7月に入ってから視界不良続きの利尻空港。この日も「天候調査中」→「条件付き運航」
梅雨の無いはずの北海道ですが、韓国方面から前線が延びて北海道で停滞していました。
午後になってかなりガスってきました。利尻山は雲の中。
かと思ったら、突然利尻山が顔を出したり。 その5分後には濃い霧で岸壁の視界さえ低下。
島の天気は分刻みで変わっていくようです。
■利尻空港
以前は稚内からANKのDHC-6(19人乗り)の運航のみでしたが、滑走路を延長して
ターミナルもリニューアル。新千歳行きの便が就航しています。
(左)ANAカウンターでもらったペーパークラフト
右下にデッキから見た写真があり、晴天ならば利尻山をバックにANA機が写る構図です。
(右)利尻空港デッキからの構図。ランウエイは見えますが利尻山は雲の中。
■ゴーアラウンド1回目(視界不良で着陸やり直し)
私たちの搭乗便は新千歳からやって来る便の折り返しなので、新千歳からの便が利尻に
降りられなければ欠航ということになります。
チェックインでも、
「新千歳行きは使用する飛行機が利尻空港に降りられずに稚内に向かうことも予想され
その場合は欠航となります。また、飛べた場合でも新千歳空港も悪天候のため、
函館か旭川に向かうことも予想されます。」と告げられました。
時折、薄日も射してきたので行けるかな?と思ったのですが。。。
(左)ポン山は視認できましたが、全体的にランウエイ上空の雲低高度が低いですね。
(右)トラフィックパターンの海上方面もガスってきました。
さあ、一回目の着陸態勢です。利尻空港は管制塔無し、ILS(計器着陸装置)無しの空港なので
有視界飛行となり、他の空港より視程の条件が厳しいです。
(25にローカラーザー、07は無し 07/25 1800mX45m )
コックピットでは高度を下げながら、自動音声が読み上げる高度に注意を払います。
(※今回の実際のやり取りではなく一般例です)
自動音声 「ファイブ ハンドレッド!」 (500フィート)
パイロット 「チェック」
まだ雲の中で滑走路は見えません。さらに降下し、
Decision Height(決心高度)と言われる、その空港の条件によって定められた高度に到達して
①滑走路が見えたら「ランウエイ インサイト!」(滑走路視認)とコールして着陸操作続行
②滑走路が見えなかったら「ゴーアラウンド!」とコールしてGAモードで上昇し着陸やり直し
キャプテンが瞬間の決断を迫られる緊張するシーンです。
結局、1回目は滑走路が目視できずゴーアラウンドし上昇、空港を周回して上空待機することに
なりました。
■ゴーアラウンド2回目(上昇後、稚内へダイバート)
1回目よりガスって来ました。今度は反対方向から侵入してきたのですが、ランウエイは
視認できずゴーアラウンド。飛行機は稚内空港へ向かい、そのまま欠航となりました。
この時点では送迎デッキからでさえも滑走路は見えませんね。
飛行機を利用すれば利尻/新千歳はたったの50分でしたが、欠航したのでフェリー+夜行バス
+JRで移動した結果、待ち時間を含めて15時間もかかることになりました。
欠航で乗り損ねたANAの利尻/新千歳線ですが、2011年9月30日をもって廃止が
決まっています。10月1日がHAC(北海道エアシステム)が利尻/丘珠線を36人乗りのSA340で
引き継ぐ予定です。私にとっては幻となったANAの利尻線でした。