やあ、みなさん、私の研究室へようこそ。
今日は、ベネッセの個人情報流出問題です。
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外部業者の派遣社員 情報流出関与か
7月12日
「ベネッセコーポレーション」の
通信教育サービスを利用している顧客の
個人情報が大量に流出した問題で、
顧客のデータベースの保守管理を担当していた
外部業者の派遣社員が、データベースにアクセスし、
個人情報を複数回にわたってコピーした形跡が残っていたことが
関係者への取材で分かりました。
警視庁は、この派遣社員などから事情を聴くなどして捜査を進める方針です。
この問題は、
ベネッセコーポレーションの通信教育サービスを利用している
子どもや保護者の名前や住所など、
およそ760万件の個人情報が流出したものです。
警視庁は
営業秘密に当たる顧客の個人情報が流出したとして、
不正競争防止法違反の疑いで捜査していますが、
ベネッセから顧客のデータベースの保守管理の業務を委託されていた
外部の業者で派遣社員として勤務していた担当者が、
ベネッセのグループ会社の都内の事業所でデータベースにアクセスし、
個人情報を複数回にわたってコピーした形跡が残っていたことが
関係者への取材で分かりました。
この派遣社員は、
外部の業者の中でも、一部の担当者にしか与えられていない
データベースへのアクセス権限を持っていて、
ベネッセ側から貸与されたパソコンで情報をコピーし、
記憶媒体を使って持ち出していた疑いがあるということです。
警視庁は、この派遣社員などから事情を聴くなどして、捜査を進める方針です。
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↑
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140712/k10015955261000.htmlから引用。
(青字、赤字による強調はブログ主による)
この問題について、
西村幸祐さんが、フェイスブックでこんなことを述べておられました。
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ベネッセ名簿流出事件で重要なことが看過されています。
それは、個人情報保護法自体の欠陥と、
社外の人が簡単に社内情報にアクセスできる仕組みが、
人材派遣業の無用な肥大がもたらしたということです。
ほぼ全ての業界どころか公官庁も同じで、
アウトソーシングに頼る企業文化それ自体の危険性への指摘が皆無です。
この指摘ができないマスコミの堕落は目を覆うべき状態ですが、
TVや出版業界のメディアも
アウトソーシングがなければビジネスモデルが成り立たないほど、
そのような手法に汚染されています。
個人情報保護法そのものの欠陥は、
本来守らればならない情報へ、アウトソーシングの回路で
平気で誰もが簡単にアクセスできるシステムが、
ユルユルに許容されているのに、
学校や企業の名簿、同窓会の名簿も作らせないという、
本末転倒した偽善がはびこる日本社会そのものにあります。
うまく説明できませんが、
何となく、集団的自衛権を巡る議論や憲法9条に似通っているものがあります。
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(青字、赤字による強調はブログ主による)
これについて、以下のようなコメントが寄せられていました。
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人材派遣業は、「中間搾取」を禁止している労働基準法に違反しているのは明白です。
「中間搾取」をしているから、人材派遣会社が成り立ちます。
人材派遣そのものを禁止するより、方法がないのですが。。。。
コアな情報管理は自社内で完結させるべきです。
合理化、効率化のみでくくるのは愚かですね。
アウトソーサーの非正規雇用社員。
昇給も昇格なく、いつ仕事が無くなるかもわからない。
これが人を大切にする企業なら信頼できますよ。
全員正社員。
努力に見合った成果を得られるのなら、まだ少しは違います。
しかし、バカな経営者やサラリーマン経営者は、そこに気が付かない。
だから同じことが何度も起きる。
ちゃんと、人にも設備にも投資をすればいいだけです。
西村先生。
2つの重要な視点を提供されていらっしゃると思います。
①人材派遣業は厚労省の許認可が必要ですが、
アウトソースは原則届出によるビジネスモデルで、
このシステムを最初に繁忙期の人事施策として採用したのが、
前経団連会長企業であったことが、
その違法性や企業倫理の観点から罪一等ですし、
現在 すべての業種、すべての規模の企業で肥大を続けています。
この企業からの広告収入を考えると、
メディアは真相解明に対しアンタッチャブルなのかと思わざるを得ません。
②リスクマネジメントの監査を始めたときに、
許容されたアクセス権を有する階層に、例外適用が相次ぎ、
いまや低いレベルのマネジメント階層が
アクセス権を有しないレベルの秘匿データに対し、
アウトソーシングの専門家がアクセスできる状況として
発生している可能性があるのではないでしょうか。
まさに、一昨日表面化した
ベネッセ・コーポレーション社のデータが
内部システムの開発を請け負ったジャスト・システム社の従業員によって
不正にアクセスされたことに代表されることと考えます。
自衛権に関する議論や憲法改正論議が、議論として成立する前に
