自由化すればいいってもんじゃない! | 朝倉新哉の研究室

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やあ、みなさん、私の研究室へようこそ。

またぞろ、安倍内閣の”間違った経済政策”が打ち出されました。

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電力小売り全面自由化 法律成立

電力の小売りを全面自由化し、
再来年から一般家庭でも電気の契約先を自由に選べるようにする
「改正電気事業法」が、11日の参議院本会議で可決・成立しました。
企業どうしの競争を通じて電気料金の値下がりにつながるかが注目されます。

11日の参議院本会議で
賛成多数で可決・成立した「改正電気事業法」は、
これまで
電力の安定供給を義務づける代わりに
大手電力会社に小売りの地域独占を認めていた
規定を撤廃し、電力の小売りを全面自由化します。
これにより再来年から
一般家庭でも電気の契約先や料金メニューを自由に選べるようになります。
その一方で、
自由化したあとも消費者保護の観点から、
一定期間は大手電力会社に対する料金規制は残すことにしています。
また競争が行き過ぎて電力供給が不安定にならないよう、
すべての小売り事業者に対し必要な供給力を確保するよう義務づけるとしています。
政府は
今回の法改正を戦後60年以上続いてきた
現在の電力供給の仕組みを変える
「電力システム改革」の柱の1つに位置づけており、
企業どうしの競争を通じて電気料金の値下がりにつながるかが注目されます。

電力の小売りの全面自由化とは

小売りの全面自由化は
国が進める電力システム改革の柱の1つに位置づけられています。
電力システム改革は
福島第一原子力発電所の事故で
東京電力が計画停電を余儀なくされ

安定供給に支障をきたした反省を元に進められています
改革の第1弾として、
緊急時などに広域的に電力の融通や需給調整を行う機関を設立し、
来年度から業務を始めることになっています。
そして第2弾が今回の小売りの全面自由化です。
さらに国は、第3弾として
新規参入した企業も公平に電力事業を行えるようにするため、
現在、大手電力会社が一体で運営している
発電と送配電の部門を4年後から6年後をめどに分離することにしており、
必要な法案を来年の通常国会に提出する方針です。
これが実現すると、
電力会社が発電から送電、小売りまでを一体で運営してきた
電力業界の仕組みが大きく変わります。
昭和26年以来、
国が安定した電力を供給することを義務づける代わりに
電力会社に認めていた小売りの地域独占も、
今回の法改正によって撤廃されることになり、
60年余りにわたって独占が続いた電力業界が競争時代に突入する一大改革になります。

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http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140611/k10015133561000.htmlからの引用。
(青字、赤字による強調はブログ主による)

電力の自由化は、欧米ですでに失敗しています。
郵政の民営化や水道の民営化と同様です。
日本は、水道の民営化はまだやっていませんが、
やりたがっている人たちは、います。
”新自由主義との戦い”とは、
そういう人たちとの戦いです。

安定供給に支障をきたしたから、自由化する、
というのは、間違った理屈だと思いますね。
電力自由化は、安定供給に役立つどころか、不安定になる可能性のほうが高いです。

>発電と送配電の部門を4年後から6年後をめどに分離する

これは、いわゆる”発送電分離”といわれるものです。
後述しますが、これも問題なんですよね。

>昭和26年以来、
>独占が続いた電力業界が競争時代に突入する一大改革になります

独占は悪い、自由競争バンザイ、
と言いたげですが、
欧米で、すでに失敗してるのに、何言ってんの?
という感じです。


電力の自由化について、
中野剛志さんが、
毎日新聞(2012年3月1日付)に寄稿していました。

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もともと電気事業は、
独占企業が公的規制の下で
発電から送電・配電に至る一貫したネットワークとして運営されてきた。
しかし、1990年代に入ると、
欧米を中心に、電力市場を自由化する動きが進んだ。
日本の電気料金は国際的に見て突出して高いわけではない
2007年の住宅用電気料金を見ると、
日本はイギリスやドイツよりも低く、産業用電気料金については同程度だ。
しかも、欧米では、
90年代以降、電気料金が上昇しているが、
反対に、日本の電気料金はゆるやかに低下している

また、1軒当たりの年間事故停電時間は、
日本は約14分と短いが、ドイツは約17分、イギリスは約76分、
米カルフォルニア州に至っては約417分であり、00~01年の間に大停電を起こしている

