トンデモ増税論を斬る | 朝倉新哉の研究室

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全ては日本を強くするために…

http://mainichi.jp/select/news/20130813k0000m020139000c.html

に、

”消費増税の可否を巡る論点”

という表が載っています。

>>>
        増税した場合           増税しない場合
メリット   ・財政健全化に寄与        ・家計の負担増回避
       ・安定した社会保障制度確立    ・景気の腰折れ回避

デメリット  ・家計の負担増          ・財政破綻懸念で市場混乱
       ・景気の腰折れ懸念        ・社会保障制度改革頓挫
>>>

そして、記事本文に、

>消費税率を引き上げることの最大の意義は、財政の健全化を進めること。

とあります。

では、1997年の消費税増税で、財政は健全化したのでしょうか?

政府総債務残高(対GDP比)の推移 - 世界経済のネタ帳

ご覧のとおり、97年以降、政府債務残高対GDP比は上昇し続けています。

(2005~2007年ごろに一旦下がっていますが、それ以外は上がり続けています)

この指標は、GDPに対して政府債務(”国の借金”)がどれくらいあるか、

ということで、数字が大きいほど財政状態が悪いということです。

ですから、97年の消費税増税以降、日本の財政は、悪くなり続けている、

ということです。

消費税を増税しても、財政は健全化していないのですから、

”増税した場合のメリット
 財政健全化に寄与”

とか、

>消費税率を引き上げることの最大の意義は、財政の健全化を進めること

という話は、全く成り立ちません。

そして、

”増税しない場合のデメリット
 財政破綻懸念で市場混乱”

という話も成り立ちません。

増税したら、かえって財政は悪化したのですから、

増税しないほうがむしろ、財政破綻懸念は生じない、ということになります。

http://mainichi.jp/select/news/20130813k0000m020139000c.html

には、

>政府は消費税率の1%引き上げで、約2兆7000億円の増収につながり

という部分がありますが、確かに、97年の消費税増税でも、

消費税だけの税収は、増えています。

国家戦略研究















http://www.garbagenews.net/archives/1778034.htmlより転載

消費税だけを見れば、税収は増えていますが、

一般会計税収(税収全体)は減ってしまっています。

増税でデフレが深刻化したため、所得税や法人税の税収が大きく減ってしまったためです。

97年の増税以後、97年時点の税収(一般会計税収)を上回ったことは一度もありません。

ところで、内閣府と財務省が、

97年以後の不況は、増税が主因ではない

という資料を配っているようです。

>>>
増税は不況の「主犯」ではない――。
内閣府と財務省は、
1997年に消費税率を3%から5%に引き上げた後の深刻な不況は
「増税が主因ではなかった」
と分析した資料を、22日の公明党の会議で配った。
内閣府の資料は、
97年の増税直後の景気の落ち込みは
増税前の「駆け込み」の反動が大きく、「(増税は)景気後退の『主因』とは考えられない」
と明記し、
その後のアジア通貨危機や日本の金融危機を不況の「主犯」とした。
>>>

http://www.asahi.com/politics/update/0823/TKY201308220428.htmlから抜粋して引用。
(青字強調は筆者による)

名目GDPの推移 - 世界経済のネタ帳

確かに、日本の名目GDPは、低迷し、97年の水準を回復していません。

内閣府、財務省は、これが、消費税増税ではなく、アジア通貨危機の影響だと

言っているわけです。

アジア通貨危機で最も打撃を受けたのは、インドネシア、韓国、タイです。

名目GDPの推移 - 世界経済のネタ帳

アジア通貨危機で深刻な打撃を被ったはずのインドネシアですが、

名目GDPは落ち込むことなく、伸び続けています。

名目GDPの推移 - 世界経済のネタ帳

韓国は、一旦落ち込みましたが、その後成長路線に戻っています。

名目GDPの推移 - 世界経済のネタ帳

タイはやや影響が長引きましたが、それでも2000年代に入る頃には、

成長路線に戻っています。

”アジア通貨危機の影響”と言いますが、”震源地”のタイやインドネシアでは、

遅くとも99年から2000年ごろには、不況を脱して、成長路線に戻っているのです。

日本は、2003年ごろまで、低迷が長引いています。

これはもう、

アジア通貨危機の影響は、あまり関係がない、としか言えないんじゃないでしょうか。

もっとも消費税増税だけの影響、とも言えませんが。

しかし、増税しても税収は増えず、かえって減ってしまった

という事実があるのですから、

財政を健全化したいなら、増税ではなく、税収を増やすことを考えろ、

ということです。

$国家戦略研究













http://hirohitorigoto.info/2013-7-02.htmlより転載

上のグラフで一目瞭然ですが、

名目GDPが増えると、歳入が増え、名目GDPが減ると、歳入も減る、

という関係になっているのですから、

税収を増やしたかったら、名目GDPが増えるようにしろ

ということです。

名目GDPを増やすためには、何をすればいいかと言うと、

政府の支出を増やすことです。

$国家戦略研究




























http://hirohitorigoto.info/2013-1-26.htmlより転載

上のグラフでわかるように、政府の支出を増やせば、名目GDPは増えるのです。

ここで、アジア通貨危機以後の、インドネシア、韓国、タイの

政府支出(歳出)がどうだったかを見てましょう。

歳出の推移 - 世界経済のネタ帳

97年   115兆6551億ルピア
2000年 231兆3115.5億ルピア

3年で倍増しています。

歳出の推移 - 世界経済のネタ帳

97年    77兆7650億ウォン
2003年 155兆1205.1億ウォン

6年で倍増しています。

歳出の推移 - 世界経済のネタ帳

97年   1兆0168.1億バーツ   
2008年 1兆9412.1億バーツ
2009年 2兆1239.1億バーツ

9年から10年かけて倍に増やした、といったところです。

それに対して日本はというと…

歳出の推移 - 世界経済のネタ帳

97年   177兆4072億円
2000年 190兆0317億円

で、10%も増やしていません。

しかも、そのあと減らしてしまっています。

2013年の推計値では、198兆7064.4億円になっていますが、

97年比で、12%ぐらいしか増やしていません。

3年で倍に増やしたインドネシアとは比べるべくもありません。

結論。

・増税しても税収は増えない

・増税しても財政は健全化できない

・税収を増やしたかったら名目GDPを増やせ

・名目GDPを増やしたかったら政府の支出を増やせ



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