やあ、みなさん、お久しぶりです。
私の研究室へようこそ。
いわゆる敵基地攻撃能力ですが、
少しずつ実現に向かって進んでいるようです。
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ミサイル防衛方針 新政権、年内に結論
安倍首相、談話発表へ
政府は
北朝鮮などによるミサイルの阻止に関する安全保障政策の新たな方針について、
安倍晋三首相の後継首相のもとで決定する。
攻撃を受ける前に相手の拠点を叩く
「敵基地攻撃能力」保有の是非を含め、年末までに結論を出す。
2021年度予算案に反映する。
首相の在任中に国家安全保障会議(NSC)を開き、
こうした方針を盛った首相の談話を決める。
16日の新内閣発足後、連立与党である公明党との調整を急ぐ。
安倍晋三首相は辞任を表明した8月28日の記者会見で、
ミサイル措置に関する新たな方針について
「速やかに与党調整に入り、具体化を進める」
と述べた。
新方針は
①配備計画を断念した地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の代替策
②敵基地攻撃能力の保有など抑止力の強化
の2本柱を想定する。
21年度予算案の概算要求をまとめる9月中に決める想定だった
イージス・アショアの代替策は年末に先送りする。
政府はミサイル防衛に特化した護衛艦の増備を軸に検討する。
ミサイルの迎撃に性能を特化し、人員やコストを節約する案だ。
技術的な課題が多く米政府やメーカーとの調整に時間が要る。
イージス・アショアの導入を前提としていた
防衛大綱と中期防衛力整備計画を年末に見直す。
国家安保戦略の改定は年明け以降にずれ込む。
新型コロナウイルスなどの感染症対策や経済安保を盛り込む予定で、
年内は難しいとの見方が多い。
首相は6月18日の記者会見で
「安保戦略のありようについてこの夏、徹底的に議論し、新しい方向性をしっかりと打ち出したい」
と述べた。
自民党は8月に「相手領域内でも弾道ミサイル等を阻止する能力の保有」を促す提言をまとめた。
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日本経済新聞 2020年9月7日 朝刊から引用。
(青字強調はブログ主による)
ミサイル防衛に特化した護衛艦となると、
以前、当ブログで提唱したアーセナルシップに近いものになるかもしれません。
http://military2013.blog.jp/archives/26986784.htmlより転載
甲板に長方形の黑っぽい模様のように見えるのが、
VLS(垂直発射装置)というミサイルの発射装置です。
ミサイルを発射するとこういう感じになります。
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq39d06.jpgより転載
現有の護衛艦が装備しているMk41垂直発射システムは、
弾道ミサイル迎撃用ミサイルだけでなく、巡航ミサイルも搭載することができます。
ミサイル防衛に特化した護衛艦といいながら、
巡航ミサイルを積んで敵基地攻撃にも使える船になり得るのです。
アーセナルシップ構想を打ち出したのは、アメリカですが、
その構想では、
排水量2万トン
垂直ミサイル発射装置500セル(ミサイル500発搭載できるということ)
建造費5億5000万ドル
というものでした。
1ドル100円とすれば、550億円です。
イージス艦は1隻1200億円ですから、ずい分安いです。
しかも、巡航ミサイルを500発積むか、弾道ミサイル迎撃用ミサイルを500発積むか、
どちらも選べるのです。
果たして菅内閣が、こういうものを作らせるかどうかは定かではありません。
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長射程ミサイル、22年取得 離島防衛、「敵基地攻撃」転用も―F35搭載・防衛省
2020年09月07日07時08分
離島防衛などで
敵の脅威圏外からの対処を可能にする「スタンド・オフ・ミサイル」と位置付ける
射程約500キロのミサイルを、
防衛省が2022年3月までに取得することが分かった。
中期防衛力整備計画(19~23年度)に基づくもので、
自衛隊の現有火力では最も長射程になるとみられる。
