中国人が清掃工場や鎌倉高校、忍野八海に押し寄せる理由
(ダイヤモンドオンライン 12月15日)
http://diamond.jp/articles/-/111390
思わぬところが観光スポットになる現象は、これからもさらに増えるのだろう。
旅行スタイルに関する統計もいろいろあるが、団体旅行より個人旅行のほうが増えているというレポートばかりだ。
そのなかで問題視されているのが、個人旅行客向けガイドは無資格者が多いということだ。
早く、通訳ガイド制度の見直しがされなければならない。
【ポイント】
池袋駅から徒歩わずか5分の場所にある豊島清掃工場が、中国人の観光スポットになっている。
発端は中国人の「こんなにキレイで、煙も出ないゴミ処理場はすごい」SNSへの投稿だった。写真付きの投稿で人気スポットになったという。
漫画「スラムダンク」の主人公たちが通う高校のモデルとなった鎌倉高校や、富士北麓に位置する忍野八海(山梨県)などが人気という。
忍野八海に中国人観光客が増えはじめたのは、富士山が世界遺産に登録された2013年頃から。
観光客が増えるのはいいのだが、池にコインを投じる中国人客が多いことに困っているという。
「池にコインを投げると幸せになる」と言われている、中国人の間で言われ始めた“伝説”なのだ。
中国人の楽しみが変化してきたのは、「以前は金持ちしかできないと言われていた個人旅行が、一般化してきたからではないか」と分析する。
今年7~9月期の中国人観光客は「団体ツアー」38.5%、「個別手配」45.3%だった。昨年の同時期は「団体ツアー」45.3%、「個別手配」39.4%。この1年で個人旅行の比率が団体ツアーを上回った。
「金持ちしかできない」個人旅行が一般化した背景は、ビザ申請が代行業者の登場によって簡単になったことがあげられる。
旅行経験シェアサイトが急成長し、日本の情報を簡単に入手できるようになったことも大きい。
団体ツアーは爆買い中心にルート設計されているものも多かったが、越境ECの進化でわざわざ日本に来なくても買い物は可能となった。
個人で好きな場所に行って楽しみたいとのニーズに応えるだけの情報インフラも整ってきた。
日本では、外国人向けのガイドは「通訳案内士」の資格が必要。一方、こうした個人旅行客向けガイドは無資格者も多い。
忍野八海でのコイン投げなど、きちんと訓練されていないガイドによるマナーの悪さが引き起こしたとも言える。
日本では無資格ガイドと非難されるが、中国人にはCtoCビジネスの方がなじみがある。良い悪いは別にして、日本とは消費行動が違う。
宿泊も今や民泊が当たり前。民泊や個人ガイドを選ぶのも口コミ情報が充実しているから問題ない。
13億人もの人口を抱える中国では、たとえば微信(ウィーチャット、中国版LINE)のユーザーだって7億人もいる。
今後も、中国人観光客の動向はSNSや口コミにリードされていくだろう。
迎える側の日本人も、背景を理解したうえで対応策を考えないと、爆買い同様、「中国人のブームに、訳も分からず振り回される」羽目になる。