やあ、みなさん、私の研究室へようこそ。
昨日の記事で、
中国の習金平がアルゼンチンを訪問し、
フォークランド諸島の問題に言及したことをお伝えしました。
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ブエノスアイレス訪問では、
英国とアルゼンチンのフォークランド紛争に言及し、
「中国はアルゼンチンの主権要求を断固として支持する」
と宣言している。
フォークランドはアルゼンチン沖に浮かぶ英領諸島である。
1982年にアルゼンチン軍が侵攻し、
英軍の機動部隊が反撃して2カ月後に英国が勝利した。
だが、いまもアルゼンチンと英国の領有権問題がくすぶっている。
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http://sankei.jp.msn.com/world/news/140731/amr14073111210003-n1.htmから抜粋して引用。
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イギリスにとってフォークランド諸島は植民地時代の遺産である。
南米アルゼンチンの南東480キロメートルに位置し、
イギリスからは1万キロ以上も離れている。
16世紀に発見された島に原住民はおらず、
またアルゼンチンという国が影も形もない1765年、イギリスが領有を宣言した。
その後、経済的事情からスペインに明け渡すも、
(イギリス政府によれば)イギリスが島の権利を放棄したことはなかった。
1820年、スペインから独立したアルゼンチンがその領有権を宣言するが、
1833年にはイギリスがアルゼンチンの駐屯軍を島から追い出した。
それ以降、イギリス人が入植し、島の住民となっている。
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『日本はイギリスより50年進んでいる』信夫梨花 主婦の友インフォス情報社から引用。
『日本はイギリスより…』には、
イギリスに領有権があるかのように書かれていますが、
ウィキペディアを見ると、
領有権がイギリスにあるのか、アルゼンチンにあるのかは、微妙です。
イギリスがスペインに明け渡したように書かれていますが、
実際には、フランスがスペインに売却したのです。
イギリスは、スペインの領有権を認めたものの、
西フォークランド島の居住を認められる、という、なんとも曖昧な状態でした。
1810年、アルゼンチンで内戦(アルゼンチン独立戦争)が始まると、
その翌年には、スペイン系住民が撤退します。
スペイン撤退後は英米の軍艦や捕鯨船が避難港として利用しました。
(実効支配の実績になる?)
1820年、アルゼンチンのフリゲートが、
フォークランド諸島のソレダード港の領有を宣言しますが、
英米は無視します。
1833年、イギリスがフォークランド諸島を占領します。
1860年代には、スコットランドからの入植者が牧畜をやるようになり、
イギリスの実効支配が現在まで続くことになります。
アルゼンチンにしてみれば、
自国のすぐ目の前にある島が、遠く離れたイギリスのものだというのは、
納得いかないでしょう。
スペインから独立したのだから、
スペイン領だった土地は、全部我が国のものだ、
という理屈なのかもしれませんが、
スペイン系住民は撤退しており、
しかも、フォークランド諸島はスペインから遠く離れた植民地です。
アルゼンチンは、スペインの植民地であることに不満をもって独立したんじゃないの?
スペインの植民地だった所を継承したら、
それは植民地主義を肯定することになるんじゃないの?
という疑問がわいてきます。
アルゼンチン独立前に、スペイン系住民は
フォークランド諸島からいなくなっているわけですから、
そうなると、スペイン領を”継承”する、という論理も、果たして成り立つのか?
