インディアンの思想 | Talking with Angels 天使像と石棺仏と古典文献: 写真家、作家 岩谷薫

インディアンの思想

$『Talking with Angels』西洋墓地の天使像と『笑とる仏』 : 写真家 岩谷薫-インディアン_1 PC治りました。笑
 「インディアン」という言葉を差別用語とする人もいますが、現にインディアンという呼び名に誇りをもって、自らの事をインディアンという部族もあると、以前、本で読んだ記憶もあるので、ここではインディアンと呼びます。詳細はWikiで

 この本、とってもお勧め。『それでもあなたの道を行け』邦訳の題名はどうかとも思いますが、いいよ!この本。原題は『NATIVE WISDOM』かと。
 前回の『悲しき熱帯』、レヴィー・ストロースの思考を「西洋の淀んだドブ川」に喩えると、『NATIVE WISDOM』は正に「山の清流」のようなスガスガしさ!
 所謂、インディアンの名言集なんだけど、レヴィー・ストロースのように回りくどい言葉は使わず、非常にシンプルな言葉で、深い思想を展開していきます!
 「オレ、こんなに本読むの早かったっけ?」と思うほど、スラスラ読めます。それほど『悲しき熱帯』の文章がひどかったのですが。笑!

 インディアンの思想は、かねてから重々スゴい!とは知っていたのですが、昔、私のキライな人物が、ファッションにインディアンのものを取り入れ、車や家にチャラチャラと、ドリームキャッチャー等をぶらさげていたので、どーも素直に入って行けず、長年、あえて本腰入れて読まなかったものです。
 この喩えで合っているか不明ですが、笑、昔、まんざらでもない女性から言い寄られましたが、その女性が、以前、私の大キライな男と付き合っていたことを知っていたので、どうしても私は彼女のことが好きになれなかったという屈折した経験と似てますかね。爆! イメージは大事、良くも悪くも影響しますから。笑

 ちょっと、良い言葉抜き出してみましょう……。
●この地上に人間として生まれることは聖なる委託なのです。私たちは聖なる責任をになっています。
○基本的に人類はその責任を忘れているでしょう。小さな小さな私の委託感もあり、今このブログで、この本を紹介してみる気になりました。

●わが部族の若い男は、働いてはならない。夢を見なくなってしまうからだ。そうなったら夢のなかで、知恵を授かることができなくなる。
 おまえたちは俺に、土を耕せと言う。ナイフを手に母の乳房を切り裂けと言うのか。
○労働は決して美徳ではありません。『悲しき熱帯』にもありましたが、バカな西洋の宣教師らが、よく原住民を「怠け者!」呼ばわりし、「労働は美徳である」と教え込ませますが、労働をすることによって、西洋人のやってきたことは、欲ばかり肥やして地球を破壊することだったのです。ブラジルの原住民もインディアンも、「それは、やってはいけないこと」と認識して、何千年も暮らしていけたのです。その間、労働を主体とした文明が何代も滅んでいるのに。「怠け者」と言う言葉に、エデンの園を追放された、妬みが含まれていることに気付きはしません。
 耕さず、狩猟採集が一番、理想的だったのです。

●<宣教師にインディアンが語った言葉>
 ひとつしか宗教がないのだとしたら(キリスト教のこと)、どうしてあなたがた白人は、それについてそんなに意見が合わないのだろう。あなた方はみんなその本が読めるのに、なぜ考えが一致しないのか。ー中略ー わしらは宗教のことで争いなどは起こさない。
○キリスト教のダメなところを見事に批判しています!

●あなたの神は冷酷で、決して全能なんかじゃない。なぜなら、あなたはいつも悪魔のことや、人が死後に行く地獄の話ばかりをしているからだ。わしらの神は全能だし、まったく善良だ。悪魔なんていないし、わしらが死後に行く霊の世界には、地獄などない。
○前項と同じく、スバラシイ、キリスト教批判。脅すという行為には必ず、卑しい動機が含まれています。

●すべてのものが円を描いています。
私たちは自分自身の行いに、それぞれ責任をもっています。
それが円を描いて戻ってくるからです。
ピー・トング・ルアング族の絵が、何故、大人も子供も円になるのか、解る気がします。西洋では、ニーチェが大仰に「永劫回帰」と叫ぶ遥か以前に、インディアン(勿論、インディアンのみならずですが)は、非常にシンプルに理解していました。


●わしらのもてる力のすべては、部族の聖なる輪からやってきたものだ。あの輪が破壊されない限り、人々は栄えることができたのじゃ…。
○これは、(ある意味、労働する)西洋人がこの輪を破壊したという意味。
輪からはみ出てはいけなかったのです。

●経済と技術があなた方を手助けしている。しかし、あなた方が平等の原則を用いないならば、経済と技術によって、いずれあなた方は破壊されるだろう。目先の利益や損失などは、未来の世代にとってなんの意味もない…。
 ここには四本脚の動物たちの代表者は見あたらない。鷲たちのために用意された座席も見あたらない。我々は彼らのことを忘れ、人間が優越した種であると思いこんでいる。

$『Talking with Angels』西洋墓地の天使像と『笑とる仏』 : 写真家 岩谷薫-インディアン_2
 勿論、他にも素晴らしい言葉は山ほどあるんだけどこの辺で。
 この本には、インディアンのポートレートも沢山掲載されていて、写真集としても楽しめます。表紙の写真もとてもイイ写真ですが、この写真もスバラシク威厳を感じませんか?
 この威厳は、経済的や政治的に成功したとかのそんな、下界の穢らわしい威厳なんかじゃ全然ないんですよね。正に、内から沸き上がる人としての威厳です。撮られる人々が全員スゴイので、掲載されている写真の全てがすばらしいです。
 この本は買ってみて損はしない本だと思いますヨ。
人気ブログランキングへ
にほんブログ村 哲学・思想ブログ スピリチュアル・精神世界へ
にほんブログ村
にほんブログ村 美術ブログ 宗教美術へ
にほんブログ村