kashi-heigoの随筆風ブログ-メロン


 この間、親戚の結婚式の引き出物の中にメロンが入っていた。晩秋にメロンを頂戴するとは、甚だ贅沢な頂き物である。さっそくお仏壇に供えた。翌日、家内は四分の一をひとり住まいの実家の母に届けると言う。このメロン、口の中で甘さが広がり、豊潤な密が爽やかに残って、ジューシーなのである。昔の西瓜やマクワ瓜には、あの高級な味はなかった。現代人の嗜好にあわせて、作られたのだろうか。


 このメロンも西瓜も瓜だが、我々の生活の中に瓜は、ずいぶんと入り込んできている。似た二人を<瓜二つ>という、これは「瓜を二つに割ったようだ」を略した言葉で、顔が良く似ていることの喩えである。ほかにこんなのがある。昔からある有名な早口言葉で、
     瓜売りが 瓜売りに来て 瓜売り残し 売り売り帰る 瓜売りの声
と。古の昔から、瓜は庶民の生活に密着していたのであろう。


kashi-heigoの随筆風ブログ-収穫物


 瓜そのものには、あまり自己主張するような癖がない。煮つけるにしても、瓜は淡白だから、味つけも主役の材料相手に合わせることができる。我が菜園でも今年は、多くの種類の瓜を作った。夏野菜の王様のキュウリ(胡瓜)、マクワ瓜、カタウリ(堅瓜)、カボチャ(南瓜)とその上に、今年初めて、金糸瓜と冬瓜を収穫した。この金糸瓜と冬瓜は、苗屋の店先で、同じ葉っぱが並んでいたので、カタウリとばかり思いこみ、買い込んだのはいいが、すっかり忘れていた。草むらで発見した時は、どうやって食べようかと楽しみが別に沸いたのだった。金糸瓜は錦糸瓜とも書くが、これなど、瓜の中から、金糸が出て来るのだから驚くではないか。

 瓜といえば、ヘチマ(糸瓜)もゴーヤ(苦瓜)も瓜の仲間である。カタカナで書けば、瓜とかけ離れて別物にみえるが、立派な瓜の仲間である。瓜の形も様々で、西瓜や南瓜で巨大なものもあれば、表面にイボイボのあるゴーヤもあれば、蛇瓜みたいに、長細い形状のものもある。同じ瓜の仲間でも、多岐にわたる。

kashi-heigoの随筆風ブログ-白粉をした冬瓜


 美人の顔を表して瓜実顔などと言うが、どの瓜の類をいうのかと不思議に思っていた。美人だから、きっと<白瓜>のことかもしれないと考えていた。まさか、瓜の<種>の形から来ているとはつゆ思わなかった。瓜の<種>に似て、色白で鼻筋が通り、やや面長な顔というのだ。なるほどそいうものか。


 これから、冬を迎える。冬至には、南瓜を食べるという。そろそろ寒くなる。とっておきの<冬瓜>を食べるのが楽しみである。冬瓜は、その90%以上が水分で低エネルギーの野菜というから、ダイエットにも有効である。この水分量のせいで、利尿効果もあり、ビタミンCを含むからカゼなどにも有効と聞く。これで、冬を乗り切りたいものだ。


 あの食べ残しの、引き出物のメロン、まだ四分の一は残っていたはずである。と思って、冷蔵庫を確かめたが、跡形もなかった。瓜に爪あり爪に爪なし(うりにつめありつめにつめなし)という。爪痕ではダメだ、せめて、歯痕なりとつけておけば、食べたいと言うサインになったはずである。家内に食べられてしまった。 2011.10.29