”第3の矢”は悪魔の矢 | 朝倉新哉の研究室

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やあ、みなさん、私の研究室へようこそ。

安倍総理が、
「私の『第3の矢』は日本経済の悪魔を倒す」
という論文をフィナンシャルタイムズに寄稿しました。
しかし、その第3の矢こそが、
日本経済を地獄に突き落とす悪魔ではないのか?
と私は思います。

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「私の第3の矢は悪魔を倒す」 安倍首相が英紙に寄稿

【ロンドン=内藤泰朗】
安倍晋三首相は
30日付の英紙フィナンシャル・タイムズに、
「私の『第3の矢』は日本経済の悪魔を倒す」
と題した論文を寄稿し、
経済再建なしに財政の健全化はあり得ないと述べて、
日本経済の構造改革を断行する考えを表明した。

首相はまず、改革の例として
今年、法人税率を2・4%引き下げたほか、
数年で20%台に減らすことを明らかにし、
「それは成長を助け、外資を呼び込むことになる」
と強調。
規制の撤廃のほか、エネルギーや農業、医療分野を外資に開放することを言明した。

さらに、今年4月の消費税増税でも、
「影響は限定的だ」として、
少子高齢化社会で経済成長を続けられるか否かについては
「すべての国民の協力」と、「女性の社会進出」が重要だとして、
「働く母親のために家事を担う外国人労働者の雇用を可能にする
と約束した。

欧米諸国では、
安倍首相が打ち出した「アベノミクス第3の矢」の成長戦略に対し、
懐疑的な見方も出てきており
、議論を呼ぶことになりそうだ。
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http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140630/plc14063008560008-n1.htmから引用。
(青字、赤字による強調はブログ主による)

>経済再建なしに財政の健全化はあり得ない

これはいいんですが、
ではどうやって、経済を再建するのか、というと…。

>日本経済の構造改革を断行する

構造改革によって、経済を再建しようというのです。
構造改革は、バブル崩壊後さんざんやったのに…。
しかも、すでに結果が出てるのに…。
だめだという結果が…。

第3の矢が日本経済の悪魔を倒す、ということは、
規制を悪魔だと見なしている、ということになります。
日本経済が成長できないのは、規制のせいだ、
と安倍総理は思っているようです。
では、規制緩和の代表例、金融ビッグバンを見てみましょう。
金融ビッグバンは、
1996年から2001年にかけて行われた金融制度改革です。

名目GDPの推移 - 世界経済のネタ帳

日本のGDPは、
金融ビッグバンが始まった翌年の97年にピークをつけ、
それ以後、一度も97年の水準を上回ったことがないのです。
規制緩和や構造改革で、経済が成長するなら、
こんなことは、起こらないはずです。
真っ当な知性をもっている人なら、
規制緩和=経済成長ではないな、
と気づくはずです。


http://blog.davinci-partners.com/contents/indicators/143-changes-in-bankruptcy.html
より転載

企業の倒産件数を見ても、
96年から2001年の
金融ビッグバンが進められたまさにその期間、
倒産は増えていったのです。
その後減っていますが。

失業率の推移 - 世界経済のネタ帳

失業率も、似たような動きになっています。
金融ビッグバンの進行とともに、悪化しています。
新自由主義者や構造改革論者は、こう言うかもしれません。
「改革には、痛みが伴うんだ。
 失業や倒産は一時的に増えたが、その後減ったんだからいいじゃないか」
しかし、GDPが全然成長していないのは、どう言い訳するんでしょうか。
金融ビッグバンが、本当に効果があるなら、
失業や倒産が減った時期(おおよそ2000年代前半)に、
GDPが成長していなければなりません。
しかし、全くといっていいほど成長していません。
しかも、97年の水準を超えることすらできていません。
本当なら、もっとガンガンに成長して、
97年の水準などあっという間に超えていなければ、おかしいでしょう。
失業や倒産は減ったものの、
97年のGDPを超えることができていないというのは、
あまりにもショボすぎる効果しかなかった、
と言わざるを得ません。
いやいや、効果があったとすら言えないんじゃないでしょうか。
一時的にせよ、倒産や失業が増えたことを考えれば、
やらないほうがよかったんじゃないかと…。