という疑問もあります。
歴史的経緯から見ると、
イギリスとアルゼンチンどちらに正当性があるのかは、微妙です。
そうなると、1833年以来実効支配を続けているイギリスに分がある、
ということになるでしょう。
これは、尖閣諸島に似ています。
尖閣諸島
実効支配しているのは、日本。
実効支配していない中国が奪おうとしている。
フォークランド諸島
実効支配しているのは、イギリス。
実効支配していないアルゼンチンが奪おうとしている。
中国からすれば、
実効支配していない島を自分のものにしようとしているという点で、
アルゼンチンは、仲間だということになります。
実効支配もしていない、領有の正当性も全くないくせに、
中国は尖閣諸島を自分のものにしようとしています。
尖閣防衛を考えた場合、
フォークランド戦争は、格好の研究材料です。
防衛省防衛研究所のサイトには、
フォークランド戦争史というページ
(http://www.nids.go.jp/publication/falkland/)
があり、
かなり詳しく研究されています。
日本が、水陸機動団を作ることを決定したのも、
島を取られた場合に取り返すことを考えてのことだと思います。
離島奪還訓練も何度か行われています。
フォークランド戦争はかなり興味深い戦争でした。
新聞、テレビの報道もけっこう見ていました。
最も印象に残っているのは、
イギリスの駆逐艦シェフィールドが
アルゼンチンの対艦ミサイルで撃沈されたことでした。
新聞では、1発で撃沈された、と報道されていたので、
ミサイルの威力はすごいな、と思ったものでした。
しかし、後になって調べてみると、ミサイルは不発で、
ミサイルの燃料が燃えたことで火災になり、
火災が鎮火したあと、曳航して本国にもっていく途中で浸水がひどくなって沈没したのでした。
てっきり、ミサイルの爆発力でその場で沈んだとばかり思っていました。
しかし、このミサイル、フランス製のエグゾセは、この一件で世界的に有名になり、
かなり売れたようです。
しかし、ウィキペディアによると、
シェフィールドに命中したものだけでなく、グラモーガンという駆逐艦に
命中したものも不発だったようです。
おいおい、欠陥品じゃねえかよ!
とツッコみたくなりますね。
エグゾセ ウィキペディアより転載
もう1つ。
これは、リアルタイムでは知らなかったのですが、
イギリスの原子力潜水艦が、アルゼンチンの巡洋艦を撃沈したのです。
これは、原子力潜水艦が、実戦で敵艦を撃沈した史上初の事例となりました。
撃沈されたアルゼンチンの巡洋艦ヘネラル・ベルグラノ ウィキペディアより転載
ベルグラノを撃沈した英原潜コンカラーの同型艦カレイジャス ウィキペディアより転載
どの局か忘れましたが、フォークランド戦争を扱った番組を見たことがあります。
その番組では、
イギリスのハリアーおよびシーハリアー戦闘機が、
空中戦で大活躍したかのように言っていました。
(空軍が持っているのはハリアー、海軍が持っているのはシーハリアーといいます。
基本的には同じ機体です。)
ハリアーは、垂直離着陸が可能ですが、
エンジンのノズルの角度を変えることで、そういうことが可能になっています。
シーハリアーのエンジンノズル ウィキペディアより転載
ノズルを真下に向ければ、ジェット噴流が真下に向くので、
それで垂直に上昇できるわけです。
この機能を空中戦で使った、とその番組では言っていました。
ノズルの角度を変えることで、
推力を任意の方向に変えることができるので、
それによって、通常はありえない動きができて、
空中戦では有利になる、と説明していました。
しかし、ウィキペディアには、
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開戦前、
空戦時にエンジンノズルの向きを変える
「前進飛行中の(推力)偏向」は、
通常の戦闘機ではあり得ない機動が可能であり、
攻撃回避に大きなアドバンテージになると言われていた。
一方でこのような強引な機動は
機体やパイロットに無理な負荷をかける、
速度が急激に低下することになり後の戦闘で著しく不利になる、
などのデメリットもあり一時的な効果しかなかったとも言われている。
フォークランド紛争以前、
訓練の時点でデメリットの大きさが知られていたこと、
空中戦でハリアー/シーハリアーが追われる立場に立たなかったこと、
地対空ミサイルの回避には適切でないことなどから、
紛争に於いてこの機動は行われなかったと言われる。
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とあり、
番組の説明とずい分違うな、と思いました。
結局、ハリアーの推力偏向機能は、実戦で有効だったのかどうか、
ちょっとわかりません。
推力偏向機能そのものは、”第5世代戦闘機”では常識となっており、
日本の先進技術実証機 (通称、心神)もこの機能を備えています。
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ウィキペディアより転載
思えば、安倍総理が中南米を訪問したのは、
中国に対する牽制なのかもしれません。
フォークランド諸島の領有権はアルゼンチンにある、
と主張することで、
尖閣=フォークランドという図式を作り、
尖閣問題で、アルゼンチンの支持を得ようという魂胆なのかもしれません。
安倍総理は、これを見過ごさず、中南米歴訪によって、
中国の動きを牽制した、ということなのかもしれません。
尖閣=フォークランドにしようという中国の意図は断固粉砕すべきだ
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