軍事ジャーナル(8月13日号)

 7日、オバマ米大統領がイラク北部の過激派「イスラム国」への空爆を命じ、翌日空爆が開始された。オバマはもともとイラクへの軍事介入に反対して大統領に当選した。そのオバマが公約を覆してイラクへの軍事介入を命じた訳だから、米政界は大騒ぎである。
 日米を含め世界中のマスコミはブッシュのイラク戦争を批判し、オバマの不介入主義を支持してきた。だがその不介入主義は完全に破綻した事を今回の空爆は明確に示している。「ブッシュの間違った戦争の尻拭いとしてやむを得ない」とオバマを擁護する向きもあるが、結局、米国の軍事介入を肯定せざる得ない訳だ。
 言うまでもなく「ブッシュの戦争」は二つある。2003年のブッシュ・ジュニアのイラク戦争と1991年ブッシュ・シニアの湾岸戦争である。世論はイラク戦争を非とし湾岸戦争を是とするが、イラク戦争は湾岸戦争の継続として戦われたものだから、この論評は実は論理性に欠ける。

 湾岸戦争時、ブッシュ・シニアはイラクの首都バグダットの制圧を見送った。サダム独裁政権を潰せば、イラク北部のクルド人地域の独立は避けられず、クルディスタンが成立すれば米国の同盟国であるトルコの解体が現実のものとなることを恐れたのである。
 ブッシュ・ジュニアはIT革命により、イラクの一体性も保ったまま民主化できると確信を抱いたから、イラク侵攻を決断した。だがそのイラク北部を過激派が占拠しクルド独立の機運が生じた段階で、オバマはイラクの一体性を保つべく軍事介入した。
 このように見てくると、米国は政権により政策は異なるが、軍事戦略については国策として一貫性を持っていることが分かる。

 今回の空爆はペルシャ湾に展開する米空母ジョージHWブッシュからFA?スーパーホーネットが発艦して実施された。FA18とはどんな戦闘攻撃機なのか?スーパーホーネットとホーネットはどう違うのか?
 1日に出版されたばかりの「イラスト図解 戦闘機」(監修:鍛冶)で詳述している。是非参照されたい。
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