”ガラパゴス”は悪いことなのか | 朝倉新哉の研究室

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今日は、将棋の話題ですが、将棋に興味のない方も読んでいただきたいと思います。

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海外「将棋面白すぎだろ」「チェスより複雑」 将棋の奥深さに外国人感銘

将棋の起源は古代インドのボードゲーム、チャトランガだとされています。
チャトランガは西洋ではチェス、中国ではシャンチーと独自の発展を遂げたわけですが、
日本には古代の将棋に関する文献等は残っていないため、
いつ日本に伝来したのか、インドから直接伝わったのか、
或いは中国を経て伝わったのかも分からないそうです
(早くて6世紀という説があり、少なくとも平安時代には伝わっていたと見られている)。

現在の本将棋の原型が出来たのは16世紀後半、戦国時代のことです。
相手から取った駒を自分の駒として再利用できる持ち駒のルールが出来たのもこの頃。
チェスやシャンチーにはない、独自性が加味されることになります。

江戸期は幕府により保護され、
明治期には新聞に将棋欄が出来隆盛を極めましたが、
戦後GHQの方針によって、将棋は禁止処分の危機に立たされます。
GHQの言い分は、
「将棋は敵から奪った駒を自軍の兵として使う。これは捕虜虐待である」
といったものだったのですが、
将棋連盟代表としてGHQと相対した大棋士升田幸三氏は、
「チェスは捕虜を殺害している。これこそが捕虜虐待である。
 将棋は適材適所の働き場所を与えている。
 常に駒が生き、それぞれの能力を尊重しようとする民主主義の正しい思想だ」
と論駁。

升田氏のこの発言により、将棋は禁止措置から免れることになります。
(升田氏はこの時、ビールを片手にGHQの軍人と相対し5,6時間まくしたて続けた。
 敗戦直後ということもあり、日本政府の関係者にはGHQに従順な人間多かったため、
 「こんな日本人がいたのか」とGHQの関係者は大変ショックを受けたそうです)。

先人の叡智により発展を遂げ、守られ、今も多くの人に愛されている将棋。
外国人からは、様々なコメントが寄せられていました。




■ 前にショウギ覚えようと思って頑張ったんだけど無理だった。
  だけどこの動画に助けられたよ :D
  さっそくショウギのセットを手に入れてみた :D ノルウェー


■ 今俺もこのゲームにハマりそうなところなんだ。
  かなり複雑だけど、簡単だからいいってわけじゃないからね! ベネズエラ


■ クリスマスプレゼントとしてショウギを買ってもらったばかりなんだけど、
  どこで習えばいいのか分からなくて困ってるとこ。
  だからこの動画を作ってくれたあなたに凄く感謝してる ^^ アメリカ


■ 親指と中指で駒を持ってカチンって鳴らして置くのは伝統なの? アメリカ
    

■ この動画を観るのがやめられない。
  だてショウギの駒を置くときの音が耳に心地いいんだ。 アメリカ


■ 私もショウギに興味があって覚えたいんだけど、
  どこでセットを買えばいいのか分からない。 カナダ


■ 正直投稿者さんの英語の発音とその流暢さにビックリした。
  ショウギを習うには、日本人以上の先生はいないもんね! イタリア  


■ 俺もショウギやったことあるけど、チェスのほうが遥かに面白い。 アメリカ


   ■ 俺はチェスやったことあるけど、ショウギのほうが断然面白いぞ。 スロバキア


■ ヤベー……ショウギ面白すぎだろ……。
  この動画に助けられた人かなりいると思うぞ。 国籍不明


■ 覚えるのにかなり役立った!
  素晴らしい歴史を持つ、本当に面白いゲームだ。 カナダ


■ 友達がナルトでショウギを観て以来、病的にハマってるわ。 アメリカ


■ 今ショウギのやり方を習ってるところだから、最高!
  ところで、「カシア(桂)の馬」ってどういう意味なの?
  ショウギの本を何冊か見たら、ケイマはシナモンとか月桂樹、
  名誉ある馬っていう意味があるらしいんだけどはっきり分からない。  イタリア

