kashi-heigoの随筆風ブログ-日よけ
 ヘチマについては、なんどかこのブログにも登場させた。「ヘチマもへったくれもない」と言われるくらい、ヘチマはその地位が現代生活の中で、不当に低く扱われてきたと悲憤慷慨さえして見せた。『ヘチマに想いを寄せる』と題して、ヘチマは化粧水にもなるし、咳止めにはも薬効あらたかなるぞと肩を持ったりもした。僕は、実際この夏、日よけのグリーンカーテンとして、ヘチマを二本植えた。ヘチマは数十個も生った。あまり多いので、頭を下げてご近所にも受け取ってもらったほどだ。例の同級生の冬瓜オバさんなど、
「平ちゃん、せっかくくれるのなら、タワシにして、くれっせヨー」という。

kashi-heigoの随筆風ブログ-たわし

 このタワシを作るには、いくらか面倒である。10日ほどバケツに浸けこんで、皮を腐らせて作るのだ。時間をかけずに手っとり早く、タワシが作りたい向きは、圧力釜で煮るという手もある。このヘチマのタワシは馬鹿にできない。ネットで価格を調べると一本1300円位はする。僕は、キュウリのQちゃん漬けを教えてくれた従姉妹に、『キュウリのQちゃん』とこの『不当に扱われているワタシ』の随筆をプリントして封筒に入れ、恥ずかしながら、勿体をつけてプレゼントしようと思っている。


 このヘチマのタワシ、昔は草履にしたり、長靴の中敷きにしたものである。今朝も朝風呂にとっぷりとつかり、ヘチマに想いを寄せた。湯船から上がり、今年のタワシの出来上がり具合を試してみた。ひねた大きなヘチマのタワシより、若い蒼いヘチマの方が、肌触りがいいし垢すりしてもピタッと肌にくる。ひねた方だって、決して悪いわけではない、かかとの角質取りには、具合がいいのだから。ひねた方は、台所の鍋底の焦げ落としに回した方がずーっといいかもしれない。なぜなら鍋を傷めず威力を発揮するから。

kashi-heigoの随筆風ブログ-冬瓜オバさん

 僕は、今少し迷っていることがある。例の冬瓜オバさんに、硬い方と柔らかい方のどちらを渡すべきかと。硬い方を渡せば、「私の肌は、こんな硬いタワシじゃ腫れて、傷がつく」というだろうし、柔らかい方では、その有難みが分からないだろうと思う。両方では、きっと「平ちゃん、せっかくくれるのなら、ふたつとも柔らかいのにせっしゃいヨー」と言うにきまっている。 2011.10.10