以前に、マグネシウムを燃料として使う その4 までをお送りしましたが、
今回は、その”シリーズ”の5回目です。
それまでの”シリーズ”で、マグネシウムと組み合わせるものとして、
トリウム熔融塩炉、既存の原子力発電をあげました。
もう1つあげたいのが、木質バイオマス発電です。
木質バイオマス発電とは、木を燃やして発電することなのですが、
木を燃やして発電、と聞くと、それじゃ森林破壊になるじゃないか!
と思う方もいると思います。
そういう心配はありません。
今なら、大震災で出た大量のガレキが使えます。
ガレキがなくなったら、間伐材、建築廃材があります。
もともと、木質バイオマス発電は、間伐材や建築廃材を使うものなのです。
木質バイオマス発電は、木を燃やすので、二酸化炭素を出しますが、
木は生育過程で二酸化炭素を吸収しているので、トータルで二酸化炭素が
増えたことにはなりません。
これを”カーボンニュートラル”と言います。
ここで、”間伐”について説明しなければなりません。
間伐とは…
間伐を行わないと、下図のように、細い木が密集して生えてしまいます。
そうなると、地面に太陽光が届きにくくなり、下草が生えません。
すると、地面の保水力が低下し、表土が流出しやすくなります。
それだけでなく、細い木ばかりが育つため、”売れる木”が育たないのです。
そこで、下図のように、適当な間隔をおいて、木を切ります。
そうすると、地面に太陽光が届くようになり、下草が生えるようになります。
すると、地面の保水力がアップし、表土は流出しにくくなります。
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そして、太い”良材”が育ちます。これは建築材料として使えます。
間伐で伐採した樹木は、木質バイオマス発電に使います。
(以前は割りばしなどに使っていました)
間伐作業を被災者や失業者を雇って行えば、雇用対策にもなります。
今回の大震災で、津波被害を受けた地域(=低い平地)では、
高台へ集団移転しようという構想が持ち上がっています。
高台に新たに住宅地を造成するとなると、当然、樹木を伐採することになります。
『森が消えれば海も死ぬ』松永勝彦 ブルーバックスによると
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昔から漁民たちは、魚介類を増やすためには湖岸、河畔、海岸の森林を守ることが
大切なことをよく知っていた。
それによって木陰が形成され、水温の急激な上昇を防ぐとともに、
餌となる昆虫の落下を促すなど、物理的な好環境が生まれる。
こうした森は、「魚つき林」といわれていた。
江戸時代には、魚つき林は、厳しく管理されていた
漁師たちは、魚や貝類を増やすためには
湖岸や河畔、海岸の森林を保全することが極めて大切なことを経験的に知っていた。
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日本の漁獲量は、沖合漁業に限った場合だと、
1972年に492万トンあったのが、2006年には250万トンまで減っています。
津波を避けるためには、高台に住宅地を造成して、移転するのはいいのですが、
かなりの面積の森林を伐採することになるので、漁獲量がさらに減る可能性があります。
これを避けるため、津波被害を受けた平地に植林することを提案したいと思います。
平地には、漁業関連の施設が必要ですから、それ以外のできるだけ広い地域に、
植林することによって、高台造成によって伐採した分の森林を平地につくるのです。
高台造成で伐採した樹木は、木質バイオマス発電に使えます。
ガレキとあわせると、当分の間、燃料には困らないのではないでしょうか。
そうなると、夜間などは、発電量に余裕ができるので、マグネシウム製錬に電力を割くことが
できます。
そして平地に植林した樹木も間伐をすれば、燃料にもできますし、
”良材”が育つので、それは建築に使えます。
平地のできるだけ海に近いところに植林すれば、”魚つき林”としての機能が期待でき、
漁獲量も増えるかもしれません。
木質バイオマス発電を軸として、津波被害の回避、雇用創出、漁獲量の増加という効果が
期待できるのです。
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