特別支援教育部門 第7位
先日、当事者さんが罪をきせられやすいことについて記事 にしましたら、コメントに「盗撮の冤罪をかぶせられた事例」についての書き込みを頂きました。今日は、この件についてです。
【盗撮冤罪の事例】
さて、この事件、申し訳ないのですが、ぼくは全く知りませんでした。今年の夏ごろ、結構新聞記事になっていたのですね。新聞記事はいつ削除されるかわからないので、コピー引用しますね。
2010.7.13 産経新聞より
女性を盗撮しようとしたとして東京都迷惑防止条例違反(みだらな行為)の罪で在宅起訴され、東京高裁で無罪が確定した横浜市内に住む発達障害の20代のアルバイト男性が13日、東京地検や警視庁の違法な捜査で精神的苦痛を受けたとして、国や東京都に対する1100万円の国家賠償請求訴訟を横浜地裁に起こした。
男性は1、2審を通じて「自白を強要された」などと無罪を主張。供述調書の信用性の有無などが争点となったが、東京高裁は「捜査官が誘導したか、作文した疑いがぬぐえない」と信用性を否定。さらに、「男性は発達障害で、やましいことがなくても謝った可能性がある」と指摘していた。
訴状などによると、男性は平成20年6月、東京都港区内の地下鉄駅構内のエスカレーターで女性のスカート内を撮影しようと携帯電話を差し入れたとして摘発され、東京簡裁が21年3月、罰金30万円の有罪判決を言い渡した。しかし今年1月、東京高裁が逆転無罪とし、検察側が上告せず無罪が確定していた。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/100713/trl1007132040007-n1.htm
【状況把握の困難が、冤罪を招く】
さて、実際世間ではこうした冤罪は、もっとあるのではと感じます。
警察の取調べでも、「白状しないと拘留するぞ。いつまでも帰れないぞ!」などと、脅迫めいた強い口調で脅してくるケースもあるようです。つい先日も、たしか脅迫罪で起訴された刑事の事件が報道されていましたね。この被疑者の方も、ICレコーダーを持ち込んでいなければ、今頃、冤罪の被害者になっていたかもしれません。
実際、発達障害の当事者が被疑者であると、
冤罪に繋がりやすい傾向があるなようなのです。
まず、当事者さんの場合、冤罪を晴らすところで、
状況説明が上手くできないという苦手があります。
また、それ以前に、逮捕されるという状況下では、
かなり精神的に追い込まれてしまうでしょうし、
不安が高まった時の当事者さんの混乱振りを考えると、
冷静に供述するなど、かなり難しいと感じます。
また、状況を正確に把握できにくい特性を考えると、
刑事や検察官に誘導的な供述調書のとられ方をされてしまうと、
相手のストーリーをくつがえす反論など、まず無理だと感じます。
僕などは、刑事や検察官への不信だけでなく、
弁護士の側も、この障害を正しく理解して、
被疑者に有利な証言を上手く引き出してもらえるものか、
とても不安を感じます。
【当事者の態度が、裁判官の心証までも悪くする】
実際、昨日頂いた被告のお母さんのコメントを読むと、
当事者さんの悲しい実態が浮かび上がってきます。
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自分のことを 審議しているのに
まるで 他人事のような様子で
裁判官にたいしても
ふてぶてしくふるまっているように 見えて
検察官とのやりとりも 質問にたいして かみ合わない返答に
裁判官の心象も かなり 悪かったようにおもえます。
本人にしてみれば自分が裁かれているにも かかわらず
自分の無罪を晴らすというよりも
自分とは関係ないから
裁判の内容に 興味を示していなかったみたいでした。
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これはもう、まさに状況把握の困難そのものの様子ですよね。
自分に降りかかっている火の粉の実態すらつかみきれず、
裁判官や検察官の質問の意図も、
中々上手くくみ取れなかったのでしょうね。
こうした裁判経過を見守っていた親御さんのご心労は、
いかばかりかと、こちらまで、心が痛む思いがしてきます。
こうした悲劇が繰り返されないように、
法曹関係者は肝に銘じて欲しいと、切に願います。
【他にも、こうした不安は沢山ある】
さて、こうした事が起こる要素は、
社会生活には至る所にあるのではと感じます。
発達障害の子を持つ親にしてみれば、
このような事は人事と考えていてはいけない問題だと思うのです。
犯罪とか、逮捕と言うと、そう起こることではないとしても、
交通事故なら、いつ起こってもおかしくないトラブルです。
ぼくが、息子のことで、身近な問題で、
一番将来的に不安を感じるのは、
車の運転の事だったりするのです。
というのも、交通事故を起こした際に、
その状況をちゃんと把握して記憶し、
相手と対等に交渉して、
不利にならないように対処できるものなのだろうか?
と思ってしまうのです。
シングルタスクのところで、
車の運転事態が苦手という当事者さんも居ますが、
実際、何の問題もなく、運転をこなす方も多くいらっしゃいます。
ただ、事故交渉のような場面では、
この障害が影を落とすことも、
またあるのではと、不安を感じるのです。
まぁ、まだ10年も先の話を今から心配してもしょうがないんですけどね。
昨日のコメントを読ませていただいたところで、
何か他人事と思えない気がして、
今日の記事を書かせていただきました。
コメントを寄せてくださった親御さん、どうもありがとうございました。
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