 
■ ショウギはそのアイデアが素晴らしいね。これはやってみたくなる。 アメリカ  


■ 日本人はホント頭良いわ。
  本来ならロシアみたいなデカイ国に住むべき民族なのに! ブラジル


■ PSPにショウギのゲームダウンロードしてやってみたら完全にハマった!
  毎回コンピューターに負けてるけど、メッチャ楽しいw アメリカ 


■ これは面白いわ。チェスよりも全然面白いと思った。 アメリカ


■ 私なんかこの動画観てさっそく紙製のショウギセット注文ちゃったよ *~*
  早くやりたいなぁ、楽しみ~! ブラジル


■ 1年くらいゴ(碁)をやってたんだ。
  だけどショウギのほうが断然面白いことに気づいた。 カナダ


■ パチンって鳴らすあの置き方が嫌だ。
  ああやって置くものなんだろうけど、それでも……。 アメリカ


■ プロモーション(成り)と"捕虜"のルールは一度覚えちゃえば簡単だよ。
  私的に、一番は"捕虜"をプロモーションさせることだと思う。
  金に成ることが出来るから。 アメリカ


■ 問題は、駒に書かれてる文字が読めないから、
  どれがどれなのか分からないってことなんですよ :( アメリカ    


■ 結局、日本版のチェスっていう認識でオーケー? オランダ
 

   ■ 違う。駒の動きが違うし、チェスにはない駒もある。
     ショウギはチェスより複雑なゲームなんだよ。ボードも大きいしね。
     チェスよりもより戦略性が求められる。 アメリカ


■ 妹と弟に、「ゴはチェスとは違う。、もっと戦略的なんだ」
  って言い放ったことがあったんだけど、間違ってなかったみたいね。
  ショウギもやったら面白そう。 アメリカ


■ ショウギは戦略ゲームだ。
  つまり脳を使うわけだから、チェスが得意な人はショウギも上手い。 イギリス


■ 置き方がめっちゃカッコいい。
  俺はまだあんなふうに出来ない。今でも練習続けてるけどさ :) アメリカ


■ 俺はずっとチェスが好きでやってたんだけど、
  ショウギのほうがより戦略の選択肢が多い感じだね。 カナダ
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http://kaigainohannoublog.blog55.fc2.com/blog-entry-1216.htmlから抜粋して引用。

相手の駒を取って、その駒を自分の駒として使えるのが、
日本の将棋の大きな特徴ですが、
このルール、日本の将棋だけらしいのです。

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戦争を模した盤上ゲームは
ヨーロッパのチェス、インドのチャトランガ、タイのマックルック、
中国の象棋、日本の将棋など世界中に数多く存在する。
この起源の説は様々あるが
近年の定説では、紀元前にインドで誕生して世界中に広まったとされている。

 韓国では、韓国が起源だとされていると思われます。(笑)

現在、世界中におおよそ100種類ほどある
盤上戦争ゲームは、99対1に区分される
99は世界共通の「チェス型」である。
孤立している1は日本の「日本将棋」である
日本将棋だけの特異なルールとは、
「敵の駒を取るとその駒を自軍の駒として使用できる」
持駒使用である。
このルールは世界の他のゲームにはない。
日本将棋だけのルールである。

日本将棋のこのルールの理由は
「日本人は降伏すると、すぐ敵陣に寝返るから」
と酒席で面白おかしく語られる。
しかし、世界の戦いの歴史をみれば、
降伏すれば敵陣に編入されたり、
敵が味方になったり、味方が敵になるのは日常茶飯事であった。
決して日本独自の現象ではない。
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『日本史の謎は「地形」で解ける 文明・文化篇』竹村公太郎 PHP文庫 
から抜粋して引用。
(青字、赤字による強調はブログ主による 緑字はブログ主によるツッコミ)


99対1。

世界のチェス系ゲームの中で、
日本だけが独自のルールでやっている。
まさにガラパゴスです。

では、そのガラパゴスであることは、悪いことなのか?