航空自衛隊の最新鋭ステルス戦闘機F35Aに搭載される。
政府は
陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備計画断念を機に、
弾道ミサイルによる攻撃を阻止するために、他国の領域を標的にする
「敵基地攻撃能力」の保有を含めた抑止力の議論を本格化させている。
同能力保有に踏み切れば、
相手国内の固定レーダーサイトや、ミサイル関連施設をたたく兵器として、転用される可能性もある。
防衛省などによると、
取得するのは、ノルウェー製の対地・対艦ミサイル「JSM」。
開発が完了し、22年3月中旬が納期となっている。
JSMは
F35の胴体内部に搭載でき、
レーダーに探知されにくいF35のステルス性を生かした対艦・対地攻撃が可能となる。
空自が保有するF15戦闘機のうち
近代化する機体についても、
米ロッキード・マーチン社製の射程約900キロのミサイル
「LRASM」や「JASSM」の搭載が検討されている。
米軍は
戦略爆撃機を使いJASSMの発射試験を実施。
LRASMはイージス艦発射用にも開発が進んでいる。
安倍政権は
射程上、敵基地攻撃にも使えるスタンド・オフ・ミサイルの保有について、
憲法9条に基づく専守防衛との整合性について議論を尽くさずに導入を決定した。
千歳(北海道)、三沢(青森県)、小松(石川県)、築城(福岡県)、那覇基地(沖縄県)
などから発進した空自戦闘機が
日本海や東シナ海からスタンド・オフ・ミサイルを発射すれば、
北朝鮮や中国、ロシア沿岸部などに到達する。
憲法上許される自衛のための必要最小限度のミサイルは、どこまで保有できるのか。
次期政権は
ミサイルの長射程化に向けた防衛力整備について、国民への説明責任を果たすことが求められる。
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https://www.jiji.com/jc/article?k=2020090600201&g=polから引用。
北朝鮮、中国、ロシア沿岸部を攻撃可能といっても、
F15やF35から発射するのでは、私は不満ですね。
上記の国々は、戦闘機を発進させる必要などなく、弾道ミサイルで日本を攻撃できるんですよ。
北朝鮮からミサイルを発射した場合、7分で日本に到達してしまいます。
ならば、こちらも7分で北朝鮮に到達可能な攻撃手段を持たなければなりません。
もっとも、
F15やF35、さらには、護衛艦いずもを改修して搭載するであろうF35Bを、
くだんのスタンド・オフ・ミサイルを搭載した状態で、
常に北朝鮮付近の上空に飛ばしておき、
北朝鮮のミサイル発射の兆候をとらえたら、
すぐさま、そのミサイルを発射できる態勢を整える、というなら、いいですがね。
その場合でも、海から巡航ミサイルを発射できる態勢も必要です。
”空から”と”海から”両方が必要です。
次は、言葉遊びの話です。
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ミサイル防衛 相手領域でも 自民チーム、提言を了承
現実踏まえ抑止力強化を
自民党のミサイル防衛検討チームは30日、抑止力強化に向けた提言案を了承した。
専守防衛のもと「相手領域内でも阻止する能力の保有」と明記し
新しい取り組みの必要性に触れた。
弾道ミサイルの迎撃に限定した対応への限界が念頭にある。
当初検討していた「打撃力」の明記は見送った。
党国防部会や党政調審議会などの了承手続きを経て、
8月上旬にも政府側に申し入れる。
提言案は
相手の拠点をたたく「敵基地攻撃能力」の記述を避けたものの、保有を事実上促すものとなる。
日本全域を常時守る「総合ミサイル防空能力」の強化が必要だとも指摘した。
米国を「矛」、日本を「盾」とする日米の基本的な役割分担は維持する一方、
日米同盟全体の抑止力や対処力の向上を求めた。
情報収集・警戒監視・偵察(ISR)能力の強化も訴えた。
自民党の提言を受け、政府は国家安全保障会議(NSC)の議論を加速する。
地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の代替案策や
敵基地攻撃能力の保有の是非が主な議題となる。
9月までに方向性を示す。
