国家戦略が、
日本の国力をうまく使って、国家目的を達成することだ、とすれば、
じゃあ、日本の国家目的って一体なんだ?という話になります。
最初、私は、「日本の経済的繁栄」「日本の安全確保」だろうと思いました。
ここでちょっと中国の場合を考えてみましょう。
中国の国家目的、それは、共産党政権の維持、これにつきるでしょう。
中国が反日教育をしているのも、
「日本はこんな悪いことをしたんだ。こういう”悪い日本”を我々共産党は追い出して、
中国を治めることになったんだ。だから正当性があるんだ。」
というわけで、共産党政権維持のために行っていることなのです。
1989年の天安門事件、数千人の一般市民を殺したと言われている、あの事件も、
共産党政権維持のために、なりふり構わず、一般市民の虐殺に踏み切ったわけです。
”共産党政権維持”という国家目的が何よりも優先される国だから、
兵士も市民に銃を向けることに、あまり抵抗を感じないというわけです。
旧ソ連の場合は、ソ連共産党政権の維持であり、
現在のロシアの場合は、プーチン独裁体制の維持である、といっていいでしょう。
このように見てくると、
国家目的とは、通常、政権維持である、と言っていいでしょう。
日本の場合、
私は、「日本の経済的繁栄」「日本の安全確保」だろうと思いましたが、
これは、”目的”ではなく、”目標”だ、と気づきました。
日本が経済的に繁栄し、安全が確保されていれば、その先にある”国家目的”も
自ずから達成されます。
日本を経済的に繁栄させる、日本の安全を確保する、
これは、国家目的を達成するための”当面の前進目当て”であり、”目標”なのです。
日本の国家目的、それは、皇室の維持に他なりません。
日本文化や”日本的なるもの”の中心には、皇室があるのです。
皇室が維持されていれば、日本文化、日本的なるものも維持することができます。
皇室の維持、別の言い方をすると、”国体の護持”です。
大東亜戦争(いわゆる”太平洋戦争”)終結時に、日本では、ポツダム宣言を受諾するか否か、
を巡って激しい議論が展開されました。
日本が降伏条件として、こだわったのが、”国体護持”だったのです。
日本が占領されても、軍が解体されても、国体さえ守られていれば、日本の根幹は守れる、
そう考えたから、国体護持にこだわったのです。
”経済的繁栄”も”安全確保”も、国体護持という目的を達成するための”手段”であり”目標”です。
経済的繁栄と安全確保が達成できれば、皇室も維持できます。
皇室が維持されていれば、”日本的なるもの”も守られるのです。
”経済的繁栄”と”安全確保”を縮めて言うと、”富国強兵”ということになります。
なぜ、富国強兵だったのかというと、近代化して力をつけ、西洋の植民地にならないためでした。
植民地にならない=日本を守る
その日本の中心にあるのは何か?
皇室です。
明治の”国家目標”であった富国強兵も、結局は、国体護持という国家目的を達成するための、
”目標”だったのです。
日本の国家戦略は、
国体護持のために、経済的繁栄と安全確保を達成する、そのために、国力を効果的に運用する方法、
ということになります。
日本の国家目的と、それを達成するための”目標”が明らかになりました。
では、”国力”とは何でしょうか?
それは次回の予定です。
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