国土強靭化基本法案批判を批判する | 朝倉新哉の研究室

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全ては日本を強くするために…

http://news.nifty.com/cs/magazine/detail/bn-20120611-01/1.htm

からの引用です。

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バラマキ万歳の長老が暗躍 自民党“先祖返り”選挙公約

(週刊文春 2012年6月14日 初夏の特大号掲載) 2012年6月11日(月)配信

野田vs小沢の激しい党内抗争を繰り広げる民主党の陰で、
政権返り咲きを目指す自民党にも亀裂が入っている。

先月23日、自民党は大規模災害に備えて全国のインフラを整備する
『国土強靱化基本法案』を次期衆院選の政権公約の柱に据えることを決定。
今月4日には衆議院に法案として提出された。

「骨子は10年間で総額200兆円もの巨額公共投資です」(政治部記者)

この法案作りを進めた国土強靱化総合調査会に名を連ねているのが、
会長の二階俊博元経産相をはじめ、古賀誠元幹事長ら往年のいわゆる道路族議員たちだ。

「彼ら長老たちは、いざ自民党が政権に返り咲けば、
 大幅に減らされた公共事業を徹底的に戻したい。
 この財政危機の時代に、200兆円の公共投資の財源は、なんと国債発行が主です」(同前)

長老たちが影響力を強めている背景には、党内のパワーバランスがある。
「自民党では、衆院選の大敗で都市部の議員や選挙基盤の弱い若手が姿を消し、
 一回生は4人だけ。残ったのは盤石な支持基盤を持っている地方のベテラン議員ばかり。
 TPPにしても、どうしても地方選出の議員が多いために反対の声が強くなる。
 今回の法案でも『人からコンクリートへ戻すのか』と批判されているように、
 今の自民党はすっかり“先祖返り”が進んでしまっていて、財界や霞が関も懸念しています」
(政治ジャーナリスト)
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国土強靱化基本法案作りに関わったのが、”道路族議員”であるとして、

公共事業が悪いかのような印象を与えようとしています。

>この財政危機の時代に、200兆円の公共投資の財源は、なんと国債発行が主です

日本が財政危機ではないことは、財務官僚が認めています。

この部分は”政治部記者”の発言のようですが、この記者が勉強不足であることを露呈しています。

>なんと国債発行が主です

と言っています。

いかにも国債が危険であるかのような言い方です。

しかし、

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/120612/fnc12061216190014-n1.htm

によると

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長期金利が0・845%に低下 12日の国債市場

2012.6.12 16:19

12日の国債市場は、
長期金利の指標である新発10年債(323回債、表面利率0・9%)の
終値利回りが前日より0・025%低い0・845%だった。

欧州の債務問題をめぐる懸念が再び強まり、
安全資産とされる日本国債は買いが優勢となって利回りが下がった。
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金利が低いということは、買い手がたくさんいるということです。

以前の記事でも取り上げましたが、日本国債は”安全資産”なのです。


”国債は安定的に償還されているので日本は財政危機ではない”
(当ブログ『日本は財政危機ではない』という記事で取り上げた財務官僚の言葉)

”第一生命経済研究所の永浜利広氏は
「日本国債には安心感があり、世界経済が不透明な時は買われる」という”
(当ブログ『格下げでも安心なのが日本国債』より)

”バンク・オブ・ニューヨーク(BNY)メロンの外為担当マネジングディレクター、
 サマルジット・シャンカー氏は
 「世界の債券市場で現在、最も力強い資金純流入が見られるのは、
  日本国債、スイス国債、米国債の3つだ」と指摘。
 「ユーロ圏で格下げが起こるとの懸念が再燃し、
  相対的に安全かつ流動性の高い資産への逃避に拍車が掛かっている」と述べた”
(当ブログ『やっぱり日本国債は安全』より)

”スイス大手銀行のUBSの最高投資責任者(CIO)Alexander Friedman氏は、
 スイスフランが、米国債や日本国債などを含む安全資産のリストから実質的に外れた、と述べた”
 (ということは、日本国債は安全資産のリストに入っているということ)
(当ブログ『日本国債は安全資産』より) 


2010年時点のデータでは、預金超過が148兆円あります。

貸し出し先がないお金が148兆円もあるのです。

企業や個人がお金を借りないからです。

そのかわりに政府が借りようというのが国債です。


公共投資の額は200兆円。

預金超過は148兆円。

足りないじゃないか!

と思ってはいけません。

10年間で200兆円ですから、1年に20兆円です。

2012年のGDPが500兆円だとすると、20兆円の公共投資をすると、

2013年には、520兆円に増える、

のではなく、”乗数効果”があるので、20兆円以上増えます。

公共投資に使われたお金は、企業の売上となり、個人の給料となり、

給料の中から一定額貯金に回ります。

預金超過は148兆円-20兆円で128兆円になりますが、

減りっぱなしではなく、一定額はもどってきます。

それに、企業の売上と個人の給与が増えることによって、税収が増えますから、

次の年の投資額20兆円全額を国債に頼らなくてもよくなります。

貯金は減りっぱなしではなく戻ってくるし、

GDPが成長して税収が増えるので、国債に頼る度合がだんだん減っていくので、

投資額200兆円、預金超過額148兆円でも、お金が足りなくなることはありません。


バブル崩壊後の数年間は、景気対策として公共事業を増やしましたが、

GDPは思うように増えませんでした。

それで、”公共事業は最早効果がない”と結論を出してしまい、

その後の長い低迷を生んだのではないかと思うのです。

バブル崩壊後の数年間は、バランスシート不況(借金返済型不況)であり、

個人も企業も、景気対策によって得た売上や収入を借金返済に回していたため、

消費や投資が増えなかったのです。

その後、人や車が通らない道路や、入場者が少ない施設が、マスコミで取り上げられたため、

”無駄な公共事業をたくさんやったから借金が増えて日本はだめになった”

という誤解が定着してしまったのだと思います。

このあたりのことは、データを集めてあらためてやりたいと思います。


>今回の法案でも『人からコンクリートへ戻すのか』と批判されているように

誰がそう言っているのかが、書いてありません。

これは捏造じゃないかと思いますが。

”コンクリートから人へ”を実行したおかげで、

老朽化した橋のメンテナンスができなくなったり、

防災にお金が回らなくなって、防げたはずの被害を防げなかったりしたのではないですか?

何度も当ブログで言ってきたように、

公共投資を減らしたから日本経済は成長しなくなったのです。

ですから、”コンクリートから人へ”が間違いであることは明白なのです。


マスコミが吹聴した公共事業悪玉論を吹き飛ばし、日本を再び健全な成長へ導く

国土強靭化基本法案は、大変よい法案です。

ただ、災害に対しては強靭になりますが、やるべきことは防災だけではありません。

防衛にも防諜にも対外諜報にもしっかりお金を使って、

災害だけでなく、外国の脅威に対しても強靭化を図るべきです。


国家戦略研究
国土の強靭化と外国の脅威に対する強靭化を図れ!



国家戦略研究



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