鍛冶俊樹の軍事ジャーナル

(2024年4月14日号)

*パンデミック協定改定の危険性

 大紀元に拙稿「パンデミック協定と国際保健規則の改定の危険性 国際機関は汚職天国だった?」が掲載された。以下、概要を紹介する。

 

 世界保健機関(WHO)がパンデミック協定と国際保健規則の改定を企図している。新型コロナ(COVID19)のようなウィルス騒動が再び起きた場合、世界各国の国民にワクチンの接種を強制できるようにしようという魂胆なのだ。

 通常、ワクチンの作成には3年かかる。副作用がないか検証しなければならないからである。ところが、COVID19の場合、3か月で認可されてしまった。世界各国は、検証なしにワクチンを承認したものだから、製薬会社は濡れ手に粟(あわ)だった。

 これに味を占めた製薬会社がWHOを動かしたのが、パンデミック協定と国際保健規則の改定と見て間違いあるまい。

 

 WHOは国連専門機関だが、こうした国際機関は当然、公正中立でなければならない。そこで国連およびその関係機関は、その所在地の国から独立した法的な立場すなわち治外法権を維持している。これは各国の在外公館が治外法権であるのと同じだ。

 ところが、在外公館は本国の主権下にあるのだが、国連はいずれの国の主権下にもないわけだから事実上、法律が存在せず、内部に法執行機関すなわち警察が存在しない。

 つまり国連機関の内部は紳士協定で秩序が保たれているに過ぎない。従って汚職はほぼ野放しの状態なのだ。なぜ、こうした状態が放置されているかと言えば、この状態は各国にとっても多国籍企業にとっても金で国際ルールを買えるから都合がいいのだ。

 今般のWHOのパンデミック協定と国際保健規則の改定の背景は、これで明らかであろう。

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軍事ジャーナリスト鍛冶俊樹(かじとしき)

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鍛冶俊樹の軍事ジャーナル

(2024年4月8日号)

*統合作戦司令部は米軍の手先?

 大紀元に拙稿「統合作戦司令部は在日米軍司令部の出先機関になるのか?」が掲載された。以下、概要を紹介する。

 

 4月1日、参議院決算委員会で、「今月予定されている日米首脳会談で、在日アメリカ軍司令部の権限強化が議題になるか?」との質問に岸田総理は「指揮統制と言う観点の日米間の連携強化は相互運用性、即応性、を高めるためにも非常に重要な論点だ。こうした議論はこれからも深めていきたい」と答えた。

 2024年度末に陸海空3自衛隊を一元的に指揮する「統合作戦司令部」が市ヶ谷に創設される。米国は、そことの円滑な連携を目指し、在日米軍司令部の機能を強化する方針であり4月10日にワシントンで開く日米首脳会談で指揮統制の見直しで合意し、共同文書に盛り込む方向で調整している。

 実はこれについては、一昨年、私は、「鍛冶俊樹の軍事ジャーナル(2022年12月27日号)統合司令部とは何か?」で書いているので、これをそのまま引用する。

 

「「

 16日に閣議決定された安保3文書に、統合司令部の常設が明記されている。すでに防衛省には統合幕僚監部が常設されており、なぜ新たに統合司令部が必要なのか?理解に苦しむところであろう。

 米国では大統領に直属して統合参謀本部があり、統合的運用はこれだけで実現しているのである。日本の場合、統合幕僚長は防衛相の補佐に忙殺されて部隊の指揮まで手が回らないので、各部隊の一元的な指揮を執る統合司令官が必要だと説明されている。

 しかし、米国の場合、統合参謀本部議長が一人で担っている職務がなぜ日本では二人必要となるのか?不可解としか言いようがあるまい。この謎を解くヒントになるのは日経新聞などの解説図だ。

 

 そこには統合司令官から横に矢印が伸び米インド太平洋軍司令官につながっており「作戦を調整」と書いてある。つまり統合司令官は米軍との作戦を調整して陸海空3自衛隊を一元的に指揮するわけだ。

 日米同盟において、米軍は攻撃の役割を担い、自衛隊は防御の役割を担っており、反撃能力が規定された安保3文書でも、この基本的な役割に変更はないと明記されている。ならば作戦の主導権を握るのは米軍であるから、統合司令官は米軍主体の作戦を遂行することになろう。

 1970年に、三島由紀夫は、自衛隊に向けた檄文で次のように述べて自決した。「諸官に与えられる任務は、悲しいかな、最終的には日本からは来ないのだ」「アメリカは真の日本の自主的軍隊が日本の国土を守ることを喜ばないのは自明である。あと二年のうちに自主性を回復せねば、左派のいう如く、自衛隊は永遠にアメリカの傭兵として終わるであろう」

」」(引用終わり)

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鍛冶俊樹の軍事ジャーナル

(2024年3月25日号)

*軍拡の中共vs軍縮の米国

 大紀元に拙稿「軍拡の中共vs軍縮の米国 現状維持で東アジアの平和を保てるのか」が掲載された。以下概要を紹介する。

 

 中国の経済崩壊が明白になりつつある中で、今年の中国の国防費は前年度比7.2%増の1兆6655億元(約34兆8000億円)である。日本の今年度の防衛費は7兆9172億円であるから、日本の約4.4倍である。

 米国では3月11日にバイデン政権が予算教書を発表し、2025年会計年度(2024.10-2025.9)の国防予算として8952億ドル(約130兆6992億円)を計上した。中国の約3.76倍である。

 

 この数字だけ見ると、米国の軍事力が中国の軍事力を圧倒しているかに見えるが、米国は自国を含め世界全体に軍事力を配備しなければならないのに対して、中国は東アジアに戦力を集中できる。

 活動領域で計算すると米国は中国の4倍以上の軍事力を持たなければ中国を抑止できないのである。3.76倍では、既に足りていないのだ。

 

 だが本当の問題は、米国が、この現状を認識していながら国防費の増額を図ろうとしない点にある。米国の2025年会計年度の歳出総額は7兆2660億ドルで前年度比4・7%増なのに対して国防費は前年度比1%増に過ぎず、事実上軍縮している。

 中国は前年度比7・2%増で大軍拡をしているのを見れば、バイデン政権に中国を抑え込もうなどと言う意思は到底伺えない。

 

 1980年代、米レーガン政権はソ連の軍拡に対抗して質量ともにソ連を圧倒する大軍拡に乗り出した。結局ソ連の経済が軍拡競争に耐えられなくなり、ソ連は崩壊したのである。

 中国の経済の崩壊は確かに始まっているが、米国の軍縮を尻目にあと10年は軍拡が可能だと見られる。10年後、米国の軍事力を中国の軍事力が圧倒すれば、在韓米軍も在日米軍も撤退せざるを得なくなり、台湾を含む東アジアの覇権は自然に中国のものとなる。

 

 経済が破綻しても軍事覇権を握るというのは毛沢東の思想だが、習近平は毛沢東を崇拝しているのだ。

 

 米国では伝統的に民主党政権は軍縮、共和党政権は軍拡なので、バイデン民主党政権が軍縮なのは当然ともいえるが、その政策は東アジアにとって極めて危険なのである。

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