ギャンブル依存症はICD-10及びDSMの疾病分類において、きちんと病的賭博に位置付けられており、れっきとした精神疾患である。
ギャンブル依存症は、アルコールやドラッグと異なり、健康は害さないけれども、患者や周辺の経済的平穏を著しく損なってしまう。
http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3582/1.html
レンタルギャンブル依存症、とお悩み相談の実名サイトも出ている。
http://www.rentalgambler.com/profile
日本のいたるところにパチンコ・競輪・競艇など身近な生活環境の中にギャンブルの場が設けられていながら、治療体制そのものが貧弱で、精神疾患であることもろくに周知されていないため、『ギャンブルにのめり込むのは専ら誘惑に負ける本人の意思の弱さから』といまだ突き放して扱われている。
弁護士を続けている中でギャンブルによって多重債務を抱えた者に民事刑事通じて私はたくさんあってきた。
幸い数年前から「ギャンブル依存とたたかう」「ギャンブル依存症」など、精神科医が書いた本も入手しやすくなっている。
知り合いにギャンブル依存症とおぼしき多重債務者がいる人や、ギャンブルによって困窮に陥った依頼者を抱えたことのある弁護士は、一刻も早く上記精神科医の本を読んで、その者や家族に具体的な対策を助言できるようしておく責務があるように思うので、書名を検索してみてください。
精神疾患であって意思の問題とはいえない医学的理由として、ギャンブル依存症の患者には、中毒性のあるドーパミンやノルアドレナリンなど脳内物質が過剰分泌され、セロトニンが抑えられるという脳内変化も現れるらしい。
ギャンブル依存症の人の周りの人の禁忌(やっていけないこと)は借金の肩代わりらしい。これは弁護士としての経験から、医師でない私もまたそう断言できる。
尻拭いで一時的に借金が消えても、もとの依存症を解消していないのだから、その人があらゆる手段で再び金を借りて突っ込んでしまう行動をとるだろうことが火を見るより明らかだからだ。
ギャンブル依存症で有名な元貴闘力の話↓
http://blogos.com/article/159988/
さいわい、リデイズネットというネットワークで、各県のギャンブル依存症に対応する病院を紹介するウェブサイトも紹介されるようになった。たとえば福岡県↓それでも人口や遊戯施設数に比べて少ないが。
http://redaysnet.com/state/kyusyu/hukuokaken
なお治療にあたっては『治すクスリはない』と断言されているので、根気強い自助の覚悟が欠かせぬようだ。
ところで、行政の姿勢といえば、ギャンブル依存症への医療体制を強化するのではなく、専ら本人の弱さの問題なのだと矮小化している感じがある。例えば、2013年4月1日より兵庫県小野市で、福祉給付制度適正化条例をスタートさせた。
この条例の特徴は、生活保護受給者がギャンブルに入り浸っているのを見かけたら市への情報提供義務を市民に義務づける点だ。
http://www.j-cast.com/tv/2013/04/02172171.html?p=all
日弁連はこの条例の反対の声明を出しているが、ギャンブル依存症が精神疾患であることにまるで触れていない点が浅いし、そんなレベルじゃ反対に市民の理解を得ようというのも無理ってもんだ。
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2013/130426_3.html
ギャンブル依存症に対する理解をもっと深めてほしいと考え、バラバラの新聞記事を繋げた形ではあるが、記事をUPした次第である。
なお九弁連もギャンブル依存症に関する宣言を出したようだ
http://kyubenren.org/seimei/160923sengen.html
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