敵基地攻撃能力を保有する場合は
①戦闘機からの空対地ミサイルの発射
②イージス艦などから長距離巡航ミサイルの発射-などが候補になる。
日本単独で全てを保有すればコストはかさむが、
米国の衛星を活用するなどの役割分担により費用を抑える選択肢がある。
自民党のミサイル防衛検討チームがまとめた提言は
「相手領域内でもミサイルを阻止する能力の保有」
を検討するよう主張した。
かねて敵基地攻撃能力の保有に前向きな議員が多かった同党が
過去2回の提言で使った「策源地攻撃能力」や「敵基地反撃能力」よりも幅広い表現になる。
ミサイル防衛で「敵基地攻撃」による抑止力に以前ほどの実効性はない。
基地ではなく
場所を特定しにくい移動式発射台や潜水艦からから発射する技術が広まったためだ。
「相手領域内での阻止能力」という表現は
基地だけでなく艦艇などの発射拠点への攻撃・反撃も含む。
この能力を持つ方が抑止力は高まる。
北朝鮮や中国による迎撃が難しい新型ミサイルの開発など増大する脅威を見据え、
従来より幅広い選択肢の検討を政府に促す内容だといえる。
「敵基地攻撃」という言い回しには国際法が禁じる先制攻撃と海外に誤解される懸念もあった。
実際に6月の河野太郎防衛相の記者会見では外国人記者が
「Preemptive strike(先制攻撃)」
という英語で質問する一幕があった。
新しい言い回しを使った提言は具体的にどんな手段を検討するかが見えにくい。
検討チーム内でも何を意味するのか説明を求める声が上がったことがある。
政府は連立を組む公明党の意見も踏まえたうえで、
9月にもミサイル防衛の新たな方向性をまとめる。
敵基地攻撃能力を巡ってはミサイル発射が切迫して他に防ぐ手段がない場合は
自衛の範囲内との見解に立ってきた。
この憲法解釈を維持しつつ可能な手段を探る。
迎撃によるミサイル防衛は以前にも増して難易度が上がってきた。
米国は同盟国により大きな役割や負担を求めるようになった。
政府・与党はこの現実を踏まえた抑止力の向上を目指すべきだ。
(政治部次長 永井央紀)
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日経新聞 2020年7月31日 朝刊から引用。
(青字、赤字による強調はブログ主による)
これまで敵基地攻撃能力という言葉を使ってきましたが、
確かにこの言い方では適切ではありませんね。
移動式発射台や潜水艦は、基地ではありませんから、
敵基地攻撃能力という言い方だと、文字通り敵の基地しか攻撃できない、
というアホな解釈が成り立ってしまい、
移動式発射台や潜水艦は攻撃できない、というアホな話になってしまいます。
さらに、敵基地攻撃能力を敵基地反撃能力と言い換えよう、という動きもありました。
反撃ではもっと問題があります。
反撃とは、攻撃されたあとではじめてできる行為です。
核ミサイルで攻撃され、何十万人も死んだあとで反撃しても意味あるのか?
何十万人も死ぬ前になんとかせえよ、という話ですよ。
”敵基地反撃能力”ですから、敵に攻撃されたあと、その基地を攻撃しましょう、
という意味にもなりますね。
核ミサイルで何十万人も死んだあと、その核ミサイル基地を叩いて、
敵の基地を破壊しました、反撃は成功しました、とでも言うんでしょうか。
敵基地反撃能力という言葉を使ってしまうと、そういうことになりかねないのです。
だから、相手領域内でもミサイルを阻止する能力 という言い方になるわけですが、
もうちょっと簡潔な”それらしい”言い方になりませんかね。
ミサイル事前阻止能力とか。
これなら、発射する前に阻止する、という意味は含めることができます。
あるいは、戦略攻撃阻止能力、戦略攻撃事前阻止能力というのもいいかもしれません。
核ミサイルは、戦略兵器であり、その戦略兵器による攻撃を事前に阻止する、という意味です。
ミサイル以外の戦略兵器による攻撃も事前に阻止する、という意味もあります。
それと、いつまで専守防衛なんて言ってるんでしょうね。
専守防衛なんて言ってるから、
相手領域内でもミサイルを阻止する能力をなかなかもてないんですよ。
国際法が禁じる先制攻撃?
国際法で先制攻撃が禁止されてるなんて聞いたことないんですがね。
有斐閣の『国際法』には、そういうことは書いてませんが。
しれーっとウソ書いてんじゃないのか?