論点を意図的に発散させるニュース・キャスターの存在と同様、
この問題も労働法制やアクセス権の問題など論点を複数に割り、
発散させてしまうことで議論が深まらないよう意図していることは確かであると思います。
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集団的自衛権や憲法9条の話は、ここでは置いておきます。
コメントをされた方々が、人材派遣、アウトソーシングの問題点を、
あらかた述べてくださいました。
人材派遣業は、グラフ1のように、
1996年の労働者派遣法改正以後、急速に拡大していきました。
グラフ1
http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/a/151/index3.htmlより転載
人材派遣業が拡大すれば、当然、派遣労働者も増えます。
グラフ2
https://jinjibu.jp/f_haken/article/detl/outline/835/より転載
企業が派遣社員を使うのは、人件費を抑えたいからです。
よって、派遣社員が増えれば、給料も増えなくなってしまいます。
グラフ3
http://www.gci-klug.jp/mitsuhashi/2009/12/02/007549.phpより転載
グラフ3を見ると、96年の労働者派遣法改正とぴったり合ってはいませんが、
98年からは、給料は、ほぼ下がる一方になっています。
グラフ4
http://www8.cao.go.jp/shoushi/kaigi/ouen/tenken/k_1/19html/sn-3.htmlより転載
グラフ4は、年収別の既婚者の割合です。
1番上の線、28.1%→57.6%→78.9%というのは、
年収600~699万円の人の結婚している割合です。
この年収の人は、
20~24歳では、28.1%が結婚していて、
25~29歳では、57.6%、
30~34歳では、78.9%が結婚している、ということです。
1番下の線は、年収150~99万円の人の結婚している割合です。
20~24歳では、7%、
25~29歳では、17.4%、
30~34歳では、34%が、結婚している、ということです。
つまり、収入の多い人ほど結婚している割合が高いということです。
逆に言うと、収入が低ければ結婚できない、ということです。
人材派遣業が繁盛する→派遣労働者が増える→給料が増えない→結婚できない人が増える、
という図式になるわけです。
グラフ5
http://www8.cao.go.jp/shoushi/kaigi/ouen/tenken/k_1/19html/sn-3.htmlより転載
グラフ5は、雇用形態別の結婚している人の割合です。
非典型雇用というのは、非正規雇用(正社員ではない派遣社員など)のことです。
正社員は、30歳以上になれば、ほぼ6割が結婚しているわけです。
非正規雇用だと、30歳を過ぎても、3割ほどしか結婚できない、ということです。
以前の記事でも述べたように、少子化の原因は、婚姻件数の減少です。
人材派遣業が繁盛する→派遣労働者が増える→給料が増えない→結婚できない人が増える
となると、
結婚できない人が増える=婚姻件数の減少→少子化のさらなる進行
ということになるわけです。
グラフ6 世界経済のネタ帳より
グラフ6を見ると、
96年の労働者派遣法改正以後、失業率は急上昇しています。
人材派遣業の隆盛=失業率の上昇
という図式になっています。
派遣労働者、非正規雇用が増えて、雇用が不安定になったのですから、
当然といえば当然です。
そして、雇用が不安定になれば、結婚したくてもできなくなるのも当然です。
人材派遣業が発展する=派遣労働者が増える
そうなった結果、給料が伸びなくなった、と言いました。
給料というのは、GDPの中で最大の割合を占めています。
グラフ7(分配面から見たGDPの内訳)
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_35.htmlより転載
左端の赤い部分は、控除で、そのとなりの青い部分、
これが雇用者報酬=給料です。
GDP(分配面から見た場合)の最大の割合を占める雇用者報酬が伸びなくなった結果、
日本のGDPは、伸びなくなってしまいました。
グラフ8 世界経済のネタ帳より
96、7年ごろをピークに、日本のGDPは伸びていません。
96、7年ごろ、つまり、労働者派遣法改正の時期と一致しています。
それだけが原因で、GDPが伸びなくなった、というのは、さすがに言い過ぎですが、
原因の1つであることは、間違いありません。
人材派遣業が発展する=派遣労働者が増える
→雇用が不安定になり、失業が増える
給料が上がらなくなる
→その結果、結婚できない人が増える
→少子化がますます進行する
給料が上がらなくなることは、
日本のGDPが伸びなくなることでもあり、
日本全体の経済力が停滞することでもあります。
日本が経済成長できなかった間、他国は成長していたので、
日本の国際的地位が相対的に低下してしまいました。
こう見てくると、
人材派遣業って、もしかして、
百害あって一利なし、じゃないでしょうか。
労働者派遣法が改正される前、
つまり人材派遣業が小規模だったころのほうが、
給料は上がっていたし、
失業率は低かったし、
GDPも成長していた(日本全体の経済規模が拡大していた)のです。
人材派遣業は、衰退したほうが、日本全体のためには、いいと思います。
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