上下欲を同じくする者は勝つ
これは中国の古典、『孫子』に出てくる言葉です。
これは国家戦略の基本中の基本です。
なんで基本中の基本を第1回にやらないんだ?
というツッコミは受け付けません(笑)
上下欲を同じくする者は勝つ
軍を指揮する将軍と、末端の兵士の気持ちが
一致している軍は勝利を得る、
というのが普通の解釈だと思います。
この言葉は、国全体にも当てはまります。
上を君主や為政者、下を一般の国民と考えると、
君主、為政者と国民が一丸となっている国は、
富み栄えることもできるし、戦争でも強いでしょう。
考えてみれば当たり前のことです。
為政者と国民が反目しあっていたら、
戦争では勝てないでしょうし、経済面でも、
繁栄するのは、なかなか難しいでしょう。
『戦いの原則』 大橋武夫 PHP文庫
という本によると
>組織のすべての構成員の欲を1つの方向に振り向けることだ。
>すべての構成員が、同じ利益、共通の目的を持つ場合は
>強く、こういう集団は勝利を得る。
>会社の利益が末端の社員の利益に直結している会社は、
>必ず繁栄するということでもある。
これも当たり前といえば当たり前ですが、
大橋さんが会社を経営していた時代は、
経営者側と従業員側が”欲を同じくする”のは、
難しいことでした。
両者は対立しているのが当たり前で、
対立を通り越して”敵対”といってもいい
関係だったのです。
大橋さんが、労働争議を克服し、
会社を立て直すことができたのは、
上下欲を同じくする者は勝つ
を実践したからでした。
日本という国全体を見ると、
上下欲を同じくする者は勝つ
を実践していた時期がありました。
敗戦からの復興、その後の高度経済成長、
これを成し遂げたのは、国全体が一丸となっていたから
でした。
最近は、”官民一体”という言葉も聞かれなくなりました。
官(政治家、官僚)と民(民間企業、一人一人の国民)が、
一丸となったから、復興できたのです。
その後の高度経済成長もまた、同じように、
一丸となったからこそ、成し遂げられたのです。
今、我々一般の国民と”官”は一丸となっているでしょうか?
”官民一体”となっているでしょうか?
なっていないとすれば、何が原因でしょうか?
政治家が悪い?官僚が悪い?
確かに悪い政治家も悪い官僚もいるでしょう。
それだけでしょうか?
このテーマは長くなりそうなので、
次回に持ち越します。