観光産業で沸騰中の「DMO」についての解説【コラム】 | 関西観光応援団

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観光産業で沸騰中の「DMO」とは? その起源から日本の現状までわかりやすく解説【コラム】

(トラベルボイス 2017年5月25日)

https://www.travelvoice.jp/20170525-88758

 

 

近畿大学経営学部の高橋一夫先生が「DMO」に関するコラムを執筆される。

行政は、時代のパラダイムシフトを演出するときは新しい用語を用いることが多い。「DMO」もその一つと言える。

「観光」は、自治体や観光協会単位という非常に狭い範囲以外は対象にできなかった中で、広域な観光に取り組める組織として「DMO」が登場したのは、観光振興や地方創生の中では画期的と言える。

しかし、新型交付金の対象ということもあって、DMO候補法人登録は、1年で134(2017年3月28日現在)を数えるという。

やはり助成金狙いだけの「DMO」が多いようだ。

新しい組織や事業を進めるうえで費用は必要ではあるが、できるだけ助成金を頼らず、事業収入を得る「DMO」でなければならない。

 

 

【ポイント】

観光地経営の舵取り役として日本各地に拡がりつつあるDMOを中心としたコラムを執筆する。

 

欧米には、ディスティネーション・マーケティング(観光地マーケティング)を推進し、数値目標を達成することで地域の観光関連事業者との信頼関係を築き、行政の観光政策への提言を行えるなど、観光地経営を担える組織が存在した。


2014年12月27日に閣議決定された「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の地方創生の主体の一つにDMOを初めて取り上げた。

 

2015年6月1日の経済財政諮問会議に石破茂大臣(地方創生・国家戦略特別区域担当)が臨時議員として、DMOを紹介した時です。

地方創生の「新型交付金」は従来の「縦割り事業」を超えた取組を支援するという事例に、DMOが取り上げられた。
新型交付金の対象にDMOがはいるということが伝わり始め、「DMOとはなんだ」という関心が観光行政関係者を中心に高まっていった。

新型交付金目当て、という批判は容易いのですが、それほど地方は事業資金に飢えていたともいえる。

「日本再興戦略2015年改訂(アクションプラン)」には、「日本の観光のトップランナーとしてふさわしい地域の中から世界に通用する観光地域づくりとマーケティングを行う官民一体の観光地経営体(日本版DMO)を選定し、政策資源を集中的に投入する」

DMOを観光地経営の主体として位置付けることが示された。

「まち・ひと・しごと創生基本方針2015」には、「地域の観光振興を戦略的に推進する専門的な組織として日本版DMOを確立する」

「欧米の先進事例も踏まえ、望ましい機能を備えた日本版DMOを早急に育成する」ことが盛り込まれ、

欧米型のプロフェッショナルな組織をモデルとして日本版DMOを構築していくことが、地方創生の柱の一つとなった。

「日本再興戦略2016」および「観光立国推進基本計画2017」では、「2020年までに世界水準のDMOを全国で100形成する」との目標が示された。

新型交付金の対象ということもあって、観光庁のDMO候補法人への登録は、この1年で134(2017年3月28日現在)を数える。

登録数は今後も増えていくことが想定されるが、このうちいくつの候補法人が日本版DMOとして認定されていくのでしょう。

日本版DMOに登録された候補法人の形成・確立計画を読み進めると、「これが日本版DMOだ」という概念がはっきりと確立しているとは言い難い。

観光庁は「世界水準」とはどういうことか示していない。

私は、「欧米の先進事例も踏まえ」た「世界水準のDMO」を日本版DMOとして認定していくと読むのが自然なのだと思う。

欧米のDMO事例を学び、機能や組織マネジメントを分析して、地域がそれぞれの実情に合わせて取り入れるべきことを真剣に考える価値がある。

 

訪日外国人客4000万人を目標とする今こそ、地域の観光事業は、パラダイムチェンジの時だという認識が必要です。

インバウンド、ICT、シェリングエコノミーと押し寄せる波は、従来当たり前と思っていた常識や価値観に非連続的・劇的な変化を求めている。

DMOも地域観光の変化の一つです。変化を活かしチャンスを自らの手に引き寄せることで、成長戦略は生きたものになる。

 

拙著『DMO-観光地経営のイノベーション』を5月末に学芸出版社より上梓する。