世界のチェス系ゲームの起源とされるチャトランガの駒

http://www.shogi.or.jp/kansai/museum/chaturanga.htmlより転載

チェスの駒

http://blogs.yahoo.co.jp/tuulituulituuli/49197765.htmlより転載

チャトランガとチェスの駒は、”立像”です。
それに対して、将棋の駒は…。


http://moch.daishodai.ac.jp/kikakuten/shougi_kaisetsu4_02.htmlより転載

平たい板状です。
駒の形でも、日本は独特で、
この点でも”ガラパゴス”です。
タイのマックルックは、両者の中間のような感じです。

マックルックの駒

http://sky.geocities.jp/hideyori11/makluk/makluk.htmlより転載

日本の将棋でいえば、「歩」にあたる駒が板状で、
他の駒は、立像です。

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日本に到達した将棋は、早くも6~7世紀頃「立像」から「平型」になった。
立像の形で表されていた王や軍馬や歩兵は漢字で表された。
さらに、敵味方の区別は色区分ではなく、
駒を五角形にして、尖った先が進む方向を表すこととなった。

この将棋の道具の改良から日本将棋独特の
「持駒使用」ルールが生まれることとなった。
ルールの進化があって道具が変わったのではない。
道具が変わったからルールが変わった。

なぜ立像が平型に変わったのか?
その問いへの答えは将棋の世界にはない。
将棋という狭い世界ではなく、日本人そのものに答えがある。
その答えは日本人のもの作りへの本性に根ざしているからだ。
日本人のもの作りの本性とは「縮める」ことにある。
大昔から、日本列島の人々は荷物を担ぎ歩いていた。
細長い日本列島の中央には険しい脊梁山脈が走っている。
その山々から無数の河川が太平洋と日本海に流れ下っている。
平野といえば縄文時代には海だった所に、
川の土砂が堆積した湿地帯の沖積平野であった。
険しい地形と湿地帯のため、日本人は車を進化させなかった。
日本人の旅はいつも歩きであった。
船旅もあったが、それは金持ちの例外的な旅であった。
日本人の誰もが荷物を担ぎ、歩いていた。
その歩き回る日本人の価値観は
「物を小さく軽くする」
ことであった。
物を小さく軽くすることは、それを担ぐ自分自身を救うことであった。

物を細工して小さく詰め込む。
旅用具はすべて細工され小さく詰め込まれた。
日本人たちは、細工されないものを「不細工」と馬鹿にし、
詰め込まないものを、「詰まらない」と侮った。
縮めて詰め込むことは日本人の美意識にまで昇華してしまった。
旅の道具にゲームもあった。
旅の宿での長夜の時間つぶしに、
ゲームは絶対に必要でもあった。
6世紀頃、東南アジアや中国から盤上の戦争ゲームが伝わってきた。
それは頭脳を使う賭博で、人々の興奮をかき立てた。
ただし、そのゲームはある難点を持っていた。
ゲームの駒が立像でかさばっていたのだ。
この立像を歩いて持ち運びやすくするため、
小さく軽く縮める日本人得意の工夫が始まった。
タイから伝わってきたマックルックの「歩」の平たい駒がヒントとなった。
つまり、すべての立像を平らな駒にしてしまう。
さらに、王、戦車、軍馬、歩などの駒の役割を漢字で書いてしまう。
これで将棋は一気に小さく軽くなった。
ここまで来ると、駒を五角形にして、
駒の向きで敵味方の区別をするアイディアに行きつくのは簡単だった。

初期の将棋はチェス系ルールで、敵の駒を取っていくだけであった。
そのため、終盤になると盤上から駒はどんどん消えていく。
駒が少なくなれば、強い駒の王が働き、
勝負が長引き、引き分けになることが多かった。
賭博で勝負が長引いたり、引き分けになるのは許せない。
ふと、自分の手元を見ると、取った敵の駒がいっぱいある。
敵の駒といっても自分の駒と同じ形である。
勝ち負けを急ぐ旅の人々は、
この取った敵の駒をもう一度使うという、
とんでもないことを思い付いた。