マスコミはよくそういうことをやりますからね。
ここからやっと温故知新の話になります。
日本には、空軍は存在したことがありません。
ゼロ戦や隼という有名な戦闘機がありましたが、
ゼロ戦は海軍の戦闘機で、隼は陸軍の戦闘機です。
陸軍と海軍は、それぞれ飛行機をもち、航空隊を編制し、
それぞれの航空兵力をもっていました。
イギリスは、第1次大戦中に、他のヨーロッパ諸国は、
第1次大戦後から第2次大戦までの間に空軍を作りましたが、
日本の場合、ついに空軍を作るには至りませんでした。
ちなみに、アメリカが空軍を作ったのは第2次大戦後です。
日本本土空襲や原爆投下で有名なB29は、陸軍の爆撃機です。
『歴史群像』という雑誌に、
陸軍航空隊が、事実上の空軍化に至る過程が特集されていました。
(あくまでも事実上であって、陸軍航空隊が正式に空軍になったわけではありません)
その記事の中に、現在の敵基地攻撃能力の原点となるものがありました。
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日本陸軍機の変遷
日本陸軍機の概要
第一次世界大戦後に軍用機の国産化が本格的に始まって以来、
日本陸軍機は陸軍の戦術思想と戦争計画を反映して開発が進められている。
第一次世界大戦終結直後からフランス陸軍の影響を受け、
偵察機と戦闘機を中心とした
地上部隊支援を主任務とする機種構成で発展した陸軍機は、
昭和6年(1931)の満洲事変によってその性格を大きく変えることになる。
対ソ戦を本格的に考慮し始めたこの時期、
最も大きな脅威は、沿海州に展開すると予想されたソ連空軍の長距離爆撃機だった。
日本本土を脅かすこの脅威に対抗すべく、日本陸軍は
敵爆撃機基地を先制攻撃によって破壊する航空撃滅戦を第一の任務として、
空軍的色彩、つまり作戦対象領域の航空優勢を確保するため、
まず空中と地上で敵航空兵力を撃破するという方向性を強めて行くことになる。
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歴史群像 2020年6月号から引用。
(青字、赤字による強調はブログ主による)
ソ連空軍の長距離爆撃機とは、1930年代に配備されたTB3やSBをさしています。
これらは、行動半径1000kmとみなされました。
歴史群像 2020年6月号より転載
行動半径1000kmだと、ウラジオストクから発進した場合、
日本本土の大部分が爆撃可能となります。
TB3は、最大速度197km/h、SBは、450km/h。
TB3の場合、5時間ほどで、日本本土に到達します。
SBだと、札幌あたりなら、2時間以内に到達してしまいます。
これは、当時の日本にとって大変な脅威でした。
そこで陸軍は、ソ連と戦争になった場合、
開戦直後に、航空機でソ連の航空兵力を叩き潰そう、
と考えました。
これが航空撃滅戦です。
当時の陸軍が立てた基本方針の1つであったわけです。
この方針に沿って、長距離高速の偵察機や爆撃機を開発していきました。
敵の爆撃機が行動半径1000kmなら、こちらも行動半径1000kmの爆撃機をもてば、
日本本土から沿海州に展開しているソ連の航空兵力を叩くことができます。
陸軍が、爆撃機開発に際して、最も重視したのは、速度性能でした。
陸軍は、敵が迎撃準備を整える前に、敵飛行場上空に到達している必要がある、
と考え、速度を最も重視したのです。
(速い速度を求めたのは、敵戦闘機の迎撃を振り切るためでもありました。
しかし、それは実現不可能でした。いくら速い爆撃機を作っても、
戦闘機より速いものを作るのは不可能なことです。)
敵が日本本土を空襲する前に、敵航空兵力を叩こう
敵が迎撃準備を整える前に、爆撃機を敵飛行場上空に到達させよう
という考え方は、現在の、
相手領域内でもミサイルを阻止する能力にそのまま当てはめることができます。
発射されたミサイルを迎撃する能力も大事ですが、
それが難しくなってきている現状では、
事前阻止能力のほうを重視すべきです。
そしてそれは、かつての陸軍の航空撃滅戦というコンセプトの焼き直しでもあるのです。
相手領域内でもミサイルを阻止する能力と名前は違いますが、
中身は、航空撃滅戦と全く同じ考え方に沿って、日本の防衛を行うべきです。
相手領域内でもミサイルを阻止する能力(戦略攻撃事前阻止能力)は、
言わば、
21世紀の航空撃滅戦、または令和の航空撃滅戦です。
航空撃滅戦と同じ考え方でミサイル事前阻止!
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