「平ちゃん、せっかくくれるのなら、タワシにして、くれっせヨー」という。
このタワシを作るには、いくらか面倒である。10日ほどバケツに浸けこんで、皮を腐らせて作るのだ。時間をかけずに手っとり早く、タワシが作りたい向きは、圧力釜で煮るという手もある。このヘチマのタワシは馬鹿にできない。ネットで価格を調べると一本1300円位はする。僕は、キュウリのQちゃん漬けを教えてくれた従姉妹に、『キュウリのQちゃん』とこの『不当に扱われているワタシ』の随筆をプリントして封筒に入れ、恥ずかしながら、勿体をつけてプレゼントしようと思っている。
このヘチマのタワシ、昔は草履にしたり、長靴の中敷きにしたものである。今朝も朝風呂にとっぷりとつかり、ヘチマに想いを寄せた。湯船から上がり、今年のタワシの出来上がり具合を試してみた。ひねた大きなヘチマのタワシより、若い蒼いヘチマの方が、肌触りがいいし垢すりしてもピタッと肌にくる。ひねた方だって、決して悪いわけではない、かかとの角質取りには、具合がいいのだから。ひねた方は、台所の鍋底の焦げ落としに回した方がずーっといいかもしれない。なぜなら鍋を傷めず威力を発揮するから。
僕は、今少し迷っていることがある。例の冬瓜オバさんに、硬い方と柔らかい方のどちらを渡すべきかと。硬い方を渡せば、「私の肌は、こんな硬いタワシじゃ腫れて、傷がつくワ」というだろうし、柔らかい方では、その有難みが分からないだろうと思う。両方では、きっと「平ちゃん、せっかくくれるのなら、ふたつとも柔らかいのにせっしゃいヨー」と言うにきまっている。 2011.10.10