北欧は、発送電分離・電力自由化の成功例とされている。
しかし、北欧の場合、
ノルウェーの水力やスウェーデンの原子力など、
価格が安定的な電源の比率が高く、
価格変動の大きい火力発電の比率が低いおかげで、
電力市場が安定的にうまく機能しているのだ。
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(青字、赤字による強調はブログ主による)


http://tamagodon.livedoor.biz/archives/51680537.htmlより転載

上のグラフを見ると、
中野さんの言う通り、
2007年の家庭用電気料金は、日本は英独より低く、
産業用は、日英独が、同程度になっています。
90年代以降、欧米の電気料金が上がった、と言っていますが、
このグラフでは、欧米の電気料金が上がったのは、
おおむね2000年以降になっています。
各国の料金を米ドルに換算して比較しているので、そうなるのかもしれません。
指数化して比較すれば、中野さんの言う通りになるのかもしれません。

停電時間の比較を見ると、
電力の安定供給が、いかに大事かがわかります。
日本は、停電が少ないので、
安定供給のありがたみが、わからなくなっていますが、
電力が自由化されて、
停電が多くなったりしたら、
「自由化しないほうがよかった」
となるのは、確実でしょう。

中野さんは、発送電分離の問題について、こう述べています。

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原発に代わって
天然ガス火力のウェートが高まっているが、
国際情勢の不安定化による天然ガスの価格高騰や乱高下のリスクがある。
その状態で発送電分離をすると、事態はより深刻化する。
なぜなら、
昨年の計画停電で明らかになったように、
電力会社は、電力の需要と供給が瞬間瞬間で一致するような運用に挑戦している。
もし発電と送電が別法人であった場合、
送電会社が電力需給を一致させる責任を負うことになる。
しかし、電源をもたないまま需給の一致を達成することは至難である。
このため、需給一致の責任をもつ送電会社や電気の消費者は、
発電会社の言い値で電力を購入しなければならなくなる。
逆に発電会社は、
電力不足の方が電力価格が上昇して利益も大きくなるので、
電力の安定供給を確保しようというインセンティブを失う。
現在のように、
天然ガスの価格の高騰や乱高下が懸念されるような場合には、なおさらだ。
電力の価格が高騰すれば
発電事業者の参入が増えて価格が下がりそうにも見えるが、
実際には、設備投資に時間と費用がかかるので、参入や退出はそう簡単ではない。
電力市場は、市場原理が教科書通りには機能しない世界なのだ。

00年代半ば以降、
発送電を分離した欧米で電気料金が日本よりも上昇し、電力自由化論が下火になった。

さらに電力自由化による競争激化は、
電力会社をして、
原発事故を踏まえた安全対策や
電力インフラの強化といった長期的な設備投資を手控えさせる。
それは長期的なインフラ不足と電力不足、そして電気料金の上昇をもたらすだろう。
事実、短期的な利益を追求する市場原理主義的なアメリカでは、
発送電インフラの老朽化・脆弱化が問題となっている。
要するに、発送電分離という議論は、
時代遅れである以前に、根本的な間違いなのだ。
何でも新しく変えればいいわけではないという好例である。
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三橋貴明さんは、
発送電分離について、こう言っています。

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資源価格高騰で発電コストが上昇した時、
それがそのまま電力料金に跳ね返ってきます。
発送電が一致しているならば、
電力会社側が自前の「多様化された電力源」でリスク分散し、
資源価格上昇を吸収することもできるでしょうが、
発送電分離が実施されれば不可能になります。
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http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11181303701.htmlから引用。

そもそも、電力自由化、発電送電分離という話は、
欧米で、すでに失敗しているのです。
なぜ今さら、そんなアホなことを推進しようというのか、
理解できません。

安倍内閣は、今後、電力自由化、発電送電分離を推進するでしょうが、
”田母神内閣”が誕生したら、
そういう間違った政策は、全てご破算にして、元に戻すべきです。
郵政民営化も同様です。
実際、民営化は失敗だったとして、国営に戻した国もあるのです。

今まで行われた規制緩和や自由化で、
かえって以前より悪くなってしまったものは、
全て元に戻すべきです。
これこそが、本当の”日本を取り戻す”ということです。
(終身雇用の復活などもこれに含まれます)

安倍内閣、自民党政権では、それはできないと思います。
我々が働きかけることで、軌道修正してくれればいいんですが、
してくれないなら、
”田母神内閣”を誕生させるべく、
全国民が一丸となるべきです。

”真の国民政党”でしか、日本を取り戻すことはできない、
と私は思っています。

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