敵だった持駒をもう一度使ってみると実に面白かった。
なにしろいつでも持駒が飛び出すので、
終盤まで盤上は駒でにぎやかであった。
持駒を繰り出すことで、無数の攻撃法が編み出された。
引き分けはなくなり、短時間で必ず勝負がついた

それも土壇場で形勢が逆転することが多かった
世界中のチェス系は、駒が少なくなった終盤は静かに終了していく
それに対して、日本将棋は終盤が最も刺激的で、華やかで、
興奮が最高潮に達するゲームに変身してしまった


古代から歩き続けていた日本人は、
物を小さく軽くする本性を身につけていた。
その日本人は将棋も小さく軽くすることに夢中になった。
小さく軽い平らな駒になった将棋は、
敵の駒を使用するという複雑で刺激的なゲームへ進化した。
日本で日本将棋が生まれたのは偶然ではない。
日本列島を歩きまわっていた庶民たちが、
日本将棋を生み出すのは必然であった。
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『日本史の謎は「地形」で解ける 文明・文化篇』竹村公太郎 PHP文庫 
から抜粋して引用。
(青字、赤字による強調はブログ主による)

この本を読んだ後、たまたまNHKの将棋トーナメントを見ました。
子供の頃もよく見ていたのですが、
終盤の逆転劇が多いのかどうか、忘れてしまっていました。
ですから、
終盤の逆転劇があるのか、見てみよう、と思いました。
偶然にも、その対局は、逆転劇がありそうな感じでした。

先手の王様は、囲いが崩されており、危ない感じで、
後手の王様は、美濃囲いでしっかり守られていました。
           ↓

http://gangidamashii.web.fc2.com/mino.htmlより転載

しかし、先手は、美濃囲いの急所となる部分を2つ押さえていました。
私は
「このまま後手が押し切るかもしれないが、
 先手の逆転も十分あるな」
と思いました。

後手は、持駒をどんどん使って、攻めまくりました。
しかし、あと一歩攻めきることができません。
将棋の場合、攻めを続けていると、
自分は持駒がなくなっていき、
逆に相手の持駒が増えていきます。
この対局でも、後手は持駒がなくなっていき、
先手の持駒はどんどん増えていっていました。
「これは逆転だな」
と私は確信しました。
ついに、後手は攻め手がなくなり、
大量の持駒を確保した先手の攻勢が始まりました。
もともと美濃囲いの急所を押さえていただけに、
攻めが始まると、あっという間に、囲いは崩され、
投了となりました。
まさに終盤の大逆転劇でした。

終盤になるにつれて、刺激的で華やかで、
逆転劇も多く、興奮が最高潮に達する、
というのは、ゲームとしては最高なんじゃないでしょうか。
そして、そうなったのは、
独自の駒を作り、独自のルールを作ったことが原因になっているのです。
独自の駒、独自のルール、つまりガラパゴスです。
しかし、ガラパゴスで何が悪いのか。
将棋の場合、むしろガラパゴスであることが、
いいほうに作用してるんじゃないでしょうか。
外国人からも、「面白い」という意見が多いですし。

GHQの理不尽な禁止措置に抵抗した
升田幸三氏は偉いなあ、と思います。
同じようなことは、武道でもありました。
武道を禁止したGHQに対して、
「武道は野蛮なものではない」
として抵抗した人たちがいました。
米軍の軍人と試合をして、
相手を傷つけずに勝つことができることを証明して見せ、
禁止措置を解かせたのでした。



外国が押し付けた理不尽な禁止措置を、
高度に発達した技術によって、跳ね返した、実に痛快なエピソードです。

米軍の占領によって、
独自の文化を失う危機に瀕した日本ですが、
その危機を跳ね返し、文化を守ったのでした。
あらためて、日本の先人の偉さに感謝せずにはいられません。

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