今回は地政学の第2回目です。
シーパワーとは…、
普通は、大海軍国、海軍力、海上兵力のことを指しますが、
『地政学入門』曽村保信 中公新書によると
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平時、戦時を通じて海上交通を維持し、または保護する機能のこと
軍事力も含まれるが、ただそれだけではない。
ことに重要視されるのは、
基地や寄港地を整備し維持できる物理的ならびに外交的な能力の存在で、
これがなければ、シーパワーはその完全な機能をいとなむことができない。
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というわけで、
”海を利用するための総合的な能力”ということになります。
海を利用するための軍事力、外交力、
そして、”基地や寄港地を整備し維持”するための”産業力”という力が含まれています。
そして、そういう総合的な能力をもっている国のことを、
”シーパワー”と呼んだり、”シーパワー国家”と呼んだり、
”海洋国家”と呼んだりすることもあります。
イギリスは典型的なシーパワー国家です。
日本もシーパワー国家です。
それに対してランドパワーとは、
大陸軍国、陸軍力、陸軍(地上)兵力のことであり、
>陸上のさまざまな権益、経済拠点、交通路などを支配、防衛するための陸軍の能力や
>陸上輸送力、陸地の加工力(土木技術や農業技術など)などを含めた
>総合的な陸地を支配・利用する能力
(ウィキペディアより)
ということになります。
ドイツ、ロシア、中国は、”ランドパワー”、であり、”ランドパワー国家”であり、
”大陸国家”といえます。
ところで、『地政学入門』には、
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マッキンダーは第1次大戦をランドパワーとシーパワーの死活をかけた闘争とみていた。
日、英、加、米、ブラジル、豪、ニュージーランドの海島国(インシュラーパワーズ)の連合と
仏、伊等の半島国をシーパワーとマッキンダーはおいた。
ランドパワー(大陸勢力)はハートランドを制覇しようとした。
それに対して上記シーパワー諸国は阻止しようとした。
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とあります。
そして、マッキンダーの言葉として、
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東欧を一手に支配する強力な国家の出現をゆるしてはならない。
東欧に政治的な不安定がつづく限り、西欧は必然的にその大きな余波をこうむる。
そして東欧を全体として支配する一大勢力が出現した場合には、
西欧は完全に孤立した半島の地位におかれてしまう
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と書かれています。
ヨーロッパは、ユーラシア大陸全体から見ると、”半島”なのです。
↑『遊牧民から見た世界史』杉山正明 日経ビジネス人文庫 より
巨大なモンゴル帝国から見ると、ヨーロッパ、中東、そしてインド亜大陸でさえも、
”半島”であることがよくわかると思います。
そして、半島というのは、常に大陸内部からの圧力を受けています。
↑『紺碧要塞の地政学』荒巻義雄 徳間書店 より
この写真の朝鮮半島をヨーロッパ、日本列島をイギリスに置き換えると、
ヨーロッパの状況に当てはまります。
ランドパワー国家が団結したり、ハートランドが一つの国によって支配されたりすると、
”半島”であるヨーロッパは圧迫され、支配されかねません。
そして、その矛先は英国にも向かってきます。
その事態を回避するため、英国はシーパワー国家の団結を図り、
ランドパワー国家の勢力拡大を阻止しようとしたわけです。
似たような状況は、世界各地、そして、いろいろな時代に生じています。
世界史は、海に勢力を広げようとするランドパワーと、
それを阻止しようとするシーパワーのせめぎあいの歴史だ、
という見方もあるほどです。
シーパワーとランドパワーについての基本線がわかれば、
日本がどういう外交を展開すればいいかも見えてきます。
日本は、シーパワー国家であり、同じシーパワー国家と協力して、
ランドパワー国家の勢力拡大を阻止する、というのが基本なのです。
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