ところで、こんなものを見つけました。

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Q.質問 2009年07月26日

なぜイギリス経済はあんなにボロボロなんですか?
一時は「金融ビッグバン」をやって輝かしく成功した!
と周囲から持ち上げられたのに、
今では腐った魚(エボラ、エイズ感染者)を見るような目で見下されています。
今のイギリスには良いところが全くないみたいです。
イギリス通貨であるポンドが原因なんですか?
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http://www.finance-dictionay.com/q-and-a/q1028702650.htmlから引用。

金融ビッグバンの本家イギリスでも、
どうも、一時的な効果しかなかったらしいです。


規制緩和の中には、
失敗だったとして、元に戻すことにしたものもあります。

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タクシー:減車義務化 運転手労働条件改善へ自公民が法案

 ◇規制緩和 抜本見直し


自民、公明、民主3党は、
国がタクシーの台数制限を事実上義務づける「タクシーサービス向上法案」で合意した。
規制緩和による競争激化で悪化した運転手の労働条件の改善が目的
これまでの事業者による自主的な供給削減(減車や営業時間の制限)では不十分と判断した。
秋の臨時国会での成立を目指す。
「小泉構造改革」の象徴の一つだったタクシーの規制緩和を抜本的に見直す

タクシーの規制緩和を巡っては
供給過剰による運転手の待遇悪化が格差拡大の象徴としてたびたび指摘されてきた。
このため、2009年には
都市部で自主的な減車などを3年以内に行うよう促す
「タクシー適正化・活性化法」が成立した。

ただ、減車を一律に割り当てると
独占禁止法に抵触するカルテルにあたる可能性があるため、
適正化・活性化法は自主的な取り組みを促すにとどまった。
協力しないタクシー業者への強制措置もなかった。

このため、新法案は、
国が指定する特定地域の協議会とタクシー事業者に
減車や営業時間の制限など輸送力の削減方法を盛り込んだ計画を
国土交通相に提出するよう義務づけ、
計画に基づく削減は独禁法の適用除外とすると明記。
協議会に不参加の事業者にも、
国が地域の計画に沿うよう勧告・命令でき、
従わない場合の営業停止や許可取り消しも盛り込んだ。

また、特定地域内の新規参入や増車は現在は認可制だが、期限付きで「禁止」に強化。
運転手の賃金低下につながる過度の運賃値下げ競争を防ぐため、
国交相が特定地域ごとに運賃の幅を定め、
事業者はその範囲内で料金を決める新たな仕組みも盛り込んだ。

今回の新法が成立すれば、
小泉改革下でのタクシーの規制緩和の内容はほぼ否定される。

規制緩和による自由競争で経済が活性化し全体が底上げされるという
小泉改革の基本的な考え方に一定の限界があることを与党も認めた形だ

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http://mainichi.jp/select/news/20130818k0000e010142000c.htmlから抜粋して引用。
(青字、赤字による強調は筆者による)

タクシー規制は、このように、失敗が明らかになって、
元に戻すことにしたのに、
他の分野で、同じ失敗を繰り返そうというのでしょうか。

>エネルギーや農業、医療分野を外資に開放する

というのは、非常に恐ろしい文言です。
日本の安全保障に関わる重大事です。

石油を中東に依存していることが、
長年日本の懸案で、
エネルギーの自給を高めることが、日本の悲願だったのに、
エネルギーを外資に支配させようというのでしょうか。

日本は、食料自給率が低いはずなのに、
農業を外資に開放しようというのでしょうか。

医療を外資に開放したら、
アメリカの”ボッタクリ医療”が入ってきて、
治療費がめちゃくちゃな額になりますよ。


規制緩和、構造改革こそ、日本経済の成長を妨げてきた”悪魔”であり、
再び、規制緩和を推し進めようという”第3の矢”こそ”悪魔の矢”です。
そして、規制緩和、構造改革を推し進めようとしている連中こそ、
”日本経済の悪魔”です。
安倍総理は、そういう連中と手を切るべきです。


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