eichmann(あいひまん)ノ後(ノチ)ニシテ物(モノ)ヲ思(オモ)ハザリ
  夕凪(ユフナギ)ノ浦(ウラ)ニGodot(ごどー)ノ身(ミ)モ焼(ヤ)ケツツ
「発熱」
  どこの莫迦が人など造つた へい、あッしが
  永遠に菌を食べる男かな
  硬球的イラン産柘榴卓に二個
  テクストや梨のしづくに蟻溺れ
「歴史」
  節分ひとり納豆のパック投げて済ます
  銀紙冷たき純粋ジャム批判 神よ
  近代の終はる重機の打音のどか
  クトゥルーより玄き庭木ら剪定期
  通り魔の現場が近所日の盛
  年越そばふとコロッケも乗りたがる
  レンジの餅ら伸び来て綾波レイのこゑ
  分度器おのれを魚と気づく驟雨かな
「うるはしき日々」
  救援物資の箱らに自死を禁じらる
  ファミリーマートへぬくき地割れを幾つか越す
  セシウムもその辺にゐる花見かな
  残像のわれが飯買ふ西日かな
  人間は灰作りけり烏瓜


減らしながら引用したんだけど、こんなになっちゃった。「引掻傷」に「エクリチュール」のルビとか、「シュレディンガー音頭」とか、わたし好みの語彙の句に若干偏っていますが(笑)、とにかく、いろんなタイプの句があるので、いろいろ読んでほしいとか思いつつ。誤字脱字ありませんようにー(疲れた)。

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