こんにちは、秋田県潟上市の司法書士 石井隆ですニコニコ

年末になり、なにかとバタバタしておりますが
年末年始、家族が集まるこの時期は
家族の話合いの良い機会ですビックリマーク
たまにはじっくり家族で話してみるのもいいですね。


では、相談事例をご紹介します。



相談者

私には3人の兄弟がいます。
父は75歳の高齢で、現在私どもと同居していますが
住んでいる土地と建物を私名義に贈与する予定です。

と言いますのは、私の二男は、現在、行方不明で
多分、生きていると思いますが消息はありません。
仮に父が死亡した場合、登記手続きが面倒になると思いまして
父との話し合いの結果、私に贈与することになりました。
登記手続きをお願いしたいのですが、必要な書類を教えてください。

それと、贈与税は高いと聞いていますが
どの位準備して置けばよいでしょうか。



回答

贈与による所有権移転登記の手続きに必要な書類は
贈与契約書と父の印鑑証明書と権利証
相談者の住民票があれば登記できますよ。
贈与契約書は作成しましたか。


相談者

作成していません。


回答

登記手続きをする場合、登記原因証明情報を作成するか
若しくは贈与契約書を作成する必要があります。


相談者

それは、お任せするとして
先生のホームページを見ると、相続時精算課税制度を利用すれば
贈与税は、2500万円まで非課税扱いと記述されていますので
この制度を利用したいのですが、どうすればよいでしょう。


回答

贈与税の申告と相続時精算課税制度を利用する
申告をすることになりますが、この申告を期限までしないと
暦年課税として扱われ贈与税が取られてしまいます。

実は、この申告する期限を忘れてしまったお客様がいまして
贈与税は支払えないので、贈与した登記を抹消してくださいとお願いされ
贈与の登記を抹消する手続きをしたのですが
今度は、贈与した人から相談を受け
不動産取得税を納めなさいと県税事務所から通知を受けたそうです。
これはどういうことですかとの相談でした。


相談者

それは、おかしいですよね。
貰った人は当然に不動産取得税を納めている。
その贈与の登記を抹消すると元の所有者に不動産取得税が掛るのは変ですよね。
まるで税金の二重取りでないでしょうか。


回答

贈与の登記をすれば、所有権を取得するので
地方税法第73条の2によって不動産取得税は発生します。
この贈与の登記を抹消すると贈与する前の所有者に戻るので
不動産を結果として取得したことになる。
よって、不動産取得税が発生するとの県税事務所の回答だそうです。
変な理屈に思えますが、決してこのような事態にならないように
贈与税の申告は税務署にするのですよ。
くれぐれも忘れないように申告してくださいね。


相談者

申告する時期はいつですか。


回答

平成25年分の贈与税の申告の受付は
平成26年2月3日から同年3月17日までとなっていました。

たとえば、平成27年3月に贈与の登記をすると
翌年の申告となりますので申告を忘れてしまう場合もあります。
贈与する時期をその年の12月頃にすると
おそらく忘れることはなかったと思われますね。

本題に戻りましょうね。「遺留分」と言う言葉を聞いたことがありますか。


相談者

相続する権利があるのに遺言で財産を貰えなかった場合に
取り分として貰える権利ですよね。死んだ場合に発生するものでしょ。


回答

やはり、そう思っていましたか。


相談者

間違っていますか。


回答
実は、生前贈与された場合でも
遺留分を請求されてしまうことがあるんですよ。


相談者
本当ですか。


回答

生きている間に財産を全部贈与したら
遺留分も無くなると思っている人が多いです。

実は、民法第1030条の規定があることを知らない人が多いのです。
「贈与は、相続開始前の1年間に限り、前条の規定によりその価格を参入する。
当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与したときは
1年前の日より前にしたものについても、同様とする。」
と規定されているのです。
よって、遺言書がなくても遺留分を請求することができることになります。


相談者

本当ですか。


回答

こんな風に考えている人もいますよ。
生前に贈与を受けて自分名義で登記して相続が発生すると
遺言書には自分以外の相続人へ遺産を全部相続させる。
と書かれているため、俺には遺留分を請求する権利がある
と主張する相続人もいるのです。


相談者

だって、死ぬ前と死んでからでは話は別でないでしょうか。


回答

生前に贈与を受けると言うことは
遺産を先に貰っていることになりますね。
死亡すると相続が発生し、遺留分を受ける権利はあるかもしれませんが
それなりの生前贈与を受けているのですから
遺留分はないとも言えるのではないでしょうか。
生前であろうが死後であろうが父の遺産と考えた場合
平等に分配されるべきものでないでしょうか。
私が伝えたいことは、お父さんのご家族と話し合いのうえで
生前贈与をすべきかを検討するのが円満な方法ですよ。
ということです。
でも、二男が行方不明とのことですので
相続手続きも煩雑になりますので
今のうちに生前贈与を受けることも決して悪い方法ではないと思いますよ。


相談者

贈与の登記を断られたと一瞬思ってしまいました。
でも、おっしゃるとおりかもしれませんね。


回答

相続する期待が完全に裏切られることが生じないように
調整するため遺留分の制度ですので、その趣旨を踏まえて
親族同士が円満に暮らすための法律と考え規律していると思いますよ。


相談者

大変参考になりました。ありがとうございます。


興味のある方、詳しくお知りになりたい方は是非一度事務所へ遊びにいらして下さいあし

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